第110回(R3) 看護師国家試験 解説【午後81~85】

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81 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律〈精神保健福祉法〉に規定された入院形態で、精神保健指定医2名以上により、精神障害者であり、かつ、医療及び保護のために入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると診察の結果が一致した場合に適用されるのはどれか。

1.応急入院
2.措置入院
3.任意入院
4.医療保護入院
5.緊急措置入院

解答2

解説

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)とは?

①精神障害者の医療及び保護を行うこと、②障害者総合支援法とともに、精神障害者の社会復帰の促進、自立と社会経済活動への参加の促進のために必要な援助を行うこと、③精神疾患の発生の予防や、国民の精神的健康の保持及び増進に努めることによって、精神障害者の福祉の増進及び国民の精神保健の向上を図ることを目的とした法律である。(※参考:「精神保健福祉法について」厚生労働省HPより)

1.× 応急入院とは、①患者本人の同意:必ずしも必要としない、②精神保健指定医の診察:1人の診察、③そのほか:医療および保護の依頼があるが、家族等の同意が得られない、④備考:入院期間は72時間以内、入院後直ちに知事に届け出る、知事指定の病院に限る、⑤入院権限:精神科病院管理者である。
2.〇 正しい。措置入院が本症例に該当する。措置入院とは、①措置入院:患者本人の同意:必ずしも必要としない、②精神保健指定医の診察:2人以上の診察、③そのほか:自傷・他害のおそれがある、④備考:国立・都道府県立精神科病院または指定病院に限る、⑤入院権限:都道府県知事である。
3.× 任意入院とは、①患者本人の同意:必要、②精神保健指定医の診察:必要なし、③そのほか:書面による本人意思の確認、④備考:本人の申し出があれば退院可能、⑤精神保健指定医が必要と認めれば、72時間以内の退院制限が可能、⑥入院権限:精神科病院管理者である。
4.× 医療保護入院とは、①患者本人の同意:必ずしも必要としない、②精神保健指定医の診察:1人の診察、③そのほか:家族等のうち、いずれかの者の同意、④備考:入院後、退院後ともに10日以内に知事に届け出る、⑤入院権限:精神科病院管理者である。
5.× 緊急措置入院とは、①患者本人の同意:必ずしも必要としない、②精神保健指定医の診察:1人の診察、③そのほか:自傷・他害のおそれが著しく、急を要する、④備考:入院期間は72時間以内、指定医が1人しか確保できず時間的余裕がない場合、暫定的に適用される、⑤入院権限:都道府県知事である。

 

 

 

 

 

 

82 副交感神経を含む脳神経はどれか。2つ選べ。

1.動眼神経
2.三叉神経
3.内耳神経
4.迷走神経
5.舌下神経

解答1・4

解説

自律神経機能をもつ脳神経の覚え方

自律神経機能をもつ脳神経は「港区
(み(Ⅲ)、な(Ⅶ)、と(Ⅹ)、く(Ⅸ)番の脳神経)と覚える。
Ⅲ:動眼神経(縮瞳)
Ⅶ:顔面神経(涙腺、唾液腺)
Ⅹ:迷走神経(消化管、心臓)
Ⅸ:舌咽神経(耳下腺)

1.〇 正しい。動眼神経(Ⅲ)は、副交感神経を含む脳神経である。副交感神経とし瞳孔を収縮させる。
2.× 三叉神経(Ⅴ)は、副交感神経は含まない。顔面の感覚と咀嚼筋の運動を支配する。咀嚼筋とは下顎骨の運動(主に咀嚼運動)に関わる筋肉の総称である。咀嚼筋は一般的に、咬筋、側頭筋、外側翼突筋、内側翼突筋の4種類が挙げられる。
3.× 内耳神経(Ⅷ)は、副交感神経は含まない。聴覚と平衡感覚を伝える感覚神経である。聴覚伝導路は、(内耳神経→蝸牛神経核(橋)→中脳下丘→視床→側頭葉)である。
4.〇 正しい。迷走神経(Ⅶ)は、副交感神経を含む脳神経である。消化管と気管の運動および粘液分泌にかかわり、大動脈弓受容器や肺の伸展受容器からの情報を伝える。
5.× 舌下神経(Ⅻ)は、副交感神経は含まない。舌筋の運動を支配する運動神経である。

 

 

 

 

83 血圧を上昇させるのはどれか。2つ選べ。

1.セロトニン
2.ヒスタミン
3.バソプレシン
4.ブラジキニン
5.心房性ナトリウムペプチド

解答1・3

解説

血圧を上昇させるホルモン

・セロトニン
・カテコールアミン
・アンジオテンシンⅡ
・アルドステロン
・バソプレシン
・トロンボキサン
・エンドセリン

1.〇 正しい。セロトニンは、血圧を上昇させる。セロトニンは、脳内だけに分泌される神経伝達物質で、交感神経を刺激し、血圧を上昇させる作用がある。
2.× ヒスタミンは、胃酸の分泌を促進させる神経伝達物質である。ヒスタミンは自身のH2(ヒスタミンH2)受容体に作用し、H2受容体を活性化させ胃酸分泌を促進させる。
3.〇 正しい。バソプレシンは、血圧を上昇させる。バソプレシンが下垂体後葉から分泌され、水の再吸収を促進する抗利尿作用・血圧上昇が起きる。尿を濃くし尿量を減らす作用がある。
4.× ブラジキニン(生理活性ペプチド)は炎症やアレルギー反応に関与する。発痛作用、血管拡張(血圧降下作用)、血管透過性亢進といったさまざまな作用をもつ。
5.× 心房性ナトリウムペプチドは、主に心房で合成されるホルモンで、腎臓に働き利尿を促進すると同時に、末梢血管を拡張し血圧降下作用物質としても働く。

 

 

 

 

 

 

84 蠕動運動がみられるのはどれか。2つ選べ。

1.腎動脈
2.腎孟
3.尿管
4.膀胱
5.尿道

解答2・3

解説

蠕動運動とは?

蠕動運動とは、管腔臓器において中枢側(口側)が収縮し末梢側(肛門側)が弛緩することで、末梢側(肛門側)に尿や消化管内容物を押し出していく運動のことである。

1.× 腎動脈は、蠕動運動がみられない。心臓の拍動(圧)によって血液を押し出している。ちなみに、静脈には心臓の拍動(圧)が弱くなるため、が付き逆流を防いでいる。
2.〇 正しい。腎孟は、蠕動運動がみられる。腎盂とは、腎臓と尿管の接続部分のことで大腎杯が集まる。腎臓で作られた尿を集め、尿管を経由して膀胱へ送り出すはたらきをしている。その平滑筋の蠕動運動により、尿管へ送り出される。
3.〇 正しい。尿管は、蠕動運動がみられる。尿は、腎小体(糸球体→Bowman嚢)で濾過され、尿細管(近位尿細管→ヘンレのループ→遠位尿細管→集合管)を通り腎杯、腎盂(腎盤)、尿管、膀胱、尿道へと流れていく。腎孟から送り出された尿は、尿管の平滑筋の蠕動運動により膀胱まで運ばれる。
4.× 膀胱は、蠕動運動がみられない。膀胱とは、骨盤の中にある袋状の臓器で、蓄尿と排尿の働きを持つ器官である。蓄尿時は膀胱が弛緩し、排尿時には膀胱が収縮する。排尿中枢は、仙髄(S2~4)にあり、膀胱壁が拡張するとその知覚が排尿中枢に伝えられる。普段は大脳から蓄尿の指令が出ているが、排尿の命令が出ると陰部神経を介して外尿道括約筋が弛緩し、副交感神経を介して排尿筋が収縮する。
5.× 尿道は、蠕動運動がみられない。蓄尿時には内・外尿道括約筋が収縮し蓄尿を維持し、排尿時には、内・外尿道括約筋が弛緩することで尿が尿道を通り排泄される。

 

 

 

 

85 炎症の4徴候に含まれるのはどれか。2つ選べ。

1.壊疽
2.腫脹
3.膿瘍
4.発赤
5.浮腫

解答2・4

解説

炎症とは?

炎症とは、壊死や刺激・侵襲に対する生体反応のことである。
【炎症の四徴】
①発熱(局所の熱感)
②発赤
③腫脹
④疼痛
+⑤機能障害を加えて、炎症の五徴と呼ぶ場合もある。

1.× 壊疽は、炎症の四徴候には含まれない。壊疽とは、壊死の一種であり、感染症あるいは血栓症などによる壊死に陥った部分が腐敗・融解をきたしている状態のことをいう。他にも、糖尿病による下肢壊疽などがある。
2.〇 正しい。腫脹は、炎症の4徴候に含まれる。腫脹とは、炎症によって毛細血管の透過性が亢進することである。炎症などが原因で、からだの組織や器官の一部に血液成分が溜まってはれ上がる。
3.× 膿瘍(のうよう)は、炎症の四徴候には含まれない。膿瘍とは、組織のなかに膿がたまった状態のことをいう。う蝕や歯周病など歯が原因で感染し炎症をおこしてできる場合がほとんどである。
4.〇 正しい。発赤は、炎症の4徴候に含まれる。発赤とは、皮膚や粘膜の一部が充血して赤くなることである。炎症により毛細血管の拡張と、局所の血流が増加していることを指す。
5.× 浮腫は、炎症の四徴候には含まれない。浮腫とは、いわゆる「むくみ」のことで、血液中の水分が血管の外に異常に浸み出した状態である。原因として、塩分の摂り過ぎ、アルコール、生理によるホルモンの変化、睡眠・運動不足、ストレスなど様々である。

 

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