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71 病院の看護部の組織図を示す。
①の役割について正しいのはどれか。
1.他部門に命令をする。
2.組織の意思決定を行う。
3.各機能を調整する責任をもつ。
4.専門的な知識をもとに他部門に助言を行う。
解答4
解説
(※図引用:「東部地域病院医療安全管理体制組織図」東京都立東部地域病院様HPより)
1.× 他部門に命令をする部門は、主に医療安全管理委員会やリスクマネージャー会が行う。
2.× 組織の意思決定を行う部門は、主に院長が行う。
3.× 各機能を調整する責任をもつ部門は、各科や部門の長である。
4.〇 正しい。専門的な知識をもとに他部門に助言を行う。設問の図①は、医療安全管理室である。医療安全管理室は、横断的な対応が可能である。
医療安全管理者とは、医療機関の管理者から委譲された権限に基づいて、組織全体を俯瞰した安全管理に関する医療機関内の体制の構築に参画し、委員会等の各種活動の円滑な運営を支援する。また、医療安全に関する職員への教育・研修、情報の収集と分析、対策の立案、医療事故・発生時の初動対応、再発防止策立案、発生予防および発生した医療事故の影響拡大の防止等に努める。そして、これらを通し、安全管理体制を組織内に根づかせ機能させることで、医療機関における安全文化の醸成を促進する。
(※一部引用:「医療安全管理者の業務指針および養成のための研修プログラム作成指針」厚生労働省HPより)
72 プライマリナーシングの説明で適切なのはどれか。
1.業務を短時間で効率よく実施できる。
2.リーダーの調整力が看護チームの目標達成に影響する。
3.1人の看護師が1人の患者の入院から退院まで一貫して責任をもつ。
4.日替わりで受け持ち看護師が変わるので看護ケアの継続が難しくなる。
解答3
解説
1.× 業務を短時間で効率よく実施できるとは限らない。なぜなら、計画立案から実施、評価まで一貫して行うため。時間と集中力が必要である。したがって、点滴準備、与薬、清潔ケアなど、特定の業務を複数の患者に対してまとめて行う機能別看護方式の方が、単位時間あたりの業務処理量は多くなる傾向にある。
2.× リーダーの調整力が看護チームの目標達成に影響するといった説明は、チームナーシングシステムである。
・チームナーシングシステムとは、各チームにリーダーを置き、リーダーの指示・協力を得ながら、複数のメンバーナースがケアを実施するシステムである。患者を複数のグループに分け、各グループを専属の看護師チームが受け持つ。チームナーシングの課題は、一人の患者さんに対して一人の看護師がつくことによる、①同一の看護が継続されにくい、②看護師の経験や能力・スキルにより看護にばらつきが出てしまう可能性がある。
3.〇 正しい。1人の看護師が1人の患者の入院から退院まで一貫して責任をもつ。
これが、プライマリナーシングシステムの説明である。医療施設において、患者の入院から退院までの看護を1人の看護師が継続して責任をもつことを重視した看護体制である。
4.× 日替わりで受け持ち看護師が変わるので、看護ケアの継続が難しくなるといった説明は、チームナーシングシステムである。一方、患者受け持ち方式とは、複数の特定の患者を看護師1人が受け持ち、日ごとのケアの実施から診療の補助まですべてを担当する方式である。勤務帯ごとに各看護師が担当する患者を決めて受け持つ。
プリセプターシップとは、新人看護師のオリエンテーションを効果的に行い、看護師としての適応を促す方法である。一人の新人看護師(プリセプティ)に、一人の先輩看護師(プリセプター)がつき、1年間を通じて行う教育指導である。
【利点】
①マンツーマンで技術の習得が早い(すぐ質問できる)。
②業務内容や方向性に一貫性がある。
③一人ひとりの特徴に合った指導を受けることができる。
【欠点】
①人間関係
・人間関係がうまくいかなかった場合早期離職に繋がりやすい。
・他の先輩に聞きづらい。
・プリセプターの実力不足。
73 医療安全について正しいのはどれか。
1.患者から暴力を受けたと報告した医療従事者に暴力発生の責任を問う。
2.与薬前に薬物の間違いに気づけばインシデントレポートは不要である。
3.医療過誤とは医療事故の発生原因に医療機関、医療従事者の過失がある場合をいう。
4.インシデントを起こした医療従事者は気持ちが落ち着いた数日後にレポートを提出する。
解答3
解説
1.× 「患者から暴力を受けた」と報告した医療従事者に暴力発生の責任を問う必要はない。なぜなら、医療従事者が暴力を受けた場合、責任を問うべきは暴力を行った側(患者側)であるため。患者から暴言や暴力を受けた医療従事者は、速やかに上司や関連部署に報告し、再発防止策を検討すべきである。
2.× 与薬前に薬物の間違いに「気が付いても」、インシデントレポートは「必要」である。なぜなら、インシデントレポートは、ヒヤリ・ハットとも含まれるため。
・インシデントレポートとは、医療現場で事故に繋がりかねないような、ヒヤリとしたり、はっとした出来事に関する報告書のことをいう。作成の目的は、事例を分析して類似するインシデントの再発や医療事故・医療過誤の発生を未然に防止することである。インシデントを直訳すると「出来事・事件・異変」である。一方、その行為によって患者に傷害や不利益を与えてしまった事象を、アクシデントという。なお、インシデントの本来の意味は、偶発的や付随的と解釈される。
3.〇 正しい。医療過誤とは、医療事故の発生原因に医療機関、医療従事者の過失がある場合をいう。医療事故とは、医療機関内で発生した人身事故全般を意味する言葉である。特に、医療機関側の人為的ミスによって患者の病態を増悪させてしまうことは、医療過誤(医療ミス)と呼ばれる。
・医療過誤とは、医療事故のうち医療機関側の人為的ミスによって起こった事例をいう。医療提供者(医師や看護師など)による過失によって引き起こされ、医療提供者が適切な診断や治療を行わなかったり、適切な情報提供や同意取得がなされていない場合に発生することが多い。医療過誤が発生した時、病院側は①刑事責任、②行政責任、③民事責任という3つの責任を負うことになる。①刑事責任とは、医療過誤によって患者が怪我・後遺症を負ったり死亡したりした場合、医療従事者に対して刑事罰を科すこと、②行政責任とは、医療過誤によって患者が怪我・後遺症を負ったり死亡したりした場合、病院側に対して行政処分が下されること、③民事責任とは、医療過誤によって患者が怪我・後遺症を負ったり死亡したりした場合、病院側に損害賠償責任を果たしてもらうことである。
4.× インシデントを起こした医療従事者は、「気持ちが落ち着いた数日後」ではなくインシデント直後にレポートを提出する。なぜなら、事象発生直後の記憶が鮮明なうちに、速やかに提出し、対応策が求められるため。時間が経過すると、記憶が曖昧になったり、事実関係が不明瞭になったりするリスクが高まる。
74 災害時のこころのケアで正しいのはどれか。
1.こころのケアは発災直後から数週間で終了する。
2.災害派遣精神医療チーム(DPAT)は航空機事故が発生したときにも活動する。
3.こころのケアチームを組織化する目的は福祉避難所で医療活動を行うためである。
4.サイコロジカルファーストエイド〈Psychological First Aid:PFA〉は発災1か月後に精神科医が行う。
解答2
解説
1.× こころのケアは、発災直後から数週間で終了する必要はない。こころのケアは、主に亜急性期(~2,3週間)の対応ではあるが、数週間から数か月、さらには数年といった長期にわたり、災害による精神的影響がみられるため。特に、PTSD(心的外傷後ストレス障害)は、数か月後に起こりえる。
・心的外傷後ストレス障害とは、大規模な災害や事故の現場、他人の悲惨な死など、心理的に大きなストレスを受ける状況下に居合わせた場合、1か月以上心的外傷による障害が持続した場合に生じる。典型的な症状として、①感覚や情動の鈍化、②心的外傷を想起するような状況の回避、③再現的で侵入的な回想(フラッシュバック)や悪夢、④過覚醒、⑤驚愕反応の亢進などが認められる。
2.〇 正しい。災害派遣精神医療チーム(DPAT)は、航空機事故が発生したときにも活動する。なぜなら、自然災害だけでなく、航空機事故のような大規模な人的災害(特殊災害)も活動対象に含まれるため。
・災害派遣精神医療チームとは、災害時、災害ストレスの対応に特化した主に精神科医師・看護師・業務調査員などで構成されたチームのことである。先遣隊を構成する医師は、精神保健指定医でなければならない。先遣隊以外の班を構成する医師は、精神保健指定医であることが望ましい。構成員については、現地のニーズに合わせて、児童精神科医・薬剤師・保健師・精神保健福祉士や臨床心理技術者などを含めて適宜構成される。 DPAT活動3原則として、以下のSSS(スリーエス)が挙げられる。①Self-sufficiency:自己完結型の活動、②Share:積極的な情報共有、③Support:名脇役であれ、である。
3.× こころのケアチームを組織化する目的は、「福祉避難所のみ」ではなく避難所など様々な場所で医療活動(精神保健医療支援)を行うためである。
・福祉避難所とは、避難所生活において、何らかの特別な配慮を必要とする要配慮者(具体的には、高齢者、障害者、妊産婦、乳幼児、病弱者など)のための施設である。老人福祉施設や養護学校などを利用するが、不足する場合は公的な宿泊施設などに福祉避難所として機能するための物資・器材、人材を整備し活用する。
4.× サイコロジカルファーストエイド〈Psychological First Aid:PFA〉は、「発災1か月後」ではなく発災直後に精神科医が行う。一般の支援者や住民も実施可能な初期の心理的支援である。被災者の安全確保、落ち着きの提供、情報提供、ニーズの把握、適切な支援への連結などを目的とする。
Sphere(2011)やIASC(2007)によれば、サイコロジカル・ファーストエイドとは、苦しんでいる人、助けが必要かもしれない人に、同じ人間として行う、人道的、支持的な対応のことである。
・実際に役立つケアや支援を提供する、ただし押し付けない。
・ニーズや心配事を確認する。
・生きていく上での基本的ニーズ(食料、水、情報など)を満たす手助けをする。
・話を聞く、ただし話すことを無理強いしない。
・安心させ、心を落ち着けるように手助けする。
・その人が情報やサービス、社会的支援を得るための手助けをする。
・それ以上の危害を受けないように守る。
(※引用:「心理的応急処置サイコロジカルファーストエイド」厚生労働省様HPより)
75 生後1か月の乳児健康診査の際、外国籍の両親から子どもの予防接種について質問があった。父親は長期に日本で就労するため、子どもは定期予防接種を受けることができる。両親は「日本語が難しく、予防接種のスケジュールがよく分からない」と看護師に言った。
看護師の対応で適切なのはどれか。
1.母国の大使館への相談を勧める。
2.医療で使う言葉を覚えるように促す。
3.地区担当の保健師への電話相談を提案する。
4.両親が理解できる言語で書かれたパンフレットを渡す。
解答4
解説
・生後1か月の乳児健康診査
・外国籍の両親:子どもの予防接種について質問。
・父親は長期に日本で就労するため、子どもは定期予防接種を受けることができる。
・両親は「日本語が難しく、予防接種のスケジュールがよく分からない」と。
1.× 母国の大使館への相談を勧める必要はない。なぜなら、予防接種のスケジュールとの関連性は低いため。
・大使館とは、国交が成立している外国に、自国の特命全権大使を駐在させて公務を執行する役所のことである。自国民の保護やパスポートの発行など、領事サービスが主な業務である。
2.× 医療で使う言葉を覚えるように促す必要はない。なぜなら、「日本語が難しい」と言っている外国籍に、直ちに医療専門用語を覚えることは現実的ではないため。
3.× 地区担当の保健師への電話相談を提案することよりも優先されるものが他にある。なぜなら、地区担当の保健師が、外国籍の言葉を使えるとは限らないため。また、一般的に、電話相談では言葉の壁を乗り越えるのが難しい場合があり、即座に理解できる情報を提供できるとは限らないため。
4.〇 正しい。両親が理解できる言語で書かれたパンフレットを渡す。なぜなら、両親が「日本語が難しく、予防接種のスケジュールがよく分からない」と訴えているため。両親が理解できる言語で書かれた視覚的な情報を提供することは、直接的かつ効果的な解決策となる。文字情報であれば、両親は自分のペースで何度も読み返し、家族で相談しながら理解を深めることができる。
・「外国人の出身国および我が国のECD (Early Childhood Development)事情のデータベースの作成」(課題番号17H044710001)事業の一環で、当会の予防接種スケジュールをもとに、15ヶ国語に対応した多言語版「予防接種スケジュール」が作成されている(※参考「多言語版 予防接種スケジュール」KNOW・VPD様HPより)。
【地域における保健師の保健活動に関する指針】
①地域診断に基づくPDCAサイクルの実施
②個別課題から地域課題への視点及び活動の展開
③予防的介入の重視
④地区活動に立脚した活動の強化
⑤地区担当制の推進
⑥地域特性に応じた健康なまちづくりの推進
⑦部署横断的な保健活動の連携及び協働
⑧地域のケアシステムの構築
⑨各種保健医療福祉計画の策定及び実施
⑩人材育成
【活動領域に応じた保健活動の推進】
~都道府県保健所等~
都道府県保健所等に所属する保健師は、所属内の他職種と協働し、管内市町村及び医療機関等の協力を得て広域的に健康課題を把握し、その解決に取り組むこと。また、生活習慣病対策、精神保健福祉対策、自殺予防対策、難病対策、結核・感染症対策、エイズ対策、肝炎対策、母子保健対策、虐待防止対策等において広域的、専門的な保健サービス等を提供するほか、災害を含めた健康危機への迅速かつ的確な対応が可能になるような体制づくりを行い、新たな健康課題に対して、先駆的な保健活動を実施し、その事業化及び普及を図ること。加えて、生活衛生及び食品衛生対策についても、関連する健康課題の解決を図り、医療施設等に対する指導等を行うこと。さらに、地域の健康情報の収集、分析及び提供を行うとともに調査研究を実施して、各種保健医療福祉計画の策定に参画し、広域的に関係機関との調整を図りながら、管内市町村と重層的な連携体制を構築しつつ、保健、医療、福祉、介護等の包括的なシステムの構築に努め、ソーシャルキャピタルを活用した健康づくりの推進を図ること。市町村に対しては、広域的及び専門的な立場から、技術的な助言、支援及び連絡調整を積極的に行うよう努めること。
~市町村~
市町村に所属する保健師は、市町村が住民の健康の保持増進を目的とする基礎的な役割を果たす地方公共団体と位置づけられ、住民の身近な健康問題に取り組むこととされていることから、健康増進、高齢者医療福祉、母子保健、児童福祉、精神保健福祉、障害福祉、女性保護等の各分野に係る保健サービス等を関係者と協働して企画及び立案し、提供するとともに、その評価を行うこと。その際、管内をいくつかの地区に分けて担当し、担当地区に責任を持って活動する地区担当制の推進に努めること。また、市町村が保険者として行う特定健康診査、特定保健指導、介護保険事業等に取り組むこと。併せて、住民の参画及び関係機関等との連携の下に、地域特性を反映した各種保健医療福祉計画を策定し、当該計画に基づいた保健事業等を実施すること。さらに、各種保健医療福祉計画の策定にとどまらず、防災計画、障害者プラン及びまちづくり計画等の策定に参画し、施策に結びつく活動を行うとともに、保健、医療、福祉、介護等と連携及び調整し、地域のケアシステムの構築を図ること。
(一部抜粋:「地域における保健師の保健活動に関する指針」厚生労働省HPより)」