26 要保護児童対策地域協議会の機能で適切なのはどれか。2つ選べ。
1.被虐待児の里親委託の決定
2.養育支援訪問事業の対象者の選定
3.子育て世代包括支援センターの運営
4.虐待通告を受けた児の支援内容の検討
5.居住実態を把握できない児の情報共有
解答4・5
解説
要保護児童対策地域協議会(子どもを守る地域ネットワーク)は、虐待予防対策のなかで、重要な役割を担う。要保護児童等のへの適切な支援を図ることを目的に地方公共団体が設置・運営する組織である。『児童福祉法』で設置が規定されている。
【要保護児童対策地域協議会の業務内容】
①代表者会議:年1~2回程度の開催で、各関係機関の責任者(管理職)レベルで連携を深め、実務者会議の円滑な運営の環境整備を行う。
②実務者会議:3か月に1回程度の開催で、実務者により、すべてのケースの定期的な状況確認、主担当機関の確認、支援方針の見直し等を行う。
③個別ケース検討会議:適時開催され、個別のケースについて、直接かかわっている担当者や今後かかわる可能性のある関係機関の担当者が、危険度や緊急度の判断、具体的な支援の内容を検討する。
(※参考:「要保護児童対策地域協議会設置・運営指針」厚生労働省HPより)
1.× 被虐待児の里親委託の決定は、児童相談所が行う。児童相談所は、「児童福祉法」に基づいて設置される行政機関であり、都道府県、指定都市で必置となっている。原則18歳未満の子供に関する相談や通告について、子供本人・家族・学校の先生・地域の方々など、どなたからも受け付けている。児童相談所は、すべての子供が心身ともに健やかに育ち、その持てる力を最大限に発揮できるように家族等を援助し、ともに考え、問題を解決していく専門の相談機関である。
2.× 養育支援訪問事業の対象者の選定は、乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)の実施結果や母子保健事業、妊娠・出産・育児期に養育支援を特に必要とする家庭に係る保健医療の連携体制に基づく情報提供及び関係機関からの連絡・通告等により把握され、養育支援が特に必要であって、本事業による支援が必要と認められる家庭の児童及びその養育者とする。(※参考:「養育支援訪問事業ガイドライン」厚生労働省HPより)
3.× 子育て世代包括支援センターの運営は、市町村が実施主体である。子育て世代包括支援センターとは、母子保健法に基づき市町村が設置するもので、保健師等の専門スタッフが妊娠・出産・育児に関する様々な相談に対応し、必要に応じて支援プランの策定や地域の保健医療福祉の関係機関との連絡調整を行うなど、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援を一体的に提供している。
4~5.〇 正しい。虐待通告を受けた児の支援内容の検討/居住実態を把握できない児の情報共有は、要保護児童対策地域協議会(子どもを守る地域ネットワーク)が行う。要保護児童対策地域協議会(子どもを守る地域ネットワーク)は、虐待予防対策のなかで、重要な役割を担う。要保護児童等のへの適切な支援を図ることを目的に地方公共団体が設置・運営する組織である。『児童福祉法』で設置が規定されている。個別ケース検討会議を開催し、支援の内容に関する協議を行う。
子育て世代包括支援センターとは、母子保健法に基づき市町村が設置するもので、保健師等の専門スタッフが妊娠・出産・育児に関する様々な相談に対応し、必要に応じて支援プランの策定や地域の保健医療福祉の関係機関との連絡調整を行うなど、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援を一体的に提供している。
【主な5つの事業】
①母性・乳幼児の健康の保持増進に関する実情の把握
②母子保健に関する相談への対応
③母性・乳幼児に対する保健指導
④母子保健に関する機関との連絡調整等、健康の保持・増進に関する支援
⑤健康診査、助産その他の母子保健に関する事業
(※「子育て世代包括支援センター業務ガイドライン 」厚生労働省HPより)
27 レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)によって集計できる情報はどれか。2つ選べ。
1.がん検診受診率
2.主要死因別死亡数
3.入院外来別医療費
4.年齢階級別出生率
5.都道府県別BMI分布
解答3・5
解説
レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)とは、①医療機関を受診した際に医療機関から保険者に対して発行される診療報酬明細書(レセプト)と、②40歳以上を対象に行われている特定健康診査・保健指導の結果からなるデータベースである。
特定健康診査とは、40~74歳までの医療保険加入者を対象に実施されるものである。特定健診で行う検査は、主に①身体計測(身長・体重・BMI・腹囲)、②血中脂質検査(中性脂肪・HDLコレステロール・LDLコレステロール)、③肝機能検査(GOT・GPT・γ-GTP)、④血糖検査(空腹時血糖・HbA1c)、⑤尿検査(尿糖・尿蛋白)などである。
1~2.4.× がん検診受診率/主要死因別死亡数/年齢階級別出生率は、含まれていない。
3.〇 正しい。入院外来別医療費は、含まれている。なぜなら、NDBに含まれる診療報酬明細書の情報より、医療費が計算できるため。
5.〇 正しい。都道府県別BMI分布は、含まれている。なぜなら、NDBに含まれる特定健康診査の身長・体重の情報から、都道府県別BMI分布を算出することは可能であるため。
28 難病対策で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.医療費助成の患者負担割合は1割である。
2.都道府県は療養生活環境整備事業を実施できる。
3.居住地の都道府県内の医療機関は全て医療費助成の対象である。
4.軽症者でも高額な医療を継続する者は医療費助成の対象となる。
5.都道府県は難病相談支援センターの設置が義務付けられている。
解答2・4
解説
難病対策地域協議会は「難病法」に目的や協議の内容が定められている。
定義:難病法上、関係機関等が相互の連絡を図ることにより、地域における難病の患者への支援体制に関する課題について情報 を共有し、関係機関等の連携の緊密化を図るとともに、地域の実情に応じた体制の整備について協議を行う組織として規定されている。その設置については、都道府県、保健所を設置する市及び特別区に対し、努力義務が課されている。
(※参考:「難病対策地域協議会について」難病情報センター様HPより)
1.× 医療費助成の患者負担割合は、「1割」ではなく2割である。
2.〇 正しい。都道府県は療養生活環境整備事業を実施できる。なぜなら、『難病法28条』に規定され、事業の具体的な内容は、療養生活環境整備事業実施要綱に規定されている。ちなみに、療養生活環境整備事業とは、難病法に基づき、難病患者の療養生活の質の維持向上を図ることを目的に、難病患者・家族等に対する相談支援や、難病患者に対する医療等に係る人材育成、在宅療養患者に対する訪問看護支援等を実施する事業である。
3.× 居住地の都道府県内の医療機関は、「全て」医療費助成の対象とはならない。医療費助成の対象となる指定特定医療は、支給認定を受けた指定難病の患者に対し、「都道府県が指定する医療機関」が行う医療である。
4.〇 正しい。軽症者でも高額な医療を継続する者は、医療費助成の対象となる。症状の程度が疾病ごとの重症度分類に該当しない軽症者であっても、高額な医療を継続する必要がある場合は、医療費助成の対象となる。医療費助成制度といい、医療費助成制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払った額が、1ヵ月間(月初めから月末まで)で 一定額(自己負担限度額)を超えた場合に、その超えた金額が高額療養費として支給される制度である。
5.× 都道府県は、難病相談支援センターの設置の義務はない。『難病法』において、都道府県は難病相談支援センターを設置することができると規定されているのみである。難病相談・支援センターとは、『難病法』に基づき①難病患者の療養生活の質の維持・向上を図る、②患者会・地域交流活動の促進、③就労支援などを目的に行われる療養生活環境整備事業のひとつである。都道府県及び指令都市が実施主体である。
『難病法』とは、難病の患者に対する医療などに関する施策を定め、良質・適切な医療の確保、療養生活の質の維持向上を図ることを目的としている。この目的に沿って定められている8つの基本方針は以下のとおりである。
【難病の患者に対する医療等の総合的な推進を図るための基本的な方
①医療等の推進の基本的な方向
②医療を提供する体制の確保に関する事項
③医療に関する人材の養成に関する事項
④調査及び研究に関する事項
⑤医療のための医薬品及び医療機器に関する研
⑥療養生活の環境整備に関する事項
⑦医療等と福祉サービスに
⑧その他、医療等の推進に関する重要事項
【難病と指定難病の定義】
・発病の機構が明らかでない。
・治療方法が確立していない。
・希少な疾病である。
・長期の療養を必要する。
【指定難病】
・患者数が一定の人数に達しない。
・客観的な診断基準が確立してない。
【医療費助成制度について】
①都道府県・指定都市の窓口に申請する。
②医療費助成の対象者:指定難病に罹患し、重症度分類等による病状の程度が一定以上であるとして認定を受けた者。
③患者の自己負担は2割で、自己負担上限額(月額)が設定されている。
④自己負担上限額は、応能負担(世帯の所得に応じて設定)されている。
⑤医療費助成は、都道府県・指定都市が指定する指定医療機関が行う特定医療に対して行われる。
⑥特定医療費の支給に要する費用は、都道府県と国が50%ずつ負担している。
(※参考「指定難病の要件について」厚生労働省HPより)
29 保健所管内の特別養護老人ホームの職員を対象に、結核に関する説明を行うことになった。
説明で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.「高齢の結核患者は定型的な呼吸器症状がでます」
2.「患者が発生した際は施設長が保健所に発生届を提出します」
3.「新登録結核患者のうち70歳以上が占める割合は50 %未満です」
4.「排菌していない入所者は特別養護老人ホームへの入所を継続できます」
5.「65歳以上の入所者に対しては、定期健康診断を実施する義務があります」
解答4・5
解説
肺結核とは、結核菌による感染症で、体の色々な臓器に起こることがあるが多くは肺のことである。結核菌は、喀痰の中に菌が出ている肺結核の患者と密閉空間で長時間(一般的には数週間以上)接触することにより空気感染でうつる。リンパ節結核や脊椎カリエス(骨の結核)など、肺に病気のない結核患者からはうつらない。また肺結核でも、治療がうまくいって喀痰の中に菌が出ていない患者さんからはうつることはない。また、たとえ感染しても、発病するのはそのうち1割ぐらいといわれており、残りの9割の人は生涯何ごともなく終わる。感染してからすぐに発病することもあるが、時には感染した後に体の免疫が働いていったん治癒し、その後数ヶ月から数十年を経て、免疫が弱ったときに再び結核菌が増えて発病することもある。結核の症状には、咳、痰、血痰、熱、息苦しさ、体のだるさなどがある。
1.× 「高齢の結核患者は定型的な呼吸器症状がでます」とは言いにくい。なぜなら、若者・高齢者問わず、肺結核の場合、初期に特徴的な症状はなく、咳・痰・発熱(微熱)といった風邪と同じ症状のみであるため。また、結核に限らず、高齢の場合の疾患は、すでに様々な病気を抱えていることが多い(既往歴)ため、典型的な症状は出にくい。
2.× 患者が発生した際は、「施設長」ではなく、医師が保健所に発生届を提出する。結核の発生届は、結核を診断した医師が直ちに最寄りの保健所を経由して、都道府県知事に出さなければならない。これは、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)に規定されている。
3.× 「新登録結核患者のうち70歳以上が占める割合は50 %未満です」とは言えない。なぜなら、日本の結核は高齢者に多く、平成28年における新規登録結核患者のうち、70歳以上が全体に占める割合は59.0%であるため。「データ引用:厚生労働省HP~平成29年 結核登録者情報調査年報集計結果について~」
4.〇 正しい。「排菌していない入所者は、特別養護老人ホームへの入所を継続できます」という説明で正しい。なぜなら、排菌していなければ、原則として勧告入院の対象とはならないため。したがって、特別養護老人ホームなどの施設入所は継続できる。ちなみに、排菌とは、A結核を発病している人が、体の外に菌を出すことをいう。また、勧告入院とは、都道府県知事が感染のまん延を防ぐ必要があると判断した際、「感染症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)」に基づき、一類感染症・二類感染症・新型インフルエンザ等感染症の患者または保護者に対して、指定医療機関への72時間以内の入院を勧告するものである。必要時には、10日以内の期限を定めて入院期間の延長を勧告できる。
5.〇 正しい。「65歳以上の入所者に対しては、定期健康診断を実施する義務があります」という説明で正しい。なぜなら、「感染症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)」に基づき、特別養護老人ホームの施設長は、65歳以上の入所者に対して年1回の結核の定期健康診断を行わなければならないと規定されているため。これは、53条に規定されている。(※参考:「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」e-GOV様HPより)
30 災害対策基本法に示されている住民の責務はどれか。2つ選べ。
1.過去の災害から得られた教訓の伝承
2.避難行動要支援者名簿の作成
3.生活必需物資の備蓄
4.防災組織の充実
5.防災活動の促進
解答1・3
解説
責務とは、責任と義務のことをさす。義務を果たすべき責任である。
『災害対策基本法』では、①住民の責務として生活必需物資の備蓄、②自発的な防災活動への参加、③過去の災害から得られた伝承などの努力義務が定められている。
これは7条に規定されており、以下引用<第七条 地方公共団体の区域内の公共的団体、防災上重要な施設の管理者その他法令の規定による防災に関する責務を有する者は、基本理念にのつとり、法令又は地域防災計画の定めるところにより、誠実にその責務を果たさなければならない。
2 災害応急対策又は災害復旧に必要な物資若しくは資材又は役務の供給又は提供を業とする者は、基本理念にのつとり、災害時においてもこれらの事業活動を継続的に実施するとともに、当該事業活動に関し、国又は地方公共団体が実施する防災に関する施策に協力するように努めなければならない。
3 前二項に規定するもののほか、地方公共団体の住民は、基本理念にのつとり、食品、飲料水その他の生活必需物資の備蓄その他の自ら災害に備えるための手段を講ずるとともに、防災訓練その他の自発的な防災活動への参加、過去の災害から得られた教訓の伝承その他の取組により防災に寄与するように努めなければならない。>(※参考:「災害対策基本法」e-GOV様HPより)。したがって、選択肢1.3.過去の災害から得られた教訓の伝承/生活必需物資の備蓄が正しい。
2.× 避難行動要支援者名簿の作成は、「住民」ではなく市町村長の責務である。「氏名・生年月日・性別・住所または居所,電話番号などの連絡先・避難支援を必要とする理由」などを記載する。
4~5.× 防災組織の充実/防災活動の促進は、「住民」ではなく市町村長の責務である。市町村長は、自主的な防災組織の充実、住民の自発的な防災活動計画の促進を図り、市町村の有するすべての機能を十分に発揮するよう努力義務が定められている。
目的:国民の生命、身体及び財産を災害から保護し、もって、社会の秩序の維持と公共の福祉の確保に資すること。