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81 伝えたいことがあるにも関わらず、ろれつが回らず正しく発音することが困難になるのはどれか。
1.喚語困難
2.構音障害
3.吃音
4.錯語
5.嗄声
解答2
解説
1.× 喚語困難とは、本人に何か伝えたいことがあるのにその内容が言葉になって出てこない状態のことをいう。
2.〇 正しい。構音障害は、伝えたいことがあるにも関わらず、ろれつが回らず正しく発音することが困難になる。
・構音障害とは、発語・発声に関与する神経・筋系の障害であり、言語の理解は正常であるが正しく発語できない状態である。
3.× 吃音(きつおん、どもり)とは、会話での流暢さを欠くものである。男女比は、男児(4:1)に多い。
4.× 錯語とは、①音韻性錯語(字性錯語)と②意味性錯語(語性錯語)があげられる。音韻性錯語とは、「とけい」を「とてん」「とけん」などと発音を間違えることである。一方、意味性錯語とは、「いぬ→ねこ」「あそぶ→はしる」といった意味を間違えることである。
5.× 嗄声とは、声帯を振動させて声を出すとき、声帯に異常が起こり「かすれた声」になっている状態である。嗄声の原因は、①声帯自体に問題がある場合と、②声帯を動かす神経に問題がある場合がある。
82 口渇、多飲、多尿を主訴とする患者が、夜間の排尿が頻回で不眠を訴えている。
1日の尿量は5Lほどで、尿比重は1.005、尿浸透圧は110mOsm/kgであった。
この症状の原因と考えられるホルモンの内分泌器官はどれか。
1.下垂体後葉
2.甲状腺
3.膵臓
4.副甲状腺
5.副腎
解答1
解説
・主訴:口渇、多飲、多尿
・夜間の排尿:頻回
・不眠を訴えている。
・1日の尿量:5Lほど(尿比重は1.005、尿浸透圧は110mOsm/kg)。
→本症例は、尿崩症が疑われる。大量の尿を排出している状態で、尿を濃縮する能力が著しく低下していることが示唆されている。
→尿崩症とは、多尿 (3L/日以上)を呈する状態である。尿崩症には2種類あり、①中枢性尿崩症(抗利尿ホルモンの分泌低下)と、②腎性尿崩症(ホルモンの作用障害)がある。多尿・口渇・多飲を主徴とする。
1.〇 正しい。下垂体後葉が該当する。下垂体後葉ホルモンには、バソプレシン(抗利尿ホルモン)とオキシトシンが分泌される。
①バソプレシンとは、下垂体後葉から分泌され、水の再吸収を促進する抗利尿作用・血圧上昇が起きる。尿を濃くし尿量を減らす作用がある。
②オキシトシンとは、脳下垂体後葉から分泌され、乳汁射出、子宮収縮作用を持つホルモンである。また、分娩開始前後には分泌が亢進し、分娩時に子宮の収縮を促し、胎児が下界に出られるように働きかける。
2.× 甲状腺ホルモンとは、サイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)があり、新陳代謝を調節している。脈拍数や体温、自律神経の働きを調節し、エネルギーの消費を一定に保つ働きがある。
3.× 膵臓のランゲルハンス島からは、①インスリン、②グルカゴン、③ソマトスタチンが分泌される。
①インスリンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるβ細胞から分泌されるホルモンの一種で、①血糖低下、②脂肪合成の作用がある。
②グルカゴンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるα細胞から分泌されるホルモンの一種で、①血糖上昇、②脂肪分解の作用がある。
③ソマトスタチンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるδ細胞から分泌されるホルモンの一種で、成長ホルモン、インスリン、グルカゴン、ガストリン、セクレチンの分泌抑制の作用がある。
4.× 副甲状腺ホルモンとは、副甲状腺から分泌され、腎臓のカルシウム再吸収およびリンの排泄促進作用などがあり、血中のカルシウム濃度を上昇させる。
5.× 副腎(皮質)から、コルチゾール・アルドステロン・アンドロゲン(男性ホルモン)などが分泌される。コルチゾールは、血糖値の上昇や脂質・蛋白質代謝の亢進、免疫抑制・抗炎症作用、血圧の調節など、さまざまな働きがあるが、過剰になるとクッシング症候群、不足するとアジソン病を引き起こす。
83 血液凝固因子はどれか。2つ選べ。
1.トロンボプラスチン
2.エリスロポエチン
3.ウロビリノゲン
4.フィブリノゲン
5.プラスミノゲン
解答1・4
解説
血液凝固因子とは、Ⅰ:フェブリノーゲン、Ⅱ:プロトロンビン、Ⅲ:トロンボプラスチン、Ⅳ:カルシウムイオン、Ⅴ:プロアクセレリン、Ⅵ:(欠番)、Ⅶ:プロコンバーチン、Ⅷ:抗血友病因子、Ⅸ:クリスマス因子、Ⅹ:スチュアート因子、Ⅺ:PTA、Ⅻ:ハーゲマン因子、XIII:フェブリン安定化因子である。
1.〇 正しい。トロンボプラスチンは、血液凝固因子である。第Ⅲ因子(組織トロンボブラスチン)は、細胞外マトリックスや血小板に存在し、血液凝固の外因系経路を開始するものである。
2.× エリスロポエチンとは、主に腎臓で合成され、腎臓から分泌される糖蛋白性の造血促進ホルモンである。
3.× ウロビリノゲンとは、ヘモグロビンが分解される過程で生じる胆汁色素の代謝産物の一つである。肝臓で処理され、一部は尿中に排泄されたり、便として体外に出たりする。
4.〇 正しい。フィブリノゲンは、血液凝固因子である。第Ⅰ因子(フィブリノゲン)とは、血漿タンパクの一つであり、凝固因子の活性化によってフィブリンとなり、血液を凝固させる働きを持つ。増加した場合、血漿の粘稠度が上昇し血栓形成傾向を示す。 一方、低値の場合、播種性血管内凝固症候群(DIC)と肝機能障害が疑われる。
5.× プラスミノゲンとは、線維素溶解系で働く因子で、血栓など血液の凝固したものを溶解するプロテアーゼであるプラスミンの前駆体タンパク質である。
84 同種造血幹細胞移植の前に行われる全身放射線照射の目的はどれか。2つ選べ。
1.感染の予防
2.拒絶反応の防止
3.抗癌薬の活性化
4.腫瘍細胞の根絶
5.移植片対宿主病〈GVHD〉の予防
解答2・4
解説
同種移植とは、同種造血幹細胞移植と言い、同種(同じ種類の生物)から提供された造血幹細胞を移植する方法である。
全身放射線照射とは、同種造血幹細胞移植の前に、患者さんの全身に放射線を当てる治療である。残っている病気の細胞を可能な限り死滅させることと、移植されるドナーの細胞が拒絶されないように、患者さん自身の免疫力を弱めることが主な目的である。
1.× 感染の予防は、目的ではない。全身放射線照射は、骨髄抑制作用が非常に強く、むしろ免疫力を極端に低下させるため、一時的に感染リスクを大幅に高める。
2.〇 正しい。拒絶反応の防止は、同種造血幹細胞移植の前に行われる全身放射線照射の目的である。患者自身のリンパ球や免疫細胞を強力に抑制・破壊することで、移植されたドナーの幹細胞が拒絶されるのを防ぎ、生着(レシピエントの体内でドナーの幹細胞が定着し、血液細胞を作り始めること)を促進する。
・拒絶反応とは、患者の免疫細胞がドナーの細胞を異物と認識して攻撃することである(さらに詳しくは下参照)。
3.× 抗癌薬の活性化は、目的ではない。全身放射線照射は、それ自体が腫瘍細胞を直接殺傷する治療法である。全身放射線照射と抗癌薬は、それぞれ異なるメカニズムで癌細胞を攻撃する、前処置の一部を構成する治療法である。
4.〇 正しい。腫瘍細胞の根絶は、同種造血幹細胞移植の前に行われる全身放射線照射の目的である。なぜなら、造血器腫瘍(白血病、悪性リンパ腫など)の患者に対して、同種造血幹細胞移植を行う場合、移植前に残存している可能性のある腫瘍細胞を徹底的に排除することが重要であるため。
・全身放射線照射は、体のすべての細胞、特に増殖の速い癌細胞に対して強力な殺傷効果を発揮し、微小な病変も含めて癌細胞を根絶する(または数を大幅に減らす)ことを目指す。
5.× 移植片対宿主病〈GVHD〉の予防は、目的ではない。なぜなら、移植片対宿主病は、ドナー細胞が原因であるため。したがって、直接的に移植片対宿主病を予防する効果はない。
・移植片対宿主病とは、造血幹細胞の移植の際に、ドナー側の造血幹細胞中に含まれるリンパ球が引き起こす合併症である。ドナー由来のリンパ球が移植を受けた患者の正常細胞を異物として認識して攻撃してしまう現象を移植片対宿主病(GVHD)と呼ぶ。移植片対宿主病(GVHD)の際に反応する好発部位は、①皮膚(発赤、腫脹)、②消化管(下痢、下血)、③肝臓(黄疸)、④その他:口腔内(口内炎など)、眼(痛み、まぶしさなど)である。移植から6〜30日頃に起こるものを急性GVHD、移植から3ヶ月以上経ってから発症するものを慢性GVHDと呼ぶ。
生体腎移植とは、健康な人から2つある腎臓の1つを摘出し、それをレシピエント(援助者)に移植する方法である。術後の合併症には注意する必要がある。①急性拒絶反応、②原疾患の再発、③感染症、④糖尿病などが当てはまる。
①急性拒絶反応とは、主に術後1ヶ月周辺(遅い場合3か月とも)で現れることがあり、この場合は移植腎機能が低下し、クレアチニンの上昇、蛋白尿、尿量の減少、体重増加、発熱、浮腫などが出現する。腎生検のために入院となり、治療法としてステロイド、サイモグロブリンといった免疫抑制薬で拒絶反応の抑制を図る。
85 肝細胞癌で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.早期から黄疸が出現する。
2.原発性肝癌の中で最も頻度が高い。
3.診断に腹超部音波検査が用いられる。
4.特異性の高い腫瘍マーカーはCEAである。
5.肝内胆管の細胞が腫瘍化して発生する癌である。
解答2・3
解説
肝細胞癌とは、肝臓の細胞ががん化したものである。肝細胞がんの発生には、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスの感染、アルコール性肝障害、非アルコール性脂肪肝炎などによる、肝臓の慢性的な炎症や肝硬変が影響している。肝臓は、肝動脈と門脈の二重血流支配を受けており、肝細胞癌は主に肝動脈からの血流支配を受けている。そのため、肝細胞癌を支配する肝動脈を塞栓物質で血流遮断することで治療する。
1.× 「早期から」ではなく末期に黄疸が出現する。なぜなら、肝臓は非常に大きな臓器であり、多くの予備能があるため。腫瘍がかなり進行して肝機能が広範囲に障害されたり、胆管が閉塞されたりしない限り、黄疸は現れにくい。
2.〇 正しい。原発性肝癌の中で最も頻度が高い。原発性肝癌(肝臓に発生する癌)には、肝細胞癌、肝内胆管癌、混合型癌などがあるが、この中で肝細胞癌が約90%を占め、最も頻度が高いタイプである。
3.〇 正しい。診断に腹超部音波検査が用いられる。肝臓に腫瘍が見つかった際に、まず超音波検査で腫瘍の大きさや位置、性状などを確認し、その後の精密検査や治療方針の決定に役立てる。
4.× 特異性の高い腫瘍マーカーは、「CEA」ではなくAFP(α-フェトプロテイン)である。
・AFP(α-フェトプロテイン)とは、肝臓の疾患を見つける腫瘍マーカーのひとつである。健康な成人の血液には含まれないが、肝臓がんになると血液中に増加するため、肝臓がんのスクリーニング検査として用いられる。
・血清CEAとは、大腸がん、胃がんなどの消化器系がんの腫瘍マーカーである。健康な人でも約3%の人は基準値を超える場合があるとされており、高齢や喫煙、肝硬変、糖尿病でもやや上昇する傾向がある。
5.× 「肝内胆管の細胞」ではなく肝臓の実質細胞(肝細胞)が腫瘍化して発生する癌である。肝細胞癌は、肝炎ウイルス感染などによる肝細胞の炎症や再生が繰り返されることで、肝細胞が異常増殖して発生する。
・肝内胆管の細胞が腫瘍化して発生する癌は、肝内胆管癌と呼ばれる。