第114回(R7) 看護師国家試験 解説【午後86~90】

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86 介護保険法で定める特定疾病はどれか。2つ選べ。

1.ウイルス肝炎
2.脊髄小脳変性症
3.閉塞性動脈硬化症〈ASO〉
4.メタボリックシンドローム
5.後天性免疫不全症候群〈AIDS〉

解答2・3

解説

特定疾病(16種)

特定疾病は、加齢に伴い発症するリスクが高まり、要介護状態となる原因となる疾病として厚生労働省令で定められている。

筋萎縮性側索硬化症
後縦靱帯骨化症
骨折を伴う骨粗鬆症
多系統萎縮症
初老期における認知症
脊髄小脳変性症
脊柱管狭窄症
早老症
糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
脳血管疾患
パーキンソン病関連疾患
閉塞性動脈硬化症
関節リウマチ
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
がん(末期)

1.× ウイルス肝炎とは、ウイルス感染によって肝臓に炎症が起こる病気である。A型、B型、C型などが主なタイプで、放置すると慢性化し、肝硬変や肝がんへ進行する可能性がある。感染経路はウイルス型によって異なり、予防接種や衛生管理が重要である。

2.〇 正しい。脊髄変性症は、介護保険法で定める特定疾病である。
・脊髄小脳変性症とは、運動失調を主症状とし、原因が、感染症、中毒、腫瘍、栄養素の欠乏、奇形、血管障害、自己免疫性疾患等によらない疾患の総称である。遺伝性と孤発性に大別され、①純粋小脳型(小脳症状のみが目立つ)と、②多系統障害型(小脳以外の症状が目立つ)に大別される。脊髄小脳変性症の割合として、孤発性(67.2%)、常染色体優性遺伝性(27%)、が常染色体劣性遺伝性(1.8%)であった。孤発性のものの大多数は多系統萎縮症である。(※参考:「18 脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く。)」厚生労働省様HPより)

3.〇 正しい。閉塞性動脈硬化症〈ASO〉は、介護保険法で定める特定疾病である。
・閉塞性動脈硬化症とは、足の血管の動脈硬化がすすみ、血管が細くなったり、つまったりして、充分な血流が保てなくなる病気である。そのため、血液の流れが悪くなり、歩行時に足のしびれ、痛み、冷たさを感じる。トレッドミル(歩行マシーン)やトラック歩行が運動療法として処方される。

4.× メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪の蓄積を基盤とし、動脈硬化の危険因子を複数合併した状態のことである。
【診断基準】
①腹部肥満(ウエストサイズ 男性85cm以上 女性90cm以上) 
②中性脂肪値(HDLコレステロール値 中性脂肪値 150mg/dl以上、HDLコレステロール値 40mg/dl未満のいずれか、または両方)
③血圧(収縮期血圧130mmHg以上、拡張期血圧85mmHg以上のいずれか、または両方)
④血糖値(空腹時血糖値110mg/dl以上)

5.× 後天性免疫不全症候群〈AIDS〉とは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)によって引き起こされる感染症である。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は主に血液や性行為を通じて感染する。ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉感染症に対する治療法は飛躍的に進歩しており早期に発見することでエイズの発症を予防できるようになってきている。しかし、治療を受けずに自然経過した場合、免疫力の低下により様々な障害が発現する。

 

 

 

 

 

87 介護保険法で地域包括支援センターに配置が義務付けられているのはどれか。2つ選べ。

1.介護福祉士
2.社会福祉士
3.介護支援専門員
4.精神保健福祉士
5.主任介護支援専門員

解答2・5

解説

地域包括支援センターとは?

地域包括支援センターとは、介護保険法に基づき各市町村によって設置されており、地域の高齢者の医療・福祉・介護・虐待など様々な事柄に関する相談窓口となっている。地域包括支援センターの人員基準は、「第1号被保険者(65歳以上の高齢者)3000人~6000人ごとに、保健師、社会福祉士及び主任介護支援専門員(準ずる者を含む)を最低限それぞれ各1人」である。

1.× 介護福祉士とは、社会福祉士及び介護福祉士法を根拠とする国家資格である。身体が不自由な高齢者、身体もしくは精神に障害がある方に対し、食事や入浴、排泄の介助など日常生活を営むためのサポートをおこなう。

2.〇 正しい。社会福祉士は、介護保険法で地域包括支援センターに配置が義務付けられている。
・社会福祉士とは、社会福祉援助(ソーシャルワーク)を主に行う職種のものである。例えば、①障害や病気などの理由により福祉サービスを必要とする人々からの相談を受け、②他の福祉サービスの提供者・医療機関と連携し、③相談者の自立に向け、専門的な知識と技術で的確な助言や指導、その他の援助を行う。

3.× 介護支援専門員とは、介護保険法等を根拠に、ケアマネジメントを実施することのできる公用資格、また有資格者のことをいう。免許という位置づけではなく、要支援・要介護認定者およびその家族からの相談を受け、介護サービスの給付計画を作成し、自治体や他の介護サービス事業者との連絡、調整等を行う。

4.× 精神保健福祉士とは、『精神保健福祉士法』に基づき、精神障害者に対する相談援助などの社会福祉業務に携わる専門職である。また、その家族に対しても相談に応じ、助言、指導、日常生活への適応のために必要な援助を行う。

5.〇 正しい。主任介護支援専門員は、介護保険法で地域包括支援センターに配置が義務付けられている。
・主任介護支援専門員とは、ケアマネジャー(介護支援専門員)が指定された研修を修了することで取得できる資格のことであり、2006年の介護保険改定とともに新設されました。主な役割として、①ケアマネジャーの育成、②社会資源の情報収集を行うこと、③多職種や他事業所との連携を図ることがあげられる。
・介護支援専門員とは、介護保険法等を根拠に、ケアマネジメントを実施することのできる公用資格、また有資格者のことをいう。免許という位置づけではなく、要支援・要介護認定者およびその家族からの相談を受け、介護サービスの給付計画を作成し、自治体や他の介護サービス事業者との連絡、調整等を行う。

 

 

 

 

 

88 高齢者における感覚器の変化の特徴で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.高音域の聴力が保持される。
2.痛覚の感受性が低下する。
3.味覚の閾値が低下する。
4.暗順応が低下する。
5.嗅覚は保持される。

解答2・4

解説
1.× 高音域の聴力は、「保持」ではなく低下する。老人性難聴(加齢性難聴)とは、加齢によって耳(内耳)と脳(聴覚中枢)が障害されて聴こえにくくなっている状態である。老人性難聴は、高音域の聴力から障害される。他にも、語音弁別能や周波数選択性の低下、補充現象などの症状が複数現れる。ちなみに、補充現象とは、聞こえが悪いのに、音を大きくすると大きくした比率以上に大きく聞こえる現象である。

2.〇 正しい。痛覚の感受性が低下する。なぜなら、加齢に伴い、皮膚の神経終末の減少や、痛みの伝達経路が変化するため。

3.× 味覚の閾値が、「低下」ではなく上昇する(閾値の上昇=若年者と同じ味を感じるのに、より強い刺激が必要)。なぜなら、加齢に伴い舌の味蕾の数が減少したり、味覚を感じる細胞の機能が低下するため。
・閾値とは、感覚や反応や興奮を起こさせるのに必要な、最小の強度や刺激などの(物理)量である。したがって閾値が高いと(上がると)、 感覚を感じにくくなることをさす。

4.〇 正しい。暗順応が低下する。なぜなら、40歳頃から水晶体の弾力性低下による調節力の低下が生じるため。明暗順応とは、視感度が光環境に順応する視覚機能で、目の網膜の感度を明るい所で低下させたり、暗い所で増大させたりして調節し、適度な視感覚を保たせることである。視感度とは、明るいところでは低くなり(明順応)、暗いところでは高くなる(暗順応)こと。また、40歳頃より視力は遠視に傾く。

5.× 嗅覚は、「保持」ではなく低下する。なぜなら、加齢に伴い、鼻腔内の嗅細胞の数や機能が低下するため。したがって、匂いを感じる閾値が上昇し、若い頃に比べて匂いを感知しにくくなる。

 

 

 

 

 

89 子どもの成長・発達で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.基本的な運動発達は末梢から中枢へ向かう。
2.発達の臨界期は身体の各部位によって異なる。
3.成長とは身体の機能が質的に変化することである。
4.新生児期の成長・発達は環境よりも遺伝の影響が大きい。
5.乳幼児期の脳神経系の発達は学童期と比べゆるやかである。

解答2・4

解説
1.× 逆である。基本的な運動発達は、「中枢」から「末梢」へ向かう。例えば、赤ちゃんはまず首が座り(体幹のコントロール)、次に寝返り、お座り、ハイハイと体幹に近い部分のコントロールを獲得し、その後で手の指先を使った微細な動きができるようになる。

2.〇 正しい。発達の臨界期は、身体の各部位によって異なる。身体の機能や能力(例:視覚、聴覚、言語、運動など)によって、臨界期はそれぞれ異なる。視覚の発達には生後数ヶ月から数年の間に光刺激が不可欠であり、この時期を逃すと視力の発達が阻害されることがある。一方、言語の発達は乳幼児期から学童期初期が重要であり、この時期に適切な言語環境がなければ、母語の習得が難しくなる。
・臨界期とは、ある年齢を過ぎると言語の習得が不可能になる時期のことである。多くの場合、子どもが思春期に達する前後の12〜15歳が臨界期の終わりと考えられているが、これに対しては一致した結論はまだ出ていない。

3.× 身体の機能が質的に変化することであるのは、「成長」ではなく発達の説明である。
・成長とは、量的な変化(大きくなる・重くなるなど)のことであり、例えば身長が伸びる、体重が増えることである。
・発達とは、質的な変化(機能や能力の向上・複雑化)のことであり、例えば歩けるようになる、言葉を話せるようになることである。

4.〇 正しい。新生児期(生後4週間まで)の成長・発達は、環境よりも遺伝の影響が大きい。基本的な身体機能や反射行動などは、遺伝的なプログラムによって大きく規定されており、環境要因の影響は、その後の乳幼児期や学童期と比べて相対的に小さいと考えられている。

5.× 逆である。「学童期(6~12歳)」の脳神経系の発達は、「乳幼児期(0~6歳頃)」と比べゆるやかである。なぜなら、乳幼児期(0~6歳頃)に、シナプス形成が活発に行われ、脳の重さも急速に増加するため。生まれたばかりの赤ちゃんの脳は成人の約25%の重さであるが、2歳頃には約80%に達すると言われている。

 

 

 

 

 

90 身長160cm、体重60kgの成人の体格指数〈BMI〉を求めよ。
 ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第2位を四捨五入すること。
   解答:①②.③
    ①:0~9
    ②:0~9
    ③:0~9

解答234

解説

MEMO

BMIとは、体重(㎏) ÷ 身長の2乗(m) で計算される体格指数のことである。日本肥満学会の基準では、18.5以下:低体重、25以下:普通、30以下:肥満Ⅰ度、35以下:肥満Ⅱ度、40以下:肥満Ⅲ度、40以上:肥満Ⅳ度である。

160cm = 1.6m

(1.6 m)2= 2.56

BMI= 60kg ÷ 2.56

    =23.4375

小数点以下第2位を四捨五入すると、23.4

したがって、AさんのBMIは23.4となる。

 

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