第109回(R8) 助産師国家試験 解説【午後1~5】

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1 保健師助産師看護師法で助産師について規定されているのはどれか。

1.都道府県知事の免許を受ける。
2.看護師の資格を有することが必須である。
3.助産師は、その業務に関して就業地を管轄する保健所の長の指示を受ける。
4.思春期、成熟期、更年期、老年期の女性への保健指導を行うことを業とする女子をいう。

解答

解説

保健師助産師看護師法とは?

保健師助産師看護師法とは、保健師・助産師および看護師の資質を向上し、もって医療および公衆衛生の普及向上を図ることを目的とする日本の法律である。通称は保助看法。(※一部引用:「保健師助産師看護師法」厚生労働省HPより)

1.× 「都道府県知事」ではなく厚生労働大臣の免許を受ける。ちなみに、准看護師は、都道府県知事免許である。
・保健師助産師看護師法の第三条において、「助産師とは、厚生労働大臣の免許を受けて、助産又は妊婦、じよく婦若しくは新生児の保健指導を行うことを業とする女子をいう」と記載されている(※一部引用:「保健師助産師看護師法」厚生労働省HPより)。

2.〇 正しい。看護師の資格を有することが必須である
第二章 免許
第七条 保健師になろうとする者は、保健師国家試験及び看護師国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受けなければならない。
2 助産師になろうとする者は、助産師国家試験及び看護師国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受けなければならない。
3 看護師になろうとする者は、看護師国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受けなければならない。
(※一部引用:「保健師助産師看護師法」厚生労働省HPより)。

3.× 「助産師」ではなく保健師は、その業務に関して就業地を管轄する保健所の長の指示を受ける。
・保健師助産師看護師法の第三十六条において、「保健師は、その業務に関して就業地を管轄する保健所の長の指示を受けたときは、これに従わなければならない。ただし、前条の規定の適用を妨げない」と記載されている(※一部引用:「保健師助産師看護師法」厚生労働省HPより)。

4.× 「思春期、成熟期、更年期、老年期の女性への保健指導を行うことを業とする女子をいう」と規定されていない
・保健師助産師看護師法の第三条において、「助産師とは、厚生労働大臣の免許を受けて、助産又は妊婦、じよく婦若しくは新生児の保健指導を行うことを業とする女子をいう」と記載されている(※一部引用:「保健師助産師看護師法」厚生労働省HPより)。

 

 

 

 

 

2 骨盤の横断面の図を示す。考えられる疾患はどれか。

1.子宮脱
2.直腸瘤
3.膀胱瘤
4.子宮下垂

解答

解説

(図引用:「女性器の解剖と整理」医学出版様より)

1.× 子宮脱とは、骨盤内で子宮を支える筋肉や靱帯が弱くなり、子宮が腟の中へ下がったり、腟の外へ出たりする状態である。出産や加齢が主な原因で、下腹部の違和感、尿もれ、歩きにくさなどを生じることがある。

2.× 直腸瘤とは、直腸と腟の間の壁が弱くなり、直腸が腟側へ膨らむ状態である。出産や加齢、便秘による強いいきみなどが原因となり、便が出にくい、残便感がある、腟にふくらみを感じるなどの症状がみられる。

3.〇 正しい。膀胱瘤が最も考えられる。なぜなら、膀胱瘤は、膀胱を支える前腟壁側の支持組織が弱くなり、膀胱が腟側へ膨隆する状態であるため。骨盤横断面で腟の前方にある膀胱が腟内へ突出する像と一致する。

4.× 子宮下垂とは、子宮を支える骨盤底筋や靱帯が弱くなり、子宮が本来の位置より下がって腟内にある状態である。出産や加齢などが原因となり、下腹部の違和感、腟の圧迫感、尿もれなどを生じることがある。子宮が腟外へ出ると子宮脱と呼ぶ。

 

 

 

 

 

3 子宮の構造で正しいのはどれか。

1.子宮体部は軟産道の一部である。
2.子宮壁は子宮内膜の一層からなる。
3.生理的収縮輪は洞筋部に形成される。
4.子宮峡部は解剖学的内子宮口と組織学的内子宮口の間である。

解答

解説

(図引用:「女性器の解剖と整理」医学出版様より)

1.× 「子宮体部」ではなく子宮下部が、軟産道の一部である。なぜなら、子宮体部は、分娩時に収縮して娩出力を生み出す部位であるため。
・産道は、①軟産道と②骨産道に分けられる。①軟産道とは、子宮下部、子宮頸管、腟、外陰部の筋肉や靱帯からなる柔らかい部分(軟部組織)のことである。 一方、骨産道とは、そのまわりにある骨盤の内側を指す。

2.× 子宮壁は、子宮内膜の「一層」ではなく3層(内側から子宮内膜・子宮筋層・子宮外膜)からなる。
・子宮内膜とは、受精卵が着床する部分であり、月経で剥がれる機能層と、内膜を再生する基底層からなる。
・子宮筋層とは、平滑筋でできており、分娩時に収縮する層である。
・子宮外膜とは、子宮の表面を覆い、保護する膜である。

3.× 生理的収縮輪は、「洞筋部」ではなく子宮下部の境界部に形成される。
・生理的収縮輪とは、分娩時に、収縮して厚くなる子宮体部と、伸ばされて薄くなる子宮下部との境界にできる輪状の隆起である。子宮体部の収縮力を胎児へ伝え、胎児を産道へ押し下げる役割をもつ。通常は異常所見ではないが、異常に上昇・突出した場合は病的収縮輪と呼ばれ、分娩停止や子宮破裂の危険を示す。

4.〇 正しい。子宮峡部は、解剖学的内子宮口と組織学的内子宮口の間である。なぜなら、子宮峡部は、子宮体部と子宮頸部の移行部であり、上界が解剖学的内子宮口、下界が組織学的内子宮口であるため。
・子宮峡部とは、解剖学的内子宮口と組織学的内子宮口との間にある部位のことをいう。つまり、子宮の外に出て外側に向かって直進する細い部分で、非妊娠時には約1cm以下であるが、妊娠時には広く長くなる。とくに分娩時には抵抗なく容易に開大し、7~10cm程度になる。
・解剖学的内子宮口とは、形態的に子宮腔から頸管へ移行する部位である。
・組織学的内子宮口とは、子宮体部内膜と子宮頸部内膜が組織学的に切り替わる境界である。

 

 

 

 

 

4 ジェンダー・アイデンティティについて正しいのはどれか。

1.生涯にわたって固定的である。
2.最初に形成されるのは10~12歳である。
3.「男である」「女である」のどちらかに自認される。
4.ジェンダー・アイデンティティの発達は社会的・文化的な影響を受ける。

解答

解説

ジェンダー・アイデンティティとは?

ジェンダーアイデンティティとは、「自分がどのような性別であるか」という自身の内面的な認識、つまり自己認識としての性別のことである。これは生物学的な性別(セックス)や、社会的な性別(ジェンダー)と一致することもあれば、異なることもある。

1.× 生涯にわたって「固定的」ではなく変化しうる。なぜなら、ジェンダー・アイデンティティは、個人の内的な性の感覚であるため。したがって、発達過程や経験の中で認識や表現が変化することがある。

2.× 最初に形成されるのは、「10~12歳」ではなく主に2〜3歳頃である。なぜなら、多くの子どもは、2〜3歳頃から性差を認識し、3歳頃には自分を「男の子」「女の子」と表現できるようになるため。

3.× 「男である」「女である」だけでなく、「両方」、「どちらでもない」、「またはその中間」など多様なあり方がある。

4.〇 正しい。ジェンダー・アイデンティティの発達は社会的・文化的な影響を受ける。なぜなら、性別に関する自己認識や表現は、「個人の内的感覚」だけでなく、家庭、学校、友人関係、メディア、宗教、地域文化、社会規範などの影響を受けながら発達するため。

セクシュアリティとは?

セクシュアリティとは、直訳:人間の性、性のあり方と訳され、4つの構成要素からなり、「①からだの性(生物学的な性)」「②こころの性(性自認)」「③好きになる性(性的指向)」「④ふるまう性(性表現)」などの要素からなると考えられている。人間における性的本能の充足に関係する行動や性的振る舞いの総体を指し、健康の概念においても重要である。

 

 

 

 

 

5 経口避妊薬の情報提供で正しいのはどれか。

1.子宮内膜症が増悪する。
2.内服に年齢制限はない。
3.性感染症の予防効果がある。
4.子宮体癌のリスクを低下させる。

解答

解説
1.× 子宮内膜症は、「増悪」ではなく軽減する。なぜなら、経口避妊薬は、排卵を抑制し、子宮内膜の増殖や月経量を抑えることが期待できるため。
・子宮内膜症とは、子宮の内側の壁を覆っている子宮内膜が、子宮の内側以外の部位に発生する病気である。腰痛や下腹痛、性交痛、排便痛などが出現する。経口避妊薬を内服することによりエストロゲンの総量が低く抑えられ、排卵を抑制し、子宮内膜症の症状を軽減し、子宮内膜症予防にもなる。なお、乳癌や子宮内膜癌などのエストロゲン依存性悪性腫瘍や子宮頸癌及びその疑いのある場合は腫瘍の悪化あるいは顕性化を促すことがあるため禁忌となっている。

2.× 内服に年齢制限「がある」。なぜなら、経口避妊薬の禁忌には、「35歳以上で1日15本以上の喫煙者」と記載されているため。ただし、単に「若いから不可」「40歳以上だから絶対不可」と機械的に判断するのではなく、年齢、喫煙、肥満、高血圧、糖尿病、片頭痛、血栓症リスク、授乳状況などを総合的に確認し判断する。

3.× 性感染症の予防効果「はない」。なぜなら、経口避妊薬は、排卵抑制などにより妊娠を防ぐ薬であるため。病原体の侵入や感染を防ぐ物理的バリアにはならない。

4.〇 正しい。子宮体癌のリスクを低下させる。なぜなら、経口避妊薬に含まれる黄体ホルモン作用により、子宮内膜の過剰な増殖が抑えられるため。
・子宮体癌とは、子宮の内側を覆う子宮内膜と呼ばれる場所に発生するがんである。主な症状は、生理中ではないのに性器から出血があったり、閉経後に性器から出血があったりするなどの不正出血である。子宮体がんの発生には、卵胞ホルモン(エストロゲン)という女性ホルモンが深く関係することが知られている。卵胞ホルモン(エストロゲン)が高いと、子宮内膜増殖症という前段階を経て子宮体がん(子宮内膜がん)が発生することが知られている。

経口避妊薬とは?

経口避妊薬とは、エストロゲンとプロゲステロンの2種類のホルモンからなる。正確に服用できれば避妊効果は確実であるが、短所として、悪心や少量の不正性器出血を起こすことがある。血栓症、心筋梗塞などのリスクを伴う場合がある。

【利点】女性主体で避妊ができる。正確に服用すれば、避妊効果は確実である。以下のような避妊以外の利点がある。
・子宮体癌、卵巣癌の発生率低下。
・子宮内膜症の症状緩和。
・月経困難症、月経前症候群の改善。

【欠点】服用開始後1~2週間くらいまで、悪心や少量の不正性器出血を起こすことがある。血栓症、心筋梗塞などのリスクを伴う場合がある。

【禁忌】
大手術の前後および長期間安静状態を要する患者。
35歳以上で1日15本以上の喫煙者
血栓性素因のある者。
重症の高血圧症患者。
血管病変を伴う糖尿病患者。
産後4週以内の者。
授乳中(産後6か月未満)の者など。

 

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