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66 頭位で出生した直後の児の頭部に腫脹を認めた。腫脹は骨縫合を越え、波動を触れず、数日後に消失した。
出生直後に認められた児頭の腫脹で考えられるのはどれか。
1.産瘤
2.骨重積
3.頭血腫
4.帽状腱膜下血腫
解答1
解説
・頭位で出生した。
・出生直後:児の頭部に腫脹を認めた。
・腫脹は骨縫合を越え、波動を触れず、数日後に消失。
→ほかの選択肢が消去される理由もあげられるようにしよう。
1.〇 正しい。産瘤は、出生直後に認められた児頭の腫脹で考えられる。
・産瘤とは、赤ちゃんが産道を通過する際に、周囲から圧迫を受けて、頭や足などの皮下にこぶができることである。主に頭に数cmのこぶができることが多く、似た病気に頭血腫と帽状腱膜下血腫があり、見分けることが必要である。産瘤は病的なものではないため、治療の必要はなく、1日から3日で消失する。原因として、分娩の際に、先進部分の頭位であったり、逆子の場合だと、臀部であったり、子宮から出ている部分の圧迫感がなくなるために、体液が貯まりやすく、浮腫が起きやすい。更にお産に時間がかかると、この皮下浮腫が大きくなって、暗赤色の瘤のように見えることがある。
2.× 骨重積とは、児頭が産道を通過する際に周囲から強く圧迫され、頭骨の辺縁が互いに重なり合うことである。母体の骨盤に合わせて変形し、産道内通過が容易になるこの胎児の頭蓋が変形する性質を応形機能という。
3.× 頭血腫とは、骨膜の下に血がたまったものである。ただし、頭血腫が赤くなったり、液体が出てきたりする場合には、主治医に相談すべきである。
4.× 帽状腱膜下血腫とは、吸引分娩や鉗子分娩の際に大きな外力が頭皮にかかり、帽状腱膜(読み:ぼうじょうけんまく)と骨膜の間に出血がおこることである。出産直後は観察されないが、生後数時間から1日のうちに出血がすすみ、頭の皮下が腫れていく。血液がにじむため、皮膚の色は暗赤色にみえ、ときに大出血を起こし、貧血やショック状態になることがあるため注意する必要がある。
67 患者が看護師を愛情深い親のような存在とみなし、看護師に対して肯定的な感情を抱くのはどれか。
1.投影
2.共依存
3.反動形成
4.陽性転移
解答4
解説
防衛機制とは、人間の持つ心理メカニズムであり、自分にとって受け入れがたい状況や実現困難な目標に対して、自我を保つために無意識で発動する心理的な機構である。防衛機制には、短期的には精神状態を安定させる作用があるが、長期的にみればかえって精神を不安定にさせてしまうものもある。
1.× 投影とは、防衛機制のひとつで、自己の欠点や攻撃性を他人の中に見出し、他人を攻撃することで自己の劣等感、攻撃性をないものとすることである。
2.× 共依存とは、援助者と患者との関係に関するあるタイプの依存をいい、患者が援助者に依存する関係を、援助者も無意識に望んでいる(依存している)ような関係をいう。
3.× 反動形成とは、防衛機制のひとつで、満たされない欲求を正反対の欲動によって打ち消すことである。例:好きな子をいじめる。
4.〇 正しい。陽性転移は、患者が看護師を愛情深い親のような存在とみなし、看護師に対して肯定的な感情を抱くものである。転移とは、患者が今までの生活史における重要人物に示してきた感情や態度を治療者に向けることを言い、一方、逆転移とは治療者が患者に向けることである。
・陽性転移とは、治療者に対して信頼、尊敬、情愛、感謝などの感情を示す。
・陰性転移とは、治療者に対して敵意、攻撃性、猜疑心、不信感などの感情を示す。
68 精神障害のある人のリカバリーで正しいのはどれか。
1.症状の回復がゴールである。
2.直線的なプロセスをたどる。
3.主体的に人生を新たに生き直すことである。
4.ストレス脆弱性に焦点を当てた支援である。
解答3
解説
リカバリーとは、精神障害者が、たとえ症状や障害が続いていても、自分自身に希望と責任をもって意味ある人生を送るべきであるという概念であり、IPSはこの概念に依拠している。
1.× 「症状の回復」ではなく本人が意味ある生活を送ることがゴールである。症状が完全に消えなくても、その人が自分らしい人生を送り、希望を持ち、社会的な役割を果たせるようになることが重視される。
2.× 「直線的」ではなく非直線的なプロセスをたどる。なぜなら、精神障害は、改善と増悪を繰り返しながら、全体として症状緩和となるため。したがって、リカバリーのプロセスは、決して直線的なものではなく、症状の再燃や困難に直面することもあり、試行錯誤を繰り返しながら進んでいく、螺旋状や波状のプロセスである。
3.〇 正しい。主体的に人生を新たに生き直すことである。なぜなら、リカバリーは、精神障害を持つ人が、病気によって一度は中断された人生を、自分自身の力で、主体的に再構築していくプロセスを指すため。過去の失敗や障害に囚われず、希望を見出し、意味ある目標を設定し、自己決定に基づいて人生を歩んでいくことに焦点を当てる。
4.× ストレス脆弱性に焦点を当てた支援であるのは、「脆弱性ストレスモデル、素因ストレスモデル」である。精神疾患の発症を説明する標準的な理論である。ストレス脆弱性モデルによれば、発症しやすい素質と、その人の限界値を超えるストレスが組み合わさった場合、人間は精神疾患を発症する。発症に果たす個人側の決定的な生物学的要因を指し示す概念である。
IPSとは、個別の就労活動支援と職場定着支援を中心とした就労支援モデルです。正式名称は「Individual Placement and Support」といい、日本語に訳すと「個別職業紹介とサポート」になります。IPSモデルの理念は、「どんなに重い精神障害を持つ人であっても、本人に働きたいという希望さえあれば、本人の興味、技能、経験に適合する職場で働くことが出来る」「就労そのものが治療的であり、リカバリーの重要な要素となる」という信念に基づいています。
IPSモデルの基本原則
IPSには下記7つの基本原則があります
① 就労支援対象についての除外基準なし
② 短期間、短時間でも企業への就労を目指す
③ 施設内でのトレーニングやアセスメントは最小限とし、迅速に職場開拓(就職活動など)を実施する
④ 就労支援と医療保健の専門家でチームを作る
⑤ 職探しは本人の技能や興味に基づく
⑥ 就労後のサポートは継続的に行う
⑦ 生保や年金など経済的側面の相談、支援も行う
(引用:「IPSモデルとは?」多摩地域IPS就労支援センター様HPより)
69 精神疾患の治療を受けている人との共同創造〈コプロダクション〉で正しいのはどれか。
1.患者が医療者の指示に従って治療を受ける。
2.患者が医療者から病気や治療について十分な説明を受ける。
3.治療やケアの計画から提供まで医療者と患者がともに関わる。
4.自ら助けを求めることが難しい人に対して、積極的に働きかけ支援を提供する。
解答3
解説
共同創造とは、専門職と当事者が対等な立場で協力し、サービスや活動を共につくり上げる考え方である。一方的に支援するのではなく、互いの知識や経験を活かして、新しい価値や解決策を生み出す。
1.× 患者が医療者の指示に従って治療を受けることは、パターナリズムである。
・パターナリズムとは、父権主義ともいい、弱い立場の者の意思・判断に関係なく強い立場の者が介入・干渉し、それに従うべきだとする考えのことである。医療において、患者の意思にかかわらず、医師などの専門家に任せた治療を進めることを指す。
2.× 患者が医療者から病気や治療について十分な説明を受けることは、インフォームド・コンセントである。
・インフォームド・コンセントは、「十分な説明を受けたうえでの同意・承諾」を意味する。医療者側から診断結果を伝え、治療法の選択肢を提示し、予想される予後などについて説明したうえで、患者自らが治療方針を選択し、同意のもとで医療を行うことを指す。診断結果の伝達には「癌の告知」という重要な問題も含まれる。
3.〇 正しい。治療やケアの計画から提供まで医療者と患者がともに関わる。
・共同創造とは、専門職と当事者が対等な立場で協力し、サービスや活動を共につくり上げる考え方である。一方的に支援するのではなく、互いの知識や経験を活かして、新しい価値や解決策を生み出す。
4.× 自ら助けを求めることが難しい人に対して、積極的に働きかけ支援を提供することは、アウトリーチ活動である。
・アウトリーチとは、「困難を抱えながらも支援の必要性を自覚していない、あるいは支援を求められない人々に、こちらから手を差し伸べて支援を届けること」である。例えば、治療を中断している精神障害者への家庭訪問や4か月児健康診査未受診者の家庭訪問が保健師の行うアウトリーチに該当する。保健師には、自ら担当する地域に出向き、潜在化しているニーズを積極的に発見して必要な支援につなげる役割がある。
70 退院後生活環境相談員について正しいのはどれか。
1.措置入院の患者に対して選任される。
2.入院3か月以上の患者が支援対象である。
3.患者が居住の場を確保できるように調整する。
4.担当できるのは精神保健福祉士と社会福祉士の2職種である。
解答3
解説
退院後生活環境相談員とは、医療保護入院者が退院に向けての相談や地域援助事業者の紹介など円滑な退院後の地域生活への移行のための調整業務を行う。退院後生活環境相談員になれるのは、精神保健福祉士の資格を有する者等である。
1.× 「措置入院のみ」ではなくすべての入院形態の患者に対して選任される。入院の形態は、①任意入院、②医療保護入院、③応急入院、④措置入院、⑤緊急措置入院があげられる(※詳しくは下参照)。
2.× 入院「3か月以上の患者」ではなく期間関係なく支援対象である。退院後の生活環境が不安定であったり、支援が必要と認められる患者であれば、入院期間の長・短に関わらず対象となる。
3.〇 正しい。患者が居住の場を確保できるように調整する。退院後生活環境相談員とは、医療保護入院者が退院に向けての相談や地域援助事業者の紹介など円滑な退院後の地域生活への移行のための調整業務を行う。
4.× 担当できるのは、「精神保健福祉士と社会福祉士の2職種」に限ってはいない。
退院後生活環境相談員になれるのは、①精神保健福祉士、②保健師等であって、精神障害者に関する業務の経験がある方、もしくは、③上記職種以外の方で精神障害者の退院支援に関する実務について3年以上の経験がある方であって、厚生労働大臣が定める研修を修了した方である(※引用:「退院後生活環境相談員養成研修テキスト」厚生労働省HPより)。
①任意入院:患者本人の同意:必要。精神保健指定医の診察:必要なし。そのほか:書面による本人意思の確認。備考:本人の申し出があれば退院可能。精神保健指定医が必要と認めれば、72時間以内の退院制限が可能。入院権限:精神科病院管理者。
②医療保護入院:患者本人の同意:必ずしも必要としない。精神保健指定医の診察:1人の診察。そのほか:家族等のうち、いずれかの者の同意。備考:入院後、退院後ともに10日以内に知事に届け出る。入院権限:精神科病院管理者
③応急入院:患者本人の同意:必ずしも必要としない。精神保健指定医の診察:1人の診察。そのほか:医療および保護の依頼があるが、家族等の同意が得られない。備考:入院期間は72時間以内。入院後直ちに知事に届け出る。知事指定の病院に限る。入院権限:精神科病院管理者
④措置入院:患者本人の同意:必ずしも必要としない。精神保健指定医の診察:2人以上の診察、そのほか:自傷・他害のおそれがある。備考:国立・都道府県立精神科病院または指定病院に限る。入院権限:都道府県知事
⑤緊急措置入院:患者本人の同意:必ずしも必要としない。精神保健指定医の診察:1人の診察、そのほか:自傷・他害のおそれが著しく、急を要する。備考:入院期間は72時間以内。指定医が1人しか確保できず時間的余裕がない場合、暫定的に適用される。入院権限:都道府県知事