1 A市の世帯構造別にみた世帯の割合を図に示す。
平成28(2016 年)の国民生活基礎調査に基づく全国の割合と比較して、A市が高いのはどれか。
1.単独世帯
2.夫婦のみの世帯
3.夫婦と未婚の子のみの世帯
4.三世代世帯
解答1
解説
2019(令和元年)6月6日現在における全国の世帯総数は 5178万5千世帯となっている。世帯構造をみると、「単独世帯」が 1490万7千世帯(全世帯の28.8%)で最も多く、次いで「夫婦と未婚の子のみの世帯」が1471万8千世帯(同 28.4%)、「夫婦のみの世帯」が1263万9千世帯(同 24.4%)となっている。世帯類型をみると、「高齢者世帯」は1487万8千世帯(全世帯の 28.7%)となっている。
(引用:「結果の概要」厚生労働省HPより)
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1.〇 正しい。単独世帯は、全体の28.8%である。A市は35%であり全国と比較して高くなっている。
2.× 夫婦のみの世帯は、全体の24.4%である。A市の22%である。
3.× 夫婦と未婚の子のみの世帯は、全体の28.4%である。A市の28%である。
4.× 三世代世帯は、全体の5.1%である。A市の4%である。
(※データ引用:厚生労働省HPより「2019年 国民生活基礎調査の概要」)
2 感染症を含む国際的な公衆衛生上の緊急事態を構成する恐れのある事象が発生した場合、世界保健機関(WHO)に報告することを参加国に義務づけているのはどれか。
1.パリ協定
2.バンコク憲章
3.国際保健規則
4.ニュルンベルク綱領
解答3
解説
気候変動枠組条約(1992年):①大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させることが目的である。②先進国は1990年代末まで温室効果ガス排出量を1990年レベルまで戻す(努力目標)。③国際連合環境開発会議(地球サミット)で155か国が署名している。
京都議定書(1997年):①先進国の温室効果ガス排出量の削減目標を定めた。②法的拘束力のある数値目標を国ごとに設定(先進国が対象)。③日本のCO2削減目標は、1990年比で6%減。④日本は1990年比8.4%減で目標の6%減を達成。
パリ協定(2015年):①世界共通の長期目標として産業革命前からの気温上昇を2℃未満に(努力目標は1.5℃)。②主要排出国を含む参加するすべての国が削減目標を5年ごとに提出・更新。③日本は2030年度の温室効果ガス削減目標を2013年度比で26.0%減として国連気候変動枠組条約事務所に登録。
(※参考:「気候変動の国際交渉|関連資料」環境省HPより)
1.× パリ協定とは、2020年以降の地球温暖化対策に関する国際的な協定である。①世界共通の長期目標として産業革命前からの気温上昇を2℃未満に(努力目標は1.5℃)。②主要排出国を含む参加するすべての国が削減目標を5年ごとに提出・更新する。③日本は2030年度の温室効果ガス削減目標を2013年度比で26.0%減として国連気候変動枠組条約事務所に登録する。
2.× バンコク憲章とは、第6回ヘルスプロモーション国際会議で採択された健康づくりに関する憲章である。国際化した社会での「健康の決定要因」への対処を述べている。オタワ憲章で確立され、それに続くヘルスプロモーションに関する国際会議で推奨されたヘルスプロモーションの価値、原理そして活動戦略を補足し組み立てたものである。これは世界中の活動家や実践家たちによって共有されたものであり、WHO(世界保健機関)の中の加盟国によって承認されたものである。
3.〇 正しい。国際保健規則は、感染症を含む国際的な公衆衛生上の緊急事態を構成する恐れのある事象が発生した場合、世界保健機関(WHO)に報告することを参加国に義務づけている。国際保健規則とは、感染症を含む国際的な公衆衛生上の緊急事態に対処するために定められた世界保健機関(WHO)の規則である。各国に対して緊急事態発生時の世界保健機関(WHO)への連絡・情報共有や緊急事態への対応などの体制整備を義務づけている。
4.× ニュルンベルク綱領とは、医学的研究のための被験者の意思と自由を保護するガイドラインである。ニュルンベルク裁判で問題とされた人体実験において遵守されるべき基本原則を定めた倫理綱領である。1947年に提示された、研究目的の医療行為を行うにあたって厳守すべき10項目の基本原則である。後にヘルシンキ宣言として人を対象とする研究の倫理指針につながった。
ヘルスプロモーション(健康教育)は、「人々が自らの健康とその決定要因をコントロールし、改善することができるようにするプロセス」と定義される。①健康な公共政策づくり、②健康を支援する環境づくり、③地域活動の強化、④個人技術の開発、⑤ヘルスサービスの方向転換などが挙げられる。保健部門だけの責任にとどまらず、人々のライフスタイルや生活の質(QOL)にかかわるものであり、個人の能力だけでなく環境の整備も含まれる。オタワ憲章(1986年)で提唱され、日本では、健康日本21(2000年)で基本理念に取り入れられている。
①健康的な公共政策づくり:健康は、人々の暮らしを支えている公共政策(道や諸施設、衛生上欠かせない上下水道の整備など)によって保証されるため、公共政策そのものを健康的なものにする必要がある。
②健康を支援する環境づくり:環境(ハード・ソフト面)を整備することで、住民一人ひとり健康づくりを支援する。
③地域活動の強化:住民組織を活性化することで健康づくりを地域での住民活動を強化するような働きかけを行う。
④個人技術の開発:住民一人ひとり、そして専門家が、健康づくりに取り組むために必要な技術を身につけられるような働きかけや取り組みを行う。
⑤ヘルスサービスの方向転換:これまで疾病対策として実施されてきた事業(ヘルスサービス)を、より積極的に健康づくりの場としてとらえ見直しを行う。
世界保健機関とは、「全ての人々が可能な最高の健康水準に到達すること」を目的として設立された国連の専門機関である。
設置年:昭和23(1948)年
本部:ジュネーブ(スイス)
協力形態:多国間交流
事業内容:発展途上国への国際保健協力、感染症およびその他の疾病(エイズ・結核・マラリア等)の撲滅
備考:①WHOの構成組織である地域的機関は、6つ(アフリカ、アメリ
(※参考:「日本とWHO」厚生労働省HPより)
3 結核に対する特異的予防はどれか。
1.栄養改善
2.再発予防
3.BCG 接種
4.重症化予防
解答3
解説
肺結核とは、結核菌による感染症で、体の色々な臓器に起こることがあるが多くは肺のことである。結核菌は、喀痰の中に菌が出ている肺結核の患者と密閉空間で長時間(一般的には数週間以上)接触することにより空気感染でうつる。リンパ節結核や脊椎カリエス(骨の結核)など、肺に病気のない結核患者からはうつらない。また肺結核でも、治療がうまくいって喀痰の中に菌が出ていない患者さんからはうつることはない。また、たとえ感染しても、発病するのはそのうち1割ぐらいといわれており、残りの9割の人は生涯何ごともなく終わる。感染してからすぐに発病することもあるが、時には感染した後に体の免疫が働いていったん治癒し、その後数ヶ月から数十年を経て、免疫が弱ったときに再び結核菌が増えて発病することもある。結核の症状には、咳、痰、血痰、熱、息苦しさ、体のだるさなどがある。
1.× 栄養改善は、一次予防である。非特異的予防であり、健康増進・疾病予防に分類される。
2.4.× 再発予防/重症化予防は、三次予防である。疾病の悪化防止になる。
3.〇 正しい。BCG接種(予防接種)は、結核に対する特異的予防である。一次予防にあたる。一次予防とは、「生活習慣を改善して健康を増進し、生活習慣病等を予防すること」疾病の発生を未然に防ぐ行為である。①健康増進と②特異的予防に分かれる。①健康増進には生活習慣の改善(生活環境改善、適切な食生活、運動・活動の励行、適正飲酒、禁煙、ストレス解消、介護予防など)。②特異的予防は、予防接種、事故防止、職業病対策、公害防止対策などがある。ちなみに、BCGワクチン(BCG接種)とは、ウシ型結核菌の実験室培養を繰り返して作製された細菌、および、それを利用した結核に対する生ワクチンである。1歳まで(標準として生後5か月から8か月まで)に1回接種する。主に小児の結核の発症・重症化予防に効果があるとされている。
疾病の進行段階に対応した予防方法を一次予防、二次予防、三次予防と呼ぶ。
一次予防:「生活習慣を改善して健康を増進し、生活習慣病等を予防すること」疾病の発生を未然に防ぐ行為。①健康増進と②特異的予防に分かれる。①健康増進には生活習慣の改善(生活環境改善、適切な食生活、運動・活動の励行、適正飲酒、禁煙、ストレス解消、介護予防など)。②特異的予防は、予防接種、事故防止、職業病対策、公害防止対策などがある。
二次予防:「健康診査等による早期発見・早期治療」
三次予防:「疾病が発症した後、必要な治療を受け、機能の維持・回復を図ること」と定義している。(※健康日本21において)
4 キャッスル(Kasl,S.V.)とコブ(Cobb,S.)による保健行動の3分類に基づく、病気対処行動はどれか。
1.禁煙する。
2.がん検診を受ける。
3.家族に体調不良を相談する。
4.スイミングスクールに通う。
解答3
解説
保健医療行動とは、「人々がウェルビーイングで自分の人生を全うするために行う行動全般」である。従来の保健医療行動は、キャスルとコブ(Kasl, S. V. and Cobb, S. 1966)が示した 3 分類、すなわち、症状のない状態における病気予防を目的とする保健行動、症状を経験した後の病気対処行動、回復を目指して行われる病者役割行動と考えられてきた。
①健康増進行動:健康な状態にある人が、健康の保持や増進を目的に行う行動のこと。
②予防的保健行動:自覚症状はないが、病気につながる行動を避けたり、病気に対する予防措置をとったりする行動のこと。
③病気回避行動:病気の状態ではないものの、放置すると病気になるリスクに気づき、病気にならないように回避しようとする行動のこと。
④病気対処行動:病気の状態に気づき、その解決目指してとる行動のこと。
(※参考:「保健医療行動とは」日本保健医療行動科学会HPより)
1.× 禁煙することは、④病気回避行動である。病気回避行動とは、病気の状態ではないものの、放置すると病気になるリスクに気づき、病気にならないように回避しようとする行動のことである。
2.× がん検診を受けることは、②予防的保健行動である。予防的保健行動とは、自覚症状はないが、病気につながる行動を避けたり、病気に対する予防措置をとったりする行動のことのことである。
3.〇 正しい。家族に体調不良を相談することは、病気対処行動となる。病気回避行動とは、病気の状態ではないものの、放置すると病気になるリスクに気づき、病気にならないように回避しようとする行動のことである。家族への相談も含まれる。
4.× スイミングスクールに通うことは、①健康増進行動である。健康増進行動とは、健康な状態にある人が、健康の保持や増進を目的に行う行動のことである。
5 Aさん(68歳、女性)。市の健康課の窓口に来庁した。Aさんは「隣人が毎日、自宅にやってきて同じ話を繰り返しています。同居する娘さんからは認知症の薬を飲んでいると聞いています。隣人のことが気になり眠れないことがあります」と話した。
Aさんへの保健師の最初の声かけで正しいのはどれか。
1.「認知症サポーター養成講座を受けてください」
2.「ご家族以外の方からの相談は受けられません」
3.「地域包括支援センターで相談してください」
4.「睡眠の状況を教えていただけますか」
解答4
解説
・Aさん(68歳、女性)。
・市の健康課の窓口に来庁。
・Aさん「隣人が毎日、自宅にやってきて同じ話を繰り返しています。同居する娘さんからは認知症の薬を飲んでいると聞いています。隣人のことが気になり眠れないことがあります」と話した。
→Aさんの隣人トラブルである。隣人は、認知症の服薬をしていることから認知症が疑われ、その行動はAさんが不眠状態になっている。まずは、Aさんの健康状態を確認することで信頼関係を築き、隣人トラブルへの支援をしていく。
1.× 「認知症サポーター養成講座を受けてください」と勧めるのは時期尚早である。認知症サポーター養成講座とは、地域や職域において認知症の人と家族を支える認知症サポーターを養成することを目的とする。Aさんは市の健康課の窓口に来て、「隣人のことが気になり眠れない」ことが主訴で、Aさんの自分自身の健康の相談をしに来ている。
2.× 「ご家族以外の方からの相談は受けられません」と伝える必要はない。Aさんは市の健康課の窓口に来て、「隣人のことが気になり眠れない」ことが主訴である。Aさんの自分自身の健康の相談である。
3.× 「地域包括支援センターで相談してください」と勧めるのは時期尚早である。地域包括支援センターとは、介護保険法に基づき各市町村によって設置されており、地域の高齢者の医療・福祉・介護・虐待など様々な事柄に関する相談窓口となっている。
4.〇 正しい。「睡眠の状況を教えていただけますか」は、Aさんへの保健師の最初の声かけで正しい。なぜなら、Aさんの主訴「隣人のことが気になって眠れない」と言っており、Aさんの具体的な生活状況を確認できるため。