21 地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律(医療介護総合確保推進法)で規定されたのはどれか。
1.病床機能報告制度
2.医療安全支援センターの設置義務
3.医療計画への在宅医療の達成目標の記載
4.重症心身障害児(者)への日中の活動の場の確保
解答1
解説
(※画像引用:「医療介護総合確保推進法 (医療部分)の概要について」厚生労働省HPより)
『医療介護総合確保推進法』とは、平成26(2014)年に成立された地域における効率的かつ効果的な医療提供体制の確保等を目的する法律である。持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律に基づく措置として、効率的かつ質の高い医療提供体制を 構築するとともに、地域包括ケアシステムを構築することを通じ、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するため、医療法、介護保険法等の関係法律について所要の整備等を行う。
(※参考:「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律(概要)」厚生労働省HPより)
1.〇 正しい。病床機能報告制度は、「医療介護総合確保推進法」で規定された。ちなみに、病床機能報告制度とは、病床(一般病床及び療養病床)を有する病院・診療所が、その病床において担っている現在の医療機能と今後の方向について、病棟単位で自ら選択し、毎年都道府県に報告する仕組みである。また医療機能に加えて、病棟の設備や人員配置、具体的な医療内容も報告することとされている。
2.× 医療安全支援センターの設置義務は、『医療法』に規定されている。医療安全支援センターとは、医療法第6条の13の規定に基づき、都道府県、保健所を設置する市及び特別区により、日本全国で380箇所以上設置されている医療の安全に関する情報の提供、研修の実施、意識の啓発などを行う機関である。医療に関する苦情・心配や相談に対応するとともに、医療機関、患者さん・住民に対して、医療安全に関する助言および情報提供等を行っている。
3.× 医療計画への在宅医療の達成目標は、『医療法』に規定されている。医療法は、病院、診療所、助産所の開設、管理、整備の方法などを定める日本の法律である。
4.× 重症心身障害児(者)への日中の活動の場の確保は、『児童福祉法』に規定されている。具体的には、児童発達支援や放課後等デイサービスが該当する。児童福祉法とは、児童の福祉を担当する公的機関の組織や、各種施設及び事業に関する基本原則を定める日本の法律である。児童が良好な環境において生まれ、且つ、心身ともに健やかに育成されるよう、保育、母子保護、児童虐待防止対策を含むすべての児童の福祉を支援する法律である。
医療法とは、病院、診療所、助産院の開設、管理、整備の方法などを定める日本の法律である。①医療を受けるものの利益と保護、②良好かつ適切な医療を効率的に提供する体制確保を主目的としている。
22 医療費の助成と根拠法令の組合せで正しいのはどれか。
1.医療扶助:社会福祉法
2.療育医療:障害者基本法
3.自立支援医療(更生医療):障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)
4.小児慢性特定疾病医療費助成制度:難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)
解答3
解説
1.× 医療扶助は、「社会福祉法」ではなく『生活保護法』の扶助のひとつである。ちなみに、社会福祉法とは、社会福祉について規定している日本の法律である。所管官庁は、厚生労働省である。
2.× 療育医療とは、低体重や早産(在胎週数37週未満)などで身体の発育が未熟なまま生まれたために入院養育が必要な乳児(0歳児)に対し、医療費を公費負担する制度である。療育の給付(結核児童療育給付)は、『児童福祉法』に規定されている。「療育医療」と「療育の給付」は字体は似ているが異なるものであるため注意が必要である。ちなみに、障害者基本法とは、障害者施策について基本事項を定め、障害者の自立と参加を総合的かつ計画的に推進することを目的としている法律である。
3.〇 正しい。自立支援医療(更生医療)の根拠法令は、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)である。自立支援医療とは、『障害者総合支援法』に定められている。更生医療(自立支援医療)・育成医療(軽減する手術等の治療によって確実に効果が期待できる者に対して提供される、生活の能力を得るために必要な自立支援医療費の支給を行うもの)・精神通院医療(精神疾患の治療に掛かる医療費を軽減する公的な制度)がある。
4.× 小児慢性特定疾病医療費助成制度は、「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」ではなく『児童福祉法』に定められている。児童福祉法とは、すべての児童の健全な育成・生活の保障・児童の福祉の推進を目的とする法律である。児童相談所の設置や小児慢性特定疾病医療費の支給などが規定されている。ちなみに、『難病法』には、難病患者への医療費助成制度(特定医療費の支給)が定められている。
生活保護制度は、『日本国憲法』25条の理念に基づき、生活困窮者
生活扶助:日常生活に必要な費用
住宅扶助:アパート等の家賃
教育扶助:義務教育を受けるために必要な学用品費
医療扶助:医療サービスの費用
介護扶助:介護サービスの費用
出産扶助:出産費用
生業扶助:就労に必要な技能の修得等にかかる費用
葬祭扶助:葬祭費用
【生活保護法の4つの基本原理】
①国家責任の原理:法の目的を定めた最も根本的原理で、憲法第25条の生存権を実現する為、国がその責任を持って生活に困窮する国民の保護を行う。
②無差別平等の原理:全ての国民は、この法に定める要件を満たす限り、生活困窮に陥った理由や社会的身分等に関わらず無差別平等に保護を受給できる。また、現時点の経済的状態に着目して保護が実施される。
③最低生活の原理:法で保障する最低生活水準について、健康で文化的な最低限度の生活を維持できるものを保障する。
④保護の補足性の原理:保護を受ける側、つまり国民に要請される原理で、各自が持てる能力や資産、他法や他施策といったあらゆるものを活用し、最善の努力をしても最低生活が維持できない場合に初めて生活保護制度を活用できる。
【4つの原則】
①申請保護の原則:保護を受けるためには必ず申請手続きを要し、本人や扶養義務者、親族等による申請に基づいて保護が開始。
②基準及び程度の原則:保護は最低限度の生活基準を超えない枠で行われ、厚生労働大臣の定める保護基準により測定した要保護者の需要を基とし、その不足分を補う程度の保護が行われる。
③必要即応の原則:要保護者の年齢や性別、健康状態等その個人又は世帯の実際の必要の相違を考慮して、有効且つ適切に行われる。
④世帯単位の原則:世帯を単位として保護の要否及び程度が定められる。また、特別な事情がある場合は世帯分離を行い個人を世帯の単位として定めることもできる。
(※参考:「生活保護制度」厚生労働省HPより)
(※参考:「生活保護法の基本原理と基本原則」室蘭市HPより)
23 慢性閉塞性肺疾患(COPD)について正しいのはどれか。
1.病状の進行に伴い肺は縮小する。
2.患者の多くは60歳までに診断されている。
3.非感染性疾患(Non-Communicable Diseases:NCDs)の一つである。
4.健康日本21(第二次)では新規患者発生数の半減が目標に設定されている。
解答3
解説
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は気流制限を特徴とし、①肺気腫、②慢性気管支炎の総称である。つまり、気流閉塞により肺過膨張となり、肺胞の破壊や毛細血管の減少などが生じてガス交換能が障害される。40歳以上の8〜9%が罹患しているといわれる。気腫性変化が進む気腫優位型 (肺気腫)と中枢気道の病変が進行した気道病変優位型(慢性気管支炎)がある。安静時でも、呼吸によって使われるエネルギー量が、普通の人よりも15~25%も高くなるため、体重低下や栄養不足になるリスクが高くなる。また、食事中に息切れしたり、疲れを感じたりすることで、食べる量が少なくなるケースもみられる。一昔前は、呼吸商との関連により、高脂肪食が勧められたが、現在では否定されている。ただ、脂肪が全カロリーの40%を超えるような高脂肪食では、下痢やお腹の不快感などを引き起こすことがあるので注意が必要である。逆に、脂肪の摂取が全カロリーの20%になるような低脂肪食は、二酸化炭素の生産を増やしてしまったり、必要な必須脂肪酸が不足してしまったりするので、注意が必要である。つまり、高・低脂肪食は避け、バランスのよい食事が必要である。
1.× 病状の進行に伴い肺は、「縮小」ではなく過膨張する。慢性閉塞性肺疾患(COPD)は気流制限を特徴とし、①肺気腫、②慢性気管支炎の総称である。つまり、気流閉塞により肺過膨張となり、肺胞の破壊や毛細血管の減少などが生じてガス交換能が障害される。
2.× 患者の多くは60歳までに診断されている人は少ない。なぜなら、症状に気づかず、発見が遅れがちな病気であるため。40歳以上の8〜9%が罹患しているといわれる。高齢になるほど有病率が増加する。40歳以上で喫煙歴があり、症状が見られた際は早めに病院を受診を推奨する。
3.〇 正しい。喫煙が原因となる非感染性疾患(Non-Communicable Diseases:NCDs)の一つである。非感染性疾患(Non-Communicable Diseases:NCDs)とは、世界保健機関(WHO)の定義で、不健康な食事や運動不足、喫煙、過度の飲酒、大気汚染などにより引き起こされる、がん・糖尿病・循環器疾患・呼吸器疾患・メンタルヘルスをはじめとする慢性疾患をまとめて総称したものである。
4.× 健康日本21(第二次)では、新規患者発生数の「半減」ではなく、認知度の向上(80%以上)が目標に設定されている。
日本における健康対策の現状や第三次国民健康づくり対策(健康日
(※参考:「健康日本21(第二次)」厚生労働省HPより)
24 平成28年(2016 年)の歯科疾患実態調査の結果をグラフに示す。
このグラフが表しているのはどれか。
1.う歯を持つ者の割合
2.顎関節の異常がある者の割合
3.20歯以上の歯を有する者の割合
4.4mm 以上の歯周ポケットを有する者の割合
解答3
解説
(※図引用:「平成28年歯科疾患実態調査」厚生労働省HPより)
1.× う歯を持つ者の割合は、40歳代・50歳代が最も高い。加齢に伴って割合は低くなる(※下図参照)。
2.× 顎関節の異常がある者の割合は、20歳代以降年齢層とともに減少傾向がみられる(※下図参照)。
3.〇 正しい。20歯以上の歯を有する者の割合は、年齢層とともに減少傾向を示し、グラフの傾向と一致する。80歳で20本以上の歯を有する者(8020達成者)割合は51.2%と推計される。(※上図参照)
4.× 4mm以上の歯周ポケットを有する者の割合は、65~69歳が60.5%でピークを示し、次いで60~64歳が57.9%、75~79歳が55.3%となっている(※下図参照)。
(※データ引用:平成28年(2016 年)の歯科疾患実態調査)
(※図引用:「平成28年歯科疾患実態調査結果の概要」厚生労働省HPより)
25 災害救助法で定められているのはどれか。
1.自主防災組織の促進
2.地域防災計画の作成
3.避難所及び応急仮設住宅の供与
4.広域災害救急医療情報システム(EMIS)の運用
5.災害時健康危機管理支援チーム(DHEAT)の派遣
解答3
解説
災害救助法とは、災害に際して、国が地方自治体、日本赤十字社などと国民の協力のもとに、応急的に必要な救助を行い、被災者の保護と社会の秩序の保全を図ることを目的とした法律である。
【救助の種類】
①避難所および応急仮設住宅の供与
②炊き出しその他による食品の給与および飲料水の供給
③被服、寝具その他生活必需品の給与または貸与
④医療および助産
⑤被災者の救出
⑥被災した住宅の応急修理
⑦生業に必要な資金,器具または資料の給与または貸与
⑧学用品の給与
1.× 自主防災組織の促進は、『災害対策基本法』に基本理念として定められている。災害対策基本法は、災害対策に関する日本の法律である。市町村の責務の項目の第五条2項(以下、一部引用)市町村長は、前項の責務を遂行するため、消防機関、水防団その他の組織の整備並びに当該市町村の区域内の公共的団体その他の防災に関する組織及び自主防災組織の充実を図るほか、住民の自発的な防災活動の促進を図り、市町村の有する全ての機能を十分に発揮するように努めなければならない。(※一部引用:「災害対策基本法」e-GOV法令検索様より)
2.× 地域防災計画の作成は、『災害対策基本法』に定められている。国の責務の項目の第三条4項(以下、一部引用)指定行政機関の長及び指定地方行政機関の長は、この法律の規定による都道府県及び市町村の地域防災計画の作成及び実施が円滑に行なわれるように、その所掌事務について、当該都道府県又は市町村に対し、勧告し、指導し、助言し、その他適切な措置をとらなければならない。(※一部引用:「災害対策基本法」e-GOV法令検索様より)
3.〇 正しい。避難所及び応急仮設住宅の供与は、災害救助法で定められている。避難所及び応急仮設住宅の供与は、炊き出しその他による食品の給与および飲料水の供給、被災者の救出、被災した住宅の応急修理などとともに定められている。
4.× 広域災害救急医療情報システム(EMIS)の運用を直接定める法律はない。広域災害救急医療情報システム(EMIS)とは、平成8(1996)年から厚生労働省が運用開始されたシステムで災害時に、災害派遣医療チーム(DMAT)の活動状況や医療機関の稼働状況などの災害医療にかかわる情報を集約・提供する。
5.× 災害時健康危機管理支援チーム(DHEAT)の派遣を直接定める法律はない。災害時健康危機管理支援チーム(DHEAT)は、災害が発生した際に、被災都道府県の保健医療調整本部や保健所を応援するために派遣されるチームである。
災害時健康危機管理支援チーム(DHEAT:Disaster Health Emergency Assistance Team)とは、都道府県・指定都市の専門的な研修を受けた医師や薬剤師、保健師など(主に保健所職員)1班5名程度で編成することを基本とし、災害発生時に1週間から数か月程度、被災都道府県の保健医療調整本部と保健所が行う保健医療行政の指揮調整機能等を応援する専門チームである。
【主な活動例】
①外部からの保健医療活動チームの調整、保健医療活動チームとの
②収集された情報の整理・分析評価と見える化,対策の企画立案の
③通常業務再開や次のフェーズを見通したロードマップ作成支援
④地元資源・関係行政機関の連携強化支援
⑤被災自治体職員の労務管理や健康管理についての助言
(参考:「DHEAT活動ハンドブック」全国保健所長会様HPより)
定義:災害急性期に活動できる機動性を持ったトレーニングを受けた医療チーム。
医師、看護師、業務調整員(医師・看護師以外の医療職及び事務職員)で構成され、大規模災害や多傷病者が発生した事故などの現場に、急性期(おおむね48時間以内)から活動できる機動性を持った、専門的な訓練を受けた医療チームである。
①都道府県の派遣要請に基づく。
②災害の急性期(おおむね48時間以内)に活動できる機動性をもつ。
③主な活動は、広域医療搬送、病院支援、地域医療搬送、現場活動などである。
※(「DMATとは」厚生労働省HPより)