26 地域保健法に規定されている内容はどれか。
1.市町村保健センターの所長は原則として医師である。
2.市町村に対する必要な財政的援助は都道府県の責務である。
3.保健所には所管区域内の市町村職員の研修の実施が義務付けられている。
4.保健所が行う事業に母性及び乳幼児並びに老人の保健に関する事項がある。
解答4
解説
地域保健法とは、地域保健対策の推進に関する基本指針、保健所の設置その他地域保健対策の推進に関し基本となる事項を定めることにより、母子保健法その他の地域保健対策に関する法律による対策が地域において総合的に推進されることを確保し、地域住民の健康の保持及び増進に寄与することを目的として制定された法律である。
1.× 原則として医師であるのは、「市町村保健センターの所長」ではなく保険所長である。ちなみに、市町村保健センターの所長については、要件は定められていない。また『地域保健法』、『地域保健法施行規則』のいずれにも市町村保健センターの職員についての規定は存在しない。
2.× 市町村に対する必要な財政的援助は、「都道府県」ではなく国の責務である。都道府県、市町村とも独立自治体であり、法律に規定がある場合を除き上下の関係は生じない。
3.× 所管区域内の市町村職員の研修の実施が義務付けられているのは、「保健所」ではなく任命権者である。任命権者とは、地方公務員法に定められた職員の採用等を行う権限を有する者である。
4.〇 正しい。保健所が行う事業に、母性及び乳幼児並びに老人の保健に関する事項がある。保健所が実施する事業の⑧に該当する。母性及び乳幼児並びに老人の保健に関する事項は、保健所が企画、調整、指導および必要な事業を行うべき事項として定められている。
保健所は、次に掲げる事項につき、企画、調整、指導及びこれらに必要な事業を行う。
①地域保健に関する思想の普及及び向上に関する事項。
②人口動態統計その他、地域保健に係る統計に関する事項。
③栄養の改善及び食品衛生に関する事項。
④住宅、水道、下水道、廃棄物の処理、清掃その他の環境の衛生に関する事項。
⑤医事及び薬事に関する事項。
⑥保健師に関する事項。
⑦公共医療事業の向上及び増進に関する事項。
⑧母性及び乳幼児並びに老人の保健に関する事項。
⑨歯科保健に関する事項。
⑩精神保健に関する事項。
⑪治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病により、長期に療養を必要とする者の保健に関する事項。
⑫エイズ、結核、性病、伝染病その他の疾病の予防に関する事項。
⑬衛生上の試験及び検査に関する事項。
⑭その他地域住民の健康の保持及び増進に関する事項。
(※一部引用:「地域保健法」e-GOV法令検索様HPより)
27 介護保険法に基づく地域支援事業について正しいのはどれか。
1.実施主体は保健所である。
2.包括的支援事業が含まれる。
3.家族介護を支援する事業はない。
4.地域支援事業に係る費用は介護報酬から支払われる。
解答2
解説
地域支援事業とは、介護保険の介護給付や予防給付とは別に、地域住民が要支援・要介護状態になることを予防し、要介護状態等になった場合も住み慣れた地域でできるだけ自立した生活が送れるように市町村が実施する事業である。
1.× 実施主体は、「保健所」ではなく市町村である。地域支援事業とは、介護保険の介護給付や予防給付とは別に、地域住民が要支援・要介護状態になることを予防し、要介護状態等になった場合も住み慣れた地域でできるだけ自立した生活が送れるように市町村が実施する事業である。
2.〇 正しい。包括的支援事業が含まれる。地域支援事業は、①介護予防・日常生活支援総合事業(必須)、②包括的支援事業(必須)、③各市町村の判断で行われる任意事業に分けられる。②包括的支援事業の中には、地域包括支援センターの運営、在宅医療・介護連携推進事業、認知症総合支援事業、生活支援体制整備事業があげられる。
3.× 家族介護を支援する事業はある。③任意事業として、介護給付費適正化事業、家族介護支援事業、その他の事業があげられる。
4.× 地域支援事業に係る費用は、「介護報酬」からではなく公費と保険料によって賄われる。介護予防・日常生活支援総合事業は、公費50/100、保険料50/100、そのほかの事業は、公費78/100、保険料22/100である。
28 がん患者の在宅療養支援における医療保険および介護保険の活用について正しいのはどれか。
1.同日に医療保険と介護保険の利用はできない。
2.居宅療養管理指導は医療保険による診療報酬の対象である。
3.訪問看護の利用にあたっては医療保険と介護保険のいずれかを利用者が選択できる。
4.40歳から65歳未満のがん患者は介護保険法で定める特定疾病の状態のときに介護保険が利用できる。
解答4
解説
医療保険の目的は、病気やけがをした際の医療費の補填で、前日本国民に加入の義務がある。一方、介護保険は介護にかかる費用の補填で、40歳以上の前日本国民に加入義務がある。
1.× 同日に医療保険と介護保険の利用はできる。例えば、末期がんの患者の場合に、医療保険から訪問看護を受給し、介護保険から訪問介護、訪問入浴などのその他のサービスを同日に受給できる。ただし、同じサービスを両方の保険から受けることはできない。
2.× 居宅療養管理指導は、「医療保険による診療報酬」ではなく介護保険の居宅サービスの対象である。居宅療養管理指導とは、要支援や要介護と認定され、通院が困難な方を対象としたサービスである。 利用者の自宅に医師や看護師、薬剤師、歯科衛生士、管理栄養士などの専門職が訪問し、療養上の指導や健康管理、アドバイス等を行ない、自宅でも安心して過ごすことを目的としている。
3.× 訪問看護の利用にあたっては医療保険と介護保険のいずれかを、利用者が選択できない。訪問看護は、医療保険適用のものと介護保険適用のものがある。訪問看護は、要支援や要介護の認定を受けている場合、基本的に公的介護保険が優先される。 それ以外の場合は、基本的に公的医療保険を利用することになる。
4.〇 正しい。40歳から65歳未満のがん患者は、介護保険法で定める特定疾病の状態のときに介護保険が利用できる。特定疾病の状態にあるがん患者(末期がんの患者)であれば、介護保険を利用して訪問看護以外のサービスを利用できる、なお、訪問看護は、末期がんであることから医療保険から受給する。
筋萎縮性側索硬化症
後縦靱帯骨化症
骨折を伴う骨粗鬆症
多系統萎縮症
初老期における認知症
脊髄小脳変性症
脊柱管狭窄症
早老症
糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
脳血管疾患
パーキンソン病関連疾患
閉塞性動脈硬化症
関節リウマチ
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
がん(末期)
29 学校教育法に基づく特別支援教育について適切なのはどれか。
1.訪問教育の対象は中学生までである。
2.支援体制を確立するために校内委員会を設置する。
3.重度の肢体不自由児に対し通級による指導を行う。
4.特別支援学校の教員は研修を受けずに経鼻経管栄養を実施できる。
5.転校の手続きを取らなくても長期入院中であれば院内学級に通うことができる。
解答2
解説
学校教育法は、学校教育制度の基本について定めた法律である。学校における保健学習や安全学習について、学校教育法の教育基準に基づき行われている。
1.× 訪問教育の対象は、「中学生まで」ではなく高等学校も対象である。訪問学級とは、重度の障害や病気により特別支援学校に通うことが困難な児童・生徒のために、特別支援学校の教員が週に数回、子供のいる家庭もしくは病院で行う教育的な援助のことをいう。特別支援学校等に通学困難な児童生徒に対し、教員が児童生徒の居住している家庭・病院・施設等へ訪問して学校教育を届ける。
2.〇 正しい。支援体制を確立するために校内委員会を設置する。校内委員会とは、校長や特別支援教育コーディネーター等が中心となり、高機能自閉症等の症状がみられる子どもたちやその保護者の願望をもとに、最適な指導や支援を行なうための校内組織のことである。校内委員会の役割として、①特別な教育的支援が必要な児童生徒に早期に気づく、②児童生徒の実態把握を行い学級担任の指導への支援方策を具体化するなどが挙げられる。
3.× 重度の肢体不自由児に対し、通級による指導は行わない。通級とは、通常学級に在籍しながら一部の指導を通級指導教室で行うことである。特別支援学級(公立小・中学校)は、上限8人・平均3人(1学級当たり)で編成される。通級による指導の対象は、軽度の障害のある児童生徒であるため、重度の障害のある児童生徒は困難である。
4.× 特別支援学校の教員でも研修を受けずに経鼻経管栄養することはない。なぜなら、喀痰の吸引、経管栄養といった医療的ケアを必要とする児童生徒についての教員が処置を実施できる条件として、①保護者および主治医の同意を得ていること、②医療関係者による適切な医学管理ができていること、③必要な知識・技術に関する研修を受けていることなどがあげられるため。
5.× 長期入院中であっても、転校の手続きを取らないと院内学級に通うことはできない。院内学級とは、病気やけがで入院しなければならなくなった子どものために、病院内に設置された学級である。転入手続きをすれば、今まで通っていた学校(前籍校)と同じように学ぶことができる。ちなみに、院内学級は、近隣の特別支援学校の分教室や小中学校の特別支援教室として設置されている。
①「喀痰吸引等研修(第1号~3号)を修了していること」
②「認定特定行為業務従事者の認定証を取得した方」
③「勤務している施設が登録事業者に登録済みであること」
30 A地区では、豪雨による土砂災害から2か月が経つ。家屋が倒壊した被災者の仮設住宅への入居が始まり、新たなコミュニティの構築への支援が必要となった。A地区の仮設住宅入居者は単身高齢者が多く、かかりつけ医への受診以外に外出する機会がほとんどない。また、慣れない地域での不安を訴える声が聞かれた。
仮設住宅入居者の孤立を防止し、新たなコミュニティづくりを促進するためのA地区への支援として、最も適切なのはどれか。
1.茶話会の開催
2.在宅医療の拡充
3.電話相談の拡充
4.通所介護事業所の開設
5.訪問リハビリテーションの実施
解答1
解説
・2か月前:豪雨による土砂災害。
・家屋が倒壊した被災者の仮設住宅への入居が始まった。
・新たなコミュニティの構築への支援が必要となった。
・単身高齢者が多く、かかりつけ医への受診以外に外出する機会がほとんどない。
・また、慣れない地域での不安を訴える声が聞かれた。
・課題:仮設住宅入居者の孤立を防止し、新たなコミュニティづくりを促進する。
→かかりつけ医の受診には外出できていることからも、「なにか用事」があれば一人でも外出できることが読み取れる。また、慣れない地域での不安に対応した支援が必要になる。
1.〇 正しい。茶話会の開催は、新たなコミュニティづくりを促進するためのA地区への支援として最も優先度が高い。茶話会(さわかい)とは、茶菓だけで気軽に話し合う集まりのことである。茶話会の利点として①気軽に立ち寄れる、②同じ境遇の仲間がいることを感じられる、③顔を合わせて話ができる、④知り合いができるといった利点がある。入居者の孤立を防止し、新たなコミュニティをつくるきっかけとなる。
2.× 在宅医療の拡充は優先度が低い。なぜなら、かかりつけ医の受診には外出できているため。在宅医療の拡充は、在宅医療により医療者とのつながりは確保されるが、日常的な孤立感は解消されない。仮設住宅入居者の孤立を防止し、新たなコミュニティづくりを促進するような支援が必要である。
3.× 電話相談の拡充は優先度が低い。なぜなら、新たなコミュニティづくりを促進することができないため。電話相談の拡充は、不安の解消にはなる可能性があるが、入居者同士のつながり(新たなコミュニティづくり)はもてない。仮設住宅入居者の孤立を防止し、新たなコミュニティづくりを促進するような支援が必要である。
4~5.× 通所介護事業所の開設/訪問リハビリテーションの実施は優先度が低い。なぜなら、かかりつけ医の受診には外出できているため。通所介護事業所/訪問リハビリテーションの利用には、要介護認定を受ける必要があり対象者が限定される。また、介護保険証の申請も必要になる。仮設住宅入居者の孤立を防止し、新たなコミュニティづくりを促進するような支援が必要である。
訪問リハビリテーションは、医師の指示書に基づき、リハビリテーション専門職が、通院困難な在宅療養者の居宅を訪問して機能訓練や日常動作に関わる訓練を行い、患者の心身の機能の維持回復を図り日常生活の自立を目指すものである。