16 令和元年度(2019年度)児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査で正しいのはどれか。
1.小学校における不登校児童数は約10万人である。
2.いじめの発見のきっかけの第1位は「本人からの訴え」である。
3.中学校における不登校の主たる要因の第1位は「無気力・不安」である。
4.小学校におけるいじめの内容の第1位は「仲間はずれ、集団による無視をされる」である。
解答3
解説
1.× 小学校における不登校児童数は、約10万人ではなく、「6万3350人」である。
2.× いじめの発見のきっかけの第1位は、「本人からの訴え」ではなく「アンケート調査など学校の取組により発見」である。1位:アンケート調査など学校の取組により発見(55.4%)、2位:本人からの訴え(17.6%)、3位:当該児童生徒(本人)の保護者からの訴え(10.1%)となっている。
3.〇 正しい。中学校における不登校の主たる要因の第1位は「無気力・不安」である。1位:無気力・不安(47.1%)、2位:いじめを除く友人関係をめぐる問題(12.5%)、3位:生活リズムの乱れ、あそび、非行(11.0%)となっている。
4.× 小学校におけるいじめの内容の第1位は「仲間はずれ、集団による無視をされる」ではなく「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」である。1位:冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる(57.9%)、2位:軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする(24.0%)、3位:仲間はずれ、集団による無視をされる(13.5%)となっている。
(※参考:「令和元年度(2019年度)児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」文部科学省HPより)
17 地域産業保健センターについて正しいのはどれか。
1.衛生管理者の育成を行う。
2.産業医の研修を実施する。
3.個別訪問による産業保健指導を行う。
4.労働者100人未満の事業場を対象とする。
解答3
解説
産業保健総合支援センターの目的は、事業主等に対し職場の健康管理への啓発を行うことで、事業者や産業保健スタッフ等を対象に、専門的な相談への対応や研修等を行う。主な業務内容として、①産業保健関係者からの専門的な相談への対応、②産業保健スタッフへの研修、③メンタルヘルス対策の普及促進のための個別訪問支援、④管理監督者向けメンタルヘルス教育、⑤事業者・労働者に対する啓発セミナー、⑥産業保健に関する情報提供、⑦地域窓口(地域産業保健センター)の運営である。
地域窓口(地域産業保健センター)は、労働基準監督署の管轄区域ごとに相談窓口を設置し、産業医の選任義務のない従業員50人未満の職場の事業主や従業員を対象に、医師・保健師による健康相談や面接指導などのサービスを無料で行っている。主な業務内容として、①相談対応(メンタルヘルスを含む労働者の健康管理、健康診断の結果について医師からの意見聴取、長時間労慟者に対する面接指導等)、②個別訪問指導(医師等による職場巡視)、③産業保健に関する情報提供である。
1~2.× 衛生管理者の育成を行う/産業医の研修を実施するのは、産業保健総合支援センターである。産業保健総合支援センターは、事業者や産業保健スタッフ等を対象に、専門的な相談への対応や研修等を行う。主な業務内容として、①産業保健関係者からの専門的な相談への対応、②産業保健スタッフへの研修、③メンタルヘルス対策の普及促進のための個別訪問支援、④管理監督者向けメンタルヘルス教育、⑤事業者・労働者に対する啓発セミナー、⑥産業保健に関する情報提供、⑦地域窓口(地域産業保健センター)の運営である。
3.〇 正しい。個別訪問による産業保健指導を行うのは、地域窓口(地域産業保健センター)である。地域窓口(地域産業保健センター)は、労働者数50人未満の事業場を対象に、相談等への対応を行う。主な業務内容として、①相談対応(メンタルヘルスを含む労働者の健康管理、健康診断の結果について医師からの意見聴取、長時間労慟者に対する面接指導等)、②個別訪問指導(医師等による職場巡視)、③産業保健に関する情報提供である。
4.× 労働者「100人未満」ではなく「50人未満」の事業場を対象とする。
18 A市は台風被害から2か月が経ち、仮設住宅と集会所が各地区に完成し、家屋に被害を受けた被災者の仮設住宅への入居が開始された。B地区の仮設住宅には元の居住地が異なる世帯が入居したため、新たなコミュニティ構築への支援が復興支援の課題となっている。
B地区の仮設住宅で新たなコミュニティづくりのために行う支援として、効果が期待できるのはどれか。
1.電話健康相談窓口を増設する。
2.家庭訪問による健康観察を実施する。
3.ホームページで健康情報を発信する。
4.集会所で集団健康教育を定期開催する。
解答4
解説
課題:新たなコミュニティ構築への支援が復興支援
支援:B地区の仮設住宅で新たなコミュニティづくり
→効果が期待できるのは?
A市は台風被害から2か月が経っていることから、「災害復旧・復興期」である。災害状況として、①慢性疾患の増悪、②疲労による体調不良、③仮設住宅等への転居、④新しい環境での孤立があげられる。また、保健活動として、①巡回健康相談、②廃用症候群・閉じこもり・孤立死の予防・対策、③心的外傷後ストレス障害(PTSD)への対応、④新たなコミュニティづくりの支援、⑤職員の健康管理、⑥通常業務の再開があげられる。
1~2.× 電話健康相談窓口を増設する/家庭訪問による健康観察を実施する優先度は低い。なぜなら、それら個別支援となるため。支援としては、B地区の仮設住宅で新たなコミュニティづくりが優先される。
3.× ホームページで健康情報を発信する優先度は低い。なぜなら、「B地区の仮設住宅で新たなコミュニティづくり」につながりにくいため。ただし、健康情報をホームページという誰にでもアクセスできるところに掲載することで、2次的障害を防いだり、広く避難者への支援につなげられたりしやすい。
4.〇 正しい。集会所で集団健康教育を定期開催する。B地区の避難者が定期的に集まることができ、顔見知りになる機会となる。したがって、コミュニティづくりのきっかけとなりやすい。A市は台風被害から2か月が経っていることから、「災害復旧・復興期」である。災害状況として、①慢性疾患の増悪、②疲労による体調不良、③仮設住宅等への転居、④新しい環境での孤立があげられる。また、保健活動として、①巡回健康相談、②廃用症候群・閉じこもり・孤立死の予防・対策、③心的外傷後ストレス障害(PTSD)への対応、④新たなコミュニティづくりの支援、⑤職員の健康管理、⑥通常業務の再開があげられる。
19 A小学校の2年生の児童80人と引率の教員が市内の公園に遠足に行き、昼食に学校から配布されたおにぎりを食べた。午後2時ころに帰校すると、2年生の児童と引率した教諭に嘔吐、下痢および腹痛の症状が現れ、半数以上の児童が医療機関を受診した。他学年の児童に症状がある者はなかった。保健所にA小学校から緊急連絡があり、疫学調査の結果、集団食中毒であることが判明した。
原因菌として最も疑われるのはどれか。
1.ウェルシュ菌
2.ボツリヌス菌
3.黄色ブドウ球菌
4.カンピロバクター
解答3
解説
・A小学校:遠足の昼食に学校のおにぎりを食べた。
・午後2時:半数以上に嘔吐、下痢および腹痛の症状。
・他学年の児童に症状がある者はなし。
・疫学調査の結果:集団食中毒。
→症状が出現する時間は、お昼を食べてから午後2時までの約2時間である。症状は、嘔吐・下痢および腹痛などである。それら特徴を踏まえて選択する。
1.× ウェルシュ菌は、細菌であり産生する毒素により消化器症状(腹痛、下痢、悪心)を呈する。発症に至る原因としては、煮込み(カレーやシチュー)で料理の加熱が不十分である場合が多い。潜伏期間は6~18時間である。
2.× ボツリヌス菌は、土壌や水などの環境中に生息し、缶詰や瓶詰め真空パック食品で問題となることが多い。潜伏期間は12~36時間で、症状は眼症状、嚥下障害、四肢麻痺、呼吸筋麻痺・死亡などである。
3.〇 正しい。黄色ブドウ球菌が原因菌として最も疑われる。黄色プドウ球菌は、ヒトの皮膚に常在する細菌で弁当や握り飯が主な原因食品となる。潜伏期間は、1~6時間である。症状は、消化器症状(激しい悪心、嘔吐、下痢、腹痛)である。
4.× カンピロバクターは、生肉・生乳が主な原因食品であり、鶏、牛、野鳥など多くの動物が保有する細菌である。潜伏期間は、2~7日である。症状は、腹痛を伴う下痢、発熱などである。
20 保健師が行う看護管理機能の種別と実施内容の組合せで正しいのはどれか。
1.情報管理:地域診断
2.人事管理:個人情報の保護
3.予算管理:ジョブローテション
4.事例管理:サービスの質と量の評価
解答4
解説
1.× 地域診断は、「情報管理」ではなく「地区管理」である。情報管理は、地域の実態を把握するための情報収集・分析や正確な情報伝達のための体制整備、マスコミ対応、個人情報への配慮を行う。地区管理は、地域のニーズや課題から地域診断を行い、住民と協働した施策化を行う。
2.× 個人情報の保護は、「人事管理」ではなく「情報管理」である。人事管理は、組織の目標を達成するため、組織に必要な保健師人員数を確保し、職員を計画的に適材適所へ配置するとともに、人事評価を行う。情報管理は、地域の実態を把握するための情報収集・分析や正確な情報伝達のための体制整備、マスコミ対応、個人情報への配慮を行う。
3.× ジョブローテションは、「予算管理」ではなく「人事管理」である。予算編成は、予算の仕組みを把握し、事業企画に伴う予算編成を行う。人事管理は、組織の目標を達成するため、組織に必要な保健師人員数を確保し、職員を計画的に適材適所へ配置するとともに、人事評価を行う。ちなみに、ジョブ・ローテーションとは、企業において社員の能力開発、ワークギャップの解消、モチベーション維持を行うことを目的として、多くの業務を経験されるために一人の人間を定期的に異動または転勤させることである。
4.〇 正しい。サービスの質と量の評価は、「事例管理」である。事例管理は、個々の事例のケアから始まり、それを地域の問題としてとらえ、ダイナミックな活動を展開する。つまり、保健師は生活者の自発的な相談に応じ、情報提供や教育的なかかわりを行う。自発的には支援を求めない対象者には、保健師の方から接近して関係を築き、課題の解決にかかわるこのような個別事例の支を行うなかで、対象者に提供されているサービスの質と量の評価を行う。
保健師が担う管理機能には、キャリア発達の段階に沿って、新任期1年目から担うものと、中堅や管理者になってから担うものに分けられる。保健師が行う地域看護管理の機能として、①初任期にも事例管理、事業管理、地区管理等管理的な機能を果たす。②、①の延長線上に管理者の組織運営管理や人材育成管理そして地域管理等の機能がある。③管理的な機能は初任期から発揮されていることから、保健師の専門性の中核を成すものといえる。④地区管理も行うため、所属組織内の管理にとどまるものではない。
①事例管理:個々の事例のケアから始まり、それを地域の問題としてとらえ、ダイナミックな活動を展開する。
②地区管理:地域のニーズや課題から地域診断を行い、住民と協働した施策化を行う。
③事業・業務管理:地方自治体の上位計画や組織目標に基づく、事業計画策定や進行管理を行い、評価結果を次年度の計画等へ反映させる。
④組織運営管理:組織理念・目標や地域の課題を共有して組織としての方針を決定し、業務の効率化を高めながら組織体制を機能させる。
⑤予算編成:予算の仕組みを把握し、事業企画に伴う予算編成を行う。
⑥予算管理:新たな政策や人材確保等のための予算獲得および適切な執行と評価を行い、予算面から公衆衛生看護活動を担保する。
⑦人材育成:保健師の育成過程に応じて、中・長期的な研修計画および生涯学習企画と実施を行い、実践報告を評価する。
⑧人事管理:組織の目標を達成するため、組織に必要な保健師人員数を確保し、職員を計画的に適材適所へ配置するとともに、人事評価を行う。
⑨情報管理:地域の実態を把握するための情報収集・分析や正確な情報伝達のための体制整備、マスコミ対応、個人情報への配慮を行う。
⑩健康危機管理:危機発生を予測し,住民と協働する健康危機管理の体制づくり全般を行う。
(参考:「保健師に求められる看護管理のあり方」社団法人日本看護協会より)