第115回(R8) 看護師国家試験 解説【午前36~40】

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36 腹部の打診で観察するのはどれか。

1.鼓音
2.反跳痛
3.筋性防御
4.腫瘤の硬さ

解答

解説

1.〇 正しい。鼓音は、腹部の打診で観察する。
・鼓音とは、ガスが充満しているとき、例えば、腸管内に大量のガスがあるときに聴こえる。気胸および肺に空洞のある患者の一部に胸部打診をしたとき聞こえる変化した鼓のような音調である。

2.× 反跳痛は、触診で観察する。
・ブルンベルグ徴候(blumberg徴候)とは、圧痛のある部位をできるだけ深く圧迫し、急に手を離すと鋭い痛みを感じる反跳痛のことである。炎症が波及した腹膜が急速に元の場所へ戻ると痛覚がより刺激されるために生じるもので、炎症が虫垂壁を超えて壁側腹膜に及んでいるサインである。腹膜に炎症があることを示し、腹膜炎を呈する疾患(消化管穿孔・急性虫垂炎など)で出現する。

3.× 筋性防御は、触診で観察する。
・筋性防御とは、腹部を触診した際、腹壁の筋肉が緊張して硬くなる内臓体性反射である。壁側腹膜の炎症を示唆し、腹膜炎や腹腔内出血などで見られる。筋性防御が起こる範囲によって、炎症部位を判断する。

4.× 腫瘤の硬さは、触診で観察する。
・腫瘤とは、体内または体表にできたしこりのようなものである。腹部腫瘤を評価するときは、触診によって硬さ、表面の性状、動くかどうか、痛みの有無を確認する。

 

 

 

 

37 尿比重が低くなるのはどれか。

1.糖尿病
2.尿崩症
3.水欠乏性脱水
4.ネフローゼ症候群

解答

解説

尿比重とは?

尿比重とは、尿中のナトリウム、尿素、糖、タンパク質などの溶質成分の含まれる量を示す、尿の検査項目の一つである。 尿試験紙を用いて行う。尿比重の基準値は、1.002~1.030である。尿比重高値で、ネフローゼ症候群、糖尿病、脱水などが疑われる。

1.× 糖尿病は、尿比重は高くなりやすい。なぜなら、糖尿病では尿中にブドウ糖が排泄され、尿中溶質が増えるため。

2.〇 正しい。尿崩症は、尿比重が低くなる。なぜなら、尿崩症では、抗利尿ホルモン〈ADH〉の分泌低下または作用低下により、腎臓で水を再吸収できず薄い尿が大量に出るため。
・尿崩症とは、多尿 (3L/日以上)を呈する状態である。尿崩症には2種類あり、①中枢性尿崩症(抗利尿ホルモンの分泌低下)と、②腎性尿崩症(ホルモンの作用障害)がある。多尿・口渇・多飲を主徴とする。

3.× 水欠乏性脱水は、尿比重は高くなりやすい。なぜなら、水分が不足すると、体は尿を濃縮して水分を保持しようとするため。

4.× ネフローゼ症候群は、尿比重は高くなりやすい。なぜなら、ネフローゼ症候群では、大量の蛋白尿がみられ、尿中溶質が増えるため。
・ネフローゼ症候群とは、尿から大量の蛋白が漏れ出すことで血液中の蛋白が減少、血液の浸透圧が低下し水分が血管内から血管外へ移動することで、全身の浮腫や腹水・胸水などを引き起こすものである。

脱水とは?

脱水とは、生体において体液量が減少した状態をいう。水やナトリウムの喪失が原因で起こる。この際、ナトリウムの喪失を伴わず水欠乏を起こす病態を高張性脱水(水欠乏性脱水)や一次脱水という。脱水症状とは、体内の水分が2%失われると、のどの渇きを感じ、運動能力が低下しはじめる。3%失われると、強いのどの渇き、ぼんやり、食欲不振などの症状がおこり、4~5%になると、疲労感や頭痛、めまいなどの脱水症状が現れる。10%以上になると、死にいたることもある。

【脱水の3タイプ】
①高張性脱水:水欠乏性脱水や一次脱水ともいう。汗をたくさんかいて喉が渇いているときにみられる脱水で、電解質より水分の方がより多く失われ、体液が濃くなっている状態である。
②等張性脱水:下痢や嘔吐によって体液が一気に失われたときに起こり、水分と電解質が同等の割合で失われる脱水である。
③低張性脱水:たくさん汗をかいているのにお茶や水などの電解質があまり含まれない飲み物を大量に飲んだ時に起こる脱水である。水分よりも電解質が多く失われている状態である。

 

 

 

 

38 睡眠の特徴で正しいのはどれか。

1.新生児の睡眠は単相性である。
2.乳児の1日の総睡眠量は7時間前後である。
3.成人期では一晩で睡眠周期を10回程度繰り返す。
4.老年期では早朝覚醒が起こりやすい。

解答

解説

1.× 新生児の睡眠は、「単相性」ではなく多相性である。なぜなら、新生児は、昼夜の区別が未熟で、睡眠と覚醒を短い周期で繰り返すため。月齢が進むと、昼夜のリズムができていき、全睡眠におけるレム睡眠の割合は徐々に減少する。睡眠には、①レム睡眠(脳が活発に動いている)と、②ノンレム睡眠(大脳が休息している)がある。
・単相性睡眠とは、主に夜間にまとまって1回眠る睡眠パターンである。成人に近い睡眠様式である。

2.× 乳児の1日の総睡眠量は、「7時間前後」ではなく15時間前後である。生後0〜3ヶ月頃は14〜17時間、4〜11ヶ月頃は12〜15時間が目安である。なぜなら、乳児期は、脳や身体の発達が著しい時期であり、睡眠時間は多く必要であるため。

3.× 成人期では一晩で睡眠周期を、「10回」ではなく通常4〜5回程度繰り返す。睡眠は、深いノンレム睡眠から始まり、睡眠欲求が低下する朝方に向けて、徐々に浅いノンレム睡眠が増えていく。その間に約90分周期でレム睡眠が繰り返し出現し、睡眠後半に向けて徐々に一回ごとのレム睡眠時間が増加する。 

4.〇 正しい。老年期では、早朝覚醒が起こりやすい。なぜなら、加齢に伴って睡眠が浅くなり、睡眠維持が難しくなり、睡眠相が前進しやすいため。
・早朝覚醒とは、自分の望む起床時刻より2時間以上早く目覚めてしまう状態である。

 

 

 

 

 

39 歯ブラシを用いたブラッシングで歯周ポケットの清掃に適しているのはどれか。

1.バス法
2.フォーンズ法
3.ローリング法
4.スクラビング法

解答

解説

ブラッシング方法

①スクラッピング法:毛先を直角(90°)に当て、1・2本10回を目安にして磨く。
②ローリング法:毛先を歯の根元に垂直に当て、歯の先端に向けて回転させる。
③フォーンズ法:毛先を直角(90°)に当て、くるくると回転させながら磨く。
④バス法:毛先を45°に歯茎にあて小刻みに動かしながら、一本ずつ横に移動させて磨く。

1.〇 正しい。バス法は、歯ブラシを用いたブラッシングで歯周ポケットの清掃に適している。
なぜなら、バス法は、毛先が歯周ポケット内に向くため。したがって、歯周ポケットの清掃に適している。
・歯周ポケットとは、歯と歯肉の間の溝が深くなった部分である。ここに歯垢〈プラーク〉がたまると、歯肉炎や歯周病が悪化しやすくなる。

2.× フォーンズ法は、毛先を直角(90°)に当て、くるくると回転させながら磨く方法である。

3.× ローリング法は、毛先を歯の根元に垂直に当て、歯の先端に向けて回転させる方法である。

4.× スクラビング法は、毛先を直角(90°)に当て、1・2本10回を目安にして磨く方法である。

 

 

 

 

40 右腕に点滴静脈内注射をしている成人患者の寝衣(パジャマ)の交換について正しいのはどれか。

1.寝衣(パジャマ)は右袖から脱がせる。
2.右袖を脱ぐ際に、点滴ボトルはベッド上に置く。
3.清潔な寝衣(パジャマ)は左袖から着せる。
4.清潔な寝衣(パジャマ)の右袖には、先に点滴ボトルを通してから腕を通す。

解答

解説

1.× 寝衣(パジャマ)は、「右袖」ではなく左袖から脱がせる。なぜなら、点滴をしている左腕から先に脱がせることにより、右袖(点滴側)を脱ぐときゆとりができ、より安全に実行できるため。

2.× 右袖を脱ぐ際に、点滴ボトルはベッド上に置く「べきではない」。なぜなら、点滴ボトルを低い位置に置くと、輸液の滴下が妨げられたり、血液がルート内へ逆流したりする危険があるため。

3.× 清潔な寝衣(パジャマ)は、「左袖」ではなく右袖から着せる。なぜなら、着衣時は、点滴ルートがある側を先に通した方が、ゆとりがあるうちに右袖(点滴側)を着衣ができるため。したがって、ルートの牽引や抜去を防ぎやすい。

4.〇 正しい。清潔な寝衣(パジャマ)の右袖には、先に点滴ボトルを通してから腕を通す。なぜなら、右袖に先に点滴ボトルを通しておくことで、輸液ルートを引っ張らずに右腕を袖へ通せるため。点滴中の更衣では、点滴ルートを衣服の中に無理に引き込んだり、刺入部を圧迫したりしないことが重要である。

 

 

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