16 災害派遣医療チーム(DMAT)で正しいのはどれか。
1.活動の開始は発災時からおおむね48時間以後である。
2.市町村からの要請に応じて活動する。
3.活動先の調整は総務省消防庁が行う。
4.広域医療搬送活動に従事する。
解答4
解説
定義:災害急性期に活動できる機動性を持ったトレーニングを受けた医療チーム。
医師、看護師、業務調整員(医師・看護師以外の医療職及び事務職員)で構成され、大規模災害や多傷病者が発生した事故などの現場に、急性期(おおむね48時間以内)から活動できる機動性を持った、専門的な訓練を受けた医療チームである。
①都道府県の派遣要請に基づく。
②災害の急性期(おおむね48時間以内)に活動できる機動性をもつ。
③主な活動は、広域医療搬送、病院支援、地域医療搬送、現場活動などである。
※(「DMATとは」厚生労働省HPより)
1.× 活動の開始は、発災時から「おおむね48時間以後」ではなく災害の急性期(おおむね48時間以内)である。
2.× 「市町村」ではなく被災都道府県からの要請に応じて活動する。
3.× 活動先の調整は、「総務省消防庁」ではなくDMAT都道府県調整本部が行う。被災都道府県は、災害対策本部および災害医療本部を設置し、その指揮下にDMAT都道府県調整本部をおく。
4.〇 正しい。広域医療搬送活動に従事する。広域医療搬送とは、国が各機関の協力のもと、自衛隊機などの航空機を用いて対象患者を医療搬送することをいう。主な活動は、広域医療搬送、病院支援、地域医療搬送、現場活動などである。
17 都道府県や市区町村において統括的な役割を担う保健師の活動で最も適切なのはどれか。
1.住民への総合相談を実施する。
2.組織横断的な総合調整及び推進を行う。
3.地区担当制による地区活動を実施する。
4.広域的かつ専門的な保健サービスを行う。
解答2
解説
1.3.× 住民への総合相談を実施すること/地区担当制による地区活動を実施することは、市町村保健師の活動である。保健師の保健活動の基本的な方向性として、地区担当制の推進が掲げられている。
2.〇 正しい。組織横断的な総合調整及び推進を行うことは、統括的な役割を担う保健師の活動である。⑦部署横断的な保健活動の連携及び協働に該当する。「都道府県や市町村において統括的な役割を担う保健師」は、保健師の保健活動を組織横断的に総合調整および推進し、人材育成や技術面での指導および調整を行う。
4.× 広域的かつ専門的な保健サービスを行うことは、主に都道府県保健師の活動である。
地域における保健師の保健活動に関する指針
①地域診断に基づくPDCAサイクルの実施
②個別課題から地域課題への視点及び活動の展開
③予防的介入の重視
④地区活動に立脚した活動の強化
⑤地区担当制の推進
⑥地域特性に応じた健康なまちづくりの推進
⑦部署横断的な保健活動の連携及び協働
⑧地域のケアシステムの構築
⑨各種保健医療福祉計画の策定及び実施
⑩人材育成
【活動領域に応じた保健活動の推進】
~都道府県保健所等~
都道府県保健所等に所属する保健師は、所属内の他職種と協働し、管内市町村及び医療機関等の協力を得て広域的に健康課題を把握し、その解決に取り組むこと。また、生活習慣病対策、精神保健福祉対策、自殺予防対策、難病対策、結核・感染症対策、エイズ対策、肝炎対策、母子保健対策、虐待防止対策等において広域的、専門的な保健サービス等を提供するほか、災害を含めた健康危機への迅速かつ的確な対応が可能になるような体制づくりを行い、新たな健康課題に対して、先駆的な保健活動を実施し、その事業化及び普及を図ること。加えて、生活衛生及び食品衛生対策についても、関連する健康課題の解決を図り、医療施設等に対する指導等を行うこと。さらに、地域の健康情報の収集、分析及び提供を行うとともに調査研究を実施して、各種保健医療福祉計画の策定に参画し、広域的に関係機関との調整を図りながら、管内市町村と重層的な連携体制を構築しつつ、保健、医療、福祉、介護等の包括的なシステムの構築に努め、ソーシャルキャピタルを活用した健康づくりの推進を図ること。市町村に対しては、広域的及び専門的な立場から、技術的な助言、支援及び連絡調整を積極的に行うよう努めること。
~市町村~
市町村に所属する保健師は、市町村が住民の健康の保持増進を目的とする基礎的な役割を果たす地方公共団体と位置づけられ、住民の身近な健康問題に取り組むこととされていることから、健康増進、高齢者医療福祉、母子保健、児童福祉、精神保健福祉、障害福祉、女性保護等の各分野に係る保健サービス等を関係者と協働して企画及び立案し、提供するとともに、その評価を行うこと。その際、管内をいくつかの地区に分けて担当し、担当地区に責任を持って活動する地区担当制の推進に努めること。また、市町村が保険者として行う特定健康診査、特定保健指導、介護保険事業等に取り組むこと。併せて、住民の参画及び関係機関等との連携の下に、地域特性を反映した各種保健医療福祉計画を策定し、当該計画に基づいた保健事業等を実施すること。さらに、各種保健医療福祉計画の策定にとどまらず、防災計画、障害者プラン及びまちづくり計画等の策定に参画し、施策に結びつく活動を行うとともに、保健、医療、福祉、介護等と連携及び調整し、地域のケアシステムの構築を図ること。
(一部抜粋:「地域における保健師の保健活動に関する指針」厚生労働省HPより)」
18 現行の後期高齢者医療制度の運営における医療給付の財源負担で正しいのはどれか。
1.後期高齢者支援金は45歳以上75歳未満の者の医療保険料から拠出される。
2.国、都道府県および市町村による公費が全体の約5割を占めている。
3.高齢者が医療機関を受診した時の自己負担額は無料である。
4.後期高齢者による保険料は全体の約2割を占めている。
解答2
解説
(※図引用:「医療費の自己負担について」厚生労働省HPより)
1.× 後期高齢者支援金は、「45歳以上75歳未満の者」ではなく、75歳未満の者の医療保険料から拠出される。ちなみに、後期高齢者支援金は、後期高齢者医療制度の財源全体の約4割を占め、公費が5割、保健利用が1割となっている。後期高齢者支援金は国保と被用者保険からなっている。
2.〇 正しい。国、都道府県および市町村による公費が全体の約5割を占めている。ちなみに、その内訳は、国:都道府県:市町村 = 4:1:1である。ちなみに、公費とは国家または公共団体の費用のことをさす。
3.× 高齢者が医療機関を受診した時の自己負担額は、「無料」ではなく1割である。ただし、一定以上所得者(現役並み所得者)は3割である。ちなみに、無料となるのは生活保護受給者である。
4.× 後期高齢者による保険料は、全体の約2割ではなく、約1割を占めている。
(※図引用:「後期高齢者医療制度の財源構成」厚生労働省HPより)
19 公衆衛生行政の制度・対策と法律の組合せで正しいのはどれか。
1.大気汚染の監視:大気汚染防止法
2.労働者の健康診断:労働基準法
3.食品等の収去検査:食品安全基本法
4.小学校における保健学習:学校保健安全法
解答1
解説
1.〇 正しい。大気汚染防止法に、都道府県知事は大気の汚染の状況を常時監視しなければならないと定められている。大気汚染防止法とは、大気環境を保全するため、昭和43年に「大気汚染防止法」が制定された。この法律は、大気汚染に関して、国民の健康を保護するとともに、生活環境を保全することなどを目的としている。ばい煙、揮発性有機化合物(VOC)、粉じんの排出規制や有害大気汚染物質の対策の推進が規定されている。
2.× 労働者の健康診断は、「労働基準法」ではなく『労働安全衛生法』に事業者の義務として定められている。ちなみに、『労働基準法』には、労働者の賃金・労働時間・休日・年次有給休暇などの労働条件が定められている。一方で、労働安全衛生法とは、労働者の安全と衛生についての基準を定めた日本の法律である。事業者は安全衛生管理体制を整備することが義務づけられており、それぞれの事業規模に応じた①衛生管理者、②総括安全衛生管理者などを選任しなければならない。
3.× 食品等の収去検査は、「食品安全基本法」ではなく『食品衛生法』および『食品表示法』に規定されている。食品等の収去検査は、保健所の食品衛生監視員が、必要に応じて食品製造施設や販売施設から食品などを無償で収去し、食中毒の発生防止や不良食品の排除のために行う検査である。ちなみに、『食品安全基本法』は、食品の安全性を確保するためのものである。食品安全委員会の設置などが定められている。
4.× 小学校における保健学習は、「学校保健安全法」ではなく『学校教育法』に基づいた教育活動である。保健教育は、①保健学習と②保健指導に大別され、小学校の保健学習は学習指導要領に基づき、体育科の保健領域として指導される。一方、学校保健安全法は、 学校における児童・生徒・および職員の健康の保持増進や安全の確保に必要な事項を定めた法律である。保健室の設置、健康相談・健康診断・保健指導の実施、感染症予防のための臨時休業、学校医等の設置、学校安全計画の策定等について規定している。
保健機能食品制度は、消費者が安心して食生活の状況に応じた食品の選択ができるよう、適切な情報提供をすることを目的とした制度である。 国が安全性や有効性等を考慮して設定した基準等を満たしている場合、『保健機能食品』と称することができる。
保健機能食品には3種類あり、①特定保健用食品(身体の生理学的機能に影響を与える成分を含むもの)、②栄養機能食品(栄養素の補給のために利用される食品で、栄養素の機能を表示するもの)、③機能性表示食品(品事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示したもの)からなる。摂取上の注意事項、1日当たりの摂取目安量などの表示が必要となる。
20 医療安全対策で正しいのはどれか。
1.産科医療補償制度は医療法に基づき実施されている。
2.医療事故調査は病院の管理者に義務付けられている。
3.都道府県に医療安全支援センターの設置が義務付けられている。
4.都道府県知事は医療事故調査・支援センターを指定することができる。
解答2
解説
1.× 産科医療補償制度とは、分娩に関連して発症した脳性麻痺の子と家族の経済的負担を速やかに補償し、原因分析を行い、再発防止のための情報提供などを行う制度である。病院、診療所や助産所といった分娩を取り扱う機関が加入する制度である。一方、医療法は、病院・診療所・助産所の開設・管理・整備の方法などを定める日本の法律である。国民は、良質かつ適切な医療の効率的な提供に資するよう、医療提供施設相互間の機能の分担及び業務の連携の重要性についての理解を深め、医療提供施設の機能に応じ、医療に関する選択を適切に行い、医療を適切に受けるよう努めなければならない。
2.〇 正しい。医療事故調査は、病院の管理者に義務付けられている。『医療法』に基づき、病院などの管理者は、医療事故が発生した場合には必要な調査(医療事故調査)を行わなければならないと規定されている。
3.× 都道府県に医療安全支援センターの設置は、「義務付けられている」のではなく、努力義務(努めなければならない)である。『医療法』に基づき、都道府県・保健所を設置する市および特別区は、医療安全支援センターを設けるよう努めなければならないと規定されている。医療安全支援センターとは、医療法第6条の13の規定に基づき、都道府県、保健所を設置する市及び特別区により、日本全国で380箇所以上設置されている医療の安全に関する情報の提供、研修の実施、意識の啓発などを行う機関である。医療に関する苦情・心配や相談に対応するとともに、医療機関、患者さん・住民に対して、医療安全に関する助言および情報提供等を行っている。
4.× 医療事故調査・支援センターを指定することができるのは、「都道府県知事」ではなく厚生労働大臣である。『医療法』に規定されている。医療事故調査・支援センターとは、医療法第6条の15第1項の規定に基づき厚生労働大臣が定める団体で医療事故調査を実施する機関である。現在、社会問題となっている医療事故の再発防止を目的として、厚生労働省や日本医師会などを中心として、設置に向けた議論が進行している。
「義務」ある特定のことをしなければならない、もしくはしてはいけないことを指す。
「配慮義務」なんらかの具体的な行動をしなければならない。
「努力義務」何かをするように努めること。