31 地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律(医療介護総合確保推進法)において、地域包括ケアシステムとして包括的に確保されるのはどれか。2つ選べ。
1.介護予防
2.年金保険
3.雇用の促進
4.自然とのふれあいの推進
5.自立した日常生活の支援
解答1・5
解説
(※画像引用:「医療介護総合確保推進法(介護部分) の概要について」厚生労働省HPより)
『医療介護総合確保推進法』とは、平成26(2014)年に成立された地域における効率的かつ効果的な医療提供体制の確保等を目的する法律である。持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律に基づく措置として、効率的かつ質の高い医療提供体制を 構築するとともに、地域包括ケアシステムを構築することを通じ、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するため、医療法、介護保険法等の関係法律について所要の整備等を行う。
(※参考:「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律(概要)」厚生労働省HPより)
地域包括ケアシステムとは、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で生活を継続することができるよう、包括的な支援・サービス提供体制の構築を目指すものである。医療・介護のみならず福祉サービスを含めたさまざまなサービスが日常の生活の場で提供できるような地域での体制をいう。この地域包括ケアシステムが効果的に機能するために、「4つの助(自助・互助・共助・公助)」の考え方が連携し、課題解決に向け取り組んでいく必要がある。
「公助」は税による公の負担。
「共助」は介護保険などリスクを共有する仲間(被保険者)の負担。
「自助」には「自分のことを自分でする」ことに加え、市場サービスの購入も含まれる。
「互助」は相互に支え合い、費用負担が制度的に裏づけられていない自発的なものである。
(※図引用「地域包括ケアシステムの5つの構成要素」厚生労働省HPより)
高齢者の日常生活圏域において、重度な要介護状態になっても住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう、医療・介護・予防・住まい・見守り・配食・買い物などの生活支援の5つの視点での取り組みを包括的継続的に行うものである。したがって、選択肢1.5.介護予防/自立した日常生活の支援が正しい。選択肢2~4.年金保険/雇用の促進/自然とのふれあいの推進は含まれていない。
日常生活圏域とは、平成18年の介護保険法改正により、新たに示された概念で、介護保険法第117条第2項第1項に圏域の設定が規定されている。日常生活圏域は、介護保険事業計画において、当該市町村がその住民が日常生活を営んでいる地域として、地理的条件・人口・交通事情その他の社会的条件・介護給付等対象サービスを提供するための施設の整備の状況その他の条件を総合的に勘案して定める区域としている。国では、おおむね30分以内に必要なサービスが提供される区域として、中学校区を単位として想定している。本市においては、平成22年1市2村の合併時に、これまでの行政区に1カ所ずつの地域包括支援センターを継承し、第6期高齢者福祉計画及び介護保険事業計画では、日常生活圏域を5圏域とし、平成29年4月1日より5圏域に1カ所ずつの地域包括支援センターを設置。運営を法人に委託し事業を展開している。
32 学校保健の歴史的変遷で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.学制発布によって学校衛生の施策が始まった。
2.痘そうの蔓延によって学校看護婦が置かれた。
3.昭和16年(1941年)に学校看護婦は養護教諭に名称変更された。
4.学校教育法の改正によって養護教諭の保健授業担当が可能になった。
5.学校保健法の改正によって学校保健安全法が制定された。
解答1・5
解説
1.〇 正しい。学制発布によって学校衛生の施策が始まった。日本の学校保健の歴史は、明治5(1872)年の学制発布と同時に始まった。当時流行していたコレラや痘瘡(天然痘)などの伝染病予防を中心とした学校衛生施策が展開された。学制とは、日本最初の近代学校制度について示した基本法令である。明治5(1872)年に発布され、日本における近代学校の成立発展の基礎となり、明治12(1879)年の『教育令』公布とともに廃止された。
2.× 学校看護婦が置かれたのは、「痘そう」ではなく、トラコーマ(顆粒性結膜炎、エジプト眼炎)の蔓延によってである。日本の学校看護婦は、当時、多くみられたトラコーマ(顆粒性結膜炎、エジプト眼炎)に感染した児童生徒に、校内で洗眼や点眼を実施する学校医の助手として配置されたのが始まりである。トラコーマは、普通は両眼に発生し、結膜(まぶたの裏側と白眼部分を覆う膜)が炎症を起こして赤くなり、刺激が生じ、涙の量が過剰になる。ほかにも、まぶたが腫れ、眼は光に対して敏感になる。
3.× 昭和16年(1941年)に学校看護婦は、「養護教諭」ではなく養護訓導(ようごくんどう)に名称変更された。学校看護婦は、昭和16(1941)年に『国民学校令』によりと養護訓導と名称変更され教育職員の位置づけとなった。ちなみに、昭和22(1947)年の『学校教育法』の制定により、養護訓導から養護教諭に名称変更となった。現在の養護教諭の主な業務は、①保健管理(救急処置、健康診断 等)②保健教育・保健指導、③健康相談、④保健室経営、⑤保健組織活動、⑥学校保健計画・学校安全計画策定への参画である。
4.× 養護教諭の保健授業担当が可能になったのは、「学校教育法」の改正によってではなく、『教育職員免許法(平成10年)』の一部改正によるものである。ちなみに、3年以上の勤務経験のある養護教諭は保健の教科を受け持ち、単独で授業を行えるようになった。ちなみに、学校教育法は、学校教育制度の基本について定めた法律である。学校における保健学習や安全学習について、学校教育法の教育基準に基づき行われている。
5.〇 正しい。学校保健法の改正によって学校保健安全法が制定された。昭和33(1958)年に制定された『学校保健法』は、平成20年の改正により保健と安全の両方を規定した法律であることが明確化され、『学校保健安全法』に改称された。ちなみに、学校保健安全法は、学校における児童生徒等及び職員の健康の保持増進を図るための法律である。同法に学校の養護教諭その他の職員は、児童生徒に必要な指導を行うとともに、必要に応じて保護者に助言を行うよう定められている。
33 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)の五類感染症のうち、直ちに届け出る必要があるのはどれか。2つ選べ。
1.麻しん
2.百日咳
3.破傷風
4.侵襲性髄膜炎菌感染症
5.Creutzfeldt-Jakob(クロイツフェルト・ヤコブ)病
解答1・4
解説
五類感染症の多くが7日以内の届出だが、影響の程度により、直ちに届け出る必要のある感染症(侵襲性髄膜炎菌感染症、風しん及び麻しん)、食中毒)が規定されている。
1.〇 正しい。麻しん(、風疹)は、診断後直ちに届け出る。なぜなら、空気感染する麻疹は感染力が強く、社会全体への影響が大きいため。
2.× 百日咳(ひゃくにちせき)は、7日以内に届け出る。症状は、風邪に似た症状(2週間程度) が起こり、その後、発作性の咳(2~3週間) 起こる。連続的な短い咳と息を吸うときにヒューと音のする発作が起こる。 少しずつ回復(2~3週間) 発作が減り、咳も次第におさまる。
3.× 破傷風は、7日以内に届け出る。破傷風菌を病原体とする人獣共通感染症の一つであり、 病原菌が産生する神経毒による急性中毒である。
4.〇 正しい。侵襲性髄膜炎菌感染症は、診断後直ちに届け出る。なぜなら、予防内服など迅速な対処が必要であるため。侵襲性髄膜炎菌感染症は、潜伏期間は2~10日(平均4日)で、発症は突発的である。 髄膜炎例では、頭痛、発熱、髄膜刺激症状の他、痙攣、意識障害、乳児では大泉門膨隆等を示す。
5.× Creutzfeldt-Jakob(クロイツフェルト・ヤコブ)病は、7日以内に届け出る。Creutzfeldt-Jakob(クロイツフェルト・ヤコブ)病とは、プリオン病と呼ばれるまれな疾患群のひとつである。初期には精神症状(健忘症、抑うつなど)、視覚障害、歩行障害、運動失調などで発症し、進行すると精神症状が急速に悪化し、高度の認知症に発展する。会話、自発語不能となり、四肢のミオクローヌスも特徴的所見である。様々な症状を呈して、多くは数ヶ月から半年以内、長くとも2年以内で死亡する。
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症予防法、感染症法、感染症新法)は、感染症の予防および感染症患者に対する医療に関する措置について定めた日本の法律である。平成10年(1998年)に制定された。主な内容は、①1~5類感染症の分類と定義、②情報の収集・公表、③感染症(結核を含む)への対応や処置。
【「感染症法」の対象となる感染症】
①1類感染症(7疾患:エボラ出血熱 ・クリミア・コンゴ出血熱・痘そう(天然痘) ・南米出血熱・ペスト・マールブルグ病・ラッサ熱)
対応:原則入院・消毒等の対物措置(例外的に建物への措置,通行制限の措置も適用対象とする)
②2類感染症(6疾患:・急性灰白髄炎(ポリオ)・結核 ・ジフテリア ・重症急性呼吸器症候群(SARS)・特定鳥インフルエンザ(H5N1, H7N9) ・中東呼吸器症候群(MERS))
対応:状況に応じて入院・消毒等の対物措置
③3類感染症(5疾患:・コレラ・細菌性赤痢・品管出血性大腸菌感染症(0157等)・腸チフス ・パラチフス)
対応:・特定職種への就業制限・消毒等の対物措置
④4類感染症(44疾患:※一部抜粋。・E型肝炎・A型肝炎 ・黄熱・Q熱・狂犬病・チクングニア熱・鳥インフルエンザ(特定鳥インフルエンザを除く)・炭疽 ・ボツリヌス症 ・マラリア ・野兎病・重症熱性血小板減少症候群(SFTS)・デング熱・ジカウイルス感染症・日本脳炎・その他感染症(政令で指定))
対応:・感染症発生状況の情報収集、分析とその結果の公開,提供・媒介動物の輸入規制・消毒等の対物措置
⑤5類感染症(46疾患:※一部抜粋。・インフルエンザ(鳥インフルエンザ・新型インフルエンザ等感染症を除く)・ウイルス性肝炎(E型・A型を除く)・クリプトスポリジウム症・後天性免疫不全症候群(AIDS)・性器クラミジア感染症 ・梅毒・麻疹・百日咳・メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症・その他感染症(省令で指定))
対応:・感染症発生状況の情報収集、分析とその結果の公開情報提供
34 学校保健における組織活動で適切なのはどれか。2つ選べ。
1.校長は学校保健活動を管理する。
2.学校保健計画は副校長が策定する。
3.保健主事は学校保健活動を総括する。
4.養護教諭は保健室経営計画を立案する。
5.学校保健委員会は地域との連携を推進する。
解答4・5
解説
1.× 学校保健活動を管理するのは、「校長」ではなく保健主事である。ちなみに、校長は、①学校保健計画および学校安全計画の指導、助言、決定、②定期・臨時健康診断の実施、③感染症、その疑いのある児童生徒等の出席停止を主に行う。校長と学校長は、同一意味である。一方で、保険主事は、①学校保健と学校全体の活動に関する調整、②学校保健計画の立案・作成、③学校保健に関する組織活動の推進、④保健に関する校内研修の企画を主に行う。
2.× 学校保健計画は、「副校長」ではなく校長が策定する。ちなみに、副校長は、校長を補佐する立場にある管理職である。学校保健計画は、学校保健の年間を見通した総合的な基本計画である。
3.× 学校保健活動を総括するのは、「保健主事」ではなく校長である。ちなみに、保健主事は、学校保健と学校全体の活動との調整・管理を行う立場にある。ちなみに、校長は、①学校保健計画および学校安全計画の指導、助言、決定、②定期・臨時健康診断の実施、③感染症、その疑いのある児童生徒等の出席停止を主に行う。校長と学校長は、同一意味である。一方で、保険主事は、①学校保健と学校全体の活動に関する調整、②学校保健計画の立案・作成、③学校保健に関する組織活動の推進、④保健に関する校内研修の企画を主に行う。
4.〇 正しい。養護教諭は、保健室経営計画を立案する。保健室経営計画は、学校保健計画を踏まえた上で、養護教諭が中心となって取り組む計画である。養護教諭は、主に保健室を職務の拠点としており、保健管理や保健教育、健康相談のほか、保健室経営計画の作成、備品の管理を行う。
5.〇 正しい。学校保健委員会は、地域との連携を推進する。学校保健委員会は、学校保健計画や学校安全計画などを協議し、学校における健康問題を協議し、家庭や地域社会と連携して健康づくりを 推進する組織である。メンバーは教職員のほか、保護者代表や保健センター、防災関係組織などが含まれており、地域との連携を推進する役割をもつ。
養護教諭とは、学校内で養護をつかさどる教員のことである。養教と略されることや、保健室の先生などと通称されることが多い。
①保健管理(救急処置、健康診断 等)
②保健教育、保健指導
③健康相談
④保健室経営
⑤保健組織活動
⑥学校保健計画・学校安全計画策定への参画
35 市では乳幼児健康診査の集団指導において、防災および災害対策についての普及啓発を図ることとした。
集団指導の内容で適切なのはどれか。2つ選べ。
1.風呂の水をためておく。
2.母子健康手帳を常時携帯する。
3.最低1日分の食料品を備えておく。
4.停電時にはブレーカーを入れておく。
5.非常用の持ち出し品はバッグに入れておく。
解答2・5
解説
防災の視点を入れて環境づくりをしましょう。高い所の作業や家具の移動など重いものは周囲の方の役目です。お願いをしましょう。
・災害時にすばやい動きができなくても安全な空間を作っておく。
・戸棚やタンス、冷蔵庫などを突っ張り棒などで固定。傾いたときに扉が開かないようにストッパーを付けるなど。
・薄い窓や家具のガラス部分に飛散防止フィルムを張る
・液晶テレビは揺れで動くので下に滑り止めを敷く
・釣り電球などのひもを大きく左右に揺れても割れないように短くする。
・浸水が心配な土地では非常用品や母子手帳やお薬手帳などの紙類、大事なものを高い所に置くことを検討してみる
(一部引用:「災害後の中長期的な母子保健対策マニュアル」厚生労働省HPより)
1.× 風呂の水は、「ためておく」のではなく抜いておく。なぜなら、乳幼児の事故予防において、溺死・溺水は1~4歳児の事故死の死因のひとつであるため。入浴後は、風呂の水を必ず抜いておくよう指導する。
2.〇 正しい。母子健康手帳を常時携帯する。なぜなら、母子健康手帳は、出生時の状況や成長発達の記録が記されているため。
3.× 「最低1日分」ではなく最低3日分程度の食料品を備えておく。なぜなら、避難所では、赤ちゃんの月齢や個々の状況に配慮した備蓄が十分にあるとは限らないため。特に、小さなお子さんが必要となる物資(食品、ミルク、衣類、おむつ、衛生材料など)が確実に入手できるには時間がかかることがある。赤ちゃんの月齢に合わせた、以下のような備えを日頃から準備しておく。
4.× 停電時にはブレーカーを「入れておく」のではなく落としておく。なぜなら、災害時に電化製品の火災に注意が必要であるため。熱を発する電化製品のコンセントを抜き、停電時はブレーカーを落とす。
5.〇 正しい。非常用の持ち出し品はバッグに入れておく。なぜなら、災害時には普段の生活で入手できたものができなくなることが考えられるため。いざというときに備え、非常用の持ち出し品はバッグに入れておく。特に、乳幼児がいる家庭では、一般的な非常用持ち出し品に加えて、「粉ミルク、哺乳瓶、市販の離乳食、おむつ、肌着・服、おしりふき、抱っこひも、おもちゃ(最低限)」など、子どもの年齢に合わせて準備をしておく。また、持ち出し品は妊婦が持てる重さは 5 キロが目安。一番大切なのは物より命を守ることである。リュックには名前、マタニティマークを付ける。