21 1歳6か月児健康診査で確認するのはどれか。
1.丸を描ける。
2.自分の名前が言える。
3.一人でパンツが脱げる。
4.自分でコップを持って水が飲める。
5.ままごとなどのごっこ遊びができる。
解答4
解説
1~3.5.× 丸を描ける/自分の名前が言える/一人でパンツが脱げる/ままごとなどのごっこ遊びができるのは、3歳頃である。
4.〇 正しい。自分でコップを持って水が飲めるかどうかは、1歳6か月健康診査で確認する。
【1歳6か月】
・コップで水を飲む。
・スプーンを使って食べようとする。
・積み木を2~3個積むことができる。
・意味のある言葉を2~3語話す(パパ, ママ, ブーブー)。
・簡単な指示に従うことができる(おいで、○○をとって)。
・離乳が完了する。
【3歳】
・自分の名前を言う。
・簡単な文章を話す。
・指示に従う。
・物の大小や長短、色を区別できる。
・箸を持って食べる。
・手を洗う。
・ままごとやごっこ遊びをする。
22 乳児期の育児支援について検討するために、4か月児の保護者を対象にグループインタビューを実施した。
その結果から得られた事項で、プリシード・プロシードモデルの準備要因はどれか。
1.育児は楽しいと思う。
2.家事は夫婦で分担する。
3.子育てサークルに参加する。
4.かかりつけの小児科医がいる。
5.父親を対象とした育児教室に参加する。
解答1
解説
プリシード・プロシードモデルとは、グリーン(Green LW)とクルーター(Kreuter MW)によって開発されたヘルスプロモーション活動を展開するためのモデルの1つである。プリシード・プロシードモデルの目的は、人々の生活の質の向上であり、目的を達成するためには行動と環境をより良く変化させる必要がある。さまざまな健康行動理論を戦略的に配置し、保健活動を計画・実施・評価していく統合モデルである。住民のニーズを把握し、設定したテーマに関して地域全体を包括的に診断するプリシード(第1~4段階)部分と、診断に従って実施と評価を行うプロシード(第5~8段階)部分からなる。
(参考:「PRECEDE-PROCEEDモデル」広島山口ヘルスプロモーション様HPより)
・目的:乳児期の育児支援について検討する。
・対象:4か月児の保護者。
・方法:グループインタビュー。
→プリシード・プロシードモデルの準備要因とは、行動を起こす前の知識・態度・価値観をいう。
1.〇 正しい。育児は楽しいと思うのは、準備要因である。育児は楽しいと思うという育児に対する肯定的な感情は、行動を起こす前の知識・態度・価値観をいう。
2.× 家事は夫婦で分担するのは、強化要因である。強化因子とは、周りの人のサポート、行動後の満足感をいう。
3~5.× 子育てサークルに参加する/かかりつけの小児科医がいる/父親を対象とした育児教室に参加するのは、実現要因である。実現要因とは、行動の実現を助ける受け皿や身近の設備である。保健行動を実現するための地域資源の利便性や入手可能性、近接性などの環境条件が含まれる。
23 高齢者の医療の確保に関する法律に基づいて市町村が行う事業はどれか。
1.がん検診
2.歯周疾患検診
3.特定健康診査
4.就労者の定期健康診査
5.生活保護受給者の検診
解答3
解説
1~2.× がん検診/歯周疾患検診は、『健康増進法』に基づき市町村が健康増進事業として実施する。第19条の2に規定されており、①歯周病疾患検診、②骨粗しょう症検診、③肝炎ウイルス検診、④特定健康診査非対象者等に対する健康診査、⑤特定健康診査非対象者に対する保健指導、⑥がん検診を行う。ちなみに、健康増進法は、国民の健康維持と現代病予防を目的として制定された日本の法律である。
3.〇 正しい。特定健康診査は、高齢者の医療の確保に関する法律(高齢者医療確保法)に基づいて市町村が行う事業である。『高齢者の医療の確保に関する法律(高齢者医療確保法)』は、国民保健の向上および高齢者の福祉の増進を図ることを目的とする法律である。ちなみに、特定健康診査とは、40~74歳までの医療保険加入者を対象に実施されるものである。特定健診で行う検査は、主に①身体計測(身長・体重・BMI・腹囲)、②血中脂質検査(中性脂肪・HDLコレステロール・LDLコレステロール)、③肝機能検査(GOT・GPT・γ-GTP)、④血糖検査(空腹時血糖・HbA1c)、⑤尿検査(尿糖・尿蛋白)などである。
4.× 就労者の定期健康診査は、『労働安全衛生法』に基づき事業者の義務として行う。「労働安全衛生法」とは、労働者の安全と衛生についての基準を定めた日本の法律である。事業者は安全衛生管理体制を整備することが義務づけられており、それぞれの事業規模に応じた①衛生管理者、②総括安全衛生管理者などを選任しなければならない。
5.× 生活保護受給者の検診は、『生活保護法』に基づき行われる。保護の実施機関(都道府県知事、市長、福祉事務所を管理する町村長)が必要であると認めるときは、生活保護受給者に対して、保護の実施機関の指定する医師もしくは歯科医師の検診を受けるべき旨を命ずることができる。これは28条に規定されている。(※参考:「生活保護法」e-GOV法令検索様HPより)
生活保護制度は、『日本国憲法』25条の理念に基づき、生活困窮者
生活扶助:日常生活に必要な費用
住宅扶助:アパート等の家賃
教育扶助:義務教育を受けるために必要な学用品費
医療扶助:医療サービスの費用
介護扶助:介護サービスの費用
出産扶助:出産費用
生業扶助:就労に必要な技能の修得等にかかる費用
葬祭扶助:葬祭費用
【生活保護法の4つの基本原理】
①国家責任の原理:法の目的を定めた最も根本的原理で、憲法第25条の生存権を実現する為、国がその責任を持って生活に困窮する国民の保護を行う。
②無差別平等の原理:全ての国民は、この法に定める要件を満たす限り、生活困窮に陥った理由や社会的身分等に関わらず無差別平等に保護を受給できる。また、現時点の経済的状態に着目して保護が実施される。
③最低生活の原理:法で保障する最低生活水準について、健康で文化的な最低限度の生活を維持できるものを保障する。
④保護の補足性の原理:保護を受ける側、つまり国民に要請される原理で、各自が持てる能力や資産、他法や他施策といったあらゆるものを活用し、最善の努力をしても最低生活が維持できない場合に初めて生活保護制度を活用できる。
【4つの原則】
①申請保護の原則:保護を受けるためには必ず申請手続きを要し、本人や扶養義務者、親族等による申請に基づいて保護が開始。
②基準及び程度の原則:保護は最低限度の生活基準を超えない枠で行われ、厚生労働大臣の定める保護基準により測定した要保護者の需要を基とし、その不足分を補う程度の保護が行われる。
③必要即応の原則:要保護者の年齢や性別、健康状態等その個人又は世帯の実際の必要の相違を考慮して、有効且つ適切に行われる。
④世帯単位の原則:世帯を単位として保護の要否及び程度が定められる。また、特別な事情がある場合は世帯分離を行い個人を世帯の単位として定めることもできる。
(※参考:「生活保護制度」厚生労働省HPより)
(※参考:「生活保護法の基本原理と基本原則」室蘭市HPより)
24 市では、生活習慣病のハイリスク者である40歳から60歳でBMI 25以上の者を対象に、行動変容を促し肥満を改善することを目的として、毎週1回、1クール6回の生活習慣病予防教室を開催した。
アウトカム評価のための指標はどれか。
1.各回の参加率
2.参加者の満足度
3.運営にかかった費用
4.教室を担当した職員数
5.参加者の6か月後のBMI
解答5
解説
目的:行動変容を促し肥満の改善。
対象:生活習慣病のハイリスク者である40歳から60歳でBMI 25以上の者。
手段:毎週1回、1クール6回の生活習慣病予防教室を開催。
→アウトカム評価(成果評価)とは、事業の目的を達成したかどうかの最終的な成果を判断するものである。例:参加者の6か月後のBMI値、糖尿病の治療継続者の割合、腹囲の減少率、参加者の運動回数 等。
1~2.4.× 各回の参加率/参加者の満足度/教室を担当した職員数はプロセス評価(実施評価)である。プロセス評価(実施評価)とは、事業の手順や実施過程、活動状況の妥当性を評価するものであり、例えば、事業参加者の募集方法、健康診査の従事者数・受診者数,事業の実施内容等があげられる。
3.× 運営にかかった費用はストラクチャー評価(企画評価)である。ストラクチャー評価(企画評価)とは、事業を実施するための仕組みや体制を評価するものであり、例えばマンパワー、予算、会場の状況、関係機関との連携体制 等があげられる。
5.〇 正しい。参加者の6か月後のBMIは、アウトカム評価のための指標である。アウトカム評価(成果評価)とは、事業の目的を達成したかどうかの最終的な成果を判断するものである。例:参加者の6か月後のBMI値、糖尿病の治療継続者の割合、腹囲の減少率、参加者の運動回数 等である。
①ストラクチャー評価(企画評価):事業を実施するための仕組みや体制を評価するもの。
例:マンパワー、予算、会場の状況、関係機関との連携体制 等。
②プロセス評価(実施評価):事業の手順や実施過程、活動状況の妥当性を評価するもの。
例:事業参加者の募集方法、健康診査の従事者数・受診者数,事業の実施内容等。
③アウトプット評価:事業実施過程と参加状況などから直接生じた結果(数や量)を評価するもの。
④アウトカム評価(成果評価):事業の目的を達成したかどうかの最終的な成果を判断するもの。
例:参加者の6か月後のBMI値、糖尿病の治療継続者の割合、腹囲の減少率、参加者の運動回数 等。
25 地域ケアシステムの発展過程で、第1段階に含まれる活動内容はどれか。
1.ケアサービスの量的拡大
2.住民の健康課題とニーズの把握
3.地域課題に必要なケアシステムの予算確保
4.ケアサービスの質向上のための定期的な会議の開催
5.地域ケアシステムの運営に必要なマンパワーの確保
解答2
解説
(図引用:「地域包括ケアシステムの構築に向けて都道府県と市町村に求められる役割」厚生労働省HPより)
地域ケアシステムとは、住民が住み慣れた地域で暮らせるようにケアシステムを構築することである。高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で生活を継続することができるよう、包括的な支援・サービス提供体制の構築を目指すものである。この地域包括ケアシステムが効果的に機能するために、「4つの助(自助・互助・共助・公助)」の考え方が連携し、課題解決に向け取り組んでいく必要がある。
第1段階:フォーマルなサービスの充実。
第2段階:関係機関及び地域住民の組織化。
第3段階:地域での支援のネットワーク化。
1.× ケアサービスの「量的拡大」ではなく質的拡大を目指していく。ケアサービスの「量的拡大」が起こると、質の担保ができず事故を起こす恐れが高まる。
2.〇 正しい。住民の健康課題とニーズの把握は、第1段階の「フォーマルなサービスの充実」である。生活の基盤として必要な住まいが設備され、本人の希望にかなった住まい方が確保されていることが地域包括ケアシステムの前提である。第1段階は、⼼⾝の能⼒の低下、経済的理由、家族関係の変化などでも尊厳ある⽣活が継続できるよう⽣活⽀援を⾏う。⽣活⽀援には、⻝事の準備など、サービス化できる⽀援から、近隣住⺠の声かけや⾒守りなどのインフォーマルな⽀援まで幅広く、担い⼿も多様で、⽣活困窮者などには、福祉サービスとしての提供も実施する。
3.× 地域課題に必要なケアシステムの予算確保は、地域ケアシステムの発展過程の前準備段階(計画段階)である。活動の予算を確保してから、第1段階であるフォーマルなサービスの充実にあたる。
4.× ケアサービスの質向上のための定期的な会議の開催は、第3段階の「地域での支援のネットワーク化」である。なぜなら、ケアサービスの質向上のための定期的な会議は、サービス同士の支援ネットワークを強化することによってケアの質を向上させることが目的であるため。
5.× 地域ケアシステムの運営に必要なマンパワーの確保は、第2段階の「関係機関および地域住民の組織化」である。マンパワーとは、「人間の労働力」である。もう少し砕けた言い方では「人手」、よりかたい言い方では「投入できる人的資源」という意味である。