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6 胎児の免疫グロブリンについて正しいのはどれか。
1.IgMの胎盤通過は単純拡散による。
2.母体から胎児へのIgG移行には能動輸送が働く。
3.胎児血液中にみられる主な免疫グロブリンはIgAである。
4.母体から胎児へのIgGの移行は胎生8週から開始される。
解答2
解説
拡散とは、物質粒子(あるいは分子、イオン)がある空間を拡がり散る現象のことをいう。また、受動輸送とは、エネルギーを必要としない栄養素の吸収方法である。拡散(受動輸送)には、①単純拡散と②促進拡散とよばれる2つのタイプがあり、③能動輸送があげられる。
①単純拡散とは、細胞膜を通して起こる溶質の拡散のことである。単純拡散によって通過する物質には、脂溶性物質や酸素や二酸化炭素のようなガス体がある。また分子量の小さなイオン等はイオンチャネルを単純拡散で通過する。
②促進拡散とは、単純拡散で細胞膜を通過できないような分子量の大きい溶質を、輸送タンパクを利用して拡散させる方法をいう。これは、濃度勾配または電気的勾配に従い移動が行われる。例えば、グルコースやアミノ酸などが該当する。濃度勾配または電気的勾配に従った方向に輸送する場合は、エネルギーを必要としない。
③能動輸送とは、エネルギーを使いながら、濃度の低い方から高い方へ濃度勾配に逆らって、積極的な栄養素の吸収を行うものをさす。例えば、糖質やアミノ酸など輸送される。能動輸送で栄養素が吸収される場合には、担体が必要である。
1.× 「IgM」ではなくIgGの胎盤通過は、「単純拡散」ではなく受容体を介する能動的な輸送(受容体介在性トランスサイトーシス)による。なぜなら、IgMは分子量が大きく、通常は胎盤を通過しない免疫グロブリンであるため。
・IgMとは、新生児由来であり、児に感染が起きたときに産生される免疫グロブリンである。しかし、感染防御力は低い。出生直後の新生児の血中IgMが高値の場合は、胎内または分娩時の感染が示唆される。感染の初期に発現し、生体防御の初段階を担うのはこのIgMに属するいずれかの抗体で、それらは症状が進むと再び発現するようになる。
・IgGとは、分子量が最も小さい抗体であるため、唯一、胎盤を通過する免疫グロブリンである。IgMが生成された後に生成され始め、血中で最も多く存在する抗体である。一般的に抗体検査というとこのIgGを調べることが多い。比較的長期間持続されるとされており、その期間は数ヶ月〜数年とウイルスによって異なる。
2.〇 正しい。母体から胎児へのIgG移行には能動輸送が働く。(選択肢1と同様の解説となる)。なぜなら、IgGは、胎盤の受容体介在性トランスサイトーシスを介して母体側から胎児側へ選択的に輸送されるため。
3.× 胎児血液中にみられる主な免疫グロブリンは、「IgA」ではなくIgGである。
・IgAとは、体内では2番目に多い免疫グロブリンで、鼻汁、涙腺、唾液、消化管、膣など、全身の粘膜に存在している。IgAは、粘膜の表面で病原体やウイルスと結合し、病原体やウイルスが持っている毒素を無効化して感染しないように阻止する働きがある。母乳(特に初乳)に多く含まれる。児が自分自身でも生産するため、徐々に濃度が上昇し10歳ごろに成人と同じレベルに達する。
4.× 母体から胎児へのIgGの移行は、「胎生8週」ではなく、妊娠経過とともに増加し、特に妊娠後期に著明となる。なぜなら、妊娠が進むと胎盤が成熟し、母体血と接する絨毛の表面積が広がるため。また、IgGを運ぶ新生児型Fc受容体(FcRn)の働きも高まるため、胎児への移行量が増加する。特に妊娠後期は、出生後の感染から新生児を守る抗体が多く蓄えられる時期である。
(※引用:「アレルギー総論」厚生労働省HPより)
7 胚葉由来と組織の組合せで正しいのはどれか。
1.外胚葉:消化器
2.中胚葉:甲状腺
3.中胚葉:心臓
4.内胚葉中枢:神経
解答3
解説
外胚葉:神経(脳・脊髄)・表皮(毛・爪)・感覚器(視・聴覚)
中胚葉:骨格(軟骨)・筋・循環器系(心臓・血管・リンパ)・泌尿生殖器(腎臓・精巣・子宮・卵巣)
内胚葉:消化器(胃・腸)・呼吸器(気管・肺)・尿路系(膀胱・尿道)
1.× 消化器は、「外胚葉」ではなく内胚葉由来である。
2.× 甲状腺は、「中胚葉」ではなく内胚葉由来である。
3.〇 正しい。心臓は、中胚葉から分化する。
4.× 神経は、「内胚葉中枢」ではなく外胚葉由来である。
8 胎児の臓器の成熟について正しいのはどれか。
1.在胎9週ころから心拍数は徐々に減少する。
2.在胎16週ころから肺サーファクタントの産生が開始する。
3.在胎20週ころから尿の産生が開始する。
4.在胎30週ころ肝臓が造血の中心となる。
解答1
解説
1.〇 正しい。在胎9週ころから心拍数は徐々に減少する。胎児心拍数は、妊娠初期に心臓の自動能や神経調節の発達に伴って増加し、9〜10週ころにピークを迎えた後、胎児の自律神経系(特に副交感神経)が発達し、妊娠経過とともに徐々に低下する。
2.× 「在胎16週ころ」ではなく在胎22〜24週ころから、肺サーファクタントの産生が開始する。なぜなら、肺サーファクタントは、主に22〜24週ころから出現するⅡ型肺胞上皮細胞から産生されるため。
・肺サーファクタントとは、肺胞の空気が入る側へと分泌されている界面活性剤である。なお、肺サーファクタントは単一の成分ではなく、リン脂質を主成分とした混合物である。出生して肺呼吸が始まったときに肺サーファクタントが欠乏していると、肺胞内壁の水分が作り出す表面張力による肺を押しつぶすような力に対抗できない。肺がつぶれて伸展できず呼吸が障害される(新生児呼吸窮迫症候群の原因)。医薬品としての肺サーファクタントを治療に使う。
3.× 「在胎20週ころ」ではなく在胎9〜12週ころから尿の産生が開始する。胎児の尿路は在胎4週頃から形成が始まり、将来の腎臓となる後腎は5週頃に発生する。糸球体は9~10週頃に作られ、10週頃から尿の産生が始まる。その後、腎臓は妊娠後期まで発達を続けるのである。
4.× 在胎30週ころ造血の中心となるのは、「肝臓」ではなく骨髄である。胎児造血の流れは、「卵黄嚢 → 肝臓 → 脾臓も一部関与 → 骨髄」である。胎児の赤血球産生は卵黄嚢で2〜10週、肝臓が主な部位となるのはおよそ18週まで、骨髄は18週ころから始まり30週ころには主要な造血部位になる。
9 乳児の特徴として適切なのはどれか。
1.生後1か月で寝返りをする。
2.生後3か月で手で握ったものを持ち替える。
3.生後5か月で呼びかけの声の方に顔を向ける。
4.生後10か月でパラシュート反射は陰性である。
解答3
解説

(※図:日本版デンバー式発達スクリーニング検査)
1.× 寝返りをするのは、「生後1か月」ではなく生後5〜6か月である。なぜなら、生後1か月の乳児は、腹臥位で一瞬頭を上げる程度で、首すわりもまだ完成していないため。寝返りには、首すわり、体幹の回旋、上肢・下肢の協調運動が必要である。
2.× 手で握ったものを持ち替えるのは、「生後3か月」ではなく生後6〜7か月である。なぜなら、生後3か月では、手を見つめる、手を口に持っていく、ガラガラを一時的に握るなどがみられる程度であるため。物を持ち替えるには、手指の随意運動、両手の協調、視覚と手の協調が発達している必要がある。
3.〇 正しい。生後5か月で呼びかけの声の方に顔を向ける。なぜなら、生後5か月では、首すわりが安定し、周囲への関心も高まる時期であるため。したがって、母親や養育者の呼びかけ、玩具の音、生活音などに反応して、顔や視線を向けることができる。
4.× 生後10か月でパラシュート反射は、「陰性」ではなく陽性である。
・パラシュート反射とは、姿勢反射のひとつであり、6か月頃から現れ始め、生涯続く。体幹を保持した状態から倒れそうになったときに、手のひらを広げてバランスを保つ反射で、生涯の転倒防止に役立つ。
10 妊娠期で薬剤による催奇形性が最も高いのはどれか。
1.妊娠12週未満
2.妊娠12~16週未満
3.妊娠16~20週未満
4.妊娠20~24週未満
解答1
解説
催奇形性とは、妊婦が薬物を服用した際に、胎児に奇形(形態的異常)を生じさせうるリスクのことである。
1.〇 正しい。妊娠12週未満は、薬剤による催奇形性が最も高い。なぜなら、妊娠12週未満には、胎児の主要臓器が形成される器官形成期(受精9日~60日)が含まれるため。特に重要なのは、妊娠4〜7週末ころである。この時期は心臓、中枢神経、四肢、眼、耳など、重要な器官の原基が形成されるため、催奇形性のある薬剤の影響を最も受けやすくなる。
2.× 妊娠12~16週未満より、催奇形性が高い時期が他にある。なぜなら、器官形成期(受精9日~60日)が過ぎているため。ただし、この時期は、胎児の発育や一部器官の成熟は続いているため、特に外性器、中枢神経、口蓋などは影響を受ける可能性がある。
3.× 妊娠16~20週未満より、催奇形性が高い時期が他にある。なぜなら、器官形成期(受精9日~60日)が過ぎているため。ただし、この時期は、臓器が大きくなり機能を成熟させる段階へ移っていくため、薬剤影響では、奇形よりも、胎児発育不全、羊水異常、腎機能への影響、中枢神経機能への影響などを与える可能性がある。
4.× 妊娠20~24週未満より、催奇形性が高い時期が他にある。なぜなら、器官形成期(受精9日~60日)が過ぎているため。ただし、この時期は、胎児の臓器はすでに基本構造ができており、成長・成熟が進んでいるため、薬剤影響では、奇形よりも、胎児毒性や機能的影響(胎児発育、羊水量、腎機能、循環動態、神経発達など)を与える可能性がある。

(図引用:「放射線被爆と先天異常」日本産婦人科医会HPより)
胎芽・胎児の発育期は、着床前期(受精0~8日)、主要器官形成期(受精9日~60日)、胎児期(受精60~270日)に分けられ、時期により発生する異常が異なる。
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