第104回(R3) 助産師国家試験 解説【午後1~5】

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問題の引用:第107回保健師国家試験、第104回助産師国家試験及び第110回看護師国家試験の合格発表

※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。コメント欄にて誤字・脱字等、ご指摘お待ちしています。よろしくお願いいたします。

 

1 中高年女性の脂質異常症で適切なのはどれか。

1.総コレステロール値で診断される。
2.加齢に伴う耐糖能の上昇が原因である。
3.閉経前は生活習慣改善による非薬物療法が中心である。
4.LDL コレステロール値の上昇が改善目標とされている。

解答

解説

脂質異常症の診断基準

脂質異常症の発症には、過食、運動不足、肥満、喫煙、アルコールの飲みすぎ、ストレスなどが関係しているといわれている。

【脂質異常症の診断基準】
①高LDL(悪玉)コレステロール血症:140mg/dl以上
②低HDL(善玉)コレステロール血症:40mg/dl未満
中性脂肪(トリグリセライド:TG):150mg/dl以上の高トリグリセライド血症 (高中性脂肪血症)

※2006年までの診断基準では総コレステロール値(220mg/dl以上)であったが、現在は参考値としての記載で診断基準から外されている。

1.× 総コレステロール値では「診断されない」。脂質異常症の診断基準として、①LDL(悪玉)コレステロール血症、②低HDL(善玉)コレステロール血症、③中性脂肪(トリグリセライド:TG)の値である。
2.× 加齢に伴う耐糖能の「上昇」ではなく低下が原因である。耐糖能とは、上昇した血糖値を正常に戻す、あるいは血糖値を正常に保つ能力である。血糖値の恒常性維持には、膵臓から分泌されるインスリンが重要な働きをし、このインスリンの分泌量や反応、作用に問題が生じた病態が糖尿病であり、耐糖能異常と呼ばれる。また、閉経後のエストロゲンの低下も脂質異常症と密接な関連があるとされている。総コレステロールとLDLコレステロールは50歳頃に急激に上昇し、中性脂肪は40歳以後に上昇する。
3.〇 正しい。閉経前は生活習慣改善による非薬物療法が中心である。閉経前は食事運動の生活習慣改善による非薬物療法が中心である。脂質異常症の治療はコレステロールの多い食品や動物性脂肪を控え、食物繊維を十分に摂るなどの食事療法や散歩などの運動療法が行われる。3ヶ月ほどしても効果が得られない場合に薬物治療が行われる。
4.× LDL(悪玉)コレステロール値の「上昇」ではなく低下が改善目標とされている。診断基準にも、低HDL(善玉)コレステロール血症は40mg/dl未満と定められている。

 

 

 

 

 

 

2 胎児性アルコール症候群の児に生じる典型的な異常はどれか。

1.肢欠損
2.小頭症
3.眼間開離
4.脳室周囲白質軟化症

解答

解説

胎児アルコール症候群とは?

妊娠中の母親が習慣的に飲酒することで胎児がアルコールの影響を受けることがある。これを胎児性アルコール症候群(FAS:fetal alcohol syndrome)という。こどもに小さな目(短い眼瞼裂)、薄い上唇などの特徴的な顔つきや成長の障害、中枢神経系の障害が見られる。主な先天異常には、①胎児発育不全、②精神発達遅滞や多動などの中枢神経障害、③特異顔貌や小頭症など、④心奇形や関節拘縮などの構造異常がある。(※参考:「胎児性アルコール症候群(FAS)について」横浜市HPより)

1.× (四)肢欠損の最も頻度の高い原因は、羊膜索症候群に伴う四肢切断(遊離した羊膜線維が胎児組織に絡まったり癒合したりする)など、軟部組織および/または血管の破壊による欠損である。薬物服用(サリドマイドなど)で四肢の形成不全などを生じる。ちなみに、胎児性アルコール症候群では異常な手掌紋、心奇形、関節拘縮などの整形疾患がみられることはある。
2.〇 正しい。小頭症は、胎児性アルコール症候群の児に生じる典型的な異常である。小頭症とは、先天異常や胎内ウイルス感染などにより脳の大きさが小さいために頭蓋も小さい状態をいう。主な先天異常には、①胎児発育不全、②精神発達遅滞や多動などの中枢神経障害、③特異顔貌や小頭症など、④心奇形や関節拘縮などの構造異常がある。ちなみに、診断基準は、①妊娠中の母親の飲酒、②特徴的な顔貌、③出生時低体重・栄養とは関係ない体重減少、身長と釣り合わない低体重などの栄養障害、④出生時の頭囲が小さい・小脳低形成・難聴・直線歩行困難などの脳の障害などがある。
3.× 眼間開離とは、両眼の間隔が広い状態であり、瞳孔間距離の延長によって定義され、前頭鼻異形成(正中顔面裂と脳奇形を伴う)、頭蓋前頭鼻異形成(頭蓋縫合早期癒合症を伴う)、Aarskog症候群(読み:アールスコグ症候群、四肢および性器奇形を伴う)など,いくつかの先天性症候群でみられる。
4.× 脳室周囲白質軟化症とは、早産児あるいは低出生体重児が来たしうる、出生前に脳室周囲の白質に軟化病巣・虚血状態になり、局所的に壊死する疾患である。脳室周囲白質部、特に三角部には頭頂葉に存在する運動中枢からの神経線維(皮質脊髄路)が存在するため、脳室周囲白質軟化症の存在する児ではその連絡が絶たれ、痙性麻痺となる。在胎32週以下の早産児に多くみられる脳性麻痺の主な原因の1つである。胎児性アルコール症候群では認知障害や重度の知的障害、ADHDやうつ病などの精神科的問題がみられる。

 

 

 

 

3 子宮の構造で正しいのはどれか。

1.子宮筋層は横紋筋からなる。
2.子宮頸部では弾性線維が乏しい。
3.生理的収縮輪は洞筋部に形成される。
4.子宮峡部は解剖学的内子宮口と組織学的内子宮口の間である。

解答

解説

(※図引用:「産科婦人科臨床3 分娩・産褥期の正常と異常/周産期感染症」より)

1.× 子宮筋層は「横紋筋」ではなく平滑筋からなる。平滑筋とは、横紋筋とは違いサルコメア(筋節)のない筋肉のことで出産に耐えうる丈夫な筋肉でできている。一方、横紋筋とは、筋組織のひとつで筋線維(筋細胞)の集まった物で、体を動かす際に使われるため「骨格筋」とも呼ばれる。
2.△ 子宮頸部では弾性線維が「乏しい」のではなく乏しいとはいえない。なぜなら、子宮体部と比較した場合、子宮頸部は筋線維がほとんどなく、結合線維から構成されているため。だだし、子宮頸部の結合組織の中には、弾性線維であるエラスチン(弾性線維)が含まれているため、一概に弾性線維が「乏しい」とはいえない。
3.× 生理的収縮輪は、洞筋部に「形成される」のではなく形成されない。子宮体部(子宮洞筋部)とは、筋組織に富み、分娩時に収縮し娩出力を生み出す働きを持つ。一方、妊娠末期には、厚くなった子宮体部(子宮洞筋部)の筋層と伸展した子宮下部筋層との境目の解剖学的内子宮口付近の内腔側にできるリング状の楔上突起様構造を生理的収縮輪という。
4.〇 正しい。子宮峡部は、解剖学的内子宮口と組織学的内子宮口の間である。子宮峡部とは、子宮体の下部にあたる部分である。

 

 

 

 

 

 

4 性器ヘルペスについて正しいのはどれか。

1.再発例は初感染よりも重症化する。
2.妊娠中の抗ウイルス薬治療は避ける。
3.分娩時に外陰部に水疱がある場合は帝王切開を行う。
4.性器ヘルペスを合併した妊婦から出生した児は出生後にワクチンを投与する。

解答

解説

性器ヘルペスウイルス感染症とは?

性器ヘルペスウイルス感染症は、5類感染症の定点把握対象疾患である。ヘルペスウィルスの感染により性器に水泡(水ぶくれ)、腫れ、痛み、かゆみなどの症状が起こる。初めての感染のときに症状が強く出て、全身倦怠感やリンパ節の腫れを起こす。発病後たいてい1~2週間で症状は治まる。

1.× 再発例は、初感染よりも「重症化」ではなく「軽症」である。なぜなら、再発時はすでにヘルペスウイルスによる抗体を持っているため。
2.× 妊娠中の抗ウイルス薬治療を避ける必要はない。なぜなら、流産などを引き起こす可能性はほとんどないため。一般的に、性器ヘルペスの治療は妊娠初期に発症した場合、軟膏やクリームを使用する。妊娠中期から後期にかけて発症で症状が強い場合は軟膏やクリームに併用して内服薬を使用することがある。 抗ウイルス薬であるアシクロビルも流産などを引き起こす可能性はほとんどないため、妊娠中の抗ウイルス薬治療は避ける必要はない。
3.〇 正しい。分娩時に外陰部に水疱がある場合は、帝王切開を行う。なぜなら、妊娠後期から出産時にヘルペスウイルスの存在する産道を胎児が通るため。つまり、新生児ヘルペスになるリスクが高くなる。そのため、分娩時に外陰部に水疱がある場合は帝王切開を行う。ちなみに、ほかにも緊急帝王切開の主な適応としては、胎児機能不全、臍帯下垂・脱出、前置血管破綻、37週未満の前期破水などがあり、脳性麻痺のリスク要因である。
4.× 性器ヘルペスを合併した妊婦から出生した児は、出生後にワクチンを投与する必要はない。なぜなら、性器ヘルペスは、妊娠前に感染したことがある場合、母親の胎盤を通じて胎児への免疫ができるため。したがって、新生児への感染リスクは非常に低くなる。また、子宮内でヘルペスウイルスが胎児に感染することは極めて少ないため、性器ヘルペスを合併した妊婦から出生した児へ出生後にワクチンを投与する必要はない。

 

 

 

 

5 産婆の免状制を初めて規定したのはどれか。

1.医制
2.産婆規則
3.太政官布告
4.産婆名簿登録規則

解答

解説

産婆の免状制とは?

助産師は、「産婆」という名称で江戸時代から職業として一般化していたが、その業務の関係法規がはじめて公布されたのは、明治元(1868)年の太政官布達である。明治7(1874)年に東京・大阪・京都の主要都市三府に発布された医制では、産婆は免状制となり、産科医との業務区別が明確化された。免状(読み:めんじょう)とは、免許の証として授与する文書・免許状のことで、「産婆の免状制」とは、今でいう助産師の免許制度のことを指す。

1.〇 正しい。医制が産婆の免状制を初めて規定した。助産師は、「産婆」という名称で江戸時代から職業として一般化していたが、その業務の関係法規がはじめて公布されたのは、明治元年(1868年)の太政官布達である。明治7年(1874年)に東京・大阪・京都の主要都市三府に発布された医制では、産婆は免状制となり、産科医との業務区別が明確化された。免状(読み:めんじょう)とは、免許の証として授与する文書・免許状のことで、「産婆は免状制」とは、今でいう助産師の免許制度のことを指す。
2.× 産婆規則(読み:さんばきそく)は、明治32年(1899年)に公布された。産婆規則と産婆試験規則、ならびに産婆名簿登録規則が公布されたことにより、産婆の資格、試験、産婆名簿の登録、業務範囲などが規定され、初めて全国レベルでの産婆の資質水準の統一が図られた。
3.× 太政官布告(読み:だじょうかんふこく)は、明治元年(1868年)に太政官布達により産婆の業務の関係法規が初めて公布された。これは、助産師を「産婆」という名称で、初めて職業として明文化したものである。ただし、免状制についての記載はなかった。
4.× 産婆名簿登録規則は、産婆規則と同様に明治32年(1899年)に公布され、初めて全国レベルでの産婆の資質水準の統一が図られた法律の1つである。産婆規則と産婆試験規則、ならびに産婆名簿登録規則が公布されたことにより、産婆の資格、試験、産婆名簿の登録、業務範囲などが規定され、初めて全国レベルでの産婆の資質水準の統一が図られた。

 

 

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