第104回(H30) 保健師国家試験 解説【午前46~50】

 

次の文を読み44〜46の問いに答えよ。
 Aさん(65歳、女性)。夫、長女および長女の子どもとの4人暮らし。長女の夫は単身赴任中である。Aさんは2か月前から軽い咳があったが、1週前から咳が激しくなり、倦怠感が出現したため自宅近くのかかりつけ医を受診した。胸部エックス線写真で異常陰影が認められ、病院を紹介された。喀痰塗抹検査陽性および結核菌PCR陽性のため肺結核と診断され、入院した。診断した医師から保健所に発生届が提出された。既往歴に特記すべきことはない。

46 入院から4週後、Aさんは服薬を自己管理できており、薬剤による副作用(有害事象)もみられていない。喀痰塗抹検査が連続して3回陰性となったため退院することとなった。病院を訪問した保健師にAさんから「服薬を続ける以外に、自宅に帰ってから結核をうつさないために私や家族が何かすることはありますか」と相談があった。
 退院後の結核の二次感染予防について、Aさんに行う説明で適切なのはどれか。

1.Aさんと接する者はN95マスクをしてもらう。
2.長女の子どもとは服薬終了まで接触しない。
3.長女の夫にBCGの接種を勧める。
4.二次感染の予防対策は必要ない。
5.Aさんが触れた物は消毒する。

解答

解説

本症例のポイント

・入院から4週後:服薬自己管理可能、薬剤による副作用(有害事象)なし。
・退院予定(喀痰塗抹検査が連続して3回陰性)。
・Aさん「服薬を続ける以外に、自宅に帰ってから結核をうつさないために私や家族が何かすることはありますか」と。
退院後の結核の二次感染予防についての知識が問われる。
→二次感染予防とは、感染がほかの人に広がることをいう。主に、細菌性赤痢、コレラ、腸管出血性大腸菌(O157など)、感染性胃腸炎(ノロウイルス、ロタウイルスなど)などが起こりやすい。なぜなら、腸管感染症では、病原体が便に出て、この病原体が、手指や食品、物品に付いて他の人の口に入ると、その人も感染するため。本症例は、喀痰塗抹検査が連続して3回陰性となっていることから答えを導き出す。

1.× Aさんと接する者は、N95マスクをしてもらう必要はない。N95マスクとは、アメリカ合衆国労働安全衛生研究所のN95規格をクリアし、認可された微粒子用マスクのこと。N95マスクの役割は空気感染源を捕集し、着用者の呼吸器感染のリスクを低減することである。
2.× 長女の子どもとは服薬終了まで接触しない必要はない。なぜなら、本症例は入院から4週が経過し、服薬自己管理可能薬剤による副作用(有害事象)なく過ごせているため。また、喀痰塗抹検査が3回連続で陰性になっていることから、感染性は消失している。
3.× 長女の夫にBCGの接種を勧める必要はない。なぜなら、接触後の成人(小児も)に対してBCG接種を行う意義はないため。BCG接種は『予防接種法施行令』により生後1歳未満に1回接種を行うことが規定されているため。ちなみに、BCG接種とは、結核による重い病気を予防する生ワクチンである。
4.〇 正しい。二次感染の予防対策は必要ない。なぜなら、本症例は、喀痰塗抹検査が連続して3回陰性となっており、感染性は消失しているため。二次感染予防とは、感染がほかの人に広がることをいう。主に、細菌性赤痢、コレラ、腸管出血性大腸菌(O157など)、感染性胃腸炎(ノロウイルス、ロタウイルスなど)などが起こりやすい。なぜなら、腸管感染症では、病原体が便に出て、この病原体が、手指や食品、物品に付いて他の人の口に入ると、その人も感染するため。
5.× Aさんが触れた物は消毒する必要はない。なぜなら、結核の場合、感染経路は空気感染であるため。また、本症例は、喀痰塗抹検査が連続して3回陰性となっており、感染性は消失している。

肺結核とは?

肺結核とは、結核菌による感染症で、体の色々な臓器に起こることがあるが多くは肺のことである。結核菌は、喀痰の中に菌が出ている肺結核の患者と密閉空間で長時間(一般的には数週間以上)接触することにより空気感染でうつる。リンパ節結核や脊椎カリエス(骨の結核)など、肺に病気のない結核患者からはうつらない。また肺結核でも、治療がうまくいって喀痰の中に菌が出ていない患者さんからはうつることはない。また、たとえ感染しても、発病するのはそのうち1割ぐらいといわれており、残りの9割の人は生涯何ごともなく終わる。感染してからすぐに発病することもあるが、時には感染した後に体の免疫が働いていったん治癒し、その後数ヶ月から数十年を経て、免疫が弱ったときに再び結核菌が増えて発病することもある。結核の症状には、咳、痰、血痰、熱、息苦しさ、体のだるさなどがある。

 

 

 

 

次の文を読み47、48の問いに答えよ。
 Aちゃん(日齢20、男児)は、両親と3人暮らし。出産の状態および早期新生児期の経過を記した母子健康手帳の一部を以下に示す。保健師は新生児訪問のため、6月30日に自宅を訪問した。訪問時のAちゃんは、身長49.5 cm、体重3,150g。授乳後で機嫌よく活発に四肢を動かしていたが、その後は眠ってしまった。栄養は母乳のみで1日の授乳回数は8、9回程度、授乳間隔は約3時間であった。授乳前のオムツ交換のたびに排尿あり。排便は3〜5回/日。黄疸はない。顔面の湿疹および前頭部に脂漏性の湿疹あり。音への反応あり。父親の仕事の都合で、Aちゃんの1か月児健康診査は7月15日に予約している。

47 新生児訪問時のAちゃんのアセスメントを行うために、追加で確認すべき情報で最も優先度が高いのはどれか。

1.聴覚検査の結果
2.1回の授乳時間
3.股関節の開排の制限の有無
4.入浴時の石けんの使用の有無

解答

解説

本症例のポイント

・Aちゃん(日齢20、男児)
・両親と3人暮らし。
・保健師の新生児訪問:6月30日
・Aちゃん:身長49.5 cm、体重3,150g
・授乳後で機嫌よく活発に四肢を動かしていたが、その後は眠ってしまった。
・栄養は母乳のみで1日の授乳回数は8、9回程度、授乳間隔は約3時間であった。
・授乳前のオムツ交換のたびに排尿あり。
・排便:3〜5回/日。黄疸なし。
・顔面の湿疹および前頭部に脂漏性の湿疹あり。
・音への反応あり。
・1か月児健康診査の予約:7月15日
→本症例の体重が不十分である。1日の体重増加量の目安は「0~3か月児の場合25~30g」である。「出産の状態」の母子手帳を参考にすると、体重2900gであることがわかる。25g × 20日は「500g」増加していてもおかしくない。したがって、生後20日目の体重が、3.150gでは体重増加量が少ない。

【正常乳児の一日体重増加量の目安】
・0~3か月:25~30g
・3~6か月:20~25g
・6~9か月:15~20g
・9~12か月:7~10g

1.× 聴覚検査の結果は優先度が低い。なぜなら、Aちゃんの場合、音への反応があるため。また、子どもの発達のポイントとして、1歳6か月児3歳児に対して聴覚検査の項目がある。
2.〇 正しい。1回の授乳時間は優先度が高い。なぜなら、本症例の授乳回数・間隔には問題がないが、体重が不十分であるため。1日の体重増加量の目安は「0~3か月児の場合25~30g」である。「出産の状態」の母子手帳を参考にすると、体重2900gであることがわかる。25g × 20日は「500g」増加していてもおかしくない。したがって、1回の授乳時間を新生児訪問時のAちゃんのアセスメントを行うために、追加で確認すべき情報で最も優先度が高い。
3.× 股関節の開排の制限の有無は優先度が低い。なぜなら、設問文に「股関節の開排の制限の有無」についての記載はないため。開排制限が認められた場合、発育性股関節形成不全(先天性股関節脱臼)が疑われる。乳幼児健康診査に検査する。乳幼児健康診査とは、母子保健法第12条及び第13条の規定により市町村が乳幼児に対して行う健康診査である。乳幼児健診は、身長、体重、胸囲、頭囲を測定し、成長曲線と照らし合わせながら、成長度合いを確認する。身体的な健診に限らず、粗大運動・微細運動・精神面を含めた発達、疾患の有無に関しても確認する。また、発育性股関節形成不全(先天性股関節脱臼)の有無を診るため、股関節開排制限や大腿皮膚溝、鼠径皮膚溝の非対称を確認する。発育性股関節形成不全とは、生下時の女児(0~1歳)におこる股関節の脱臼などの状態である。現在では、先天性股関節脱臼のことを発育性股関節形成不全と呼ぶ傾向にある。変形性股関節症の原因となることが多い。片側に発症することが多く、リーメンビューゲル装具(アブミ式吊りバンド)で開排(屈曲・外転)肢位にして治療する。リーメンビューゲル装具で改善しない場合、牽引療法を、さらに治療が困難な場合は、観血的整復術や補正手術を検討する。
4.× 入浴時の石けんの使用の有無は優先度が低い。なぜなら、顔面の湿疹および前頭部の脂漏性の湿疹は、新生児期に生じる脂漏性湿疹と考えられるため。脂漏性湿疹とは、生後2~4週間頃に皮脂分泌の活発な部位に出現する湿疹性病変である。新生児期は皮脂分泌が最も盛んな時期であることから、顔面や頭部に脂漏性湿疹を引き起こすことがある。そのため、ガーゼやタオルでこすると児の皮膚に小さな傷をつけるので、指の腹に石けんをつけて洗うと良い。

子どもの発達のポイント

【1歳6か月】
・コップで水を飲む。
・スプーンを使って食べようとする。
・積み木を2~3個積むことができる。
・意味のある言葉を2~3語話す(パパ, ママ, ブーブー)。
・簡単な指示に従うことができる(おいで、○○をとって)。
・離乳が完了する。

【3歳】
・自分の名前を言う。
・簡単な文章を話す。
・指示に従う。
・物の大小や長短、色を区別できる。
・箸を持って食べる。
・手を洗う。
・ままごとやごっこ遊びをする。

 

 

 

 

 

次の文を読み47、48の問いに答えよ。
 Aちゃん(日齢20、男児)は、両親と3人暮らし。出産の状態および早期新生児期の経過を記した母子健康手帳の一部を以下に示す。保健師は新生児訪問のため、6月30日に自宅を訪問した。訪問時のAちゃんは、身長49.5 cm、体重3,150 g。授乳後で機嫌よく活発に四肢を動かしていたが、その後は眠ってしまった。栄養は母乳のみで1日の授乳回数は8、9回程度、授乳間隔は約3時間であった。授乳前のオムツ交換のたびに排尿あり。排便は3〜5回/日。黄疸はない。顔面の湿疹および前頭部に脂漏性の湿疹あり。音への反応あり。父親の仕事の都合で、Aちゃんの1か月児健康診査は7月15日に予約している。

48 保健師は、Aちゃんの新生児訪問時の状況を母子健康手帳に記載し、予防接種を受けるかかりつけの小児科クリニックを決めておくと良いことなどを説明した。保健師がAちゃんの母親に心配なことはないか聞くと「Aと視線が合わないことや、大きな音がしたときに驚いたように両手を広げることがあり、心配だ」と話した。
 このときの保健師の対応で適切なのはどれか。

1.1か月児健康診査の受診日を早めるよう勧める。
2.Aちゃんの近くで大きな音を立てて反応を確認する。
3.新生児にみられる正常なことであり心配ないと説明する。
4.予防接種は病気の有無を確認してから受けるよう説明する。

解答

解説

本症例のポイント

・母親「Aと視線が合わないことや、大きな音がしたときに驚いたように両手を広げることがあり、心配だ」
→Aちゃんは、日齢20である。正常の反応や反射を覚えておく。また、母親の不安や悩みを傾聴しながら、育児に自信が持てるよう支援する必要がある。育児グループの利用も進めるとよい。

1.× 1か月児健康診査の受診日を早めるよう勧めることは優先度が低い。なぜなら、母親「Aと視線が合わないことや、大きな音がしたときに驚いたように両手を広げることがあり心配だ」というが、現在のAちゃん(日齢20)には年齢相応の反応であるため。
2.× Aちゃんの近くで大きな音を立てて反応を確認することは優先度が低い。なぜなら、前回の設問文にも「音への反応あり」と記載されており、「大きな音がしたときに驚いたように両手を広げる」反応を示している。聴覚も機能してきていると判断すべきである。
3.〇 正しい。新生児にみられる正常なことであり心配ないと説明することは優先度が高い。母親「Aと視線が合わないことや、大きな音がしたときに驚いたように両手を広げることがあり心配だ」というが、現在のAちゃん(日齢20)には年齢相応の反応である。また、新生児の視力は、0.3程度といわれており、光に反応して注視がはずれることも多く、現時点で視線が合わない。母親の不安や悩みを傾聴しながら、育児に自信が持てるよう支援する必要がある。育児グループの利用も進めるとよい。
4.× 予防接種は病気の有無を確認してから受けるよう説明することは優先度が低い。なぜなら、母親の不安の根本的な解決となっていないため。視線が合わないことと、大きな音に対する反応について心配している母親に対して、予防接種の説明をした場合、余計に「病気なんじゃないのか?」という不安を増強しかねない。

 

 

 

 

次の文を読み49、50の問いに答えよ。
 人口5万人、高齢化率34%のA市。主な産業は農業と農産加工業である。平成25年度から第2期特定健康診査等実施計画に基づき、60歳未満の特定健康診査受診率の向上および生活習慣病の予防対策に取り組んできた。今後は重症化予防に力を入れて取り組む予定である。特定健康診査実施後の結果を表に示す。

49 この結果から読み取れるのはどれか。

1.特定健康診査受診率は今後横ばいとなる。
2.特定保健指導によって医療費が削減された。
3.特定保健指導によって健康状態が改善している。
4.60歳未満の者の特定健康診査受診率は今後増加する。
5.特定健康診査受診者のうち、メタボリックシンドローム該当者の割合は60歳未満より60歳以上で高い。

解答

解説

ポイント

・A市:人口5万人、高齢化率34%
・主な産業:農業、農産加工業。
・平成25年度:60歳未満の特定健康診査受診率の向上および生活習慣病の予防対策に取り組んできた。
・今後:重症化予防に力を入れて取り組む予定である。

1.× 特定健康診査受診率は「今後横ばい」となるかは予測できず断言できない。A市の特定健康診査受診率は増加傾向(平成25年度:42.8%、平成26年度:36.0%、平成27年度:53.4%、平成28年度:56.7%)にあるが、今後、横ばいになるかどうかは予測できない。
2.× 特定保健指導によって、医療費が削減されたとはいえない。なぜなら、この特定健康診査実施後の結果を表には、医療費に関するデータが記載されていないため。
3.× 特定保健指導によって健康状態が「改善している」という関連を読み取ることはできない。むしろ、【HbA1c6.1以上の者の割合】と【メタボリックシンドローム該当者】の割合は上昇しているため、健康状態が悪化していると考えられる。HbA1Cは、ヘモグロビンのアミノ基とブドウ糖が結合したものである。HbA1Cは、ヘモグロビンの生体内における平均寿命(約120日)の半分程度、すなわち、過去1〜2ヶ月の血糖状態を表すため、血糖値よりも正確な血糖状態を評価することができる。
4.× 60歳未満の者の特定健康診査受診率は「今後増加するか」は予測できず断言できない。60歳未満の者の特定健康診査受診率は上昇傾向(平成25年度:6.3%、平成26年度:6.2%、平成27年度:7.9%、平成28年度:7.6%)にあるが、今後も受診率が増加するかどうかは予測できない。
5.〇 正しい。特定健康診査受診者のうち、メタボリックシンドローム該当者の割合は60歳未満より60歳以上で高い。【メタボリックシンドローム該当者の割合】は、【60歳未満のメタボリックシンドローム該当者の割合】より「高い」ことが表から読み取れる。つまり、60歳以上のメタボリックシンドローム該当者の割合が、全体のメタボリックシンドローム該当者の割合を底上げしていると考えられる。

メタボリックシンドロームとは?

メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪の蓄積を基盤とし、動脈硬化の危険因子を複数合併した状態のことである。

①腹部肥満(ウエストサイズ 男性85cm以上 女性90cm以上) 
②中性脂肪値(HDLコレステロール値 中性脂肪値 150mg/dl以上、HDLコレステロール値 40mg/dl未満のいずれか、または両方)
③血圧(収縮期血圧130mmHg以上、拡張期血圧85mmHg以上のいずれか、または両方)
④血糖値(空腹時血糖値110mg/dl以上)

 

 

 

 

 

次の文を読み49、50の問いに答えよ。
 人口5万人、高齢化率34%のA市。主な産業は農業と農産加工業である。平成25年度から第2期特定健康診査等実施計画に基づき、60歳未満の特定健康診査受診率の向上および生活習慣病の予防対策に取り組んできた。今後は重症化予防に力を入れて取り組む予定である。特定健康診査実施後の結果を表に示す。

50  A市保健師は、A市郊外の農村地区にあるB地区を対象に、糖尿病の重症化予防に取り組むことにした。B地区は人口約3,000 人、高齢化率44%であり、内科無床診療所が1か所あるが、市立総合病院までは車で30分かかる。糖尿病と診断されたことがある者の全戸訪問に取り組んだところ「B地区から市中心地区にある市立総合病院に受診すると、通院と待ち時間で半日以上必要なため、特に農繁期に治療を中断してしまう」と言う者が多かった。そこで保健師は、B地区の糖尿病患者が継続的に糖尿病の治療が受けられるよう検討することが必要であると考えた。
 治療継続のための対策として最も適切なのはどれか。

1.B地区での糖尿病患者会の発足
2.糖尿病の治療中断者への特定健康診査の受診勧奨
3.B地区住民専用の市立総合病院への送迎バスの運行
4.B地区診療所における月1回の糖尿病専門外来の開設

解答

解説

ポイント

・対象:A市郊外の農村地区にあるB地区(人口約3,000 人、高齢化率44%)
・方法:糖尿病の重症化予防
・内科無床診療所1か所、市立総合病院までは車で30分かかる
・治療の中断理由「通院と待ち時間で半日以上必要なため
・課題:B地区の糖尿病患者が継続的に糖尿病の治療が受けられる。
→治療中断の原因として、通院と待ち時間で半日以上必要ということから、治療している医療機関が遠いという物理的な要因が大きいと考えられる。

1.× B地区での糖尿病患者会の発足の優先度は低い。なぜなら、治療中断の原因の根本的な解決となっていないため。患者会とは、共通の目的をもつ当事者や家族によって自主的に形成されるグループである。治療中断の原因として、通院と待ち時間で半日以上必要ということから、治療している医療機関が遠いという物理的な要因が大きいと考えられる。
2.× 糖尿病の治療中断者への特定健康診査の受診勧奨の優先度は低い。なぜなら、治療中断の原因の根本的な解決となっていないため。特定健康診査とは、40~74歳までの医療保険加入者を対象に実施されるものである。特定健診で行う検査は、主に①身体計測(身長・体重・BMI・腹囲)、②血中脂質検査(中性脂肪・HDLコレステロール・LDLコレステロール)、③肝機能検査(GOT・GPT・γ-GTP)、④血糖検査(空腹時血糖・HbA1c)、⑤尿検査(尿糖・尿蛋白)などである。治療中断の原因として、通院と待ち時間で半日以上必要ということから、治療している医療機関が遠いという物理的な要因が大きいと考えられる。
3.× B地区住民専用の市立総合病院への送迎バスの運行の優先度は低い。なぜなら、問題文から読み取れるB地区の問題点は「交通手段」ではなく通院に要する時間であるため。たとえ、送迎バスの運行を行ったとしても設問文に「市立総合病院までは車で30分かかる」と記載されているため、通院に要する時間の短縮にはならない。
4.〇 正しい。B地区診療所における月1回の糖尿病専門外来の開設は治療継続のための対策として最も優先度が高い。現在、治療の中断理由「通院と待ち時間で半日以上必要なため」である。したがって、糖尿病専門外来を住民が通いやすい地域にあるB地区診療所に開設することによって、B地区の糖尿病患者の治療継続することができる。

 

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