第108回(R4)保健師国家試験 解説【午後26~30】

 

26 2つの連続変数間の直線的な関係の強さを示すのはどれか。

1.分散
2.正規分布
3.相関係数
4.標準偏差
5.クロス集計

解答

解説
1.× 分散とは、データの散らばりの度合いを表す値である。 分散を求めるには、偏差(それぞれの数値と平均値の差)を二乗し、平均を取る。標本Aの方が極端に小さい値がある分、ばらつきが大きいことになる。
2.× 正規分布とは、確率分布の一つで、データが平均値の付近に集積するような分布を表す。
3.〇 正しい。相関係数は、2つの連続変数間の直線的な関係の強さを示す。相関係数は無次元量で、−1以上1以下の実数に値をとる。
4.× 標準偏差とは、分散の正の平方根のことである。測定値のばらつき具合を示す。
5.× クロス集計とは、2つ以上の質問項目の回答内容をかけ合わせ、回答者属性ごとの反応の違いを見るようなときに用いる集計方法である。

 

 

 

 

 

 

27 平成30年度(2018年度)の国民医療費について正しいのはどれか。

1.介護保険給付費を含む。
2.総額は40兆円を超える。
3.正常な妊娠・分娩の費用を含む。
4.国民所得に対する比率は20%を超える。
5.健康の維持・増進を目的とした健康診断の費用を含む。

解答

解説

国民医療費とは?

「国民医療費」とは、当該年度内の医療機関等における保険診療の対象となり得る傷病の治療に要した費用を推計したものである。この費用には、医科診療や歯科診療にかかる診療費、薬局調剤医療費、入院時食事・生活医療費、訪問看護医療費等が含まれる。なお、保険診療の対象とならない評価療養(先進医療(高度医療を含む)等)、選定療養(入院時室料差額分、歯科差額分等)及び不妊治療における生殖補助医療などに要した費用は含まない。また、傷病の治療費に限っているため、(1)正常な妊娠・分娩に要する費用、(2)健康の維持・増進を目的とした健康診断・予防接種等に要する費用、(3)固定した身体障害のために必要とする義眼や義肢等の費用も含まない。

(※一部抜粋:「国民医療費の範囲と推計方法の概要」厚生労働省HPより)

1.× 介護保険給付費は「含む」のではなく「含まれない」。介護保険給付費とは、利用者が自己負担する利用料以外の介護保険から支払われている費用のことである。介護保険財政に含まれる。介護保険財政は、利用者の負担である利用者負担は原則として介護費用の10%で、介護費用から利用者負担を引いた残りを給付費という。給付費の50%を国が25%、都道府県が12.5%、市町村が12.5%負担する。
2.〇 正しい。総額は40兆円(43兆3,949億円)を超える。人口一人当たり国民医療費 343,200円である。
3.× 正常な妊娠・分娩の費用は「含む」のではなく「含まれない」。正常分娩では、公的医療保険が適用されず出産費用の実費が請求される。平均で50万円程度かかるが自治体によって補助金や助成金の支給対象となる。
4.× 国民所得に対する比率は、「20%を超える」のではなく「10.73%」である。
5.× 健康の維持・増進を目的とした健康診断の費用は「含む」のではなく「含まれない」。定期健康診断は、労働安全衛生規則第44条の義務により必ず実施が必要になる健康診断である。そのため、定期健康診断は基本的にすべて企業負担である。また定期健康診断は、保険の適用外である自由健康診断なので、一人あたり約5,000円~15,000円の費用負担が企業側に必要となる。

(※「平成30年度(2018年度)の国民医療費」厚生労働省HPより)

 

 

 




 

 

 

28 平成29年(2017年)患者調査の疾病分類別の結果を表に示す。
 Cに当てはまる疾患はどれか。

1.結核
2.消化器系の疾患
3.循環器系の疾患
4.悪性新生物<腫瘍>
5.精神および行動の障害

解答

解説


1.× 結核はAである。外来・入院の受療率ともに他の疾患より低いのが特徴である。結核とは、結核菌を吸い込むことによって感染し、身体の抵抗力 (免疫)が弱い時などに、菌が増えて発病する慢性感染症である。『感染症法』上の2類感染症であり、感染力が高くなく、進展が非常に遅い。
2.× 消化器系の疾患はEである。外来の受療率が高いのが特徴である。服薬などで入院の必要性は薄い。
3.× 循環器系の疾患はDである。平均在院日数が1か月以上となることが多く、外来・入院共に多いのが特徴である。
4.× 悪性新生物<腫瘍>はBである。平均在院日数が2~3週間程度となることが多く、外来・入院共に少なめなのが特徴である。
5.〇 正しい。精神および行動の障害はCである。平均在院日数が長いのが特徴である。

(※参考:「平成29年(2017年)患者調査の疾病分類別の結果」厚生労働省HPより)

肺結核とは?

肺結核とは、結核菌による感染症で、体の色々な臓器に起こることがあるが多くは肺のことである。結核菌は、喀痰の中に菌が出ている肺結核の患者と密閉空間で長時間(一般的には数週間以上)接触することにより空気感染でうつる。リンパ節結核や脊椎カリエス(骨の結核)など、肺に病気のない結核患者からはうつらない。また肺結核でも、治療がうまくいって喀痰の中に菌が出ていない患者さんからはうつることはない。また、たとえ感染しても、発病するのはそのうち1割ぐらいといわれており、残りの9割の人は生涯何ごともなく終わる。感染してからすぐに発病することもあるが、時には感染した後に体の免疫が働いていったん治癒し、その後数ヶ月から数十年を経て、免疫が弱ったときに再び結核菌が増えて発病することもある。結核の症状には、咳、痰、血痰、熱、息苦しさ、体のだるさなどがある。

 

 

 

 

 

 

 

29 令和元年度(2019年度)の学校保健統計調査について正しいのはどれか。2つ選べ。

1.幼稚園児のむし歯(う歯)の保有率は20%程度である。
2.裸眼視力1.0未満の小学生は35%程度である。
3.むし歯(う歯)を保有する小学生は前年度に比べて減少している。
4.中学生のむし歯(う歯)の保有率は45%程度である。
5.裸眼視力1.0未満の高校生は50%程度である。

解答2・3

解説
1.× 幼稚園児のむし歯(う歯)の保有率は、「20%程度」ではなく「31.16%」である。令和元年度の「むし歯」の者の割合(処置完了者を含む。以下同じ。)は、幼稚園 31.16%、小学校 44.82%、中学校 34.00%、高等学校 43.68%となっている。全ての学校段階で前年度より減少しており、中学校及び高等学校においては過去最低である。
2.〇 正しい。裸眼視力1.0未満の小学生は35%程度(34.57%)である。疾病・異常を被患率等別にみると、幼稚園及び小学校においては「むし歯(う歯)」の者の割合が最も高く、次いで「裸眼視力 1.0 未満の者」の順となっている。
3.〇 正しい。むし歯(う歯)を保有する小学生は前年度に比べて減少している。平成26年52.54%であったが、年々減少しており、令和元年は44.82%となっている。
4.× 中学生のむし歯(う歯)の保有率は、「45%程度」ではなく「34.00%」である。
5.× 裸眼視力1.0未満の高校生は、「50%程度」ではなく「67.64%」である。

(※図引用:「学校保健統計調査-令和元年度(確定値)の結果の概要」文部科学省HPより)

 

 

 




 

 

 

30 民生委員について正しいのはどれか。2つ選べ。

1.任期は5年である。
2.厚生労働大臣が委嘱する。
3.保健所の管轄区域に配置される。
4.民生委員には給与が支給されない。
5.配置の根拠法令は地方自治法である。

解答2・4

解説

民生委員とは?

民生委員は、日本独自の制度化されたボランティアである。地域社会の福祉の増進図っている。任期は3年で都道府県知事の推薦を受けて厚生労働大臣に委嘱されたものである。市町村の各地区に配置され、①住民の生活状況の把握、②関係機関との連携、③援助を要するものヘの相談援助を主な役割とする。根拠法令は「民生委員法」で給与の支給はない。

1.× 任期は「5年」ではなく「3年」ある。
2.〇 正しい。厚生労働大臣が委嘱する。民生委員は、日本独自の制度化されたボランティアである。地域社会の福祉の増進図っている。任期は3年で都道府県知事の推薦を受けて厚生労働大臣に委嘱されたものである。市町村の各地区に配置され、①住民の生活状況の把握、②関係機関との連携、③援助を要するものヘの相談援助を主な役割とする。根拠法令は「民生委員法」で給与の支給はない。
3.× 配置されるのは「保健所の管轄区域」ではなく「市町村の各地区」である。
4.〇 正しい。民生委員には給与が支給されない
5.× 配置の根拠法令は「地方自治法」ではなく「民生委員法」である。地方自治法とは、地方公共団体の区分並びに地方公共団体の組織及び運営に関する事項の大綱を定めているものである。併せて、国と地方公共団体との間の基本的関係を確立することにより、①地方公共団体における民主的にして能率的な行政の確保を図る、②地方公共団体の健全な発達を保障することを目的としている。所管官庁は、総務省である。

 

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