11 保健師が行う地区活動について最も適切なのはどれか。
1.主に質的なデータを用いて評価する。
2.地区にある社会資源の範囲で活動する。
3.医療機関との連携を中心にして展開する。
4.住民登録の有無にかかわらず地区に居住する者を対象とする。
解答4
解説
保健師が行う地区活動とは、一人ひとりの健康課題を地域社会の健康課題と切り離さずに捉え、個人や環境、地域全体に働きかけ、個別及び地域の動きを作り出す活動であり、地域の健康格差を縮小させ、健康水準の向上を目指している。具体的な活動としては、家庭訪問によって、発達障害児の子育てに悩む保護者に教室の参加を提案したり、子育て教室に参加している保護者の様子からアセスメントを深めるなどである。
1.× 「質的なデータ」に偏ることなく、量的なデータも両方用いて評価する。ちなみに、質的データは①順序尺度、②名義尺度があげられる。一方、量的データは①比例尺度、②間隔尺度があげられる。
2.× あえて「地区にある社会資源の範囲」だけではなく、必要ならば地区以外の社会資源も活動する。なぜなら、地区活動を行う際、地区にある社会資源だけでは十分な活動ができるとはいえない場合があるため。地区以外の社会資源を活用することにより、必要な社会資源を開発できる。
3.× 「医療機関との連携」が中心ではなく、多様な機関(福祉機関・学校や企業など)と連携する必要がある。地区活動においては、医療機関との連携だけでは十分な活動はできず、福祉機関、学校や企業など、多様な機関と連携する必要がある。保健師が行う一定地域を対象とした看護活動が地区活動である。
4.〇 正しい。住民登録の有無にかかわらず、地区に居住する者を対象とする。保健師が行う地区活動とは、一人ひとりの健康課題を地域社会の健康課題と切り離さずに捉え、個人や環境、地域全体に働きかけ、個別及び地域の動きを作り出す活動であり、地域の健康格差を縮小させ、健康水準の向上を目指している。具体的な活動としては、家庭訪問によって、発達障害児の子育てに悩む保護者に教室の参加を提案したり、子育て教室に参加している保護者の様子からアセスメントを深めるなどである。
①量的データ
比例尺度:原点(0)からの等間隔盛付けができるもの。間隔尺度と違い、数値間の比にも意味がある。(例:年齢、身長、血圧)
間隔尺度:等間隔の目盛り付けができるもの。減点を持たず、0が絶対的な無を示さない。(例:気温、年号、知能指数)
②質的データ
順序尺度:順序付けができるもの。(例:成績、順位、MMT)
名義尺度:数値や名前を割り振ったものである。数値の順序、大きさに意味はない。(例:性別、血液型、学籍番号)
12 介護保険法で規定される市町村介護保険事業計画の日常生活圏域について正しいのはどれか。
1.市町村が範囲を設定する。
2.高齢者の人口で数を決める。
3.二次医療圏と同規模である。
4.介護保険法制定時に定められた。
解答1
解説
日常生活圏域とは、平成18年の介護保険法改正により、新たに示された概念で、介護保険法第117条第2項第1項に圏域の設定が規定されている。日常生活圏域は、介護保険事業計画において、当該市町村がその住民が日常生活を営んでいる地域として、地理的条件・人口・交通事情その他の社会的条件・介護給付等対象サービスを提供するための施設の整備の状況その他の条件を総合的に勘案して定める区域としている。国では、おおむね30分以内に必要なサービスが提供される区域として、中学校区を単位として想定している。本市においては、平成22年1市2村の合併時に、これまでの行政区に1カ所ずつの地域包括支援センターを継承し、第6期高齢者福祉計画及び介護保険事業計画では、日常生活圏域を5圏域とし、平成29年4月1日より5圏域に1カ所ずつの地域包括支援センターを設置。運営を法人に委託し事業を展開している。
1.〇 正しい。市町村が範囲を設定する。日常生活圏域について、介護保険法第117条第2項第1項に「当該市町村が、その住民が日常生活を営んでいる地域として、地理的条件、人口、交通事情その他の社会的条件、介護給付等対象サービスを提供するための施設の整備の状況その他の条件を総合的に勘案して定める区域」としている(※参考:「介護保険法」e-GOV法令検索様HPより)。
2.× 高齢者の「人口で数」ではなく総合的に決める。地理的条件・人口・交通事情その他の社会的条件・介護給付等対象サービスを提供するための施設の整備の状況その他の条件を総合的に勘案して定める区域としている。
3.× 二次医療圏と同規模ではない。『医療法』の二次医療圏は、広域市町村が区域である。『介護保険法』の日常生活圏域は、二次医療圏より小さいのが一般的である。おおむね30分程度で行ける範囲、中学校の学区程度などといわれている。
4.× 定められたのは、「介護保険法制定時」ではなく地域密着型サービスが導入されることとなったタイミングである。平成17年の改正で導入された。
地域密着型サービスとは、高齢者が住み慣れた地域でサービスを受けられるようにするものである。原則として、その市町村の被保険者しか利用できない。今後増加が見込まれる認知症高齢者や中重度の要介護高齢者等が、出来る限り住み慣れた地域で生活が継続できるように、市町村指定の事業者が地域住民に提供するサービスである。
【地域密着型サービス9種類】
①定期巡回・随時対応型訪問介護看護
②夜間対応型訪問介護
③認知症対応型通所介護
④小規模多機能居宅介護
⑤看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)
⑥認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
⑦地域密着型特定施設入居者生活介護
⑧地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
⑨地域密着型通所介護
13 健康日本21(第二次)の目標達成を目指した市計画を定めることにした。
住民の意見を幅広く取り入れる方法として最も適切なのはどれか。
1.計画素案の作成を市内の業者に委託する。
2.市民相談を担当する職員を策定委員に選任する。
3.計画策定の過程でパブリックコメントを求める。
4.前年実施した市民健康意識調査の結果を計画に盛り込む。
解答3
解説
1.× あえて計画素案の作成を市内の業者に委託する優先度は低い。そもそも計画素案の作成は、「市内の業者に委託するもの」ではなく住民と行政の協働作業で策定されることが原則である。なぜなら、業者が計画の素案を作成すると業者の利益や損得が発生してしまう恐れがあるため。住民の意見を幅広く、損得なく取り入れる方法とする。
2.× あえて市民相談を担当する職員を策定委員に選任する優先度は低い。策定委員に選任するのは、「市民相談を担当する職員」ではなく住民のほうが良い。なぜなら、市民相談に来る住民が住民の意見をまとめたものとは限らないため。市民相談に来る住民の意見が強くなってしまう恐れがある。
3.〇 正しい。計画策定の過程でパブリックコメントを求める。パブリックコメント(意見公募手続)とは、公的な機関が規則あるいは命令などの類のものを制定しようとするときに、広く公に、意見・情報・改善案などを求める手続きをいう。行政機関が命令(政令、省令、条例など)を制定するにあたり、事前に案を示し、その案について広く市民から意見を募集すること。したがって、住民の意見を幅広く取り入れる方法として最も適切である。市計画の策定においては、計画策定の意義を確認し、計画作成を通して、担当する行政組織における合意を得ることや、関係機関や住民と協働して取り組むことが重要である。
4.× 前年実施した市民健康意識調査の結果を計画に盛り込む優先度は低い。なぜなら、これから定める計画についての意見ではないため。「前年」ではなく今年実施した市民健康意識調査の結果を計画に盛り込む。計画策定において住民の意見を幅広く取り入れる方法としては適切ではない。
日本における健康対策の現状や第三次国民健康づくり対策(健康日
(※参考:「健康日本21(第二次)」厚生労働省HPより)
14 健やか親子21の主な指標の最終評価で正しいのはどれか。
1.10代の性感染症(STI)罹患率が増加した。
2.妊娠11週以下での妊娠の届出率が増加した。
3.全出生数中の極低出生体重児の割合が減少した。
4.育児期間中の両親の自宅での喫煙率が増加した。
解答2
解説
(※図引用:「健やか親子21(第2次)」厚生労働省HPより)
健やか親子21は、平成25年の第1次計画の最終評価報告書を受け、平成27年度より第2次計画が開始されている。第1次計画では目標を設定した指標が多かったため、第2次計画では見直しを行い、目標を設けた52の指標と、目標を設けない「参考とする指標」として28の指標を設定した。第2次計画の中間評価は5年後、最終評価は10年後を予定している。
<目標>
1. 思春期の保健対策の強化と健康教育の推進(十代の自殺、人工妊娠中絶、性感染症罹患)
2. 妊娠・出産に関する安全性と快適さの確保と不妊への支援(妊産婦死亡、産後うつ病、産婦人科医・助産師数)
3. 小児保健医療水準を維持・向上させるための環境整備(低出生体重児、事故、妊娠・育児期間中の喫煙)
4. 子どものこころの安らかな発達の促進と育児不安の軽減(虐待死亡、母乳育児、心の問題に対応する小児科医)
(※参考:「健やか親子21(第2次)について」厚生労働省HPより)
1.× 10代の性感染症(STI)罹患率は、「増加」ではなく減少している。目標は達成され改善された一次計画でも引き続き、目標として設定している。STIとは、「Sexually(性)Transmitted(感染)Infection(症状)」の略で、日本語では「性感染症」といい、セックスやキス、ペッティングなどの性行為によって感染する病気のことをいう。現在、性器クラミジア感染症、淋菌感染症、性器ヘルペス感染症、エイズなど多くの疾患がある。※「STD(Sexually Transmitted Diseases)」ということもある。
2.〇 正しい。妊娠11週以下での妊娠の届出率が増加した。妊娠11週以下での妊娠の届出率は、目標である100%には達していないが改善された。第2次計画では具体的な目標値は設定されていない。法令上、妊娠届出時期について時限は定められていないが、厚生労働省では、妊娠11週以下の時期の届出を勧奨しており、令和元年度には93.5%の妊婦が、妊娠11週までに届出を行っている。
3.× 全出生数中の極低出生体重児の割合は、「減少」ではなく増加している。第2次計画でも引き続き、減少という目標として設定されている。低出生体重児とは、2500g未満児のこと。1500g未満を「極低出生体重児」、1000g未満を「超低出生体重児」と呼ぶ。低体温、低血糖、貧血、黄疸(高ビリルビン血症)などが起こりやすく、感染への抵抗力も弱いため、外的ストレスをできる限り減らす。
4.× 育児期間中の両親の自宅での喫煙率は、「増加」ではなく減少している。育児期間中の両親の自宅での喫煙率は減少し、なくすという目標は達していないものの改善された。第2次計画でも、育児期間中の両親の自宅での喫煙について目標値が設定されている。
15 計画と目標の組合せで正しいのはどれか。
1.健康日本21(第二次):若年性認知症施策の強化
2.健やか親子21(第2次):若い世代を中心とした食育の推進
3.第2期がん対策推進基本計画:受動喫煙のない職場の実現
4.第四次薬物乱用防止五か年戦略:不適切な飲酒の誘因の防止
解答3
解説
1.× 若年性認知症施策の強化は、「健康日本21(第二次)」ではなく、認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン、平成27年1月策定)の7つの柱のひとつである。政府は、「認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指す」という考えをもとに打ち立てられた「新オレンジプラン」を2015年1月27日に策定した。認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)7つの柱として、①認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進。②認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供。③若年性認知症施策の強化。④認知症の人の介護者への支援。⑤認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進。⑥認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデル等の研究・開発及びその成果の普及の推進。⑦認知症の人やその家族の視点の重視があげられる。(※参考:「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」厚生労働省HPより)
2.× 若い世代を中心とした食育の推進は、「健やか親子21(第2次)」ではなく、第3次食育推進基本計画(平成28年3月策定)の5つある重点課題のひとつである。5つある重点課題として、①若い世代を中心とした食育の推進、②多様な暮らしに対応した食育の推進、③健康寿命の延伸につながる食育の推進、④食の循環や環境を意識した食育の推進、⑤食文化の伝承に向けた食育の推進があげられる。(※参考:「第3次食育推進基本計画の5つの重点課題と目標」厚生労働省HPより)
3.〇 正しい。受動喫煙のない職場の実現は、第2期がん対策推進基本計画(平成24年6月策定)の個別目標のひとつである。がん対策推進基本計画の目的は、がんを予防する方法を普及啓発するとともに、研究を推進し、その結果に基 づいた施策を実施することにより、がんの罹患者を減少させることである。国民が利用し やすい検診体制を構築し、がんの早期発見・早期治療を促すことで、効率的か つ持続可能ながん対策を進め、がんの死亡者の減少を実現する。
4.× 不適切な飲酒の誘因の防止は、「第四次薬物乱用防止五か年戦略」だけでなく、アルコール健康障害対策推進基本計画(平成28年5月策定)の基本的施策のひとつである。アルコール健康障害対策推進基本計画の基本的施策として、①正しい知識の普及及び不適切な飲酒を防止する社会づくり、②誰もが相談できる相談場所と、必要な支援に繋げる相談支援体制づくり、③医療における質の向上と連携の促進、④アルコール依存症者が円滑に回復、社会復帰するための社会づくりがあげられる。ちなみに、第四次薬物乱用防止五か年戦略の5つの目標として、①学校における薬物乱用防止教育及び啓発の充実強化、②有職・無職少年に対する啓発の推進、③家庭や地域における薬物根絶意識の醸成 、④広報啓発活動の強化、⑤関係機関による相談体制の充実があげられる。
(※図引用:「健やか親子21(第2次)」厚生労働省HPより)
健やか親子21は、平成25年の第1次計画の最終評価報告書を受け、平成27年度より第2次計画が開始されている。第1次計画では目標を設定した指標が多かったため、第2次計画では見直しを行い、目標を設けた52の指標と、目標を設けない「参考とする指標」として28の指標を設定した。第2次計画の中間評価は5年後、最終評価は10年後を予定している。
<目標>
1. 思春期の保健対策の強化と健康教育の推進(十代の自殺、人工妊娠中絶、性感染症罹患)
2. 妊娠・出産に関する安全性と快適さの確保と不妊への支援(妊産婦死亡、産後うつ病、産婦人科医・助産師数)
3. 小児保健医療水準を維持・向上させるための環境整備(低出生体重児、事故、妊娠・育児期間中の喫煙)
4. 子どものこころの安らかな発達の促進と育児不安の軽減(虐待死亡、母乳育児、心の問題に対応する小児科医)
(※参考:「健やか親子21(第2次)について」厚生労働省HPより)