第105回(R4) 助産師国家試験 解説【午後21~25】

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21 死産に関わる届出について正しいのはどれか。

1.死産届は24時間以内に提出しなければならない。
2.死産届は死産のあった場所の都道府県知事に提出する。
3.死産の分娩に立ち会った場合は死胎検案書を作成する。
4.死産児を検案して異常を認めた場合は、所轄警察署に届け出る。

解答

解説

死産証書と死胎検案書の違い

妊娠満12週以後の死産の時に作成する。胎児と認め得ない場合や妊婦死亡の場合は作成不要である。
死産証書は医師が立ち合う場合であり、死胎検案書は立ち合わない場合に作成する。

1.2.× 死産届は「24時間以内」ではなく7日以内に提出しなければならない。死産届は死産のあった場所の「都道府県知事」ではなく市町村長に提出する。これは、死産の届出に関する規程の第四条「死産の届出は、医師又は助産師の死産証書又は死胎検案書を添えて、死産後七日以内に届出人の所在地又は死産があつた場所の市町村長(特別区の区長を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあつては、区長又は総合区長とする。以下同じ。)に届け出なければならない」と規定されている。(※一部引用:「死産の届出に関する規程」e-GOV法令検索様HPより)
3.× 死産の分娩に立ち会った場合は「死胎検案書」ではなく死産証書を作成する。死産証書は医師が立ち合う場合であり、死胎検案書は立ち合わない場合に作成する。
4.〇 正しい。死産児を検案して異常を認めた場合は、所轄警察署に届け出る。これは保健師助産師看護師法の41条「助産師は、妊娠4月以上の死産児を検案して異常があると認めたときは、24時間以内に所轄警察署にその旨を届け出なければならない」と規定されている(※一部引用「保健師助産師看護師法」法令リードより)。

 

 

 

 

 

22 平成30年度(2018年度)の雇用均等基本調査において、女性の育児休業取得率に最も近いのはどれか。

1.50%
2.65%
3.80%
4.95%

解答

解説

(※図引用:「育児・介護休業制度等に関する事項」厚生労働省HPより)

育児休業者割合

①女性:平成28年10月1日から平成29年9月30日までの1年間に在職中に出産した女性のうち、平成30年10月1日までに育児休業を開始した者(育児休業の申出をしている者を含む)の割合は82.2%と、前回調査(平成29年度83.2%)より1.0ポイント低下した。

②男性:平成28年10月1日から平成29年9月30日までの1年間に配偶者が出産した男性のうち、平成30年10月1日までに育児休業を開始した者(育児休業の申出をしている者を含む。)の割合は6.16%と、前回調査(平成29年度5.14%)より1.02ポイント上昇した。

(※参考:「育児・介護休業制度等に関する事項」厚生労働省HPより)

選択肢3.80%は、平成30年度(2018年度)の雇用均等基本調査において、女性の育児休業取得率に最も近い。女性:平成28年10月1日から平成29年9月30日までの1年間に在職中に出産した女性のうち、平成30年10月1日までに育児休業を開始した者(育児休業の申出をしている者を含む)の割合は82.2%と、前回調査(平成29年度83.2%)より1.0ポイント低下した。

 

 

 

 

23 胎児期の性器形成で正しいのはどれか。

1.男女ともにSRY遺伝子を持つ。
2.尿生殖溝の癒合にはアンドロゲンが関わる。
3.Müller<ミュラー>管が精巣上体に分化する。
4.卵管、子宮および腟は妊娠22週ころに形成される。
5.Wolff<ウォルフ>管の癒合部分が子宮の一部になる。

解答

解説
1.× 男女ともにSRY遺伝子を「持つ」のではなく持たない。SRY遺伝子とは、哺乳類のY染色体上にあり、胚の性別を雄(男)に決定する遺伝子である。SRY遺伝子は精巣決定因子ともいわれ、未分化性腺は精巣に分化する。
2.〇 正しい。尿生殖溝の癒合にはアンドロゲンが関わる。アンドロゲン(雄性ホルモン、男性ホルモン)とは、ステロイドの一種で、生体内で働いているステロイドホルモンのひとつである。アンドロゲンにはテストステロンとジヒドロテストステロン (dihydrotestosterone;DHT)があり、精巣の分化、機能、組織形成、さらに内性器・外性器の形成に重要な役割を果たす。
3.× Müller<ミュラー>管が「精巣上体に分化」せず「男・女で異なる」。Müller<ミュラー>管とは、旁中腎管ともいい、下等脊椎動物ではウォルフ管とともに中腎輸管から作られ、高等脊椎動物では体腔壁に由来する管である。女性では発達して輸卵管、子宮、腟などの付属生殖器官の基となる。男性では退化するが、代わりにウォルフ管が発達する。
4.× 卵管、子宮および腟は「妊娠22週ころ」ではなく「妊娠5週~11週頃ころ」である。なぜなら、妊娠5週~11週頃は器官形成期と呼ばれ、心臓、血管などの循環器や胃、腸の消化器、脳や脊髄の中枢神経の器官の原型が形成され始める時期であるため。
5.× Wolff<ウォルフ>管の癒合部分が「子宮の一部」ではなく「精巣上体・輸精管・精嚢」になる。Müller<ミュラー>管は雄では退化するが、代わりにWolff<ウォルフ>管が発達する。 Wolff<ウォルフ>管は、ライディッヒ細胞から分泌されるテストステロンが存在するとき精巣上体・輸精管・精嚢に分化し、存在しないとき退縮する。また、性腺の位置も胎児精巣由来ホルモンの有無に依存する。

 

 

 

 

 

24 新生児の皮膚の成熟度を評価するためにDubowiz法を用いた。
 項目と所見の組合せでより成熟度が高いのはどれか。

1.色:暗赤色
2.構造:羊皮紙様
3.足底部:しわがない
4.うぶ毛:背中全体に多数
5.透明度:腹壁に血管が見える

解答

解説

Dubowiz法とは?

Dubowiz法(デュボヴィッツ法)とは、姿勢・筋緊張・反射などの検査から新生児の全体的な反応をとらえ、中枢神経系の機能不全に対する早期診断法として有用である評価法である。「脳性麻痺リハビリテーションガイドライン」でも推奨グレードが高い。

1.× 色が暗赤色なのは「0点」である。ちなみに、1点:一様にピンク、2点:薄いピンク(部位により異なる)、3点:蒼白(耳、唇、手掌、足底)となる。
2.〇 正しい。構造が羊皮紙様(4点)なのは最も成熟度が高い。ちなみに、0点:ごく薄い(ゼラチン様)、1点:薄くてなめらか、2点:なめらか(厚さは中等度、発疹または表皮剥脱)、3点:わずかに厚い(表在性の亀裂と剥脱)となる。
3.× 足底部がしわがないのは「0点」である。ちなみに、1点:足底の前半分にかすかな赤い線、2点:前半分より広い領域にはっきりした赤い線、3点:前1/3より広い領域に陥没した線、4点:前1/3より広い領域にはっきりと深く陥没した線となる。
4.× うぶ毛が背中全体に多数なのは「1点」である。ちなみに、0点:なし、1点:背中全体に多数密生、2点:まばら、3点:少ない(うぶげのない部分あり)、4点:背中の少なくとも1/2はうぶげなしとなる。
5.× 透明度が腹壁に血管が見えるのは「2~3点」である。ちなみに、0点:多数の静脈(細静脈が明瞭)、1点:静脈とその交流が見える、2点:腹壁で数本の大きい血管がみえる、3点:腹壁で数本の大きい血管が不明瞭に見える、4点:血管がみえないとなる。

(※「Dubowiz法」竹田総合病院HPより)

 

 

 

 

25 1か月児健康診査時の予防接種に関する保健指導で正しいのはどれか。

1.「四種混合ワクチンは生後2か月から接種が可能です」
2.「インフルエンザ菌b型<Hib>ワクチンは定期接種です」
3.「生ワクチンと不活化ワクチンの同時接種はできません」
4.「初回肺炎球菌ワクチン接種後の発熱は経過観察可能です」
5.「不活化ワクチン接種後27日間は他のワクチンは接種できません」

解答

解説


1.× 四種混合ワクチンは、「生後2か月から」ではなく生後3か月から接種可能となる。四種混合ワクチンは、正式にはジフテリア・百日せき・破傷風・ポリオ混合ワクチンと呼ばれ、ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオの4つの病原菌に対する混合ワクチン製剤である。
2.〇 正しい。インフルエンザ菌b型<Hib>ワクチンは定期接種である。対象年齢は生後2か月から5歳に至るまでである。ちなみに、Hib感染症とは、ヘモフィルスインフルエンザ菌b型という細菌によって発生する病気で、そのほとんどが5歳未満で発生し、特に乳幼児で発生に注意が必要である。主に気道の分泌物により感染を起こし、症状がないまま菌を保有(保菌)して日常生活を送っている子どもも多くいる。
3.× 医師の判断により、生ワクチンと不活化ワクチンの同時接種することもある。ただし、定期接種実施要領において、異なるワクチンの接種間隔について、定期接種化されている生ワクチンについては接種後27 日以上、不活化ワクチンについては接種後6日以上の間隔をおくこと、とされている。
4.× 今回、1か月児健康診査時の予防接種と設定されている。肺炎球菌ワクチン接種は、生後2か月から接種可能である。ちなみに、小児用肺炎球菌ワクチンを接種すると、37.5℃以上の熱が出ることがある。熱は39℃以上にも及ぶことがある。発熱のほとんどは接種した当日や翌日に認められ、その多くは1~2日で下がるが、普段と様子が大きく異なるときや発熱が3日以上続くなど、心配な場合はかかりつけ医に相談する必要がある。
5.× 接種後27日間は他のワクチンが接種できないのは「不活化ワクチン」ではなく生ワクチンである。定期接種実施要領において、異なるワクチンの接種間隔について、定期接種化されている生ワクチンについては接種後27 日以上、不活化ワクチンについては接種後6日以上の間隔をおくこと、とされている。

 

 

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