第104回(R3) 助産師国家試験 解説【午後16~20】

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

 

16 生後10か月の男児。これまで乳児健康診査や予防接種は遅滞なく受けている。7か月児健康診査では特に問題は指摘されていない。
 10か月児健康診査で社会性発達を評価する項目として適切なのはどれか。

1.身ぶりをまねする。
2.あやすと声を出して笑う。
3.鏡に映った自分の顔に反応する。
4.おむつをはかせるとき両足を広げる。

解答

解説

9~10か月検診

・身体計測と精神運動発達検査(パラシュート反射)
・周囲への関心の有無、目線は合うか、後追い
・ハイハイ、つかまり立ち、指先でものをつかむ
バイバイなどの人まね
・「ちょうだい」で渡してくれるなど、人とのやりとりができるようになる。

(※一部引用:「検診に呼ばれたけど何するの?」ワールド健康保険組合様より)

1.〇 正しい。身ぶりをまねすることは10か月児健康診査で社会性発達を評価する項目として当てはまる。何かを見て真似をするようになるのは早くて生後7~8か月、動作を交えたり物を使ったりして真似をするのは生後9か月が目安である。
2.× あやすと声を出して笑うのは生後3〜4か月頃からであり、10か月児健康診査で社会性発達を評価する項目として適さない。
3.× 鏡に映る自分を自分と認識できる時期は生後6か月〜1歳半頃であり、10か月児健康診査で社会性発達を評価する項目として適さない。
4.× おむつをはかせるとき両足を広げるなどの協力動作は1歳以降にみられることであり、10か月児健康診査で社会性発達を評価する項目として適さない。

 

 

 

 

 

 

17 家庭内で幼児が誤飲した。児の全身状態は良好で、嘔気はみられない。
 受診前の初期対応として催吐が禁忌になるのはどれか。

1.灯油
2.たばこ
3.向精神薬
4.アルコール飲料

解答

解説

催吐とは?

催吐(読み:さいと)とは、嘔吐を誘発させることによって胃の内容物を吐かせることである。

【催吐が推奨される品目】
①たばこ(2cm以上)、灰皿の水、②医薬品、③香水、ヘアトニック、④ナフタレン、⑤芳香剤、消臭剤、⑥入浴剤、洗濯用洗剤、台所用洗剤、⑦せっけん、シャンプー、リンス、⑧クリーム、ファンデーション、口紅、⑨歯磨き粉、⑩蚊取り線香、蚊取りマット、⑪紙おむつ、⑫インク、鉛筆、クレヨンなど。

(※引用:「中毒(誤嚥)処置で吐かせてはいけない時」より)

1.〇 正しい。灯油は、受診前の初期対応として催吐が禁忌になる。なぜなら、石油製品(灯油、シンナーなど)の揮発性の高い物質は、吐かせると気管に入りやすく、少量でも入ると化学性肺炎をおこすため。また牛乳や水等を飲ませると嘔吐を誘発する可能性があるため、何も飲ませず、吐かせず、すぐに医療機関で受診することが望ましい。
2.× たばこは催吐が推奨される。なぜなら、たばこは消化器官内でニコチンが溶け出して吸収されるのを促進する恐れがあるため。数時間は飲食を避け、なるべく吐かせる。
3.× 向精神薬(を含む医薬品)は催吐が推奨される。催吐が禁忌になるのは、①窒息や肺や食道を傷つける可能性がある場合、②毒性の強いものである。具体的には、石油・ガソリン・除光液など揮発性のもの、漂白剤やカビ取り剤、生石灰乾燥剤など強酸強アルカリ意識がないけいれんを起こしている、がびょう・ガラス・ホチキスの針など鋭利なものなどが挙げられる。多くの毒性が強いものは、吐くことで症状が悪くなることがある。
4.× アルコール飲料は催吐もしくは、少量なら水分を多めにとらせて様子を見る。アルコールは少量であっても急性アルコール中毒になることがあり、異常興奮状態や不機嫌、ふらついて立てないなどの症状がみられる。

 

 

 

 

18 周産期医療体制整備における地域周産期母子医療センターについて正しいのはどれか。

1.周産期に係る比較的高度な医療行為を行うことができる医療施設である。
2.平成30年(2018年)には全国で500施設が設置されている。
3.総合周産期母子医療センターと同数が整備される。
4.三次医療圏の範囲を基準に設置が検討される。

解答

解説

周産期母子医療センターの整備とは?

周産期母子医療センターには、①総合周産期母子医療センターと②地域周産期母子医療センターがある。
①総合周産期母子医療センターとは、母体・胎児集中治療管理室(M-FICU)を含む産科病棟及び新生児集中治療管理室(NICU)を備えた医療機関である。常時、母体・新生児搬送受入体制を有し、母体の救命救急への対応、ハイリスク妊娠に対する医療、高度な新生児医療等を担っている。
地域周産期母子医療センターとは、産科・小児科(新生児)を備え、周産期に係る比較的高度な医療行為を常時担う医療機関である。

1.〇 正しい。周産期に係る比較的高度な医療行為を行うことができる医療施設である。周産期母子医療センターには、①総合周産期母子医療センターと②地域周産期母子医療センターがある。①総合周産期母子医療センターとは、母体・胎児集中治療管理室(M-FICU)を含む産科病棟及び新生児集中治療管理室(NICU)を備えた医療機関である。常時、母体・新生児搬送受入体制を有し、母体の救命救急への対応、ハイリスク妊娠に対する医療、高度な新生児医療等を担っている。②地域周産期母子医療センターとは、産科・小児科(新生児)を備え、周産期に係る比較的高度な医療行為を常時担う医療機関である。
2.× 平成30年(2018年)には全国で500施設が「設置されている」のではなく「設置されていない」。令和2年5月時点で、①総合周産期母子医療センターは110施設、②地域周産期母子医療センターは298施設である。
3.× 総合周産期母子医療センターと「同数」ではなく別数で整備される。なぜなら、地域周産期母子医療センターは、総合周産期母子医療センター1箇所に対して数か所整備されるため。総合周産期母子医療センターの設置は、原則として三次医療圏に1か所整備される。令和2年5月時点で、①総合周産期母子医療センターは110施設、②地域周産期母子医療センターは298施設である。ちなみに、総合周産期母子医療センターとは、母体・胎児集中治療管理室(M-FICU)を含む産科病棟及び新生児集中治療管理室(NICU)を備えた医療機関である。常時、母体・新生児搬送受入体制を有し、母体の救命救急への対応、ハイリスク妊娠に対する医療、高度な新生児医療等を担う。
4.× 三次医療圏の範囲を基準に設置が検討されるのは、「地域周産期母子医療センター」ではなく「総合周産期母子医療センター」である。地域周産期母子医療センターは、総合周産期母子医療センター1箇所に対して数箇所整備されている。

(※引用:「周産期医療体制」厚生労働省HPより)

 

 

 

 

 

 

19 産科病棟で、正常新生児用のクリニカルパスを導入した。
 期待できる効果はどれか。

1.個別性のある授乳指導ができる。
2.新生児の取り違えが防止できる。
3.児に関する情報を母親と共有できる。
4.先天性甲状腺機能低下症が早期発見できる。

解答

解説

クリニカルパスとは?

クリニカルパスとは、ある疾患において主に入院時に患者に手渡しされる。①入院から退院までの検査や治療(手術日や投薬内容・期間等)、 ②食事や入浴等についてのスケジュールなどを標準化して示した診療計画表である。医療者用と患者用(説明用)が作成されている

【目的・効果】
①同一疾患の患者に対する医療の質の均一化(標準化)・向上。
②医療従事者間での情報共有。
③患者満足度の向上。
④入院患者の在院日数短縮・効率化。
⑤医療コストや資源の節約。
⑥医療事故防止。

1.× 「個別性」ではなく標準的な授乳指導ができる。クリニカルパスとは、入院中の標準的な経過を説明するため、入院中の予定をスケジュール表のようにまとめた入院診療計画書である。標準化しにくい疾患や母子の状態によってはクリニカルパスが使用できないこともあり、個別性のある授乳指導をクリニカルパスで行うことは難しい。
2.× 新生児の取り違えが防止できるものではない。クリニカルパスの目的は、①同一疾患の患者に対する医療の質の均一化(標準化)・向上、②医療従事者間での情報共有、③患者満足度の向上、④入院患者の在院日数短縮・効率化、⑤医療コストや資源の節約、⑥医療事故防止などがあげられる。
3.〇 正しい。児に関する情報を母親と共有できる。クリニカルパスを使用することで母親が入院から退院に至るまでの治療・検査・処置・指導などの過程や治療内容を理解することにより、医療スタッフとのコミュニケーションの円滑化や児に関する情報共有のしやすさにつながる。
4.× 先天性甲状腺機能低下症が早期発見できるものではない。これは、クリニカルパスではなく新生児マススクリーニング検査の説明である。入院中の標準的な経過を説明するクリニカルパスと先天性甲状腺機能低下症は関係性が薄い。

新生児マススクリーニングとは?

新生児マススクリーニングとは、生後4~6日目のすべての赤ちゃんを対象にした大切な検査で、赤ちゃんの代謝とホルモンの病気を見つけることを目的としている。赤ちゃんの中には、体に取り入れた栄養を、成長や活動のためのさまざまな物質に変化させる「代謝」に必要な酵素や、体の発育やはたらきを調節する「ホルモン」が生まれつき欠乏していたり、つくる力が弱い子がいる。このような赤ちゃんをそのままにしておくと知能障害や発育障害、ときにはショックや肝機能異常で生命にかかわることもあるが、これらの病気は早期の発見と治療によって障がいの発生を未然に防ぐことができる。

【検査の詳細】
出生体重2,000g未満の低出生体重児は、原則的には目齢4~6で第1回目の採血をし、さらに、
①生後1か月
②体重が2,500gに達した時期
③医療施設を退院する時期
のいずれか早い時期に、第1回目の検査の結果にかかわらず、第2回目の探血を実施することが望ましい。
出生体重2,000g以上の低出生体重児については、通常の方法で実施する。
出生体重2,000g未満の児で2回の採血を推奨する理由は次の通りである。
①低出生体重児であっても、生後早期に先天性代謝異常等の新生児スクリーニング検査を実施し疾患の早期発見に努めることは重要である。
②しかし、低出生体重児では生後早期からの経腸栄義が十分に行われず、一部の疾患では生後早期の検査結果が必ずしも病態を表さない可能性がある。
③さらに、一部の疾患では、生理調節機能の未熟性から、疾患を示峻する異常値を示さない可能性がある。

(※参考「新生児マス・スクリーニングにおける低出生体重児の採血時期に関する指針」日本小児内分泌学会より)

 

 

 

 

 

20 日本において婚姻届が受理される状況はどれか。

1.夫婦別姓
2.証人が未成年
3.三親等内の傍系血族間の結婚
4.妊娠していない女性が離婚日の翌日に届出

解答

解説

婚姻届とは?

婚姻届は、『戸籍法』に規定されている。婚姻届は、日本において、法的な結婚をしようとする者が提出する書類。正式には婚姻届書と言う。法務省の地方支分部局である法務局の戸籍課が管轄する行政機関への書類で、受付は市区町村役場が窓口となる。夫婦の氏や法令で定められている事柄を記載し、その旨を届け出なければならない。

1.× 夫婦別姓では日本において婚姻届が受理されない。現在の戸籍法上では夫婦は同姓となること、夫婦は同居することが定められている。夫婦別姓を希望する場合は、婚姻届を提出しない事実婚にとどめるか、戸籍のみ変更し周囲に夫婦別姓を宣言しておくなどの方法がある。
2.× 証人が未成年では日本において婚姻届が受理されない。証人の条件は20歳以上で証人2人の結婚を認めてくれる人である。
3.〇 正しい。三親等内の傍系血族間の結婚では日本において婚姻届が受理されない。三親等内の傍系血族間の結婚は民法上結婚できない。民法(734条)では結婚してはいけない血族として、①直系血族、②三親等内の傍系血族が定められている。ただし、養子と養方の傍系血族との間では、この限りでない。 
4.× 妊娠していない女性が離婚日の翌日に届出は婚姻届が受理される。前婚の解消又は取消し時に妊娠していない女性が離婚日の翌日に届出を受理してもらうことは可能である。妊娠していなかった場合には父性推定が重複する可能性がないため、再婚禁止期間中であっても再婚できる。女性の場合は離婚日から起算して100日を経過した日以降でないと婚姻届を出すことはできない再婚禁止期間がある。ただし医師が作成した「民法733条第2項に該当する旨の証明書」を添付して婚姻届を提出する必要があり、証明書を添付しないと婚姻届は受理されない。また同じ人と再婚する場合や100日を経過する前に出産した場合は100日を経過していなくても婚姻届を出すことができる。

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)