第108回(R4)保健師国家試験 解説【午後41~45】

 

次の文を読み39〜41の問いに答えよ。
 Aさん(高校2年生、女子)は両親と3人暮らし。母親が精神保健福祉相談のため保健所に来所した。「Aは太っているわけではないのに、半年程前から写真写りを気にして食事を減らし始めました。今は1日1食野菜スープしか食べません。食べたもののカロリーを気にして毎日運動しており、一見元気そうなのですが、随分痩せてきました。授業を受けても頭に入ってこないと言い、この頃は学校を休みがちです。このままで大丈夫でしょうか」と話した。

41 1か月後、再び母親は精神保健福祉相談のため保健所に来所した。「Aは、私が頼むと少し食べてくれますが、やはり太るのが怖くて食べられないと言います。先日、Aが食後に隠れて下剤を使っていたため、思わず叱責してしまいました。Aは太っていると恥ずかしくて学校に行けないと言って欠席が増え、ほとんど自分の部屋で過ごしています。また、カロリーを消費するためと言い、相変わらず動画を見ながら運動をしています。時々、趣味のイラストを私に見せに来るのですが、そんなことよりも学校に行って元の生活に戻ってほしい」と母親は辛そうに話した。
 母親の気持ちを受け止めた上で、保健師が行う母親への助言で適切なのはどれか。

1.「登校するよう説得を続けましょう」
2.「運動を続けていけるよう応援しましょう」
3.「見つけられないように下剤を隠しましょう」
4.「イラストを見せに来たら肯定的な対応をしましょう」
5.「食事がとれるようになれば回復すると伝え続けましょう」

解答

解説

本症例のポイント

・食のこだわりが強い。
・隠れて下剤を使用し、母は叱責した。
・学校への欠席が増え、引きこもり気味。
・過活動気味。
・趣味はイラストで、母に見せに来ることもある。
・母の気持ち「そんなことよりも学校に行って元の生活に戻ってほしい
→本症例は「摂食障害」が疑われる。関わり方として、①ストレス解消、②食べ物以外へ関心を向ける、③自信の回復(自己表出、他者からの共感、自己管理)、④過度の活動をさせない、⑤身体症状、行動化に注意する。

1.× 「登校するよう説得を続けましょう」と伝える優先度は低い。なぜなら、本症例が投稿できない理由として「太っていると恥ずかしい=摂食障害の疑いの症状」によるものと考えられるため。説得ではどうにもならないため現在に至っている。
2.× 「運動を続けていけるよう応援しましょう」と伝える優先度は低い。なぜなら、過度の活動をさせないことが必要であるため。設問文からも「カロリーを消費するためと言い、相変わらず動画を見ながら運動」をされている様子が見られ、これ以上体重が低下しないように関わる。
3.× 「見つけられないように下剤を隠しましょう」と伝える優先度は低い。なぜなら、下剤を隠すことでより、食べ物への関心が強まる恐れがあるため。また、体重を減少させる方法として、下剤の服用の他にも、自己誘発性嘔吐や運動などさらなる他の行動につながりかねない。
4.〇 正しい。「イラストを見せに来たら肯定的な対応をしましょう」と伝える。少なくともイラストを描いている時間は、食べ物への関心は薄れ、ストレス解消につながる可能性が高い。また、肯定的な対応をすることで、本人の自己効力感の向上に寄与できるため。自己効力感(セルフエフィカシー)とは、自分が行動しようと思っていること、変えようと思っている生活習慣などに対し、うまく達成できるという自信や確信のこと、自己効力感の理論はライフスタイル改善のプログラムに活用される。自己効力感を高める要因として、①成功体験、②代理的体験、③言語的説得、④生理的・情緒的状態(情緒的高揚)が挙げられる。
5.× 「食事がとれるようになれば回復すると伝え続けましょう」と伝える優先度は低い。なぜなら、本症例は食べ物への関心が強く「太るのが怖くて食べられない」と訴えている。食べ物へのこだわり・関心をできるだけ避ける必要がある。

 

 

 

 

 

次の文を読み42〜44の問いに答えよ。
 A市は川沿いに位置する人口7万人の高齢化率24.6%の市である。A市には13人の保健師が勤務し地区担当制で業務を行っている。A市では5年前に大規模災害が発生し、多くの死傷者が出た。死傷者は高齢者の割合が高かった。

42 A市のB保健師が担当地区の自治会長から「5年前の大規模災害では多くの高齢者が逃げ遅れた。保健師から住民に必要な災害対策を自治会の会合で話してほしい」と依頼された。
 B保健師が話す内容として最も適切なのはどれか。

1.家屋の安全点検の方法
2.飲料水、食料品の備蓄量
3.避難所までの移動手段の確認
4.医療機関の連絡先リストの作成

解答

解説

ポイント

A市:高齢化率24.6%
5年前:大規模災害が発生し、多くの死傷者が出た。死傷者は高齢者の割合が高かった。多くの高齢者が逃げ遅れた
担当地区の自治会長から「保健師から住民に必要な災害対策を自治会の会合で話してほしい」と依頼された。
→災害の際に、高齢者が逃げ遅れた。なぜ多くの高齢者が逃げ遅れてしまったのか?自治会とは、同一地域の居住者たちによって共通利益の実現と生活の向上を目的としてつくられた組織であり、地域に住んでいる人々が快適に過ごせるよう地域の清掃活動や消防訓練、祭りなどの企画・運営を担っている。

1.× 家屋の安全点検の方法の優先度は低い。なぜなら、家屋の安全点検の方法が「多くの高齢者が逃げ遅れた」原因としては考えにくいため。逃げ遅れないように話すべき優先度が高いものが他にある。
2.× 飲料水、食料品の備蓄量の優先度は低い。なぜなら、飲料水、食料品の備蓄量が「多くの高齢者が逃げ遅れた」原因としては考えにくいため。高齢者の場合は災害警戒レベル3で避難を開始することが望ましい。逃げ遅れないためにも備蓄量を優先する必要は薄い。
3.〇 正しい。避難所までの移動手段の確認が最も優先度が高い。「多くの高齢者が逃げ遅れた」原因として考えられるものは、移動手段や場所、アラートが聞こえなかったなどがあげられる。「いつ」「誰が」「どのように」避難するのかを定めた防災行動計画を作成することも大切である。
4.× 医療機関の連絡先リストの作成の優先度は低い。なぜなら、医療機関の連絡先リストが「多くの高齢者が逃げ遅れた」原因としては考えにくいため。医療機関の連絡先リストは、災害にケガをした際にスムーズに処置まで案内できるため、平常時(災害静穏期・準備期)における保健活動である。

平常時(災害静穏期・準備期)における保健活動

・災害時地域応急体制の樹立
・避難行動要支援者のリスト化
・災害対策マニュアル作成
・生活用品・防災用品の備蓄
・避難場所、災害時の連絡方法の確認
・住民の自助・共助の支援
・近隣ボランティアの育成
・防災訓練
・災害時対応のための研修
・関係機関との定期的な連絡会議

 

 

 

 

 

 

次の文を読み42〜44の問いに答えよ。
 A市は川沿いに位置する人口7万人の高齢化率24.6%の市である。A市には13人の保健師が勤務し地区担当制で業務を行っている。A市では5年前に大規模災害が発生し、多くの死傷者が出た。死傷者は高齢者の割合が高かった。

43 自治会の会合から2年後の午後4時、A市内を震源とする震度6の地震が発生した。市全域は断水、停電した。道路は一部泥状化によって隆起した箇所はあるが寸断はない。B保健師は災害時保健活動マニュアルに従い、発災30分後に保健センターに出勤し担当避難所に出向いた。
 このときにB保健師が行う保健活動で正しいのはどれか。

1.健康相談の場所の設置
2.生活不活発病の予防
3.災害時要配慮者の安全確保
4.消毒薬などの衛生資材の調達
5.災害派遣精神医療チーム<DPAT>との連携

解答

解説

ポイント

・A市内を震源とする震度6の地震が発生。
・B保健師は災害時保健活動マニュアルに従い、発災30分後に保健センターに出勤し担当避難所に出向いた。
→現在、発災30分後であるため「超急性期:~24時間」である。保健活動として、①救急対応(救護所の開設、必要な医療物品の準備)、②地域の被害状況、ライフライン、衛生状態の把握、③住民の安否確認と身元確認、④避難行動要支援者の安否確認と移動、⑤健康危機管理、⑥避難所準備と周知、⑦救護所や避難所の巡回健康相談と衛生管理および環境整備、⑧職員の健康管理(急性期)などである。

1.× 健康相談の場所の設置の優先度は低い。「超急性期:~24時間」に設置するものとして、「健康相談」ではなく「救護所や避難所」である。救護所や避難所の巡回健康相談と衛生管理および環境整備を行っていく。「超急性期:~24時間」の災害状況として、①野外への避難、②通信・交通・ライフラインの途絶、③避難所生活開始である。現在は、発災30分後で「超急性期:~24時間」に該当するため、「救護所や避難所の巡回健康相談と衛生管理および環境整備」が必要になる。
2.× 生活不活発病の予防の優先度は低い。なぜなら、「復興期以降」に行うものであるため。「災害復旧・復興期~災害前の状態に戻るまで」の保健活動は、①廃用症候群・孤立死の予防、②心的外傷後ストレス障害(PTSD)への対応、③新たなコミュニティづくりの支援、④職員の健康管理、⑤通常業務の再開などが当てはまる。
3.〇 正しい。災害時要配慮者の安全確保はB保健師が行う保健活動である。「超急性期:~24時間」の保健活動は、①救急対応(救護所の開設、必要な医療物品の準備)、②地域の被害状況、ライフライン、衛生状態の把握、③住民の安否確認と身元確認、④避難行動要支援者の安否確認と移動、⑤健康危機管理、⑥避難所準備と周知、⑦救護所や避難所の巡回健康相談と衛生管理および環境整備、⑧職員の健康管理(急性期)があげられる。
4.× 消毒薬などの衛生資材の調達(生活用品・防災用品の備蓄)の優先度は低い。なぜなら、「平常時(災害静穏期・準備期)」に行うものであるため。平常時(災害静穏期・準備期)の保健活動として、①災害時地域応急体制の樹立、②避難行動要支援者のリスト化、③災害対策マニュアル作成。④生活用品・防災用品の備蓄、⑤避難場所、災害時の連絡方法の確認、⑥住民の自助・共助の支援、⑦近隣ボランティアの育成、⑧防災訓練、⑨災害時対応のための研修、⑩関係機関との定期的な連絡会議が当てはまる。
5.× 災害派遣精神医療チーム<DPAT>との連携の優先度は低い。なぜなら、被災地域の精神科医療機関と連携することが多いため。また発災からおおむね48時間以内に最初のチームを派遣することが多く、現地点(発災30分後)で連携するのは難しいと考えられる。

災害派遣精神医療チーム(DPAT)とは?

 災害時には、災害ストレスの対応に特化した、専門的な研修・訓練を受けた災害派遣精神医療チーム(DPAT:Disaster Psychiatric Assistance Team)が組織される。DPATは、主に精神科医師・看護師・業務調査員などで構成される。先遣隊を構成する医師は、精神保健指定医でなければならない。先遣隊以外の班を構成する医師は、精神保健指定医であることが望ましい。構成員については、現地のニーズに合わせて、児童精神科医・薬剤師・保健師・精神保健福祉士や臨床心理技術者などを含めて適宜構成される。
 DPAT活動3原則として、以下のSSS(スリーエス)が挙げられる。①Self-sufficiency:自己完結型の活動、②Share:積極的な情報共有、③Support:名脇役であれ、である。

 

 

 

 

 

 

次の文を読み42〜44の問いに答えよ。
 A市は川沿いに位置する人口7万人の高齢化率24.6%の市である。A市には13人の保健師が勤務し地区担当制で業務を行っている。A市では5年前に大規模災害が発生し、多くの死傷者が出た。死傷者は高齢者の割合が高かった。

44 発災後2か月が経過し、被災者は避難所から市内の仮設住宅へ入居した。
 A市の保健師が行う仮設住宅の住民への支援で適切なのはどれか。

1.心のケアは高齢者を優先させる。
2.独居の高齢者には施設入所を勧める。
3.エコノミークラス症候群の予防を呼びかける。
4.すべての仮設住宅を巡回訪問し健康相談を行う。

解答

解説

ポイント

発災後2か月が経過
・被災者は避難所から市内の仮設住宅へ入居。
→現在、発災後2か月であるため「災害復旧・復興期(~災害前)」である。保健活動は、①廃用症候群・孤立死の予防、②心的外傷後ストレス障害(PTSD)への対応、③新たなコミュニティづくりの支援、④職員の健康管理、⑤通常業務の再開などが当てはまる。

1.× 心のケアは「高齢者」など関係なく行う。なぜなら、PTSD<外傷後ストレス障害>の患者の年齢層は幅広く、男性よりも女性に多く現れるため。PTSD<外傷後ストレス障害>とは、極めて強烈なストレスを受けた後、数週間から数ヵ月を経て(6ヵ月以上潜伏期間があることはまれ)、再体験、回避、認知や気分の異常、過覚醒の各症状が4週間以上持続し、著しい苦痛や社会的障害を生じている状態をいう。
2.× あえて「独居の高齢者」に施設入所を勧める必要はない。なぜなら、独居の高齢者であっても、日常生活が自立していたり、介護・介助が不要だったりする場合も考えられるため。
3.× エコノミークラス症候群の予防を呼びかけるのは、「亜急性期:~2,3週間」に行う。現在、発災後2か月であるため「災害復旧・復興期(~災害前)」である。ちなみに、「亜急性期:~2,3週間」における保健活動は、①食中毒や感染症等の二次的な健康障害の予防活動、②生活用品の確保、③エコノミークラス症候群(深部静脈血栓症・肺塞栓症)の合併症対策、④こころのケア対策の実施、⑤派遣保健師配置やボランティアの活用、⑥職員の健康管理、⑦通常業務の調整などである。
4.〇 正しい。すべての仮設住宅を巡回訪問し健康相談を行う。巡回健康相談に至っては、災害が起こった「超急性期」から「復興期」まで一貫して行う必要がある。なぜなら、仮設住宅へ入居した住民の①廃用症候群・閉じこもり・孤立死の予防・対策、②心的外傷後ストレス障害(PTSD)への対応、③新たなコミュニティづくりの支援などが必要になってくるため。また、仮設住宅に住むと「これ以上、他人に心配や助けられるのは・・・」と自ら訴えることに消極的になる人もいるので「すべての仮設住宅にまわっている」と説明すると、相談のハードルも下がる。

 

 

 

 

 

次の文を読み45〜47の問いに答えよ。
 Aさん(58歳、男性、独居)は1年前に失業した。その後、就職先が決まらず、預貯金が底をついたが、身寄りがなく身近な相談者もいなかった。経済苦により3か月前に自殺を図って病院に搬送された。日常生活動作<ADL>は問題なく回復したが、頭を打ったことによる外傷性脳損傷によって軽度の記憶障害が残り、特に数の計算が難しくなった。また、入院中に生活保護を受給することになった。

45 病院から、退院に向けた検討を進めたいとAさんが居住するB市に連絡があり、B市の生活保護担当の保健師とケースワーカーが入院中のAさんを訪問した。
 退院後にAさんに提案するサービスで適切なものはどれか。

1.就労移行支援
2.日常生活自立支援事業
3.療養生活環境整備事業
4.自立支援医療<精神通院医療>

解答

解説

ポイント

・Aさん(58歳、男性、独居
預貯金、身近な相談者もいない。
・1年前:失業。
・経済苦により3か月前に自殺を図り失敗。
・日常生活動作<ADL>:自立。
・外傷性脳損傷(軽度の記憶障害が残り、特に数の計算困難
・入院中:生活保護受給
→本症例は、日常生活動作<ADL>自立しているものの独居(身近な相談者もいない)であり、生活保護を受給する。外傷性脳損傷(数の計算困難)も呈していることから、退院に向けて、独居を継続するのであれば「買い物などの金銭管理」が問題点としてあげられる。また、再度自殺を図らないよう人の目も必要となるだろう。

1.× 就労移行支援の優先度は低い。なぜなら、本症例は日常生活の問題点があげられ退院に向けすぐに就労といった事案ではないため。ちなみに、就労移行支援事業は、利用期間2年で、【対象者】一般就労等を希望し、知識・能力の向上、実習、職場探し等を通じ、適性に合った職場への就労等が見込まれる障害者(65歳未満の者)①企業等への就労を希望する者、【サービス内容】一般就労等への移行に向けて、事業所内や企業における作業や実習、適性に合った職場探し、就労後の職場定着のための支援等を実施。通所によるサービスを原則としつつ、個別支援計画の進捗状況に応じ、職場訪問等によるサービスを組み合わせ。③利用者ごとに、標準期間(24ヶ月)内で利用期間を設定する。
2.〇 正しい。日常生活自立支援事業は退院後にAさんに提案するサービスである。本症例は、日常生活動作<ADL>自立しているものの独居(身近な相談者もいない)であり、生活保護を受給する。外傷性脳損傷(数の計算困難)も呈していることから、退院に向けて、独居を継続するのであれば「買い物などの金銭管理」が問題点としてあげられる。また、再度自殺を図らないよう人の目も必要となるだろう。ちなみに、日常生活自立支援事業は、認知症高齢者・知的障害者・精神障害者等により判断能カが不十分な対象者が地域において自立した生活が送れることを目的に、福祉サービスの利用援助等を行う事業である。
3.× 療養生活環境整備事業の優先度は低い。なぜなら、難病患者が対象となるため。ちなみに、療養生活環境整備事業とは、難病法に基づき、難病患者の療養生活の質の維持向上を図ることを目的に、難病患者・家族等に対する相談支援や、難病患者に対する医療等に係る人材育成、在宅療養患者に対する訪問看護支援等を実施する事業である。 
4.× 自立支援医療<精神通院医療>の優先度は低い。なぜなら、自立支援医療<精神通院医療>とは、公費負担医療のひとつであり、精神疾患の治療のため通院による精神医療を継続的に要する病状にある者に対して医療費の自己負担を軽減するものであるため。

障害者総合支援法に基づく障害者の就労支援事業

①就労移行支援事業:利用期間2年
【対象者】一般就労等を希望し、知識・能力の向上、実習、職場探し等を通じ、適性に合った職場への就労等が見込まれる障害者(65歳未満の者)①企業等への就労を希望する者
【サービス内容】一般就労等への移行に向けて、事業所内や企業における作業や実習、適性に合った職場探し、就労後の職場定着のための支援等を実施。通所によるサービスを原則としつつ、個別支援計画の進捗状況に応じ、職場訪問等によるサービスを組み合わせ。③利用者ごとに、標準期間(24ヶ月)内で利用期間を設定する。

②就労継続支援A型(雇用型):利用期限制限なし
【対象者】就労機会の提供を通じ、生産活動にかかる知識及び能力の向上を図ることにより、雇用契約に基づく就労が可能な障害者。(利用開始時、65歳未満の者)
① 就労移行支援事業を利用したが、企業等の雇用に結びつかなかった者
② 特別支援学校を卒業して就職活動を行ったが、企業等の雇用に結びつかなかった者
③ 企業等を離職した者等就労経験のある者で、現に雇用関係がない者
【サービス内容】通所により、雇用契約に基づく就労の機会を提供するとともに、一般就労に必要な知識、能力が高まった者について、一般就労への移行に向けて支援。一定の範囲内で障害者以外の雇用が可能。多様な事業形態により、多くの就労機会を確保できるよう、障害者の利用定員10人からの事業実施が可能。

③就労継続支援B型(非雇用型):利用制限なし
【対象者】就労移行支援事業等を利用したが一般企業等の雇用に結びつかない者や、一定年齢に達している者などであって、就労の機会等を通じ、生産活動にかかる知識及び能力の向上や維持が期待される障害者
① 企業等や就労継続支援事業(A型)での就労経験がある者であって、年齢や体力の面で雇用されることが困難となった者
② 就労移行支援事業を利用したが、企業等又は就労継続事業(A型)の雇用に結びつかなかった者
③ ①、②に該当しない者であって、50歳に達している者、又は試行の結果、企業等の雇用、就労移行支援事業や就労継続支援事業(A型)
の利用が困難と判断された者
【サービス内容】
通所により、就労や生産活動の機会を提供(雇用契約は結ばない)するとともに、一般就労に必要な知識、能力が高まった者は、一般就労等への移行に向けて支援。平均工賃が工賃控除程度の水準(月額3,000円程度)を上回ることを事業者指定の要件とする。事業者は、平均工賃の目標水準を設定し、実績と併せて都道府県知事へ報告、公表。

(引用:「就労移行支援について」厚生労働省様HPより)

生活保護制度とは?

生活保護制度は、『日本国憲法』25条の理念に基づき、生活困窮者を対象に、国の責任において、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長することを目的としている。8つの扶助(生活扶助、住宅扶助、教育扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助)があり、原則現金給付であるが、医療扶助と介護扶助は現物給付である。被保護人員は約216.4万人(平成27年度,1か月平均)で過去最高となっている。

生活扶助:日常生活に必要な費用
住宅扶助:アパート等の家賃
教育扶助:義務教育を受けるために必要な学用品費
医療扶助:医療サービスの費用
介護扶助:介護サービスの費用
出産扶助:出産費用
生業扶助:就労に必要な技能の修得等にかかる費用
葬祭扶助:葬祭費用

【生活保護法の4つの基本原理】
①国家責任の原理:法の目的を定めた最も根本的原理で、憲法第25条の生存権を実現する為、国がその責任を持って生活に困窮する国民の保護を行う。
②無差別平等の原理:全ての国民は、この法に定める要件を満たす限り、生活困窮に陥った理由や社会的身分等に関わらず無差別平等に保護を受給できる。また、現時点の経済的状態に着目して保護が実施される。
③最低生活の原理:法で保障する最低生活水準について、健康で文化的な最低限度の生活を維持できるものを保障する。
④保護の補足性の原理:保護を受ける側、つまり国民に要請される原理で、各自が持てる能力や資産、他法や他施策といったあらゆるものを活用し、最善の努力をしても最低生活が維持できない場合に初めて生活保護制度を活用できる。

【4つの原則】
①申請保護の原則:保護を受けるためには必ず申請手続きを要し、本人や扶養義務者、親族等による申請に基づいて保護が開始。
②基準及び程度の原則:保護は最低限度の生活基準を超えない枠で行われ、厚生労働大臣の定める保護基準により測定した要保護者の需要を基とし、その不足分を補う程度の保護が行われる。
③必要即応の原則:要保護者の年齢や性別、健康状態等その個人又は世帯の実際の必要の相違を考慮して、有効且つ適切に行われる。
④世帯単位の原則:世帯を単位として保護の要否及び程度が定められる。また、特別な事情がある場合は世帯分離を行い個人を世帯の単位として定めることもできる。

(※参考:「生活保護制度」厚生労働省HPより)
(※参考:「生活保護法の基本原理と基本原則」室蘭市HPより)

 

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