11 うつ病で休職中の人が活用できるのはどれか。
1.リワーク支援
2.就労移行支援
3.就労継続支援
4.就労定着支援
解答1
解説
復職支援プログラムとは、リワークプログラムや職場復帰支援プログラムともいう。リワークとは、「return to work」の略語。気分障害などの精神疾患を原因として休職している労働者に対し、職場復帰に向けたリハビリテーション(リワーク)を実施する機関で行われているプログラムである。
【医療リワークプログラムの実施形態の定義】
(1)個人プログラム:文字や数字、文章を扱う。机上での作業を一人で行い、集中力や作業能力の確認、向上を図る
(2)特定の心理プログラム:認知行動療法やグループカウンセリングなど、特定の心理療法を実施
(3)教育プログラム:症状の自己理解を主目的とし、主に講義形式で病気について学ぶ
(4)集団プログラム:実際に役割分担をしての共同作業などを行い、対人スキルの向上などを目指す
(5)その他のプログラム:運動、個人面談等、(1)~(4)のいずれにも該当しないプログラム
(※引用:「リワークプログラムについて」日本うつ病リワーク協会様HPより)
1.〇 正しい。リワーク支援は、うつ病で休職中の人が活用できる。リワーク支援とは、うつ病などの精神疾患により休職した人を対象として職復帰支援を行うプログラムである。うつ病などで休業している人や休職と復職を繰り返している人に対して、復職への準備として、実際の仕事で使うスキル(パソコン操作やプレゼンテーションなど)に慣れていくためのプログラムを提供して、円滑に復職できるようにするものである。
2.× 就労移行支援は、一般企業への就労を希望する障害者を対象とした必要な知識・能力の向上のために必要な訓練をいう。一般就労等への移行に向けて、事業所内や企業における作業や実習、適性に合った職場探し、就労後の職場定着のための支援等を実施。通所によるサービスを原則としつつ、個別支援計画の進捗状況に応じ、職場訪問等によるサービスを組み合わせ。③利用者ごとに、標準期間(24ヶ月)内で利用期間を設定する。
3.× 就労継続支援は、一般企業での就労が困難な障害者を対象とした働く場の提供および知識・能カの向上のために必要な訓練をいう。通所により、雇用契約に基づく就労の機会を提供するとともに、一般就労に必要な知識、能力が高まった者について、一般就労への移行に向けて支援。一定の範囲内で障害者以外の雇用が可能。多様な事業形態により、多くの就労機会を確保できるよう、障害者の利用定員10人からの事業実施が可能。
4.× 就労定着支援は、一般就労へ移行した障害者を対象とした就労継続のための、事業所や医療機関との連絡調整などの支援をいう。労移行支援、就労継続支援などの利用を経て、通常の事業所に新たに雇用され6か月を経過したもので3年が限度である。障害者の就労や、就労に伴って生じている生活面での課題を解決し、長く働き続けられるようにサポートする。就労に伴う環境変化などの課題解決(①生活リズム、②家計や体調の管理など)に向けて、必要な連絡調整や指導・助言などの支援を実施する。
①就労移行支援事業:利用期間2年
【対象者】一般就労等を希望し、知識・能力の向上、実習、職場探し等を通じ、適性に合った職場への就労等が見込まれる障害者(65歳未満の者)①企業等への就労を希望する者
【サービス内容】一般就労等への移行に向けて、事業所内や企業における作業や実習、適性に合った職場探し、就労後の職場定着のための支援等を実施。通所によるサービスを原則としつつ、個別支援計画の進捗状況に応じ、職場訪問等によるサービスを組み合わせ。③利用者ごとに、標準期間(24ヶ月)内で利用期間を設定する。
②就労継続支援A型(雇用型):利用期限制限なし
【対象者】就労機会の提供を通じ、生産活動にかかる知識及び能力の向上を図ることにより、雇用契約に基づく就労が可能な障害者。(利用開始時、65歳未満の者)
① 就労移行支援事業を利用したが、企業等の雇用に結びつかなかった者
② 特別支援学校を卒業して就職活動を行ったが、企業等の雇用に結びつかなかった者
③ 企業等を離職した者等就労経験のある者で、現に雇用関係がない者
【サービス内容】通所により、雇用契約に基づく就労の機会を提供するとともに、一般就労に必要な知識、能力が高まった者について、一般就労への移行に向けて支援。一定の範囲内で障害者以外の雇用が可能。多様な事業形態により、多くの就労機会を確保できるよう、障害者の利用定員10人からの事業実施が可能。
③就労継続支援B型(非雇用型):利用制限なし
【対象者】就労移行支援事業等を利用したが一般企業等の雇用に結びつかない者や、一定年齢に達している者などであって、就労の機会等を通じ、生産活動にかかる知識及び能力の向上や維持が期待される障害者
① 企業等や就労継続支援事業(A型)での就労経験がある者であって、年齢や体力の面で雇用されることが困難となった者
② 就労移行支援事業を利用したが、企業等又は就労継続事業(A型)の雇用に結びつかなかった者
③ ①、②に該当しない者であって、50歳に達している者、又は試行の結果、企業等の雇用、就労移行支援事業や就労継続支援事業(A型)
の利用が困難と判断された者
【サービス内容】
通所により、就労や生産活動の機会を提供(雇用契約は結ばない)するとともに、一般就労に必要な知識、能力が高まった者は、一般就労等への移行に向けて支援。平均工賃が工賃控除程度の水準(月額3,000円程度)を上回ることを事業者指定の要件とする。事業者は、平均工賃の目標水準を設定し、実績と併せて都道府県知事へ報告、公表。
(引用:「就労移行支援について」厚生労働省様HPより)
12 健康危機の発生の未然防止に該当するのはどれか。
1.緊急相談窓口の設置
2.感染症サーベイランス
3.避難行動要支援者の把握
4.心的外傷後ストレス障害(PTSD)のある人への支援
解答2
解説
平成13年に定められた「厚生労働省健康危機管理基本指針」によれば、健康危機管理とは、「医薬品、食中毒、感染症、飲料水その他何らかの原因により生じる国民の生命、健康の安全を脅かす事態に対して行われる健康被害の発生予防、拡大防止、治療等に関する業務であって、厚生労働省の所管に属するものをいう。」とされている。
この定義における「その他何らかの原因」の中には、阪神・淡路大震災や有珠山噴火のような自然災害、和歌山市毒物混入カレー事件のような犯罪、JCOによる東海村臨界事故のような放射線事故、健康被害は発生しなかったがその可能性が心配されたコンピュータ西暦2000年問題等、様々な原因の健康危機事例が含まれること、また、サリン事件のような化学兵器や毒劇物を使用した大量殺傷型テロ事件が発生した場合にも対処を求められる可能性があることにも留意する必要がある。すなわち、不特定多数の国民に健康被害が発生又は拡大する可能性がある場合には、公衆衛生の確保という観点から対応が求めれられているということである。(引用:「地域における健康危機管理について~地域健康危機管理ガイドライン~」厚生労働省HPより)
1.× 緊急相談窓口の設置は、健康危機発生後に行われる。緊急相談窓口の設置とは、「救急要請すべきか」、「医療機関へ行くべきか」などの市民の救急相談にこたえるため、消防機関と医療機 関とが連携して医師、看護師等の相談員を24時間365日体制で配置する救急相談窓口を設置し、共通の短縮ダイヤル(#7119)により市民からの救急相談に対応するものである。
2.〇 正しい。感染症サーベイランスは、健康危機の発生の未然防止に該当する。感染症サーベイランスとは、感染症の発生状況を調査・集計することにより、感染症の蔓延と予防に役立てるシステムのことである。感染症法(第12条及び第14条)に基づき、診断医療機関から保健所へ届出のあっ た情報について、保健所から都道府県庁、厚生労働省を結ぶオンラインシステ ムを活用して収集し、専門家による解析を行い、国民、医療関係者へ還元(提供・公開)することで、感染症に対する有効かつ的確な予防対策を図り、多様な感染症の発生・拡大を防止するものとなっている。患者の発生情報を統一的な手法で持続的に収集・分析し得られた情報を「疾病の予防と対策」のために迅速に還元するものである。
3.× 避難行動要支援者の把握は、健康危機発生前に行われる。避難行動要支援者の把握とは、健康危機発生時に適切な避難ができるように準備することである。
4.× 心的外傷後ストレス障害(PTSD)のある人への支援は、健康危機発生後に行われる。心的外傷後ストレス障害(PTSD)は、大規模な災害や事故の現場、他人の悲惨な死など、心理的に大きなストレスを受ける状況下に居合わせた場合、1か月以上心的外傷による障害が持続した場合に生じる。典型的な症状として、①感覚や情動の鈍化、②心的外傷を想起するような状況の回避、③再現的で侵入的な回想(フラッシュバック)や悪夢、④過覚醒、⑤驚愕反応の亢進などが認められる。
感染症サーベイランスとは、感染症の発生状況を調査・集計することにより、感染症の蔓延と予防に役立てるシステムのことである。感染症法(第12条及び第14条)に基づき、診断医療機関から保健所へ届出のあっ た情報について、保健所から都道府県庁、厚生労働省を結ぶオンラインシステ ムを活用して収集し、専門家による解析を行い、国民、医療関係者へ還元(提供・公開)することで、感染症に対する有効かつ的確な予防対策を図り、多様な感染症の発生・拡大を防止するものとなっている。患者の発生情報を統一的な手法で持続的に収集・分析し得られた情報を「疾病の予防と対策」のために迅速に還元するものである。
(参考:「サーベイランスについて」厚生労働省HPより)
13 地域における結核の個別患者支援計画で週1、2回の服薬確認が適切と判断する患者特性はどれか。
1.結核の既往がある。
2.要介護4の独居高齢者である。
3.アルコール依存症患者である。
4.診断時、住所不特定者であった。
解答2
解説
DOTS(直接服薬確認療法)とは、患者が適切な容量の薬を服用するところを医療従事者が目の前で確認し、治癒するまでの経過を観察する治療方法である。結核は6か月間きちんと薬を服用すれば、完全に治すことの出来る病気であるが、症状が見られなくなったことを理由に服薬を止めてしまう患者が少なくない。治療の途中で服薬をやめてしまうと、結核菌が抵抗力を持った耐性菌となったり、時には薬が全く効かない多剤耐性菌になってしまったりと、様々な問題を引き起こす可能性がある。こうした状況を防ぎ、完璧な治癒を保証する方法がDOTS(直接服薬確認療法)である。
【退院後・通院中の地域DOTSの実施】
①原則毎日:治療中断リスクが高い患者
例:住所不定者、アルコール依存者、治療中断歴のある者、薬物依存者、再発患者など
②週1~2回以上:服薬支援が必要な患者
例:高齢者など(要介護、独居など)
③月1~2回以上:①、②以外の患者
(参考:「結核患者に対するDOTS(直接服薬確認療法)の推進について」岩手県庁HPより)
1.3~4.× 結核の既往がある場合/アルコール依存症患者である場合/診断時、住所不特定者であった場合(再発患者:治療中断リスクが高い患者)は、原則毎日の服薬確認が必要である。
2.〇 正しい。要介護4の独居高齢者(介護を必要とする在宅高齢者や独居高齢者)は、地域における結核の個別患者支援計画で週1、2回の服薬確認が適切と判断する患者である。服薬支援が必要であり、週1~2回以上の服薬確認が必要である。
個別患者支援計画とは、治療開始から終了に至るまでの一連の患者支援について示したもので、退院後の具体的な服薬支援方法を計画する。
14 保健師は市の防災担当部署と協力して避難訓練を行うこととした。
訓練の対象として優先的に声をかけるのはどれか。
1.子育てサークルのメンバー
2.転入して1年以内の住民
3.高齢者施設の入居者
4.被災経験のある住民
解答2
解説
・避難訓練の目的:「火災発生時、効果的な初動活動ができるようになる」。
・消防隊到着までの迅速・的確な自衛消防活動が火災による被害を最小限にすることにつながる。
(※参考:「避難訓練マニュアル」柏崎市消防本部より)
1.× 子育てサークルのメンバーより優先度が高いものが選択肢の中にある。あえて、子育てサークルのメンバーを優先的にする必要はないが、もちろん子育てサークルのメンバーの参加も促す必要がある。
2.〇 正しい。転入して1年以内の住民が最も優先度が高い。なぜなら、転入して1年以内の住民は、地域の実情を知り得ないため火災発生時、効果的な初動活動が行えない可能性が高いため。避難訓練に参加することは地域の実情に合わせた避難方法を把握できるだけでなく、他の住民とのつながりをもつ機会になる。
3.× 高齢者施設の入居者より優先度が高いものが選択肢の中にある。なぜなら、施設での防災訓練が行われるため。これは消防法8条に規定されている。
4.× 被災経験のある住民より優先度が高いものが選択肢の中にある。なぜなら、被災経験のある住民は、地域の実情や災害時の状況を理解できていることが多いため。
学校、病院、工場、事業場、興行場、百貨店(これに準ずるものとして政令で定める大規模な小売店舗を含む。以下同じ。)、複合用途防火対象物(防火対象物で政令で定める2以上の用途に供されるものをいう。以下同じ。)その他多数の者が出入し、勤務し、又は居住する防火対象物で政令で定めるものの管理について権原を有する者は、政令で定める資格を有する者のうちから防火管理者を定め、当該防火対象物についで消防計画の作成、当該消防計画に基づく消火、通報及び避難の訓練の実施、消防の用に供する設備、消防用水又は消火活動上必要な施設の点検及び整備、火気の使用又は取扱いに関する監督、避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理並びに収容人員の管理その他防火管理上必要な業務を行なわせなければならない。
15 学校環境衛生について正しいのはどれか。
1.検査には下水道に係る項目がある。
2.学校医は環境衛生検査に従事する。
3.学校保健委員会は環境衛生の管理に責任を持つ。
4.感染症の発生の恐れがあるときは臨時検査を行う。
解答4
解説
1.× 検査には、「下水道」はなく上水道に係る項目がある。上水道に関する検査項目(飲料水:遊離残留塩素0.1mg/L以上、大腸菌の検出なし等)や雨水の排水設備(排水の施設・設備の管理)に関する検査項目はある。
2.× 環境衛生検査(定時・臨時)に従事するのは、「学校医」ではなく学校薬剤師が行う。学校医の主な業務として、①学校保健計画・学校安全計画立案への参与、②必要に応じ、保健管理に関する専門的事項の指導、③健康相談、④保健指導、⑤健康診断(定期・臨時・就学時)、職員の健康診断、⑥疾病予防処置、⑦感染症の予防に関する指導・助言、感染症および食中毒予防処置、⑧救急処置、⑨学校の環境衛生の維持および改善の指導・助言があげられる。一方で、学校薬剤師は、学校医の職務①②③④⑨に加え、「定期、臨時の環境衛生検査への従事」と「学校で使用する医薬品、毒物、保健管理に必要な用具および材料の管理に関する必要な助言と指導」があげられる。
3.× 環境衛生の管理に責任を持つのは、「学校保健委員会」ではなく学校の設置者である。他にも学校の設置者は、①臨時休業の決定(感染症の予防上、必要なとき)、②職員の健康診断があげられる。一方、学校保健委員会は、学校保健計画や学校安全計画などを協議し、学校における健康づくりを推進する組織である。メンバーは教職員のほか、保護者代表や保健センター、防災関係組織などが含まれており、地域との連携を推進する役割をもつ。
4.〇 正しい。感染症(または食中毒)の発生の恐れがあるときは臨時検査を行う。または、発生したときも臨時検査を行う。これは、学校環境衛生基準に規定されており、学校環境衛生基準とは、「学校における環境衛生に係る事項について、児童生徒等及び職員の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準」であり、文部科学大臣が定めることが学校保健安全法に規定されている。 学校は毎学年定期に、また必要な時は臨時に、学校環境衛生基準に基づき環境衛生検査を行わなければならない。