第109回(R2) 看護師国家試験 解説【午後1~5】

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※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究・自己研鑽のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。またコメントにて解き方等教えてくださると幸いです。

 

問題引用:第106回保健師国家試験、第103回助産師国家試験、第109回看護師国家試験の問題および正答について

 

 

 

1 平成29年(2017年)の日本における簡易生命表で女性の平均寿命に最も近いのはどれか。

1.77年
2.82年
3.87年
4.92年

解答3

解説

平均寿命とは?

平均寿命とは、生まれたばかりの子どもが平均して何年生きるかを示したものであり、0歳の平均余命のことである。ちなみに、健康寿命とは日常的に介護を必要としないで、自立した生活ができる期間を指す。

(※図引用:「図表1-2-1 平均寿命の推移」厚生労働省HPより)

平成29(2017)年の日本における女性の平均寿命は87.26年である。ちなみに、男性の平均寿命は、81.09年である。したがって、選択肢3.87年が正しい。

 

 

 

 

 

2 平成29年(2017年)の国民健康・栄養調査で20歳以上の男性における喫煙習慣者の割合に最も近いのはどれか。

1.10%
2.20%
3.30%
4.40%

解答3

解説

(※図引用:「令和元年国民健康・栄養調査結果の概要について」厚生労働省HPより)

 喫煙習慣者の割合は年々減少している。平成29(2017)年の国民健康・栄養調査の結果によれば、20歳以上の男性における喫煙習慣者の割合は29.4%である。ちなみに、20歳以上の女性における喫煙習慣者の割合は7.2%である。したがって、選択肢3.30%が正しい。

国民健康・栄養調査とは?

国民健康・栄養調査とは、国民の健康状態、生活習慣や栄養素摂取量を把握するための調査である。 毎年、食生活状況、各種身体・血液検査や飲酒、喫煙、運動習慣などを調べており、国における健康増進対策や生活習慣病対策に不可欠な調査となっている。国民健康・栄養調査は、『健康増進法』に基づき、国民の身体の状況、栄養素等摂取状況および生活習慣の状況についての調査で、標本調査により実施される。

【国民健康・栄養調査の調査項目】
1)身体状況調査票
ア.身長、体重(満1歳以上)
イ.腹囲(満6歳以上)
ウ.血圧測定(満20歳以上)
エ.血液検査(満20歳以上)
オ.問診<服薬状況、糖尿病の治療の有無、運動>(満20歳以上)

2)栄養摂取状況調査票
満1歳以上の世帯員の食品摂取量、栄養素等摂取量、食事状況(欠食・外食等)、1日の身体活動量(歩数:満20歳以上)

3)生活習慣調査票
満20歳以上が対象。食生活、身体活動・運動、休養(睡眠)、飲酒、喫煙、歯の健康等に関する生活習慣全般を把握。

(※参考「国民健康・栄養調査」厚生労働省HPより)

 

 

 

 

3 じん肺に関係する物質はどれか。

1.フロン
2.アスベスト
3.ダイオキシン類
4.ホルムアルデヒド

解答2

解説

じん肺とは?

じん肺とは、主に小さな土ホコリや金属の粉などの無機物または鉱物性の粉塵の発生する環境で仕事をしている人が、その粉塵を長い年月にわたって多量に吸い込むことで肺組織が線維化してしまった状態である。肺線維症のひとつで、微細な無機粉じんに分類される鉱物由来の粒子(ケイ酸、アスベスト)などを長期にわたり吸入したことで肺胞に沈着し、肺が線維化して呼吸困難が生じる。

1.× フロンとは、大気中での分解によって臭素酸化物が生成され、オゾン層を破壊する作用があるため、1987年に締結された「モントリオール議定書」により使用が制限された物質である。
2.〇 正しい。アスベスト(石綿)は、じん肺に関係する物質である。アスベスト(石綿)とは、耐火材や断熱材などに利用されてきた天然の繊維状の鉱物で、大量に吸入することでじん肺(石綿肺)悪性中皮腫を発症させる物質である。
3.× ダイオキシン類とは、ものを燃やすと、発生しやすい有機塩素化合物である。多量の暴露で、生殖機能、甲状腺機能及び免疫機能への影響があることが報告され、甲状腺機能の低下、生殖器官の重量や精子形成の減少、免 疫機能の低下を引き起こす。
4.× ホルムアルデヒドとは、木質建材に多く使用されている接着剤や塗料の原料である。鼻水、咳などの症状を引き起こすシックハウス症候群の原因物質である。シックハウス症候群とは、近年、住宅の高気密化などが進むに従って、建材等から発生する化学物質などによる健康影響のことを指す。症状は、目がチカチカする、鼻水、のどの乾燥、吐き気、頭痛、湿疹など人によってさまざまである。原因として、住宅の高気密化・高断熱化などが進み、①化学物質による空気汚染、②湿度の高さによる細菌、カビ、ダニが繁殖、一般的な石油ストーブからの汚染物質(一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物など)の放出である。他にも、たばこの煙にも有害な化学物質である。(※参考:「シックハウス対策のページ」厚生労働省HPより)

大気汚染とは?

【大気汚染の定義】大気中に排出された物質が自然の物理的な拡散・沈着機能や化学的な除去機能、及び生物的な浄化機能を上回って大気中に存在し、その量が自然の状態より増加し、これらが人を含む生態系や物などに直接的、間接的に影響を及ぼすこと。自然一般にある空気組成を変化させる物質は総て広い意味での大気汚染物質である。
【発生源と種類】発生源は①自然起源と②人為起源に分けられる。①自然起源:火山排出物、森林火災、花粉の飛散、砂座・黄砂などの風による地面からの巻き上げ、海塩粒子などの風による海面からの巻き上げ、成層圏から対流闘に沈降するオゾンなどが上げられる。②人為起源:工場や火力発電所、自動車などの化石燃料の燃焼による排出物、生産活動により生成するガスや粒子状物質、廃楽物の処理に伴う粒子状物質や化学物質などが上げられる。
【一次汚染物質】発生源から直接発生する(一酸化炭素、二酸化硫黄、炭化水素、粉塵など)。
【二次汚染物質】環境大気中において化学変化により生成する(二酸化窒素、光化学オゾン、エアロゾルなど)
【ガス状大気汚染物質】①二酸化硫黄、②二酸化窒素、③浮遊粒子状物質、④一酸化炭素、(その他:一酸化窒素、ガス状硝酸、PAN、ガス状フッ素、塩化水素、アンモニア、メチルメルカブタン、硫化水素、硫化メチル、トリメチルアミン、二硫化メチル、アルデヒド、スチレンなど)

(※参考:「大気汚染の定義と汚染物質」環境省HPより)

 

 

 

 

 

4 日本において国民皆保険制度となっているのはどれか。

1.医療保険
2.介護保険
3.雇用保険
4.労災保険

解答1

解説

MEMO

国民皆保険制度は、全ての国民が、健康保険に加入し、医療費用を平等に負担する制度のことを指す。つまり、病気のときや事故にあったときの高額な医療費の負担を軽減してくれる医療保険制度である。それによって、医療費用に関する不安や不平等を解消することが期待され、国民の健康に寄与することが期待されている。日本においては、1922年に健康保険法が制定され、1961年に国民健康保険制度が導入された。

1.〇 正しい。医療保険は、日本において国民皆保険制度の対象である。(公的)医療保険とは、私たちやその家族が、病気やケガをしたときに医療費の一部を公的な機関が負担する制度のことである。日本では「国民皆保険」といって、すべての人が何らかの公的医療保険に加入しているが、その種類によって保障内容に若干の差がある。
2.× 介護保険の対象は、40歳以上の者である。介護保険とは、平成12年4月から開始された介護を必要とする方に費用を給付し、適切なサービスを受けられるようにサポートする保険制度である。40歳以上の人は、介護保険の被保険者となり、①65歳以上の人(第1号被保険者)と、②40~64歳までの医療保険に加入している人(第2号被保険者)になる。
3.× 雇用保険の対象は、企業に雇用されている労働者(※パート・アルバイトなどは場合による)である。雇用保険法とは、「労働者が失業した場合及び労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に必要な給付を行うほか、労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合に必要な給付を行うことにより、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに、求職活動を容易にする等その就職を促進し、あわせて、労働者の職業の安定に資するため、失業の予防、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進を図ること」(第1条)を目的として制定された、日本の法律である。つまり、失業・雇用継続等に関する保険の制度である。保険者は日本政府(国:厚生労働省)。財源は雇用者と雇用主が社会保険として負担するほか、国費投入もされている。つまり雇用保険は、労働保険のひとつで、いわゆる失業保険を中心とするものである。
4.× 労災保険の対象は、企業に使用されている労働者(※自営業者などは対象外)である。労働者災害補償保険は、労働者災害補償保険法に基づき、業務災害及び通勤災害に遭った労働者又はその遺族に給付を行う。略称は労災保険と呼ばれる。保険料は全額事業主の負担で、労災保険の対象となる労働者は、使用されて賃金を支給される人すべてをいうため雇用形態には関係ない。

 

 

 

 

5 保健師助産師看護師法で規定されている看護師の義務はどれか。

1.研究をする。
2.看護記録を保存する。
3.看護師自身の健康の保持増進を図る。
4.業務上知り得た人の秘密を漏らさない。

解答4

解説

保健師助産師看護師法とは?

保健師助産師看護師法とは、保健師・助産師および看護師の資質を向上し、もって医療および公衆衛生の普及向上を図ることを目的とする日本の法律である。通称は保助看法。(※一部引用:「保健師助産師看護師法」厚生労働省HPより)

1.× 研究をする義務はない。しかし、資質の向上は、努力義務として、28条2項に規定されている。28条2項には「保健師、助産師、看護師及び准看護師は、免許を受けた後も、臨床研修その他の研修(保健師等再教育研修及び准看護師再教育研修を除く。)を受け、その資質の向上を図るように努めなければならない」と記載されている(※一部引用:「保健師助産師看護師法」厚生労働省HPより)。
2.× 看護記録を保存することは、『医療法施行規則(20条10項)』で規定されている。20条10項に「診療に関する諸記録は、過去二年間の病院日誌、各科診療日誌、処方せん、手術記録、看護記録、検査所見記録、エックス線写真、入院患者及び外来患者の数を明らかにする帳簿並びに入院診療計画書とする」と記載されている(※一部引用:「医療法施行規則」e-GOV法令検索様HPより)。
3.× 看護師自身の健康の保持増進を図ることを定めている法律はない。これに関する
4.〇 正しい。業務上知り得た人の秘密を漏らさない義務(秘密保持義務:42条2項)は、「保健師助産師看護師法」に定められている。42条2項には、「保健師、看護師又は准看護師は、正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。保健師、看護師又は准看護師でなくなつた後においても、同様とする」と記載されている(※一部引用:「保健師助産師看護師法」厚生労働省HPより)。

医療法とは?

医療法とは、病院、診療所、助産院の開設、管理、整備の方法などを定める日本の法律である。①医療を受けるものの利益と保護、②良好かつ適切な医療を効率的に提供する体制確保を主目的としている。

 

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