第101回(H30) 助産師国家試験 解説【午後16~20】

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16 妊娠による身体の変化で正しいのはどれか。

1.腟壁が藍紫色となる。
2.子宮頸部の軟化は子宮体部より早く始まる。
3.Piskacek<ピスカチェック>徴候は妊娠5か月に顕著となる。
4.乳輪に形成されるMontgomery<モントゴメリー>腺は第2次乳輪である。
5.子宮の着床部位が膨隆して触れることをHegar<へガール>第1徴候という。

解答

解説

1.〇 正しい。腟壁が藍紫色となる。これをリビド着色と呼ぶ。リビド着色とは、妊娠によって増加するエストロゲンにより血管の怒張やうっ血が生じ、それにより子宮膣部や膣壁の色が「妊娠初期は紅紫色、末期には暗い藍紫色」に変化することをいう。
2.× 子宮頸部の軟化は、子宮体部よりも「早く」ではなく遅れて始まる。子宮頚管の筋組織の割合は10~15%と少なく、結合組織(コラーゲン)の多いことが特徴である。その結果、 妊娠の進行にともなって子宮体部は軟化するが、頸管は、比較的硬いままで経過して子宮内容の排出を防ぐ。しかし妊娠末期になると、①子宮頸部は種々のホルモンの作用を受けて組織構成に変化が生じること、②児の先進部は頸管壁を圧服するようになる、などにより総合的な結果として、頸管の軟化や展退(頸管の熟化)が次第に起こる。
3.× Piskacek<ピスカチェック>徴候は、「妊娠5か月」ではなく妊娠2~3か月頃(妊娠6〜12週頃)に顕著となる。Piskacek〈ピスカチェック〉徴候とは、妊娠初期には子宮の増大が均等に進まず、着床部が膨隆し柔らかくなる徴候である。
4.× Montgomery<モントゴメリー>腺は「乳輪に形成しているものではない」。Montgomery<モントゴメリー>腺とは、皮脂を分泌する働きをしている。また、分泌物は独特の匂いがあり、食生活、代謝により変化し、児の哺乳意欲を刺激するなどの作用があるといわれている。妊娠による乳輪の変化として、乳輪に痕跡的乳腺あるいは皮脂腺と考えられるMontgomery<モントゴメリー>腺の肥大による小隆起が認められる。2次性乳輪とは、乳輪の周囲にも無数の斑状の色素沈着を生じることをさす。
5.× 子宮の着床部位が膨隆する徴候は、「Hegar<へガール>第1徴候」ではなく「Piskacek〈ピスカチェック〉徴候」という。ちなみに、Hegar<へガール>第1徴候とは、双合(手)診で子宮頸部の直上を前後方向に圧迫すると内外両指頭が接触するように触れるものである。これは、妊娠初期に子宮体部が急速に潤軟化するため起きる。ちなみに、双合(手)診とは、ドクターの片手の2本の指を膣内に挿入し、もう片方の手はおなかの上から当てて、子宮を両方の手ではさむようにして触診することである。

(※図引用:「妊娠期の生理学的変化」より)

妊娠中の生理的機序

心疾患合併の頻度は全分娩の1~3%である。妊娠により母体では様々な生理的変化が出現する。中でも、循環器系変化は顕著である。循環血液量と心拍出量は妊娠の進行と伴に増加し、妊娠28~32週頃にはピークとなり、非妊娠時の約1.5倍の増加を示す。正常妊娠ではこうした増加に対し、末梢血管抵抗が低下し、腎臓や子宮への血流量を増加させている。実際、腎血流量は非妊娠時に比べ30%増加し、子宮血流量は10倍になる。これらの循環変化は母体が順調に胎児を育んで行く上に必須のものであるが、心疾患を合併した妊婦ではしばしば負担となる。また、分娩中は子宮収縮により静脈環流量が増加し、第2期では努責による交感神経興奮により頻脈になり、心拍出量が増加する。したがって、分娩中は心疾患合併妊婦の症状が悪化する危険な時期といえる。分娩後(産褥早期)、子宮は急速に収縮し静脈環流量が増加するが、循環血液量は急には減少しないため、一過性に心負担は増加する。この心拍出量増加は、産後の利尿により循環血液量が減少するまで継続する。産褥期に一過性に浮腫が増悪することがあるが、こうした循環器系変化のためと考えられる。

(※一部引用:「周産期看護マニュアル よくわかるリスクサインと病態生理」(中井章人著,東京医学社)より)

 

 

 

 

 

17 胎児期に低栄養であった場合に、成人期以降にみられやすいのはどれか。

1.アトピー性皮膚炎
2.気管支喘息
3.2型糖尿病
4.肝硬変
5.膵臓癌

解答

解説

胎児期の低栄養と成人病(生活習慣病)の発症

日本では生活習慣病(成人病)が著しく増加している。成人病(生活習慣病)は遺伝素因〈遺伝子多型〉と生活習慣の相互作用により生ずるといわれているが,特殊な遺伝子多型に由来する成人病はあってもこの考え方ですべての発症は説明出来ない。ここに第3の発症説として「受精時,胎芽期,胎児期または乳幼児期に,低栄養又は過栄養の環境に暴露されると,成人病の(遺伝)素因が形成され,その後の生活習慣の負荷により成人病が発症する。」という「成人病胎児期発症(起源)説 FOAD:Fetal Origins of Adult Disease」が注目されており,疫学的にこの説はほぼ正しいと認められるに至っている。(※引用:「胎児期の低栄養と成人病(生活習慣病)の発症」著:福岡 秀興)

1.× アトピー性皮膚炎とは、皮膚のバリア機能が低下し、かゆみを伴う湿疹がよくなったり悪くなったりを繰り返す病気のことである。子どもの頃に発症することが多く、一般的には成長とともに症状は改善していくが、一部の患者は成人になってからもかゆみや湿疹などの症状が続く。原因は不明、アレルギーを起こしやすい体質や遺伝などが発症に関与していると考えられている。
2.× 気管支喘息とは、主に気管支に炎症が起きている状態である。炎症により気管支が狭くなったり(狭窄)、刺激に対して過敏な反応を示したりする。喘息は乳幼児期に発症することが多く、全体の60~70%が2~3歳までに発症する。子どもの喘息の多くは思春期の頃には症状がよくなるが、そのうちの約30%は大人になっても続くといわれている。
3.〇 正しい。2型糖尿病は、胎児期に低栄養であった場合に、成人期以降にみられやすい。2型糖尿病とは、遺伝的な体質(インスリン分泌低下、インスリン抵抗性)に過食、運動不足、肥満が加わることにより起こる糖尿病を指す。一方で、1型糖尿病の原因として、自己免疫異常によるインスリン分泌細胞の破壊などがあげられる。
4.× 肝硬変とは、B型・C型肝炎ウイルス感染、多量・長期の飲酒、過栄養、自己免疫などにより起こる慢性肝炎や肝障害が徐々に進行して肝臓が硬くなった状態をいう。 慢性肝炎が起こると肝細胞が壊れ、壊れた部分を補うように線維質が蓄積して肝臓のなかに壁ができる。
5.× 膵臓癌とは、膵臓に発生するがんのことで、原因不明であるが、遺伝が影響したり、喫煙などの生活習慣、慢性膵炎・糖尿病などにかかっている人は、膵臓がんのリスクが高いと報告されている。初期段階ではあまり症状がなく、進行するとお腹や背中の痛み、黄疸といった症状が現れ始めるのが特徴である。治療法は手術、放射線療法、抗がん剤治療を組み合わせて行い、手術が不可能な場合は放射線療法や抗がん剤治療が検討される。

生活習慣病とは?

生活習慣病は、「食習慣、運動習慣、休養の取り方、喫煙、飲酒などの生活習慣が、その発症・伸展に関与する疾患群」と定義されている。生活習慣病の背景因子として、①遺伝性因子、②環境因子、③生活習慣因子が考えらえているが、「生活習慣因子」は生活習慣病の積極的予防に最も重要な要素とされている。

 

 

 

 

18 胎児の血液循環を図に示す。
 血液中の酸素分圧が2番目に高いのはどれか。

1.A
2.B
3.C
4.D
5.E

解答

解説

胎児循環とは?

胎児循環とは、胎児における血液の流れ方のことで、肺のかわりを胎盤が果たす胎盤循環が主体である。胎児の下腹部で大動脈から出た左右の臍動脈は、胎盤で母体の血液とガス交換および栄養分・老廃物交換を行った後、1本の臍静脈として胎児体内に戻る。その後肝臓を通じ、あるいは静脈管を通って下大静脈から右心房に入る。この血液と上大静脈から右心房に入った血液の大部分は、心房中隔にあいている卵円孔を通じて直接左心房に移り、左心室から大動脈に出る。一部の右心房から右心室に入った血液は、肺動脈に出るが、肺がまだ活動していないので、その主体は動脈管を通じて大動脈に流入する。

1.〇 正しい。A(右心房)の酸素分圧(酸素飽和度)は70%である。選択肢の中で血液中の酸素分圧が2番目に高い。胎児循環は、胎盤で酸素化された動脈血が臍帯静脈(選択肢D)を経て胎児に流れ込む。
2.× B(右心室)の酸素分圧(酸素飽和度)は55%である。
3.× C(左心室)の酸素分圧(酸素飽和度)は65%である。
4.× D(臍帯静脈)の酸素分圧(酸素飽和度)は90%である。
5.× E(臍帯動脈)の酸素分圧(酸素飽和度)は60%である。

(※図引用:「看護師イラスト集」看護roo!)

 

 

 

 

 

19 臍帯について正しいのはどれか。

1.臍帯偽結節は血行障害を伴う。
2.臍動脈の直径は臍静脈の直径より大きい。
3.臍帯の胎盤付着部位は中央付着が最も多い。
4.過短臍帯は分娩時に胎児機能不全を起こしやすい。
5.臍帯のWharton<ワルトン>膠様質は卵膜で覆われている。

解答

解説

1.× 臍帯偽結節は血行障害を「伴わない」。臍帯偽結節(仮結節)とは、膠質または血管の捻転により一見結節状に肥厚しているものである。臍静脈と臍動脈の長さの調整をする。臍帯中の血管がワルトンジェリーの中で渦を巻いたような状態となり、臍帯が膨らんでいるものである。結び目やこぶに見えるだけであって実際は結節となっていないため、胎児・血行には影響が薄い。
2.× 臍動脈の直径は臍静脈の直径より「大きい」のではなく小さい。臍動脈の特徴として、胎児から胎盤に血液を送る動脈であるため、胎児の体内で発生した二酸化炭素や老廃物を多く含む静脈血が流れる。一方、臍静脈の特徴として、胎盤から胎児に血液を送る静脈であるため酸素を最も豊富に含む。したがって、臍動脈は壁が厚く口径が小さく、臍静脈は壁が薄く口径が大きい。
3.× 臍帯の胎盤付着部位が最も多いのは「中央付着」ではなく側方付着である。臍帯の付着場所は、胎盤の中心から外側に向かって、中心付着(約20%)、側方付着(約75%)、辺縁付着(約5%)、卵膜付着(約0.05%)の4種類に分けられる。 卵膜付着では血管が損傷しやすい。
4.〇 正しい。過短臍帯は分娩時に胎児機能不全を起こしやすい。過短臍帯は「25cm未満」の場合をいい、通常の臍帯は、50~60cmである。過短臍帯は、分娩のときに赤ちゃんが下りてくることが難しくなり、お産が長引く可能性が高くなる。また、赤ちゃんが下りてこようとするのと同時に臍帯が引っ張られ、程度によっては臍帯の血流が滞り赤ちゃんに十分な酸素が届かなかったり、臍帯が胎盤から切れてしまったりして胎児機能不全を起こしやすい。したがって、他のリスクとして、分娩2期の遷延、臍帯の断裂、胎盤の剥離、子宮内反症などを起こすことがある。
5.× 臍帯のWharton<ワルトン>膠様質は、「卵膜」ではなく羊膜骨(羊膜)で覆われている。臍帯の基質は膠様の水分に富んだ結合組織(白色半透明)のワルトン膠様質からなり、その中に2本の臍動脈と1本の臍静脈がある。

胎児機能不全とは?

胎児機能不全とは、お産の途中でさまざまな原因によって胎児が低酸素状態になることをいう。胎児仮死、胎児ジストレスとも呼ぶ。原因としては母体の妊娠高血圧症候群、胎盤早期剥離、臍帯の圧迫などである。新生児蘇生法ガイドライン(NCPR)に従って蘇生初期処置を行い、蘇生終了後、新生児の健康に不安がある場合、新生児管理に関する十分な知識と経験がある医師に相談する。

 

 

 

 

20 新生児の成熟度をNew Ballard法で評価する際の所見でスコアが高いのはどれか。

1.脚が伸展している。
2.皮膚に亀裂を認める。
3.陰核が突出している。
4.膝窩角が180度である。
5.手の前屈角が60度である。

解答

解説

MEMO

New Ballard スコア(New Ballard Score)は、広く使用される出生時在胎週数の評価手法である。基準は、①神経学的所見と②身体的成熟度に分けられる。このスコアリングにより、在胎20週から44週までを推定できる。胎児が成熟する過程で受ける子宮内の変化に着目する。神経学的所見が主に筋緊張に依存するのに対し、身体的成熟度は解剖学的な変化に依存する。早産児は生理的に筋緊張低下を呈し、成熟とともに筋緊張がしっかりしてくる。

(※図引用:「在胎期間の評価―New Ballardスコア」MSDマニュアルプロフェッショナル版)

1.× 脚が伸展している状態は、「姿勢」の0点である。
2.〇 正しい。皮膚に亀裂を認める状態は、「皮膚」の4点である。
3.× 陰核が突出している状態は、「性器(女子)」の-1点である。
4.× 膝窩角が180度である状態は、「膝窩角」の-1点である。
5.× 手の前屈角が60度である状態は、「手の前屈角(手首)」の1点である。

 

 

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