31 A市では8月に大規模災害が発生し災害復興が必要となった。健康増進課ではコミュニティの復興を考慮した事業について次年度に実施することを計画し、予算要求を行うことになった。
健康増進課の予算要求について正しいのはどれか。
1.議会の承認を得る。
2.前年度の繰越金を組み込んで要求する。
3.長期的な復興を踏まえ複数年度の予算を要求する。
4.事業の具体的な実施方法は予算が成立してから考える。
5.事業実施の際に予算不足にならないように多めに計上する。
解答1
解説
・A市の8月:大規模災害が発生(災害復興が必要)。
・健康増進課:「コミュニティの復興」を考慮した事業の予算要求を行う。
→予算獲得のためには、実施する事業の背景、目的・目標、事業実
1.〇 正しい。議会の承認を得る。これは、予算の原則における①予算事前議決の原則(予算はその会計年度開始前に議会の議決を経ること)に当てはまる。
2~3.× 前年度の繰越金を組み込んで要求する/長期的な復興を踏まえ複数年度の予算を要求することはできない。なぜなら、会計年度独立の原則(会計年度内における歳出は,その年度の歳入を充当しなければならない。そのため、一会計年度の歳入と歳出は次年度に使用することはできない)に該当するため。
4.× 事業の具体的な実施方法は、「予算が成立してから」ではなく「予算成立前」に考える。予算獲得のためには、実施する事業の背景、目的・目標、事業実
5.× 事業実施の際に予算不足にならないように多めに計上するという規定はない。限られた予算を効果的に活用するためにも、過不足なく予算要求する。
予算獲得のためには、実施する事業の背景、目的・目標、事業実
【予算の原則】
①予算事前議決の原則:予算はその会計年度開始前に議会の議決を経ること。
②予算公開の原則:予算の内容、執行の状況等を広く一般に公開すること。
③総計予算主義の原則:会計年度におけるすべての歳入および歳出が予算に組み込まれること。
④単一予算主義の原則:一会計年度におけるすべての歳入と歳出をひとつの予算に編成して単一の会計にする。例外として特別会計がある。
⑤会計年度独立の原則:会計年度内における歳出は,その年度の歳入を充当しなければならない。そのため、一会計年度の歳入と歳出は次年度に使用することはできない。
32 平常時に指定医療機関から患者発生数の報告を受けて流行状況を把握する定点把握対象疾患はどれか。2つ選べ。
1.結核
2.コレラ
3.急性出血性結膜炎
4.鳥インフルエンザ
5.性器クラミジア感染症
解答3・5
解説
感染症発生動向調査は、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)」に基づく施策として位置づけられた調査で、感染症の発生情報の正確な把握と分析、その結果の国民や医療機関への迅速な提供・公開により、感染症に対する有効かつ的確な予防・診断・治療に係る対策を図り、多様な感染症の発生及びまん延を防止することを目的としている。
【感染症発生動向調査による全数把握対象疾患】
全数把握対象疾患を診断したすべての医師が、患者の発生について届け出なければならない。
①新感染症の疑い
②新型インフルエンザ等感染症
③指定感染症
④1~4類までの全疾患と5類の一部疾患
定点把握対象疾患とは、5類感染症の定点把握対象疾患を指す。都道府県知事により指定された医療機関(指定届出機関)のみ、医療機関の管理者が患者の発生について届け出なければならない。主な疾患として、インフルエンザ(鳥インフルエンザ、新型インフルエンザ等感染症を除く)、性器クラミジア感染症、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症、その他の感染症(各省で指定)である。
(※参考:「感染症発生動向調査について」厚生労働省HPより)
1.× 結核は、2類感染症(全数把握対象疾患)である。他にも、ジフテリア、SARS、ポリオ(急性灰白髄炎)、重症急性呼吸器症候群(SARS)/ 中東呼吸器症候群(MERS)があげられる。
2.× コレラは、3類感染症(全数把握対象疾患)である。他にも、パラチフス、腸チフス、O-157(腸管出血性大腸菌)、細菌性赤痢があげられる。
3.〇 正しい。急性出血性結膜炎/性器クラミジア感染症は、5類感染症(定点把握対象疾患)である。
4.× 鳥インフルエンザ(特定鳥インフルエンザ:H5N1、N7H9)は、2類感染症(全数把握対象疾患)である。それ以外の鳥インフルエンザは4類感染症(全数把握対象疾患)である。
腸管出血性大腸菌(ベロ毒素産生性大腸菌、志賀毒素産生性大腸菌)は、赤痢菌が産生する志賀毒素類似のベロ毒素を産生し、激しい腹痛、水様性の下痢、血便を特徴とする。特に、小児や老人では、溶血性尿毒症症候群や脳症(けいれんや意識障害など)を引き起こしやすいので注意が必要である。原因食品は、ハンバーグ、生肉、生レバー、井戸水などである。
(※参考:「腸管出血性大腸菌感染症」厚生労働省HPより)
33 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律<障害者総合支援法>について正しいのはどれか。2つ選べ。
1.療育手帳の根拠法令である。
2.障害支援区分に基づきサービスが利用できる。
3.自立支援医療の自己負担額は原則2割である。
4.サービスを利用する場合は都道府県の窓口に申請する。
5.平成28年(2016年)の改正によって就労定着支援が新設された。
解答2・5
解説
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律〈障害者総合支援法〉は、障害のある人への支援を定めた法律である。さまざまな福祉サービスを、障害や難病のある人個々のニーズに応じて組み合わせ、利用できる仕組みを定めている。
障害者総合支援法のポイント
①障害者も難病患者も自立できる社会をめざす。
②応能負担(所得に応じて自己負担額が変わること)が原則。
③あらゆる障害(身体・知的・精神+難病)についてこの法律で対応する。
④市区町村が事業の母体である。
1.× 療育手帳の根拠法令はない。療育手帳は、知的障害者に対して都道府県知事等が交付する手帳である。交付判定において18歳未満は、児童相談所である。一方、18歳以上は、知的障碍者更生相談所である。
2.〇 正しい。障害支援区分に基づきサービスが利用できる。市町村審査会の審査および判定の結果に基づき、市町村が6段階の障害支援区分の認定を行う。区分6が最も支援が必要(障害が重度)である。
3.× 自立支援医療の自己負担額は「原則2割」ではなく「原則1割」である。自立支援医療の自己負担額は、1割を上限とした応能負担が原則である。応能負担(所得に応じて自己負担額が変わること)が原則である。
4.× サービスを利用する場合は、「都道府県の窓口」ではなく「市町村」に申請する。実施主体は市町村に一元化されている。
5.〇 正しい。平成28年(2016年)の改正によって就労定着支援が新設された。就労定着支援とは、就労移行支援、就労継続支援などの利用を経て、通常の事業所に新たに雇用され6か月を経過したもので3年が限度である。障害者の就労や、就労に伴って生じている生活面での課題を解決し、長く働き続けられるようにサポートする。就労に伴う環境変化などの課題解決(①生活リズム、②家計や体調の管理など)に向けて、必要な連絡調整や指導・助言などの支援を実施する。
34 災害時健康危機管理支援チーム<DHEAT>の保健師が被災地で行う活動はどれか。2つ選べ。
1.被災した市町村の保健活動の評価
2.避難所での要配慮者の健康相談
3.避難所のトイレの衛生対策
4.自宅待機者への家庭訪問
5.派遣保健師の受入調整
解答1・5
解説
災害時健康危機管理支援チーム(DHEAT:Disaster Health Emergency Assistance Team)とは、都道府県・指定都市の専門的な研修を受けた医師や薬剤師、保健師など(主に保健所職員)1班5名程度で編成することを基本とし、災害発生時に1週間から数か月程度、被災都道府県の保健医療調整本部と保健所が行う保健医療行政の指揮調整機能等を応援する専門チームである。
【主な活動例】
①外部からの保健医療活動チームの調整、保健医療活動チームとの
②収集された情報の整理・分析評価と見える化,対策の企画立案の
③通常業務再開や次のフェーズを見通したロードマップ作成支援
④地元資源・関係行政機関の連携強化支援
⑤被災自治体職員の労務管理や健康管理についての助言
(参考:「DHEAT活動ハンドブック」全国保健所長会様HPより)
1.〇 正しい。被災した市町村の保健活動の評価は、災害時健康危機管理支援チーム<DHEAT>の保健師が被災地で行う活動である。主な活動例の②収集された情報の整理・分析評価と見える化,対策の企画立案の支援に該当する。
2.4.× 避難所での要配慮者の健康相談/自宅待機者への家庭訪問は、規定された活動ではなく、主に市町村保健師や外部から派遣された保健師チームなどが行う。
3.× 避難所のトイレの衛生対策は、市町村が主に活動する。ただし、自主的に避難者が作成することもある。
5.〇 正しい。派遣保健師の受入調整は、災害時健康危機管理支援チーム<DHEAT>の保健師が被災地で行う活動である。主な活動例の①外部からの保健医療活動チームの調整、保健医療活動チームとの
35 平成30年(2018年)の日本の医療施設数または医療従事者数で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.病院数は約6千施設である。
2.一般診療所数は約5万施設である。
3.就業保健師数は約5万3千人である。
4.歯科診療所数は約6万8千施設である。
5.就業看護師数は約100万5千人である。
解答3・4
解説
1.× 病院数は、「約6千施設」ではなく「8372施設」である。全国の医療施設は179090施設で、前年に比べ598施設増加している。「病院」は8372施設で、前年に比べ40施設減少しており、「一般診療所」は102105施設で634 施設増加、「歯科診療所」は68613施設で4施設増加している。施設数を施設の種類別にみると、「精神科病院」は1058施設で、前年に比べ1施設減少、「一般病院」は7314施設で、39施設減少している。一般病院のうち「療養病床を有する病院」は3736施設(病院総数の44.6%)で、前年に比べ45施設減少している。
2.× 一般診療所数は、「約5万施設」ではなく「10万2105施設」である。
3.〇 正しい。就業保健師数は、「約5万3千人」である。
4.〇 正しい。歯科診療所数は、「約6万8千施設」である。
5.× 就業看護師数は、「約100万5千人」ではなく「121万8606人」である。
(参考データ:「平成 30(2018)年 医療施設(動態)調査・病院報告の概況」厚生労働省様HPより)