第104回(H30) 保健師国家試験 解説【午前21~25】

 

21 災害時の健康危機管理における保健所の役割はどれか。

1.避難所の指定
2.傷病者の広域搬送
3.災害対策本部の設置
4.健康被害の拡大防止

解答

解説

保健所における健康危機管理の業務

平成13年に定められた「厚生労働省健康危機管理基本指針」によれば、健康危機管理とは、「医薬品、食中毒、感染症、飲料水その他何らかの原因により生じる国民の生命、健康の安全を脅かす事態に対して行われる健康被害の発生予防、拡大防止、治療等に関する業務であって、厚生労働省の所管に属するものをいう。」とされている。

【健康危機管理の4つの側面】
保健所における健康危機管理の実際の業務は、対策の内容により、以下の4つの範疇に分けて整理することができる。すなわち、「健康危機の発生の未然防止」、「健康危機発生時に備えた準備」、「健康危機への対応」、「健康危機による被害の回復」であり、これらは健康危機管理業務の一連の流れとなる。

(※参考:「地域における健康危機管理について~地域健康危機管理ガイドライン~」厚生労働省HPより)

1.× 避難所の指定は、「保健所」ではなく市町村が行う。平成25年6月に改正された『災害対策基本法』において、市町村長が指定緊急避難場所と指定避難所を指定することが定められている。災害対策基本法とは、国民の生命、身体及び財産を災害から保護し、もって、社会の秩序の維持と公共の福祉の確保に資することを目的とした法律である。
2.× 傷病者の広域搬送は、「保健所」ではなく災害派遣医療チーム(DMAT)が行う。災害派遣医療チーム(DMAT)の定義は「災害急性期に活動できる機動性を持ったトレーニングを受けた医療チーム」とされている。医師、看護師、業務調整員(医師・看護師以外の医療職及び事務職員)で構成され、大規模災害や多傷病者が発生した事故などの現場に、急性期(おおむね48時間以内)から活動できる機動性を持った、専門的な訓練を受けた医療チームである。災害時傷病者は、最寄りの災害拠点病院や一般の医療施設などへ搬送され、そこで対応が困難な場合に広域搬送拠点臨時医療施設へ搬送される。
3.× 災害対策本部の設置は、「保健所」ではなく都道府県知事または市町村長が行う。災害対策本部は、災害が発生、または災害が発生するおそれがある都道府県知事または市町村長が設置する。『災害対策基本法』の23条において定められている。(※参考:「災害対策基本法」e-GOV様HPより)
4.〇 正しい。健康被害の拡大防止は、災害時の健康危機管理における保健所の役割である。保健所における健康危機管理の実際の業務は、対策の内容により、以下の4つの範疇に分けて整理することができる。すなわち、「健康危機の発生の未然防止」、「健康危機発生時に備えた準備」、「健康危機への対応」、「健康危機による被害の回復」であり、これらは健康危機管理業務の一連の流れとなる。

災害拠点病院とは?

災害拠点病院とは、災害発生時(地震・津波・台風・噴火など)に災害医療を行う医療機関を支援する病院のことである。医療救護活動の中核を担う病院で都道府県によって指定される。基幹災害医療センター(基幹災害拠点病院)は、各都道府県に原則1か所以上、地域災害医療センター(地域災害拠点病院)は、二次医療圏ごとに原則1カ所以上整備される。

【主な特徴】
・24時間緊急対応できる。
・被災地域内の傷病者の受け入れ・搬出が可能な体制を持つ。
・DMAT(災害派遣医療チーム)の派遣機能を持つ。
・搬送をヘリコプターなどを使用して行える。
・消防機関(緊急消防援助隊)と連携した医療救護班の派遣体制がある。
・自己完結型で医療チームを派遣できる資器材を備えている。

【DMAT(災害派遣医療チーム)の特徴】
定義:災害急性期に活動できる機動性を持ったトレーニングを受けた医療チーム。
医師、看護師、業務調整員(医師・看護師以外の医療職及び事務職員)で構成され、大規模災害や多傷病者が発生した事故などの現場に、急性期(おおむね48時間以内)から活動できる機動性を持った、専門的な訓練を受けた医療チームである。
①都道府県の派遣要請に基づく。
②災害の急性期(おおむね48時間以内)に活動できる機動性をもつ。
③主な活動は、広域医療搬送、病院支援、地域医療搬送、現場活動などである。

※(参考:「DMATとは」厚生労働省HPより)

災害対策基本法とは?

目的:国民の生命、身体及び財産を災害から保護し、もって、社会の秩序の維持と公共の福祉の確保に資すること。

(国の責務)
第三条 国は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのつとり、国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護する使命を有することに鑑み、組織及び機能の全てを挙げて防災に関し万全の措置を講ずる責務を有する。
2 国は、前項の責務を遂行するため、災害予防、災害応急対策及び災害復旧の基本となるべき計画を作成し、及び法令に基づきこれを実施するとともに、地方公共団体、指定公共機関、指定地方公共機関等が処理する防災に関する事務又は業務の実施の推進とその総合調整を行ない、及び災害に係る経費負担の適正化を図らなければならない。
3 指定行政機関及び指定地方行政機関は、その所掌事務を遂行するにあたつては、第一項に規定する国の責務が十分に果たされることとなるように、相互に協力しなければならない。
4 指定行政機関の長及び指定地方行政機関の長は、この法律の規定による都道府県及び市町村の地域防災計画の作成及び実施が円滑に行なわれるように、その所掌事務について、当該都道府県又は市町村に対し、勧告し、指導し、助言し、その他適切な措置をとらなければならない。
(都道府県の責務)
第四条 都道府県は、基本理念にのつとり、当該都道府県の地域並びに当該都道府県の住民の生命、身体及び財産を災害から保護するため、関係機関及び他の地方公共団体の協力を得て、当該都道府県の地域に係る防災に関する計画を作成し、及び法令に基づきこれを実施するとともに、その区域内の市町村及び指定地方公共機関が処理する防災に関する事務又は業務の実施を助け、かつ、その総合調整を行う責務を有する。
2 都道府県の機関は、その所掌事務を遂行するにあたつては、前項に規定する都道府県の責務が十分に果たされることとなるように、相互に協力しなければならない。
(市町村の責務)
第五条 市町村は、基本理念にのつとり、基礎的な地方公共団体として、当該市町村の地域並びに当該市町村の住民の生命、身体及び財産を災害から保護するため、関係機関及び他の地方公共団体の協力を得て、当該市町村の地域に係る防災に関する計画を作成し、及び法令に基づきこれを実施する責務を有する。
2 市町村長は、前項の責務を遂行するため、消防機関、水防団その他の組織の整備並びに当該市町村の区域内の公共的団体その他の防災に関する組織及び自主防災組織の充実を図るほか、住民の自発的な防災活動の促進を図り、市町村の有する全ての機能を十分に発揮するように努めなければならない。
3 消防機関、水防団その他市町村の機関は、その所掌事務を遂行するにあたつては、第一項に規定する市町村の責務が十分に果たされることとなるように、相互に協力しなければならない。
(地方公共団体相互の協力)
第五条の二 地方公共団体は、第四条第一項及び前条第一項に規定する責務を十分に果たすため必要があるときは、相互に協力するように努めなければならない。
(国及び地方公共団体とボランティアとの連携)
第五条の三 国及び地方公共団体は、ボランティアによる防災活動が災害時において果たす役割の重要性に鑑み、その自主性を尊重しつつ、ボランティアとの連携に努めなければならない。
(指定公共機関及び指定地方公共機関の責務)
第六条 指定公共機関及び指定地方公共機関は、基本理念にのつとり、その業務に係る防災に関する計画を作成し、及び法令に基づきこれを実施するとともに、この法律の規定による国、都道府県及び市町村の防災計画の作成及び実施が円滑に行われるように、その業務について、当該都道府県又は市町村に対し、協力する責務を有する。
2 指定公共機関及び指定地方公共機関は、その業務の公共性又は公益性にかんがみ、それぞれその業務を通じて防災に寄与しなければならない。
(住民等の責務)
第七条 地方公共団体の区域内の公共的団体、防災上重要な施設の管理者その他法令の規定による防災に関する責務を有する者は、基本理念にのつとり、法令又は地域防災計画の定めるところにより、誠実にその責務を果たさなければならない。
2 災害応急対策又は災害復旧に必要な物資若しくは資材又は役務の供給又は提供を業とする者は、基本理念にのつとり、災害時においてもこれらの事業活動を継続的に実施するとともに、当該事業活動に関し、国又は地方公共団体が実施する防災に関する施策に協力するように努めなければならない。
3 前二項に規定するもののほか、地方公共団体の住民は、基本理念にのつとり、食品、飲料水その他の生活必需物資の備蓄その他の自ら災害に備えるための手段を講ずるとともに、防災訓練その他の自発的な防災活動への参加、過去の災害から得られた教訓の伝承その他の取組により防災に寄与するように努めなければならない。
(※一部引用:「災害対策基本法」e-GOV様HPより)。

 

 

 

 

22 在宅で人工呼吸器管理を要する難病患者の災害時の個別支援計画で適切なのはどれか。

1.自宅待機を想定に入れる。
2.避難先は災害拠点病院とする。
3.発災直後の安否確認は主治医が行う。
4.発災後の移動は災害派遣医療チーム(DMAT)が担当する。

解答

解説

ポイント

【在宅人工呼吸器管理を要する難病患者の災害時の個別支援計画の優先事項】
①患者の身体状態および安全確保
②医療機器管理の継続的な提供
したがって、ライフライン、通信手段、避難所、避難経路などの被害状況によって対応は異なるため臨機応変に対応する必要がある。発災時の状況、患者本人や家族・介護者の状況、自宅の損壊状況、医療機器や医薬品の状況などから判断して、避難するか自宅に待機するかを決定する。自宅待機を想定した非常用電源の確保や医療機器などの準備、定期点検を含めて計画する。

1.〇 正しい。自宅待機を想定に入れる。在宅人工呼吸器管理を要する難病患者の災害時の個別支援計画の優先事項は、①患者の身体状態および安全確保、②医療機器管理の継続的な提供である。したがって、ライフライン、通信手段、避難所、避難経路などの被害状況によって対応は異なるため臨機応変に対応する必要がある。発災時の状況、患者本人や家族・介護者の状況、自宅の損壊状況、医療機器や医薬品の状況などから判断して、避難するか自宅に待機するかを決定する。自宅待機を想定した非常用電源の確保や医療機器などの準備、定期点検を含めて計画する。
2.× 避難先は、災害拠点病院だけではない。発災時の状況、患者本人や家族・介護者の状況、自宅の損壊状況、医療機器や医薬品の状況などから判断して、避難するか自宅に待機するかを決定する。災害拠点病院とは、災害発生時(地震・津波・台風・噴火など)に災害医療を行う医療機関を支援する病院のことである。医療救護活動の中核を担う病院で都道府県によって指定される。基幹災害医療センター(基幹災害拠点病院)は、各都道府県に原則1か所以上、地域災害医療センター(地域災害拠点病院)は、二次医療圏ごとに原則1カ所以上整備される。
3.× 発災直後の安否確認は、主治医だけではない。実際の安否確認は、日常的にかかわる主治医や訪問看護師、介護職員など個々の状況に応じて関係者が行う。災害の超急性期(~24時間)の災害状況は、①野外への避難、②通信・交通・ライフラインの途絶、③避難所生活開始があげられる。災害では、主治医を含む支援者も被災する可能性があることも想定して、安否確認の体制を計画しておく。保健活動として、救急対応(救護所の開設、必要な医療物品の準備)、地域の被害状況、ライフライン、衛生状態の把握、住民の安否確認と身元確認、避難行動要支援者の安否確認と移動、健康危機管理、避難所準備と周知、救護所や避難所の巡回健康相談と衛生管理および環境整備、職員の健康管理(急性期)である。
4.× 発災後の移動は、災害派遣医療チーム(DMAT)は担当しない。災害派遣医療チーム(DMAT)の定義は「災害急性期に活動できる機動性を持ったトレーニングを受けた医療チーム」とされている。医師、看護師、業務調整員(医師・看護師以外の医療職及び事務職員)で構成され、大規模災害や多傷病者が発生した事故などの現場に、急性期(おおむね48時間以内)から活動できる機動性を持った、専門的な訓練を受けた医療チームである。

災害拠点病院とは?

災害拠点病院とは、災害発生時(地震・津波・台風・噴火など)に災害医療を行う医療機関を支援する病院のことである。医療救護活動の中核を担う病院で都道府県によって指定される。基幹災害医療センター(基幹災害拠点病院)は、各都道府県に原則1か所以上、地域災害医療センター(地域災害拠点病院)は、二次医療圏ごとに原則1カ所以上整備される。

【主な特徴】
・24時間緊急対応できる。
・被災地域内の傷病者の受け入れ・搬出が可能な体制を持つ。
・DMAT(災害派遣医療チーム)の派遣機能を持つ。
・搬送をヘリコプターなどを使用して行える。
・消防機関(緊急消防援助隊)と連携した医療救護班の派遣体制がある。
・自己完結型で医療チームを派遣できる資器材を備えている。

【DMAT(災害派遣医療チーム)の特徴】
定義:災害急性期に活動できる機動性を持ったトレーニングを受けた医療チーム。
医師、看護師、業務調整員(医師・看護師以外の医療職及び事務職員)で構成され、大規模災害や多傷病者が発生した事故などの現場に、急性期(おおむね48時間以内)から活動できる機動性を持った、専門的な訓練を受けた医療チームである。
①都道府県の派遣要請に基づく。
②災害の急性期(おおむね48時間以内)に活動できる機動性をもつ。
③主な活動は、広域医療搬送、病院支援、地域医療搬送、現場活動などである。

※(参考:「DMATとは」厚生労働省HPより)

 

 




 

 

23 A市では、今年から特定健康診査と特定保健指導を同じ事業者に委託し、市は市民への広報、受診勧奨、未受診者の支援を行うこととした。
 委託した事業者の保健指導の質を評価する指標はどれか。

1.特定健康診査の受診率の変化
2.特定保健指導の対象者の割合
3.特定保健指導の未受診者の割合
4.特定保健指導前後のBMIの変化

解答

解説

ポイント

・特定健康診査と特定保健指導を同じ事業者に委託した。
・市:市民への広報、受診勧奨、未受診者の支援を行う。
・委託した事業者の保健指導の質を評価する指標はどれか。
→質的データ(質的変数)とは、好きなスポーツ、血液型、自動車のナンバーなど、単に分類や種類を区別するためだけのデータや、順位、学年など順序に意味があるデータのこと。①順序尺度と②名義尺度に分けられる。①順序尺度:順序付けができるもの。大小関係はあるものの、間隔には意味はない尺度である。(例:成績、順位、MMT)
名義尺度:数値や名前を割り振ったものである。数値の順序、大きさに意味はない、(例:性別、血液型、学籍番号)

1.× 特定健康診査の受診率の変化は、保健指導の質を評価できない。なぜなら、特定健康診査の受診は、保健指導を行う前であるため。つまり、事業者の保健指導の質を評価する際の対象者は、特定健康診査の結果、保健指導が必要とされた者である。特定健康診査とは、40~74歳までの医療保険加入者を対象に実施されるものである。特定健診で行う検査は、主に①身体計測(身長・体重・BMI・腹囲)、②血中脂質検査(中性脂肪・HDLコレステロール・LDLコレステロール)、③肝機能検査(GOT・GPT・γ-GTP)、④血糖検査(空腹時血糖・HbA1c)、⑤尿検査(尿糖・尿蛋白)などである。
2.× 特定保健指導の対象者の割合は、保健指導の質を評価できない。なぜなら、特定保健指導の対象者の割合の変化は、保健指導のみの効果によるものといえないため。また、対象者の割合は年齢別なのか、性別なのか具体的にどの割合であるか不明である。
3.× 特定保健指導の未受診者の割合は、保健指導の質を評価できない。なぜなら、特定保健指導の未受診であれば、保健指導も受けていないため。
4.〇 正しい。特定保健指導前後のBMIの変化は、保健指導の質を評価できる。BMIとは、体重(㎏) ÷ 身長の2乗(m) で計算される体格指数のことである。日本肥満学会の基準では、18.5以下:低体重、25以下:普通、30以下:肥満Ⅰ度、35以下:肥満Ⅱ度、40以下:肥満Ⅲ度、40以上:肥満Ⅳ度である。

データの区分(尺度の種類)

① 量的データ(量的変数):枚数、身長、金額など、数値で推し測ることができ、数字の大小に意味をもつデータのこと。比例尺度と間隔尺度に分けられる。

比例尺度(比尺度):原点があり、間隔や比に意味がある。つまり、原点(0)からの等間隔盛付けができるものをいう。間隔尺度と違い、数値間の比にも意味がある。(例:年齢、身長、血圧)
間隔尺度(距離尺度):目盛が等間隔であるが、数値間の比に意味がない。つまり、数値の差のみに意味がある。等間隔の目盛り付けができるが、原点を持たず、0が絶対的な無を示さないものをいう。(例:気温、年号、知能指数)

② 質的データ(質的変数):好きなスポーツ、血液型、自動車のナンバーなど、単に分類や種類を区別するためだけのデータや、順位、学年など順序に意味があるデータのこと。順序尺度と名義尺度に分けられる。

順序尺度:順序付けができるもの。大小関係はあるものの、間隔には意味はない尺度である。(例:成績、順位、MMT)
名義尺度:数値や名前を割り振ったものである。数値の順序、大きさに意味はない、(例:性別、血液型、学籍番号)

事業評価

①ストラクチャー評価(企画評価):事業を実施するための仕組みや体制を評価するもの。
例:マンパワー、予算、会場の状況、関係機関との連携体制 等。

②プロセス評価(実施評価):事業の手順や実施過程、活動状況の妥当性を評価するもの。
例:事業参加者の募集方法、健康診査の従事者数・受診者数,事業の実施内容等。

③アウトプット評価:事業実施過程と参加状況などから直接生じた結果(数や量)を評価するもの。

④アウトカム評価(成果評価):事業の目的を達成したかどうかの最終的な成果を判断するもの。
例:参加者の6か月後のBMI値、糖尿病の治療継続者の割合、腹囲の減少率、参加者の運動回数 等。

 

 

 

 

 

24 職場における新人保健師の人材育成で最も適切なのはどれか。

1.職場外での研修を中心に行う。
2.新人保健師自身が自らの到達目標を設定する。
3.新人保健師が所属する部署で完結した指導体制とする。
4.新人保健師が活動事例を学会で発表することを最終目標とする。

解答

解説

(※図引用:「新人看護職員研修ガイドライン~保健師編~ 」厚生労働省HPより)

新人保健師研修

保健師活動は必要な知識、技術、態度を統合した実践的能力を、地域・事業場等に生活する複数の対象を受け持ちながら、優先度を考慮し発揮することが求められる。そのため、保健師活動実践能力の構造として、看護師・保健師基礎教育で修得した知識・技術・態度などの基盤となる能力の上に、組織人としての能力、専門職としての能力、自己管理・自己啓発に関する能力が考えられる。これらの能力はそれぞれ独立したものではなく、コアとなる要素を中核に据え、対象への保健師活動を通して実践の場で統合されるべきものである。また、保健師基礎教育で学んだことを土台にし、新人保健師研修で保健師活動実践能力を積み上げていくものである。

(※一部抜粋:「新人看護職員研修ガイドライン~保健師編~ 」厚生労働省HPより)

1.× 新人保健師の人材育成の研修は、所属機関の規模などにかかわらず職場内研修を中心に行われるよう体制整備が進められている。ちなみに、職場外研修(off-JT:Off The Job Training)とは、職場を離れて、日常の職場外研修業務外で行う研修のことである。例:集合研修、派遣研修、講習会等である。
2.〇 正しい。新人保健師自身が自らの到達目標を設定する。到達目標の項目によっては、所属機関で経験する機会が少ないものもあるため、優先度の高いものから修得する。状況によっては到達期間を 2 年目以降に設定しなければならないこともあり得る。その場合には、到達目標の項目を経験出来る他部署(他機関)での研修を取り入れる等の工夫をする。人材育成のための到達目標は、当事者である新人保健師自身が自らの強みと弱みを認識し設定することが有効である。
3.× 新人保健師が所属する部署で、完結した指導体制とする必要はない。新人保健師研修の実施に当たっては、各所属機関の人員配置や特性に適した方法を選択したり、組み合わせたりして実現可能な研修を計画することが期待される。所属機関の規模や特性、新人保健師数によっては、各所属機関で完結した研修ができないことがあるため、他の所属機関や研修・教育機関などの外部組織を活用したり、人材育成の中核となる保健所や都道府県及び政令指定都市本庁等、複数の所属機関と共同で研修を行ったりすることが考えられる。
4.× 最終目標は、「新人保健師が活動事例を学会で発表する」ことではなく「基礎教育で学んだ知識や技術を土台に、実践活動を通して、保健師活動の基本的視点を形成する」ことである。これは、「新人看護職員研修ガイドライン~保健師編~ 」厚生労働省HP)に定められており、「Ⅰ.新人看護職員研修ガイドライン~保健師編~の基本的な考え方の1.新人保健師研修の理念」に記載されている。

現任教育(人材育成)

①自己啓発(SD:Self Development)
【内容】個人が自らの意思で行う自己研修。
例:セミナーの自主参加、関連書籍の朗読等。
【長所】個人のペースで個人のニーズにした学習ができる。
【短所】中断しやすく、継続性を保つための工夫が必要。

②職場内研修(OJT:On The Job Training)
【内容】職場内で、日常の仕事を通して行う研修。
例:上司の指導、事例検討会等
【長所】①仕事内容に即した知識、技術が身につく。②コストが抑えられる。
【短所】①上司の力量によって内容や成果に偏りが生じる。②忙しいと研修時間が確保されない場合がある。

③職場外研修(off-JT:Off The Job Training)
【内容】職場を離れて、日常の職場外研修業務外で行う研修。
例:集合研修、派遣研修、講習会等
【長所】①体系的で専門的な指導が受けられる。②多くの人数を同時に指導できる。
【短所】①コストがかかる。②一方的な知識の提供になりやすい。

 

 




 

 

25 A市の20歳から24歳までの年齢層における死因の内訳を表に示す。
 表に示した内容を図で表現する場合に適しているのはどれか。

1.散布図
2.円グラフ
3.折れ線グラフ
4.ヒストグラム

解答

解説
1.× 散布図は、2つの変数間の関連をみるために各変数を縦軸と横軸にとり図示したもので、2変数の関連の方向性や強さなどを把握するのには有効である。
2.〇 正しい。円グラフは、円の全体を100%として、カテゴリーごとに円を分割する形で示したものであり、全体のなかの構成比を示す際に用いる。
3.× 折れ線グラフは、結核の有病者数の年次推移を表す図表で適切である。折れ線グラフは、縦軸に数値の量、横軸に時間などの変数をとり、時間的経過などによる量の変化の様子を表すものである。
4.× ヒストグラム(柱状図、柱状グラフ、度数分布図とも)は、頻度分布を長方形で表したもので、各長方形の面積の大きさが変量の頻度に比例する図である。棒グラフと異なり、各長方形の間に空白がない。

グラフの種類(初級編)

絵グラフ:同形の絵を並べ、量の大小を比較する。
棒グラフ:棒の高さで、量の大小を比較する。
折れ線グラフ:量が増えているか減っているか、変化の方向をみる。
円グラフ:全体の中での構成比をみる。
帯グラフ:構成比を比較する。
ヒストグラム:データの散らばり具合をみる。
箱ひげ図:データの散らばり具合をみる。

(一部引用:「グラフの種類(初級編)」総務省統計局HPより)

 

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