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56 Aさん(81歳、男性)は、大腸内視鏡検査を受けることになった。
検査前にAさんへ看護師が確認する項目で最も優先されるのはどれか。
1.義歯の使用
2.白内障の有無
3.保持できない姿勢
4.前立腺肥大症の有無
解答4
解説
1.× 義歯の使用より優先されるものが他にある。義歯は、MRI検査の際に禁忌になる。
2.× 白内障の有無より優先されるものが他にある。
・白内障とは、水晶体が年齢とともに白く濁って視力が低下する病気である。主な原因は加齢である。他にも、糖尿病や妊娠初期の風疹ウイルス感染などにより生じる。
3.× 保持できない姿勢より優先されるものが他にある。なぜなら、保持できない姿勢があったからと言って、重篤な合併症の直接的なリスクにはならないため。
・大腸内視鏡検査では、通常、左側臥位(左を下にした横向き)で検査が開始される。検査の途中で、医師の指示により仰臥位(背臥位、仰向け)や右側臥位(右を下にした横向き)など、体位変換を行うことがある。これは、大腸の形状や走行に合わせて、内視鏡の挿入をスムーズに進めるためである。
4.〇 正しい。前立腺肥大症の有無は、検査前にAさんへ看護師が確認する項目で最も優先される。なぜなら、前立腺肥大症があると、検査で使用する鎮静剤や麻酔の影響で尿が出にくくなる可能性があるため。一般的に、 大腸内視鏡検査前には、腸管を空にするために大量の下剤を服用する必要がある。前立腺肥大症があると、尿が出にくくなる(排尿困難)症状があるため、多量の下剤服用によって尿閉(尿が出せなくなる状態)を引き起こすリスクが高まる。尿閉は、患者さんに強い苦痛を与えるだけでなく、腎機能障害を引き起こす可能性もあるため、非常に重要な合併症である。
核磁気共鳴画像法(MRI)とは、核磁気共鳴現象を利用して生体内の内部の情報を画像にする方法である。治療前にがんの有無や広がり、他の臓器への転移がないかを調べたり、治療の効果を判定したり、治療後の再発がないかを確認するなど、さまざまな目的で行われる精密検査である。
【MRI検査の禁忌】
①体内の電子電機部品(ペースメーカ、移植蝸牛刺激装置(人工内耳)、植込み型除細動器、神経刺激器、植込み型プログラマブル注入ポンプ):MRI対応型もあるためしっかり確認する。
②素材の確認できない脳動脈クリップ:MRI対応型もあるためしっかり確認する。
③目や脳など特定の重要臓器に迷入した鉄片などの強磁性体の破片
④眼部のインプラントや材料で強磁性金属を使用しているもの
⑤磁場によって活性化するもの(磁力で装着する義眼、磁石部分が脱着不能な義歯など)
⑥目のメークアップ用品、カラーコンタクト
⑦入れ墨
⑧補聴器
⑨いくつかの管腔内デバイス
⑩ニトログリセリン真皮浸透絆創膏
57 全身麻酔下で肺切除術を受ける高齢者への説明で優先度が高いのはどれか。
1.術前にベッド上で排泄の練習をすること
2.術前に手術部看護師の訪問があること
3.術前に深呼吸や排痰の練習をすること
4.術後に四肢の自動運動をすること
解答3
解説
1.× 術前にベッド上で排泄の練習をすることより優先されるものが他にある。
なぜなら、全身麻酔下で肺切除術とその後の合併症との関連性は低いため。
2.× 術前に手術部看護師の訪問があることより優先されるものが他にある。
なぜなら、術前に手術部看護師の訪問があることが生命に直接関連せず緊急性が低いため。
3.〇 正しい。術前に深呼吸や排痰の練習をすることが最も優先される。なぜなら、全身麻酔下の肺切除術では、術後に肺合併症(無気肺、肺炎など)のリスクが非常に高まるため。したがって、術前から深呼吸や咳、排痰の練習をしておくことで、術後の肺機能の回復を促し、これらの重篤な合併症を予防する効果が期待できる。
4.× 術後に四肢の自動運動をすることより優先されるものが他にある。
なぜなら、全身麻酔下で肺切除術とその後の合併症との関連性は低いため。ただし、術後の四肢の自動運動は、深部静脈血栓症や肺塞栓症などの血栓性合併症の予防、筋力低下の防止、早期離床の促進に非常に有効である。
58 要支援1の認定を受けた高齢者が、介護予防通所リハビリテーションの利用を開始した。「普段からトイレに何度も行く」と頻尿を気にしている。
施設にいる看護師の援助で適切なのはどれか。
1.施設のトイレの場所を一緒に確認する。
2.車椅子でトイレに移送する。
3.紙オムツの使用を勧める。
4.排泄時に更衣を介助する。
解答1
解説
・高齢者(要支援1の認定)
・介護予防通所リハビリテーションを利用開始。
・「普段からトイレに何度も行く」と頻尿を気にしている。
→介護予防通所リハビリテーションとは、要支援者に対して要介護状態になることをできる限り防ぐ(発生を予防する)、あるいは状態がそれ以上悪化しないようにすることを目的とし、介護老人保健施設・病院等への通所で行われる理学療法、作業療法などのリハビリテーションを行うものである。
1.〇 正しい。施設のトイレの場所を一緒に確認する。なぜなら、要支援1の高齢者は、基本的に日常生活の大部分を自立して行えると考えられるため。頻尿を気にしている場合、トイレの場所を事前に把握しておくことで、安心して活動できる。
2~4.× 車椅子でトイレに移送する/紙オムツの使用を勧める/排泄時に更衣を介助する必要はない。なぜなら、要支援1の高齢者は、基本的に日常生活の大部分を自立して行えると考えられるため。介護予防の観点からも、できる限りご自身の力で活動を続けることが推奨される。
59 標準的な成長・発達をしている4歳の男児に対して採血を行う。看護師が男児に採血についてのプレパレーションを実施した。
その後に伝えることで適切なのはどれか。
1.「痛くないよ」
2.「すぐに終わっちゃうよ」
3.「何か聞きたいことはないかな」
4.「やらないと病気になっちゃうよ」
解答3
解説
プレパレーションとは、小児科の手術や治療に先立って、患者である子供に、画像や人形などを使って分かりよい説明をし(練習もさせ)、安心して臨める心構えに導くことである。心理的準備の援助として、主に小児に行うものである。
1.× 「痛くないよ」は、不適切な言葉かけである。
なぜなら、嘘をついたことになりかねないため。採血は少なからず痛みを伴う処置であり、「痛くない」と伝えると、実際に痛かった場合に子どもは看護師に対して不信感を抱いてしまう。
2.× 「すぐに終わっちゃうよ」は、不適切な言葉かけである。
なぜなら、「すぐに」という言葉は抽象的であるため。解釈に個人差がみられやすい。
3.〇 正しい。「何か聞きたいことはないかな」と伝える。なぜなら、プレパレーションを実施した後、子どもが疑問に思っていることや不安に感じていることを自ら表現する機会を与えることにつながるため。子どもの理解度を確認し、残された不安を取り除くことができる。
4.× 「やらないと病気になっちゃうよ」は、不適切な言葉かけである。なぜなら、さらに不安や恐怖心を増大させる恐れがあるため。
60 標準的な成長・発達をしている子どもが「ばい菌が体内に入ることで病気になる」と考えるようになるのは、ピアジェ,J.の認知的発達段階のどれか。
1.感覚運動期
2.前操作期
3.具体的操作期
4.形式的操作期
解答2
解説
ピアジェは、子どもの様子を分析することを通じて乳幼児期の認知の発達を「実際の行為を頭の中でイメージし、行為の結果を想像する(操作)」ことができるまでの4つの段階に分けた。
①感覚運動期(0〜2歳頃):対象を見る・触るなど感覚を通じてとらえ、対象をつかんで投げるなど運動的な働きかけを介して認識する時期である。
②前操作期(2歳~7歳頃):急激に言語を獲得することでイメージの思考ができるようになる(表象的思考)。
③具体的操作期(7歳頃~11歳頃):「保存の概念」を理解できるようになる。具体的な対象をみて、ものごとの関係を考えるようになる第一段階(おはじきを用いて足し算を理解するなど)と、あることがらと別のことがらの共通項を推理し、別の角度からの見え方を推測するなど、より抽象的に思考できるようになる第二段階がある。
④形式的操作期(11歳〜):論理的な思考ができるようになるという特徴がある。仮説演繹的思考(仮説に基づいて結論を導くこと)、組合せ思考(あることがらを生じさせる要因の組合せを系統的に調べ見つけること)、計量的な比例概念(ものごとの共変関係を理解できる)などである。
1.× 感覚運動期(0〜2歳頃)は、対象を見る・触るなど感覚を通じてとらえ、対象をつかんで投げるなど運動的な働きかけを介して認識する時期である。
2.〇 正しい。前操作期が該当する。前操作期(2歳~7歳頃)は、急激に言語を獲得することでイメージの思考ができるようになる(表象的思考)。子どもが「ばい菌が体内に入ることで病気になる」と考えるようになる。
3.× 具体的操作期(7歳頃~11歳頃)は、「保存の概念」を理解できるようになる。具体的な対象をみて、ものごとの関係を考えるようになる第一段階(おはじきを用いて足し算を理解するなど)と、あることがらと別のことがらの共通項を推理し、別の角度からの見え方を推測するなど、より抽象的に思考できるようになる第二段階がある。
・なぜばい菌が増えるのか、どのように感染するのか、体内で何が起きているのかといった、より複雑な因果関係や保存の概念(量や数が形が変わっても変わらないこと)も理解できる。
4.× 形式的操作期(11歳〜)は、論理的な思考ができるようになるという特徴がある。仮説演繹的思考(仮説に基づいて結論を導くこと)、組合せ思考(あることがらを生じさせる要因の組合せを系統的に調べ見つけること)、計量的な比例概念(ものごとの共変関係を理解できる)などである。
・目に見えないウイルスや細菌の構造、免疫システムの働き、遺伝的要因、心理的ストレスなど、より複雑で多岐にわたる病気の原因やメカニズムを理解できる。