第115回(R8) 看護師国家試験 解説【午前11~15】

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11 止血機構を有するのはどれか。

1.血漿
2.細胞内液
3.脳脊髄液
4.リンパ液

解答

解説

一次止血と二次止血の違い

・一次止血とは、血小板が主な成分で、数分以内に起こり、血小板血栓を形成して一時的に出血を止めることが役割である。
・二次止血とは、凝固因子(フィブリン)が主な成分で、数十分以内に起こり、フィブリン網によって血小板血栓を強固に固定し、安定した止血を完成させることが役割である。

1.〇 正しい。血漿は、止血機構を有する。なぜなら、血漿には血液凝固因子が含まれているため。
血漿は、血液の液体成分で、水分、電解質、アルブミン、グロブリン、フィブリノゲンなどを含む。止血には、血小板による一次止血と、血漿中の凝固因子による二次止血がある。特に重要なのは、血漿中のフィブリノゲンである。凝固反応によってフィブリノゲンはフィブリンに変化し、血小板血栓を補強して安定した血栓を形成する。

2.× 細胞内液は、止血機構を有さない
・細胞内液とは、体液のうち細胞の中にある液体である。主な電解質はカリウムで、細胞の代謝や浸透圧維持に関係する。

3.× 脳脊髄液は、止血機構を有さない
・脳脊髄液とは、中枢神経系を保護・栄養する液体である。脳脊髄液は、脳室・くも膜下腔に存在し、神経組織の代謝産物を除去したり、機械的保護を担う液体である。

4.× リンパ液は、止血機構を有さない
・リンパ液とは、血管から染み出した血漿やタンパク質の成分などが、毛細リンパ管に再吸収されたものである。働きとして、老廃物の回収などの働きがある。

 

 

 

 

12 胃潰瘍による少量の吐血の特徴はどれか。

1.泡沫状
2.アセトン臭
3.アンモニア臭
4.コーヒー残渣様

解答

解説

胃潰瘍とは?

胃潰瘍とは、胃粘膜が炎症を起こし、粘膜の一部が欠損している状態である。症状として、みぞおちを中心とした鋭い痛み、吐き気、嘔吐、胸やけ、頻繁なげっぷ、食欲不振などである。

1.× 泡沫状は、胃潰瘍による吐血の特徴ではない
・泡沫状とは、血液に空気や気道分泌物が混じる喀血でみられやすい性状である。
・喀血とは、気管支や肺などの呼吸器から出血し、咳とともに血液を喀出することである。呼吸器由来の血液は空気と混ざるため、泡を含んだ赤色の血液として出る。

2.× アセトン臭は、胃潰瘍による吐血の特徴ではない
・アセトン臭とは、ケトン体の増加に伴う呼気臭である。甘酸っぱい果物のような臭いで、糖尿病性ケトアシドーシスや飢餓状態などで、体内にケトン体が増加したときにみられる。

3.× アンモニア臭は、胃潰瘍による吐血の特徴ではない
・アンモニア臭とは、慢性腎不全が進行して尿毒症などでみられる臭気である。アンモニア臭は、体内に尿素や窒素代謝産物が蓄積する腎不全などで問題になる。

4.〇 正しい。コーヒー残渣様は、胃潰瘍による少量の吐血の特徴である。なぜなら、胃内に出血した血液が胃酸によって変性し、黒褐色の顆粒状になるため。胃潰瘍では、潰瘍によって胃粘膜や血管が損傷し、胃内に出血する。出血量が少なく、胃内に血液がしばらく停滞すると、血液中のヘモグロビンが胃酸の作用を受けて変性し、黒っぽくなる。これがコーヒー残渣様吐物である。

 

 

 

 

13 腹部の図を示す。胆囊炎でみられる腹痛の典型的な部位はどれか。

1.①
2.②
3.③
4.④

解答

解説

(図引用:「肝臓周辺臓器 名称」illustAC様HPより)

胆囊炎とは?

胆囊炎とは、胆のうに炎症が生じた状態である。 胆のうがむくんで腫れ、炎症の進行とともに胆のうの壁が壊死していく。 症状は、初期には上腹部の不快感や鈍痛で、炎症の進行とともに右季肋部痛(右の肋骨の下あたり)になり、次第に激痛になる。原因の90%は、胆のうの中の胆石が胆嚢の出口に詰まることである。胆石は、脂質の多い食生活でみられやすい。

1.〇 正しい。①(右季肋部痛)は、胆囊炎でみられる腹痛の典型的な部位である。なぜなら、胆囊は、肝臓の下面、右上腹部に位置する臓器であるため。胆囊炎は、多くの場合、胆石などによって胆囊管が閉塞し、胆囊に炎症が起こる疾患である。胆囊は右季肋部にあるため、炎症による痛みも右季肋部〜右上腹部に出やすくなる。

2.× ②(左季肋部痛)は、主に脾臓や膵臓の病変でみられる。

3.× ③(左下腹部)は、主にS状結腸炎の病変でみられる。

4.× ④(右下腹部)は、急性虫垂炎などに特徴的な部位である。

 

 

 

 

 

14 深部静脈血栓症〈DVT〉の危険因子はどれか。

1.若年
2.水分過多
3.長期臥床
4.るいそう

解答

解説

静脈血栓塞栓症とは?

静脈血栓塞栓症とは、手足の静脈に血栓ができて血管が詰まる深部静脈血栓症(DVT)と、その血栓が血流に乗って運ばれ肺の動脈に詰まる肺血栓塞栓症を合わせた総称である。深部静脈血栓症とは、長時間の安静や手術などの血流低下により下肢の静脈に血栓が詰まってしまう病気である。下肢の疼痛、圧痛、熱感などの症状がみられる。ほかのリスク因子として、脱水や肥満、化学療法などがあげられる。

1.× 若年は、深部静脈血栓症の典型的な危険因子ではない。むしろ、加齢に伴ってリスクが高くなる疾患である。

2.× 水分過多は、深部静脈血栓症の典型的な危険因子ではない。むしろ、脱水による血液濃縮が危険因子となる。なぜなら、脱水になると血液の粘稠度、つまり血液の“どろどろさ”が増し、血栓ができやすくなるため。

3.〇 正しい。長期臥床が、深部静脈血栓症〈DVT〉の危険因子である。なぜなら、長期臥床では、下肢の筋ポンプ作用が低下し、静脈血流が停滞するため。

4.× るいそうは、深部静脈血栓症の典型的な危険因子ではない。むしろ、肥満が危険因子である。なぜなら、肥満のある患者では、静脈還流が悪くなりやすく、活動量も低下しやすいため。
・るいそうとは、やせの程度が著しい状態である。

 

 

 

 

15 肝性脳症の原因物質はどれか。

1.プリン体
2.アンモニア
3.グルコース
4.トリグリセライド

解答

解説

肝性脳症とは?

肝性脳症とは、重度の肝疾患がある人において、正常なら肝臓で除去されるはずの有害物質が血液中に蓄積して脳に達することで、脳機能が低下する病気である。長期にわたる(慢性の)肝疾患がある患者に発生する。 原因として、消化管での出血、感染症、処方薬を正しく服用しないこと、その他のストレスによって誘発される。正常な肝なら代謝されるはずの有害物質(アンモニアなど)が脳に達することによって生じる。肝性脳症は多くの場合、治療により予後良好である。主に、①ラクツロース、②抗菌薬が用いられる。①合成糖であるラクツロースは、下剤として作用し、食物が腸を通過する速度を速めることで、体に吸収されるアンモニアの量が減少させる。②口から投与しても腸から吸収されない抗菌薬(リファキシミンなど)を処方することにより、腸に残り、消化中に毒素を作り出す細菌の数を減らす効果が期待できる。(※参考「肝性脳症」MSDマニュアル家庭版)

1.× プリン体は、代謝されて尿酸となり、主に高尿酸血症や痛風に関係する物質である。
・プリン体とは、プリン塩基と呼ばれる化学構造をもつ物質の総称である。尿酸は、プリン体がエネルギーとして使われて不要となった老廃物の1つである。通常、尿酸は、血液中と尿中に溶け、常に一定量に保たれている。しかし、生活習慣で体内に蓄積される尿酸の量が増え、高尿酸血症になるというしくみである。

2.〇 正しい。アンモニアは、肝性脳症の原因物質である。なぜなら、肝機能が低下すると、腸管で産生されたアンモニアを肝臓で尿素に解毒できなくなるため。アンモニアは、腸内細菌がタンパク質を分解する過程などで産生される。通常は門脈を通って肝臓に運ばれ、尿素回路で尿素に変換され、腎臓から排泄される。しかし、肝硬変などで肝機能が低下すると、アンモニアが血中に増加し、脳に影響して肝性脳症を起こす。

3.× グルコースは、血糖としてエネルギー源になる糖であり、血糖が低下すると、低血糖症状(冷汗、動悸、手指振戦、意識障害など)を起こす。

4.× トリグリセライドは、中性脂肪であり、主に脂質異常症や動脈硬化、脂肪肝などに関係する物質である。
・血中トリグリセライド値(中性脂肪)値は、脂質代謝異常を示唆する指標の一つである。脂質異常症の発症には、過食、運動不足、肥満、喫煙、アルコールの飲みすぎ、ストレスなどが関係しているといわれている。
【脂質異常症の診断基準】
①高LDL(悪玉)コレステロール血症:140mg/dl以上
②低HDL(善玉)コレステロール血症:40mg/dl未満
③中性脂肪(トリグリセライド:TG):150mg/dl以上の高トリグリセライド血症 (高中性脂肪血症)

 

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