第105回(R4) 助産師国家試験 解説【午前31~35】

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31 在胎38週2日、2,640gで出生した男児。第5指中節骨異形成、房室中隔欠損、十二指腸閉鎖を認めた。
 最も考えられるのはどれか。

1.13トリソミー
2.18トリソミー
3.21トリソミー
4.Potter<ポッター>症候群
5.Turner<ターナー>症候群

解答

解説

1.× 13トリソミー(パトウ症候群)とは、余分な13番染色体によって引き起こされる染色体異常症の一種である。重度の知的障害と様々な身体的異常がみられる。典型的には体格が小さく、しばしば脳、眼、顔面、心臓に重大な異常がみられる。
2.× 18トリソミー(エドワーズ症候群)とは、余分な18番染色体によって引き起こされる染色体異常症の一種である。通常は知的障害と出生時低身長のほか、重度の小頭症、心奇形、後頭部突出、変形を伴う耳介低位、やつれたような特徴的顔貌などの様々な先天奇形で構成される。
3.〇 正しい。21トリソミー(ダウン症候群)が最も考えられる。第5指中節骨異形成房室中隔欠損十二指腸閉鎖の他にも①特異な顔貌、②多発奇形、③筋緊張の低下、④成長障害、⑤発達遅滞を特徴とする。また、約半数は、先天性心疾患や消化管疾患などを合併する。特異顔貌として、眼瞼裂斜上・鼻根部平坦・内眼角贅皮・舌の突出などがみられる。
4.× Potter<ポッター>症候群とは、胎児の両側の腎形成不全のため尿産生がなく、羊水過少となる症候群である。胎児は圧迫され、発育障害、四肢の変形、肺低形成などをおこし、老人のようなpotter顔貌となる。ちなみに、ポッター症候群はいくつかの型に分類され、1型は常染色体劣性多発性嚢胞腎が原因であり、原因遺伝子は6番染色体短腕で、頻度は10000人〜40000人に一人である。
5.× Turner<ターナー>症候群とは、典型的には身長が低く、首の後ろに皮膚のたるみがあり、学習障害がみられ、思春期が始まらないのが特徴である。2本のX染色体のうち1本の部分的または完全な欠失によって引き起こされる性染色体異常である。

ダウン症候群とは?

 ダウン症候群(Down症候群)とは、染色体異常が原因で知的障害が起こる病気である。常染色体異常疾患の中で最多である。Down症候群になりうる異常核型は、3種に大別される。①標準トリソミー型:21トリソミー(93%)、②転座型(5%)、③モザイク型(2%)である。発症率は、平均1/1000人である。しかし、35歳女性で1/300人、40歳女性1/100人、45歳女性1/30人と、出産年齢が上がるにつれて確率が高くなる。症状として、①特異な顔貌、②多発奇形、③筋緊張の低下、④成長障害、⑤発達遅滞を特徴とする。また、約半数は、先天性心疾患や消化管疾患などを合併する。特異顔貌として、眼瞼裂斜上・鼻根部平坦・内眼角贅皮・舌の突出などがみられる。

 乳児期の特徴としては、全身の筋緊張が低く、発達の遅れを伴う。理学療法では、バランスボールなどダウン症児の興味関心を抱きやすい環境で筋緊張を高められる運動(主に体幹筋群)を提供する。スカーフ徴候陽性や、シャフリング移動がみられる。スカーフ徴候の正常(陰性)の場合、腕を首に巻きつけるようにすると抵抗するが、陽性の場合は抵抗がみられない。シャフリング移動とは、お座り姿勢のまま移動する(いざり)ことである。脚の動かし方、手の使い方のバリエーションが少なかったり、下半身の筋肉の張りが弱く、筋肉量も少ないために行うことがある。Down症候群の子供では、立位歩行の獲得が遅れるため、シャフリング移動がみられる。正常発達の乳児期前半では、背臥位にて手で足をつかむ動作を行うようになるが、ダウン症乳児の場合、全身の筋緊張が低下しているため、背臥位では股関節外転・外旋した「蛙様肢位(蛙状肢位)」となり、足の持ち上げが難しくなる。読み方は、そのまま「カエルヨウ肢位、カエルジョウ肢位、カエル肢位」などと読む。

 

 

 

 

 

32 生後18時間の男児。在胎41週0日、出生体重4,250gで出生した。全身状態は良好で、哺乳を開始しており、哺乳力も問題ない。診察時、Moro<モロー>反射が左右非対称で左の反射が欠如していた。上肢の触診で特定の場所を痛がる様子はなく、局所性の発赤・腫脹も認めない。
 次に確認する児の所見で最も重要なのはどれか。

1.手掌把握反射
2.スカーフ徴候
3.引き起こし反射
4.Landau<ランドー>反射
5.Babinski<バビンスキー>反射

解答

解説

本症例のポイント

・生後18時間の男児。
・出生:在胎41週0日、出生体重4,250g
・全身状態:良好、哺乳・哺乳力:問題ない。
・診察時のMoro反射:左が欠如
・上肢の触診で特定の場所を痛がる様子はなく、局所性の発赤・腫脹も認めない。
→正期産(37~39週)における児の正常な体重の範囲は2,500g以上4,000g未満である。これより軽い場合は低出生体重児、重い場合は巨大児となる。本症例は、巨大児(4,250g)に分類される。巨大児の出産後のリスクとして、出産後のお母さんには弛緩出血や産道損傷が、赤ちゃんには新生児仮死や低血糖、分娩麻痺などがあげられる。胎児が高血糖になるとインスリンが分泌され、インスリンが高いと肺の成長が遅れる。このために出生後呼吸障害となることもある。ちなみに、分娩麻痺とは、生まれてくる際に、子宮の収縮力だけでは力不足の場合、医師や助産婦による予想以上の力が腕に行く神経にかかり、神経が外傷し麻痺してしまうことをいう。

1.〇 正しい。手掌把握反射が次に確認する児の所見で最も重要である。なぜなら、本症例のMoro反射が左だけ欠如している原因を探るため。本症例は、本症例は、巨大児(4,250g)に分類されることから、分娩麻痺(腕神経叢麻痺)を呈した可能性が考えられる。実際に、手掌把握反射を行い、消失していた場合は、腕神経叢麻痺が疑われる。ちなみに、Moro反射とは、原始反射の一つであり、頭を落下すると、手指を開き上肢を広げ、その後、上肢屈曲位に戻る反射のこと。4~6か月前後に消失する。また、手掌把握反射は、児が指を開いているときに指で手のひらを刺激すると、指を握りしめようとする反射で、代表的な原始反射のひとつである。手掌把握反射は生後3~4か月で消失する。
2.× スカーフ徴候とは、正常(陰性)の場合、腕を首に巻きつけるようにすると抵抗するが、陽性の場合は抵抗がみられない反応のことである。
3.× 引き起こし反射とは、背臥位で新生児の両手を検者の両手でもち、ゆっくりと座らせるように引き起こす。両上肢の屈曲緊張が増し、首を屈曲させて起き上がる反応を示す。1~2ヵ月: 頭部背屈・上肢伸展。3~4ヵ月:頭と頸は体幹と平行して遅れないようについてくる。四肢屈曲。5~6ヵ月:頸は体幹と平行し、肘曲して引き起こしに協力する。7~8ヵ月:肘屈曲、下肢伸展、頸前屈。
4.× Landau<ランドー>反射とは、乳児の腹部を検者の手掌で支えて水平にすると、頭を上げ体幹をまっすぐにし、さらに下肢を伸展する反応である。3つの頭部の立ち直り反応すべての効果が合わさった反応で、第1相:頸部、体幹軽度屈曲、四肢軽度屈曲。第2相:頸部水平、体幹軽度屈曲、四肢軽度屈曲。第3相:頸部伸展挙上、体幹伸展、四肢伸展傾向となる。第1相:0~6週、第2相:7週~3、4 ヵ月、第3相:6 ヵ月から1~2歳で統合される。
5.× Babinski<バビンスキー>反射とは、上位運動ニューロン障害でみられる反応のひとつである。方法下記のとおりである。患者を背臥位にし、両下肢を伸展させる。気持ちを楽にさせ緊張を取るように指示する。先のとがったハンマーの柄や鍵などで、足底の外側を踵から足先に向けてこする。刺激によって母趾がゆっくりと背屈すれば陽性(母趾現象または伸展足底反射)である。

 

 

 

 

33 百日咳で正しいのはどれか。

1.飛沫感染する。
2.抗菌薬投与は無効である。
3.特徴的な症状に犬吠様咳嗽がある。
4.インフルエンザ菌b型の感染症である。
5.新生児期の感染例は重症化するリスクがない。

解答

解説

百日咳とは?

百日咳とは、特有のけいれん性の咳発作(痙咳発作)を特徴とする急性気道感染症である。百日咳の原因菌は、百日咳菌である。特有のけいれん性の咳発作(痙咳発作)を特徴とする急性気道感染症である。母親からの免疫(経胎盤移行抗体)が十分でなく、乳児期早期から罹患する可能性があり、1歳以下の乳児、特に生後6 カ月以下では死に至る危険性も高い。百日せきワクチンを含むDPT三種混合ワクチン(ジフテリア・百日咳・破傷風)あるいはDPT-IPV四種混合ワクチン(ジフテリア・百日咳・破傷風・不活化ポリオ)接種はわが国を含めて世界各国で実施されており、その普及とともに各国で百日咳の発生数は激減している。しかし、ワクチン接種を行っていない人や接種後年数が経過し、免疫が減衰した人での発病はわが国でも見られており、世界各国でいまだ多くの流行が発生している。

1.〇 正しい。飛沫感染する。百日咳とは、グラム陰性桿菌である百日咳菌の感染によるが、一部はパラ百日咳菌も原因となる。感染経路は、鼻咽頭や気道からの分泌物による飛沫感染、および接触感染である。
2.× 抗菌薬投与は、「無効」ではなく有効である。百日咳菌に対する治療として、生後6カ月以上の患者にはエリスロマイシン、クラリスロマイシンなどのマクロライド系抗菌薬が用いられる。これらは特にカタル期では有効である。新生児ではこれらの抗菌薬は肥厚性幽門狭窄症を考慮してアジスロマイシンでの治療が奨められる。
3.× 特徴的な症状に犬吠様咳嗽があるのは、「百日咳」ではなくクループ(咽頭ジフテリア、急性声門下咽頭炎など)である。ちなみに、犬吠様咳嗽(けんばいようがいそう)とは、犬が吠えたような鳴き声の咳のことである。主に小児に見られ、上気道の炎症による浮腫が原因で咽頭狭窄が起こり生じる。重症化すると呼吸困難に陥る恐れもある。また、百日咳は、痙攣性咳嗽(痙咳、レプリーゼ)を伴う。これは短い咳が連続的に起こり(スタッカート)、続いて、息を吸う時に笛の音のようなヒューという音が出る(笛声:whoop)。
4.× 「インフルエンザ菌b型」ではなく百日咳菌の感染症である。ちなみに、インフルエンザ菌b型による感染症は、Hib感染症(ヒブ感染症)である。そのほとんどが5歳未満で発生し、特に乳幼児で発生に注意が必要である。主に気道の分泌物により感染を起こし、症状がないまま菌を保有(保菌)して日常生活を送っている子どもも多くいる。
5.× 新生児期の感染例は重症化するリスクが「ない」と断定できない。むしろ、母親からの免疫(経胎盤移行抗体)が十分でなく、乳児期早期から罹患する可能性があり、1歳以下の乳児、特に生後6 カ月以下では死に至る危険性も高い。

(※参考「百日咳とは」NIID国立感染症研究所HPより)

 

 

 

 

 

34 卵管性不妊の原因となるのはどれか。2つ選べ。

1.淋菌
2.カンジダ菌
3.トリコモナス原虫
4.サイトメガロウィルス
5.クラミジアトラコマティス

解答1・5

解説

卵管異常の原因

卵管の異常による不妊は、不妊原因(女子側)の25%~35%に認められ、その約半数が卵管の炎症によるといわれています。 その代表的なものがクラミジア・淋菌の感染による卵管炎である。卵管という子宮に続く卵の通り道が炎症を起こすと、子宮外妊娠の原因となったり、卵管性不妊の原因になる。その他、過去の子宮外妊娠の後遺症や子宮内膜症、子宮筋腫や卵巣のう腫に対する開腹手術などが原因となることもある。卵管性不妊の治療として、①卵管鏡下卵管形成術(FT)、②腹腔鏡下卵管形成術、③体外受精があげられる。

1.〇 正しい。淋菌は卵管性不妊の原因となる。淋菌感染症とは、淋菌の感染による性感染症である。淋菌は弱い菌で、患者の粘膜から離れると数時間で感染性を失い、日光、乾燥や温度の変化、消毒剤で簡単に死滅する。したがって、性交や性交類似行為以外で感染することはまれである。女性では男性より症状が軽くて自覚されないまま経過することが多く、また、上行性に炎症が波及していくことがある。米国ではクラミジア感染症とともに、骨盤炎症性疾患、卵管不妊症、子宮外妊娠、慢性骨盤痛の主要な原因となっている。その他、咽頭や直腸の感染では症状が自覚されないことが多く、これらの部位も感染源となる。淋菌感染症は何度も再感染することがある。
2.× カンジダ菌により膣カンジダが生じる。典型的な症状は、①外陰部のかゆみや②酒粕(カッテージチーズ)状のおりものなどである。
3.× トリコモナス原虫により膣トリコモナス症が生じる。トリコモナスと呼ばれる大きさ0.1㎜くらいの原虫に感染して膣や膀胱に炎症が起こり、泡状で悪臭の伴うおりもの、膣内が「熱い」と感じる激しいかゆみ、外陰部が赤くただれてヒリヒリする、排尿時に沁みて痛いなどの症状が現れる性病である。
4.× サイトメガロウィルスによりサイトメガロウイルス感染症が生じる。子宮内での発育遅延、早産、小頭症、黄疸、肝臓や脾臓の腫れ、点状出血、脳内の脳室周囲の石灰化、網膜炎、肺炎等が起こりやすく、 このような異常が見られた児では、後に難聴・精神発達遅滞・視力障害といった何らかの神経学的障害が明らかになる場合が多い。
5.〇 正しい。クラミジアトラコマティスは卵管性不妊の原因となる。クラミジア・トラコマチスとは、主に目と性器に感染するクラミジアの1種。その種によって、主な性感染症のひとつである性器クラミジア感染症や、もはや日本では流行のないトラコーマや鼠径リンパ肉芽腫などを引き起こす。クラミジアは、「上行性感染」で、腟から上へ感染が広がっていく。感染を放置すると、子宮内膜炎卵管炎、卵巣炎、骨盤腹膜炎と広がっていき、骨盤内炎症性疾患を引き起こす。

 

 

 

 

35 骨盤隔膜を形成している筋はどれか。2つ選べ。

1.大殿筋
2.尾骨筋
3.梨状筋
4.肛門挙筋
5.外肛門括約筋

解答2・4

解説

骨盤隔膜とは?

骨盤隔膜とは、骨盤底を支える強力な筋肉および筋膜の総称である。 主に、肛門挙筋 ・尾骨筋などからなる。 前方は尿生殖隔膜に連続している。骨盤の前の恥骨から後ろの尾骨にかけて存在し、骨盤底の真ん中にあり、最も強く、重要な役割を果たす。膜には、直腸、膣、尿道が通過する穴が存在する。この膜は、腕や足の筋肉と同じく横紋筋でできている。

1.× 大殿筋は、お尻の外側(浅層)に位置する。大殿筋の作用として、股関節伸展、外旋、外転であり、上部は内転し、下部は骨盤の下制に寄与する。つまり、股関節を広げたり後ろへ伸ばしたりする働きをもつ。
2.〇 正しい。尾骨筋は、骨盤隔膜を形成している筋である。ちなみに、尾骨筋は、腹部の筋肉のうち仙骨下部と尾骨外側縁との間に存在するものである。 仙骨尖を起始とし、尾骨に付着する。 尾骨と仙骨の間の動きは人間に於いてほとんど退化しており、有効な作用はない。
3.× 梨状筋は、お尻の外側(深層)に位置する。梨状筋の作用として、股関節外旋、外転に寄与する。つまり、股関節を外へ回旋したり広げたりする働きをもつ。
4.〇 正しい。肛門挙筋は、骨盤隔膜を形成している筋である。肛門挙筋は、肛門の周囲に位置する恥骨尾骨筋・腸骨尾骨筋・恥骨直腸筋の総称。 骨盤底筋の一つで、骨盤隔膜を構成し、骨盤内臓を支持する。骨盤底筋体操とは、尿失禁の予防・改善のために肛門挙筋および尿道周囲、膣周囲の括約筋群を鍛える方法である。座位や膝立て背臥位などで、上体の力を抜いてお尻の穴を引き上げて「きゅっ」とすぼめ、5秒キープする動作を10~20回ほど繰り返す方法と、すぼめたりを繰り返す方法の2種類ある。
5.× 外肛門括約筋は、内肛門括約筋を外側から筒状に取り囲むように存在する。随意筋で横紋筋であり、体性神経である下直腸神経・会陰神経の支配を受けている。外肛門括約筋の弛緩が起こって排便が起こる(排便反射)。つまり、お尻の穴の排便の時に働く筋肉である。

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