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66 プレコンセプションケアについて正しいのはどれか。
1.ケアの対象は女性に限定されている。
2.母体保護法によって規定されている。
3.国際連合〈UN〉によって提唱されている。
4.将来の妊娠に向けた健康の保持増進を目的としている。
解答4
解説
プレコンセプションケアとは、性や妊娠に関する正しい知識を身に付け健康管理を行うよう促すことを指す。子供を持ちたい人もそうでない人にも、誰にとっても若いうちからの大切な取り組みである。
1.× ケアの対象は女性「だけに限定されているわけではない」。なぜなら、パートナーである男性の健康状態も妊娠結果や子どもの健康に影響を与えるため。したがって、男性の生活習慣、病歴、遺伝的要因なども考慮されるべきである。
2.× 母体保護法によって「規定されているものではない」。プレコンセプションケアは、主に公衆衛生や予防医学の観点から推奨されている健康管理の取り組みで「成育医療等の提供に関する施策の総合的な推進に関する基本的な方針」に規定されている。
・母体保護法とは、不妊手術及び人工妊娠中絶に関する堕胎罪の例外事項を定めること等により、母親の生命健康を保護することを目的とした法律である。1948年7月13日に公布された。
3.× 「国際連合〈UN〉」ではなく世界保健機関〈WHO〉によって提唱されている。
・国際連合機関とは、国際連合を構成する六つの主要機関と補助機関および、国際連合と連携関係にある国際機関の総称である。
・世界保健機関とは、「全ての人々が可能な最高の健康水準に到達すること」を目的として設立された国連の専門機関である。人間の健康を基本的権利のひとつととらえ、その達成を目的として設立された国連の専門機関であり、感染症およびその他の疾病の撲滅事業の促進や、保健分野における研究の促進・指導などを行っている。
4.〇 正しい。将来の妊娠に向けた健康の保持増進を目的としている。プレコンセプションケアの目的は、妊娠を望むカップルが、妊娠前から健康状態を最適なものに整えることである。これにより、健全な妊娠経過、健康な赤ちゃんが生まれる可能性を高め、妊娠合併症のリスクを低減することを目指す。具体的な内容としては、食生活の改善、適度な運動、禁煙・禁酒、基礎疾患の管理、葉酸などの栄養素摂取、感染症の予防(風疹抗体など)などが含まれる。
67 正期産の時期のノンストレステスト〈NST〉で正常なのはどれか。
1.20分に2回以上の一過性頻脈がある。
2.胎児心拍数基線が80bpmである。
3.基線細変動が5bpmである。
4.一過性徐脈がある。
解答1
解説
ノンストレステスト(non-stress test:NST)とは、一般的に妊娠34週以降において、分娩監視装置を用いて子宮収縮や胎児心拍、胎動の状態で調べ、胎児の健康状態を判定するものである。陣痛(子宮収縮)などのストレスがない状態で妊婦に行う検査である。胎児は、20~40分ごとに睡眠と覚醒を繰り返すため通常40~60分間計測を行う。一過性頻脈とは、胎児が体を動かすとき(胎動があるとき)、一時的に心拍数が多くなることをいい、一定範囲で出るのが正常である。妊娠中、20分間のノンストレステスト< NST >をしている間に、心拍数15bpm以上15秒以上の一過性頻脈が2回以上あれば、胎児の状態は「良好な状態:well-being」と判断される。
1.〇 正しい。20分に2回以上の一過性頻脈がある。なぜなら、一過性頻脈(胎児心拍数の一時的な上昇)は、胎児が活発に動いている際に起こる正常な反応であるため。したがって、胎児が元気で、酸素供給が十分であることを示す。
・胎児のwell-beingの評価において、non-stress test:【正常な状態(2点)20~40分間中に15bpm以上の一過性頻脈が2回以上】【異常な状態(0点)2回未満】と規定されている(※下参照)。
2.× 胎児心拍数基線が80bpmである。
これは、正常範囲から逸脱している。胎児心拍数基線とは、10分間の区間の平均心拍数である。
【胎児心拍数基線】
・頻脈:160bpm以上
・正常脈:110bpm~160bpm
・徐脈:110bpm未満
3.× 基線細変動が5bpmである。
これは、正常範囲から逸脱している。胎児心拍数基線細変動は、胎児心拍数基線が判読可能な部分で判読する。基線細変動は、胎児心拍数基線の細かい変動で、定義上、1分間に2サイクル以上の胎児心拍数の変動で、振幅、周波数とも規則性がないものを指す。
【胎児心拍数基線細変動】
・細変動消失:肉眼的に認められない
・細変動減少:5bpm以下
・細変動中等度:6~25bpm
・細変動増加:26bpm以上
4.× 一過性徐脈がある。
これは、正常範囲から逸脱している。変動一過性徐脈とは、15bpm以上の心拍数減少が急速に起こり、開始から回復まで15秒以上2分未満の波形をいう。高度の判断は、①最下点が70 bpm未満で持続時間が30秒以上、②最下点が70 bpm以上80 bpm未満で持続時間が60秒以上で評価する。子宮収縮に伴って発生する場合は、一定の形を取らず、下降度、持続時間は子宮収縮ごとに変動することが多い。
胎児のwell-beingの評価には、主にバイオフィジカルプロファイルスコアリング(BPS:biophysical profile scoring:生物物理的プロフィール得点)が用いられることが多い。バイオフィジカルプロファイルスコアリング(BPS:biophysical profile scoring:生物物理的プロフィール得点)とは、超音波検査とNST(分娩監視装置による胎児心拍の観察)を用いて胎児のwell-beingを評価する方法である。胎児の各状態をチェックして点数評価し合計点で胎児の状態を診断する。
①胎児の呼吸運動:【正常な状態(2点)30分間に30秒以上続く運動が1回以上】【異常な状態(0点)無いとき】
②胎動:【正常な状態(2点)30分間に身体の大きな動きが3回以上】【異常な状態(0点)2回以下】
③筋緊張:【正常な状態(2点)30分間に手足の動きが1回以上】【異常な状態(0点)認めない】
④羊水量:【正常な状態(2点)直径2cm以上の羊水ポケットが1ヶ所以上】【異常な状態(0点)2cm以下】
⑤non-stress test:【正常な状態(2点)20~40分間中に15bpm以上の一過性頻脈が2回以上】【異常な状態(0点)2回未満】
68 子宮復古不全の要因はどれか。
1.胎児発育不全〈FGR〉
2.卵膜の子宮内遺残
3.分娩直後の授乳
4.膀胱炎
解答2
解説
子宮復古不全とは、妊娠によって大きくなった子宮が出産を終えて元に戻る過程である子宮復古に異常が起き、通常の子宮収縮が認められない病態である。 原因は、①子宮内に胎盤の一部が残っている場合(子宮内残留)や、②母体疲労によるもの、③胎盤や卵膜の子宮内感染など原因は多岐に渡る。
1.× 胎児発育不全〈FGR〉とは、平均と比べて成⻑が遅くなっていることをいい、胎盤由来の妊娠合併症の代表的なものである。子宮内での胎児の発育が遅延あるいは停止したために在胎週数に相当した胎児の発育が見られない状態で、妊娠週数に対して胎児が明らかに小さい場合をいい、胎児発育曲線において「-1.5SD以下」の場合に診断される。
2.〇 正しい。卵膜の子宮内遺残は、子宮復古不全の要因である。なぜなら、分娩後、胎盤だけでなく卵膜の一部が子宮内に残ってしまうと、子宮の収縮が妨げられるため。子宮の収縮が不十分になることで、子宮の回復(復古)が遅れて、これが子宮復古不全につながる。
3.× 分娩直後の授乳は、子宮復古を促進する要因である。なぜなら、授乳は、母体のオキシトシンの分泌を促すため。
・オキシトシンとは、脳下垂体後葉から分泌される。出産後に乳汁射出、子宮収縮作用がある。また、分娩開始前後には分泌が亢進し、分娩時に子宮の収縮を促し、胎児が下界に出られるように働きかける。児の吸啜刺激によって分泌が亢進し、分娩後の母体の子宮筋の収縮を促す。
4.× 膀胱炎とは、出血を伴う膀胱炎で、尿が赤みを帯びる(血尿)という症状がみられる。出血について、膀胱粘膜の一部からというより、全体からの出血が特徴的とされる。子宮内感染に陥ると、子宮復古不全の要因となりやすい。
子宮内感染とは、病原菌が腟・ 子宮頸管の病原体が子宮内へと上行(上行感染)、もしくは胎盤を通過(経胎盤感染)し胎児へと感染することである。原因となる細菌は、淋菌、レンサ球菌、ブドウ球菌、大腸菌、結核菌などがある。 月経のとき、不潔なタンポンを膣内にあったり、タンポンを膣の中に長い間おいた場合も、子宮内にまで炎症を起こしてしまうことがある。一般的な症状は、下腹部痛、骨盤痛、発熱(分娩後1~3日以内に起こる場合がほとんど)、蒼白、悪寒、全身のけん怠感や不快感などのほか、しばしば頭痛や食欲減退もみられる。
69 出生直後の新生児の計測方法で正しいのはどれか。
1.身長は側臥位で計測する。
2.体重はオムツをつけて計測する。
3.頭囲は後頭結節とオトガイの周囲を計測する。
4.胸囲は肩甲骨直下と左右の乳頭を通る周囲を計測する。
解答4
解説
1.× 身長は、「側臥位」ではなく背臥位で計測する。測定は2人で行う。
・1人は、新生児の耳孔と眼を結んだ線が垂直になるように、頭を固定板につけて固定する。
・1人は、片手で新生児の両膝を軽く押さえ、下肢を伸展させ、もう一方の手で足底に移動板をあてて計測する。
2.× 体重は、「オムツをつけて」ではなく全裸で計測する。授乳前に測定する。
3.× 頭囲は、後頭結節と「オトガイ」ではなく眉間の周囲を計測する。
4.〇 正しい。胸囲は、肩甲骨直下と左右の乳頭を通る周囲を計測する。泣いていないときで、吸気と呼気の中間で測定する。
70 精神科病院入院患者の身体的拘束中に発生しやすい合併症はどれか。
1.糖尿病
2.足白癬
3.悪性症候群
4.肺血栓塞栓症
解答4
解説
1.× 糖尿病とは、インスリンの作用不足によって血糖値が高くなる慢性の代謝性疾患である。
・1型糖尿病とは、原因が自己免疫異常によるインスリン分泌細胞の破壊などがあげられる糖尿病である。小児~思春期の発症が多く、肥満とは関係ないのが特徴である。一方、2型糖尿病の原因は生活習慣の乱れなどによるインスリンの分泌低下である。
2.× 足白癬(※読み:はくせん)は、真菌が原因体である。白癬とは、いわゆる水虫のことで、皮膚糸状菌によって生じる皮膚感染症の一つである。接触感染の感染経路をとり、個室隔離の必要はない。症状として、小さな水ぶくれ、赤み、皮膚が乾燥して剥がれることがあげられる。
3.× 悪性症候群とは、抗精神病薬の使用初期や、抗精神病薬・抗Parkinson病薬の急激な中断により、発熱(ときに40℃以上)、錐体外路症状(特に筋強剛)、自律神経症状(頻脈・発汗・流涎)、精神症状(昏迷、意識障害)、高CK血症などを来すものである。
4.〇 正しい。肺血栓塞栓症は、精神科病院入院患者の身体的拘束中に発生しやすい合併症である。なぜなら、身体的拘束は、患者の活動を著しく制限し、長時間同じ体位で動かない状態を引き起こすため。これにより、下肢の静脈の血流が滞り(うっ滞)、血栓(血の塊)ができやすくなる。
肺血栓塞栓症とは、肺の血管(肺動脈)に血のかたまり(血栓)が詰まって、突然、呼吸困難や胸痛、ときには心停止をきたす危険な病気である。ロング・フライト血栓症やエコノミークラス症候群などと呼ばれる。離床(車椅子乗車や立位訓練、歩行訓練など)を開始したタイミングで発症するリスクが高くなるため注意が必要である。多く原因は、足の深いところにある静脈(深部静脈)に血液の塊である血栓ができて、その血栓が血流に乗って心臓を介して肺動脈に詰まることである。