第111回(R7)保健師国家試験 解説【午後21~25】

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21 乳児期の育児支援を検討するために、4か月児の保護者を対象にグループインタビューを実施し、育児に対する思いや取り組みについて聞いた。
 結果から得られた事項で、プリシード・プロシードモデルの準備要因はどれか。

1.夫が半年間の育児休業を取得した。
2.離乳食の進め方についての情報を求めている。
3.夫婦間で意識的に「ありがとう」の言葉をかけている。
4.予防接種を通してかかりつけの小児科医を見つけた。
5.ソーシャルネットワーキングサービス〈SNS〉で子育ての仲間を見つける。

解答

解説

(※図引用:順天堂大学スポーツ健康科学研究様HPより)

プリシード・プロシードモデルの第4段階

教育/エコロジカル・アセスメントとは、保健行動に影響を及ぼす3つの要因(①準備要因、②強化要因、③実現要因)を把握する段階である。

①前提要因(準備要因)とは、行動を起こす前の知識・態度、信念、価値観のことである。
②強化因子とは、周りの人のサポート、行動後の満足感をいう。
③実現要因とは、行動の実現を助ける受け皿や身近の設備である。

1.3.5.× 夫が半年間の育児休業を取得した。夫婦間で意識的に「ありがとう」の言葉をかけている。ソーシャルネットワーキングサービス〈SNS〉で子育ての仲間を見つける。
これらは、強化因子である。

2.〇 正しい。離乳食の進め方についての情報を求めている
これは、準備因子である。

4.× 予防接種を通してかかりつけの小児科医を見つけた。
これは、実現要因である。

プリシード・プロシードモデルとは?

プリシード・プロシードモデルとは、グリーン(Green LW)とクルーター(Kreuter MW)によって開発されたヘルスプロモーション活動を展開するためのモデルの1つである。プリシード・プロシードモデルの目的は、人々の生活の質の向上であり、目的を達成するためには行動と環境をより良く変化させる必要がある。さまざまな健康行動理論を戦略的に配置し、保健活動を計画・実施・評価していく統合モデルである。住民のニーズを把握し、設定したテーマに関して地域全体を包括的に診断するプリシード(第1~4段階)部分と、診断に従って実施と評価を行うプロシード(第5~8段階)部分からなる。

(参考:「PRECEDE-PROCEEDモデル」広島山口ヘルスプロモーション様HPより)

 

 

 

 

 

22 Aちゃん(1歳2か月、女児)は、両親との3人家族で、祖父母は近隣に居住しているが関係が不良で支援はない。かかりつけの小児科医から「1か月前に予防接種で受診したときからAちゃんの体重が減少している。両親は離乳食の進め方が分からず母乳だけを与えている。両親の養育が心配なため支援をしてほしい」と地区担当保健師へ連絡があった。
 両親に対する保健師の支援で優先度が高いのはどれか。

1.祖父母との同居を促す。
2.離乳食教室の参加を案内する。
3.地域の子育てサークルを紹介する。
4.離乳食の進め方のスケジュールを一緒に計画する。
5.両親と一緒にAちゃんの1週間ごとの体重増加の目標値を決める。

解答

解説

ポイント

・Aちゃん(1歳2か月、女児、両親との3人家族)
・祖父母:近隣に居住しているが関係が不良で支援はない。
・小児科医「1か月前に予防接種で受診したときからAちゃんの体重が減少している。両親は離乳食の進め方が分からず母乳だけを与えている。両親の養育が心配なため支援をしてほしい」と。
→ほかの選択肢が消去できる理由も上げられるようにしよう。

1.× 祖父母との同居を促す必要はない。なぜなら、設問文に「祖父母との関係は不良で支援はない」とあるため。むしろ同居は家族関係のストレスを増悪させる可能性がある。

2.× 離乳食教室の参加を案内する優先度は低い。なぜなら、教室の開催日まで待つ間にも体重減少が進行するリスクがあるため。また、教室という集団形式では、Aちゃん家庭の「緊急性」に応じたきめ細かい支援がしにくい。

3.× 地域の子育てサークルを紹介する優先度は低い。なぜなら、子育てサークルに参加しても、離乳食の具体的な進め方や体重減少に対する専門的なアドバイスは得られない可能性が高いため。
・子育てサークルとは、親同士が子育てに関する情報交換や相互協力を、また子どもにとっては友達作りなどを行うサークルのことである。

4.〇 正しい。離乳食の進め方のスケジュールを一緒に計画する。なぜなら、Aさんの両親は、離乳食の進め方が分からず母乳だけを与えているため。また、Aちゃんは、体重減少(発育不良) があり、栄養状態の改善が急務である。したがって、即時的かつ実践的に「どう与えるか」を一緒に計画することが最も効果的な支援となる。

5.× 両親と一緒にAちゃんの1週間ごとの体重増加の目標値を決める優先度は低い。なぜなら、目標を決めても、具体的な方法(離乳食の進め方)が分からないため。プロセス(離乳食の進め方)を支援した後に、アウトカム(体重増加)を評価するのが正しい順序である。

 

 

 

 

 

23 令和4年(2022年)の業務上疾病発症状況等調査における熱中症発生状況を業種別に報告数の多い順でグラフに示す。
 建設業はどれか。

1.A
2.B
3.C
4.D
5.E

解答

解説
1.〇 正しい。Aは、建設業である。屋外での作業(道路工事・建築現場・解体作業など)が多く、夏季には高温多湿の環境に長時間さらされることが要因である。

2.× Bは、製造業である。製造業では工場内での作業が中心で、特に鋳造・溶接などの高温環境下での作業による熱中症が発生する。

3.× Cは、運送業・郵便業である。運送・郵便業では、荷役作業や炎天下での配達中に熱中症が多発する。特に宅配ドライバーやトラック運転手は、エンジン熱や車内高温の影響を受けやすい。

4.× Dは、警備業である。警備業は屋外警備(交通整理・イベント警備など)が中心で、直射日光下に長時間立つことによる発症が多い。

5.× Eは、農業・林業である。真夏にビニールハウス内で農作業中の農業従事者が、40℃を超える環境で熱中症を発症するケースが多い。

(※データ引用:「令和4年業務上疾病発生状況(業種別・疾病別)」厚生労働省HPより)

 

 

 

 

 

24 市町村長による避難行動要支援者名簿の作成について定めている法律はどれか。

1.介護保険法
2.災害救助法
3.災害対策基本法
4.身体障害者福祉法
5.被災者生活再建支援法

解答

解説
1.× 介護保険法とは、1997年12月に公布された法律で、40歳以上で介護が必要になった人の自立生活を支援するために、国民が負担する保険料や税金を財源として、日常生活の行為にかかるさまざまな介助やリハビリなどのサービスにかかる給付を行うことを目的にしている。加齢に伴って生じる心身の変化による疾病等により介護を要する状態となった者を対象として、その人々が有する能力に応じ、尊厳を保持したその人らしい自立した日常生活を営むことができることを目指している。

2.× 災害救助法とは、災害に際して、国が地方自治体、日本赤十字社などと国民の協力のもとに、応急的に必要な救助を行い、被災者の保護と社会の秩序の保全を図ることを目的とした法律である。

3.〇 正しい。災害対策基本法は、市町村長による避難行動要支援者名簿の作成について定めている法律である。これは、第49条の10項(避難行動要支援者名簿の作成)に定められている。
・災害対策基本法とは、①防災計画の作成、②災害予防、③災害応急対策、④災害復旧および防災に関する財政金融措置など、災害対策の基本を定めている。国民の生命、身体及び財産を災害から保護し、もって、社会の秩序の維持と公共の福祉の確保に資することを目的とした法律である。

4.× 身体障害者福祉法とは、身体障害者の福祉の増進を図る為の日本の法律である。目的は、身体障害者手帳の交付や更生援護の実施など、福祉サービスの提供を通じて身体障害者の福祉を増進することである。

5.× 被災者生活再建支援法とは、被災者の生活再建を支援するための法律である。目的は、災害により居住する住宅が全壊するなど、生活基盤に著しい被害を受けた被災者に対して、支援金を支給することである。

 

 

 

 

 

25 レジオネラ症患者発生の届出を受けた保健所が感染の原因調査のために確認する内容で適切なのはどれか。

1.発症前の食事内容
2.カラオケ店の利用歴
3.循環式浴槽の利用歴
4.室内でのペットの飼育
5.レジオネラ症患者との接触歴

解答

解説

レジオネラ症とは?

レジオネラ症は『感染症法』の4類感染症で、集団発生を引き起こすため、保健である所において注意すべき疾患である。レジオネラ症とは、レジオネラ属菌による感染症である。 病型は、劇症型のレジオネラ肺炎と一過性のポンティアック熱の二つに分類される。 流行は季節によらず、中高年に多く発生している。レジオネラ肺炎は、全身倦怠感、頭痛、食欲不振、筋肉痛などの症状に始まり、咳や38℃以上の高熱、寒気、胸痛、呼吸困難が見られる。主な感染源は、レジオネラ属菌に汚染された循環式浴槽水、シャワー、ジャグジー、冷却塔水、加湿器などの人口環境水の目に見えないほど細かい水滴(エアロゾル)が主な原因となる。

1~2.4~5.× 発症前の食事内容/カラオケ店の利用歴/室内でのペットの飼育/レジオネラ症患者との接触歴を調査する優先度は低い。なぜなら、レジオネラ症は、循環式浴槽など水系環境の利用歴が代表的な感染源となるため。

3.〇 正しい。循環式浴槽の利用歴は、レジオネラ症患者発生の届出を受けた保健所が感染の原因調査のために確認する内容である。なぜなら、主な感染源は、レジオネラ属菌に汚染された循環式浴槽水、シャワー、ジャグジー、冷却塔水、加湿器などの人口環境水の目に見えないほど細かい水滴(エアロゾル)が主な原因となるため。

 

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