26 日本版21世紀型DOTS戦略推進体系図を示す。【A】から【C】に入る語句の組合せで正しいのはどれか。
解答5
解説
(※図引用:「結核患者に対するDOTS(直接服薬確認療法)の推進について」厚生労働省HPより)
DOTS(直接服薬確認療法)とは、医療従事者が患者の服薬を確認することによって、確実に治療を行うことをいう。治療期間が長い疾患の場合、患者が自己判断で服薬を中断することは少なくない。そのため、退院後は保健師や訪問看護師による定期的な家庭訪問や電話連絡、あるいは患者の医療機関受診や保健所来所などによって、患者の服薬状況を確認する必要がある。また設問にある「個別患者した支援計画」とは、治療開始から終了に至るまでの一連の患者支援について示したもので、退院後の具体的な服薬支援方法を計画する。
【A】全結核患者および潜在性結核感染症の者
【B】退院後・通院中の地域DOTSの実施
【C】コホート検討会の実施:コホート検討会とは、事例の治療状況の把握、治療成績の評価の他に、地域の結核医療、結核対策の評価について検討するものである。その他、各自治体で定めた事業の実施状況等も評価する。
したがって、選択肢5が組み合わせとして正しい。
①原則毎日:治療中断リスクが高い患者
例:住所不定者、アルコール依存者、治療中断歴のある者、薬物依存者、再発患者など
②週1~2回以上:
例:高齢者など(要介護、独居など)
③月1~2回以上:①、②以外の患者
27 法律に基づく全国の疾病登録があるのはどれか。
1.がん
2.糖尿病
3.脳卒中
4.慢性腎臓病
5.マイコプラズマ感染症
解答1
解説
疾病登録とは、患者の罹患状況や治療状況、転帰状況などを把握し、分析する仕組みであり、罹患率や生存率、治療成績など、疾病対策の企画立案と評価に際して非常に重 要な基礎データである。
全国がん登録とは、平成25(2013)年12月に 「 がん登録等の推進に関する法律 (がん登録推進法) 」が成立、平成28(2016)年1月から施行された。この法律は、 全国がん登録の実施やこれらの情報の利用及び提供、保護等について定めるとともに、院内がん登録等の推進に関する事項等を定められた。これにより、病院にはがん罹患情報の届出が義務づけられている。『がん登録等の推進に関する法律(がん登録推進法)』の施行に伴い、平成28年より国が中心となって全国がん登録を実施している。したがって、選択肢1.がんが法律に基づく全国の疾病登録がある。
平成25(2013)年12月に 「 がん登録等の推進に関する法律 (がん登録推進法) 」が成立、平成28(2016)年1月から施行された。この法律は、 全国がん登録の実施やこれらの情報の利用及び提供、保護等について定めるとともに、院内がん登録等の推進に関する事項等を定められた。これにより、病院にはがん罹患情報の届出が義務づけられている。
・全国がん登録:国・都道府県による利用・提供の用に供するため、国が国内におけるがんの罹患、診療、転帰等に関する情報をデータベースに記録し、保存すること。
・院内がん登録:病院において、がん医療の状況を適確に把握するため、がんの罹患、診療、転帰等に関する情報を記録し、保存すること。
【がん登録とは?】
がんの罹患や転帰(最終的にどうなったか)という状況を登録・把握し、分析する仕組みであり、がんの患者数や罹患率、生存率、治療効果の把握など、がん対策の基礎となるデータを把握するために必要なものである。がん対策を推進するためには、正確ながんの実態把握が必要であり、その中心的な役割を果たすのが、がん登録である。
(※参考:「がん登録」厚生労働省HPより)
28 平成22年(2010年)から平成27年(2015 年)における日本の社会情勢の変化で適切なのはどれか。2つ選べ。
1.完全失業率の増加
2.老年化指数の低下
3.平均世帯人員の減少
4.社会保障給付費の減少
5.65歳以上の雇用者数の増加
解答3・5
解説
1.× 完全失業率は、「増加」ではなく、低下傾向にある。(参考:総務省統計局労働力調査)労働力調査が定義する「完全失業者」とは、①仕事がなくて調査週間中に少しも仕事をしなかった(就業者ではない。)、②仕事があればすぐ就くことができる、③調査週間中に、仕事を探す活動や事業を始める準備をしていた(過去の求職活動の結果を待っている場合を含む。)の三つの条件を満たす者とされている。したがって、一日でも仕事をして収入を得た者、雇用調整助成金を得て企業内失業となっている者、就業する意欲のない者などは完全失業者から外れる。したがって、広義の失業者ももっと多いと考えられている。
2.× 老年化指数は、「低下」ではなく、増加傾向にある。(参考:総務省統計局国勢調査)ちなみに、「老年人口指数」は、15~64歳の「生産年齢人口」に対して、65歳以上の「老年人口」がどれくらいの割合なのかを数値化したもので、高齢化を示す指標としてよく用いられる。したがって、老年人口指数 = (65歳以上人口)/(15~64歳人口)×100で表される。
3.〇 正しい。平均世帯人員は、減少傾向にある。(参考:厚生労働省国民生活基礎調査)平均世帯人員は、昭和55年(1980年)に3.22人、平成2年(1990年)に2.99人、平成12年(2000年)には2.67人と減少を続け、同推計によれば、平成32年(2020年)には2.49人になるものと見込まれている。
4.× 社会保障給付費は、「減少」ではなく、増加傾向にある。(参考:国立社会保障・人口問題研究所社会保障費用統計)社会保障の「給付」 社会保障給付費は、年々増加し、2022年(予算ベース)では、131.1兆円(対GDP比23.2%)となっている。 今後も、高齢化に伴って、社会保障給付費の増加が見込まれている。
5.〇 正しい。65歳以上の雇用者数は、増加傾向にある。(参考:総務省統計局労働力調査)2020年の高齢者の就業率※は25.1%となり、9年連続で前年に比べ上昇している。 年齢階級別にみると、65~69歳は9年連続で上昇し2020年に49.6%となり、70歳以上は4年連続で上昇し2020年に17.7%となっている。
29 母子健康手帳の交付を受けるために保健センターに来所した女性から、公費の助成が受けられる妊婦健康診査について質問があった。
保健師の説明で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.「血液検査を毎回行います」
2.「保健指導の費用は自己負担です」
3.「公費の助成が受けられる医療機関が決まっています」
4.「血液検査の項目にはHIV抗体検査が含まれています」
5.「妊娠初期は2週に1回の健康診査が助成の対象になります」
解答3・4
解説
(※図引用:「妊婦健診」厚生労働省HPより)
妊婦健診は、妊婦さんや赤ちゃんの健康状態を定期的に確認するために行うものである。 そして、医師や助産師などに、妊娠・出産・育児に関する相談をして、妊娠期間中を安心して過ごしていただくことが大切である。病気の有無を調べることだけが妊婦健診ではない。妊娠期間中を心身ともに健康に過ごし、無事に出産を迎えるためには、日常生活や環境、栄養など、いろいろなことに気を配る必要がある。より健やかに過ごすために、妊娠検診を活用する必要がある。検診費用には、公費による補助制度がある。
1.× 血液検査は、毎回は行わない。標準的な妊婦健康診査は、14回分スケジュールとして組まれており、そのなかで血液検査は、①妊娠初期、②妊娠24~35週、③妊娠36週以降に1回ずつ行われる。
2.× 保健指導の費用は、「自己負担」ではなく、無料である。ただし、検診費用には、公費による補助制度があるものの費用負担が課せられる。
3.〇 正しい。公費の助成が受けられる医療機関が決まっている。多くの市町村では、公費助成が受けられるのは、当該市町村内の契約している医療機関および助産所に限られる。そのため、里帰り出産などで帰省する場合には、帰省先の市町村に相談する必要がある。
4.〇 正しい。血液検査の項目には、HIV抗体検査が含まれている。HIV抗体検査は、母子感染を防ぐため妊娠初期に一回の血液検査の項目に含まれている。妊娠初期の血液検査では他に、B型肝炎抗原、C型肝炎抗原、梅毒血清反応、風疹ウイルス抗体などの項目がある。
5.× 助成の対象は、「妊娠初期:2週に1回」ではなく、「妊娠初期:4週間に1回(4回分)」の健康診査である。つまり、受診間隔が妊娠初期の場合、4週間に1回である。ちなみに、妊娠24~35週は2週間に1回(6回分)、妊娠36週以降は1週間に1回(4回分)の健康診査が助成の対象となる。
30 歯科保健施策について正しいのはどれか。2つ選べ。
1.歯科疾患実態調査は3年ごとに実施されている。
2.健康増進法によって歯周疾患検診が義務化された。
3.平成23年(2011年)に歯科口腔保健の推進に関する法律が施行された。
4.第一次国民健康づくり対策の課題の1つとして歯の健康が取り上げられた。
5.食育の推進の一助として噛ミング30(カミングサンマル)運動が行われている。
解答3・5
解説
目的:歯科保健状況を把握し、歯科口腔保健の推進に関する基本的事項及び健康日本21(第二次)において設定した目標の評価等、今後の歯科保健医療対策を推進するための基礎資料を得ること。
【主な調査事項】
①性別
②生年月日
③歯や口の状態
④歯をみがく頻度
⑤歯や口の清掃状況
⑥フッ化物応用の経験の有無
⑦顎関節の異常
⑧歯の状況
⑨補綴の状況
⑩歯肉の状況
⑪歯列・咬合の状況
(※参考:「歯科疾患実態調査」厚生労働省HPより)
1.× 歯科疾患実態調査は、「3年ごと」ではなく5年ごとに実施されている。歯科疾患実態調査の目的は、歯科保健状況を把握し、歯科口腔保健の推進に関する基本的事項及び健康日本21(第二次)において設定した目標の評価等、今後の歯科保健医療対策を推進するための基礎資料を得ることである。
2.× 歯周疾患検診が義務化されたのは、「健康増進法」ではなく、『老人保健法』による総合健康診査事業である。老人保健法による総合健康診査の実施について、①歯周疾患検診、②骨粗鬆症検診などがおもにあげられる。ちなみに、老人保健法の目的は、国民の老後における健康の保持と適切な医療の確保を図るため、疾病の予防、治療、機能訓練等の保健事業を総合的に実施し、もつて国民保健の向上と老人福祉の増進を図ることである。
3.〇 正しい。平成23年(2011年)に『歯科口腔保健の推進に関する法律』が施行された。歯科口腔保健の推進に関する法律とは、歯科口腔保健の推進に関する施策を総合的に推進するための法律であり、施策に関する基本理念、国・地方公共団体等の責務などが定められ、歯科疾患の予防や口腔の保健に関する調査研究をはじめ、国民が定期的に歯科検診を受けること等の勧奨や、障害者・介護を必要とする高齢者が定期的に歯科検診を受けることまたは歯科医療を受けることができるようにする等の内容となっている。
4.× 歯の健康が取り上げられたのは、「第一次国民健康づくり対策の課題」ではなく、健康日本21(第二次)と「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」をもとに推進されている。ちなみに、昭和53(1978)年に開始された『第一次国民健康づくり対策』の課題は、生涯を通じる健康づくりの推進(検診体制や基盤整備)及び健康づくりの3要素(栄養、運動、休養)の健康増進事業の推進である。
5.〇 正しい。食育の推進の一助として、噛ミング30(カミングサンマル)運動が行われている。食育推進活動として、ひと口30回以上噛むことを目標とした噛ミング30(カミングサンマル)運動が平成21年から実施されている。
健康増進法は、国民の健康維持と現代病予防を目的として制定された日本の法律である。都道府県と市町村は、地域の実情に応じた健康づくりの促進のため、都道府県健康増進計画(義務)および市町村健康増進計画(努力義務)を策定する。
【市町村が行う健康増進事業】
①健康手帳、②健康教育、③健康相談、④訪問指導、⑤総合的な保健推進事業、⑥歯周疾患検診、⑦骨粗鬆症検診、⑧肝炎ウイルス検診、⑨がん検診、⑩健康検査、⑪保健指導などである。
【都道府県の役割】
都道府県は、都道府県健康増進計画において、管内市町村が実施する健康増進事業に対する支援を行うことを明記する。都道府県保健所は、市町村が地域特性等を踏まえて健康増進事業を円滑かつ効果的に実施できるよう、必要な助言、技術的支援、連絡調整及び健康指標その他の保健医療情報の収集及び提供を行い、必要に応じ健康増進事業についての評価を行うことが望ましい。都道府県は、保健・医療・福祉の連携を図るとともに、市町村による健康増進事業と医療保険者による保健事業との効果的な連携を図るために、地域・職域連携推進協議会を活性化していくことが望ましい。
日本における健康対策の現状や第三次国民健康づくり対策(健康日
(※参考:「健康日本21(第二次)」厚生労働省HPより)
こちらのサイトにとてもお世話になっているものです。
30番目の問題の2番ですが、健康増進法により、歯周疾患検診が定められていると思うんですが、介護保険法になるのでしょうか。
お忙しい中すみません。
コメントありがとうございます。
更新の励みになります!
確認いたしましたが、このページを含む30番の選択肢2について、「介護保険法」という単語を見つけることができませんでした。
歯周疾患検診が義務化されたのは、「健康増進法」ではなく、『老人保健法』です。
ご確認お願い致します。
今後ともよろしくお願いいたします。