第105回(H28) 看護師国家試験 解説【午前16~20】

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

 

16 認知症の中核症状はどれか。

1.幻聴
2.抑うつ
3.希死念慮
4.見当識障害

解答4

解説

認知症の主な症状

①中核症状:神経細胞の障害で起こる症状
(例:記憶障害、見当識障害、理解・判断力の低下、失語・失行など)

②周辺症状:中核症状+(環境要因や身体要因や心理要因)などの相互作用で起こる様々な症状
(例:徘徊、幻覚、異食、せん妄、妄想、不安など)

1~3.× 幻聴/抑うつ/希死念慮(死にたいという気持ち)は、認知症の周辺症状である。
4.〇 正しい。見当識障害は、認知症の中核症状である。見当識障害とは、「今がいつか(時間)」「ここがどこか(場所)」がわからなくなる状態である。自分の周囲の状況や、 自分が置かれている状況(人や時間、 場所)が正しく理解できなくなる。

 

 

 

 

 

17 ステロイド薬の副作用(有害事象)はどれか。

1.便秘
2.口内炎
3.低血圧
4.骨粗鬆症

解答4

解説

1.× 「便秘」ではなく下痢になりやすい。なぜなら、ステロイドによる消化管障害の原因(胃酸分泌亢進や粘膜保護作用の抑制など)が考えられているため。症状は、潰瘍、出血、穿孔などで、胃や十二指腸に多くみられる。
2.× 口内炎にはなりにくい。なぜなら、副腎皮質ステロイド薬の作用は、免疫反応を抑制するため。口内炎とは、口の中の粘膜に起こる炎症のことである。ちなみに、口内炎を引き起こす薬物としては、主に抗がん薬などが挙げられる。
3.× 「低血圧」ではなく高血圧になりやすい。なぜなら、副腎皮質ステロイド薬の作用は、体に吸収された塩分を排出しにくくなるため。ステロイドのミネラルコルチコイドという作用により、腎臓からNaが再吸収される。ちなみに、低血圧を起こしやすい薬には、抗うつ薬・利尿薬などさまざまなものがある。
4.〇 正しい。骨粗鬆症は、副腎皮質ステロイド薬の代表的な副作用である。なぜなら、副腎皮質ステロイド薬の作用は、ステロイド薬は骨を作る細胞の働きを弱め、骨を吸収する細胞の働きを強めて骨を弱くするため。ちなみに、骨粗鬆症とは、骨量が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気である。原因として、閉経による女性ホルモンの低下や運動不足・喫煙・飲酒・栄養不足・加齢などである。骨粗鬆症の患者は、わずかな外力でも容易に圧迫骨折(特に胸腰椎)、大腿骨頚部骨折、橈骨遠位端骨折を起こしやすい(※参考:「骨粗鬆症」日本整形外科学会様HPより)。

副腎皮質ステロイド薬とは?

【ステロイドの機序】
ステロイドは細胞の中に入った後にグルココルチコイド受容体に結合する。ステロイドの結合したグルココルチコイド受容体は、細胞の核内へ移行し、炎症に関与する遺伝子の発現を調節すると言われている。 この結果として強力な抗炎症作用と免疫抑制作用が発揮される。

【ステロイドの副作用】
軽度:中心性肥満、体重増加、満月様顔貌
重度:消化管潰瘍、糖尿病、感染症、骨粗鬆症・骨壊死、筋炎、精神症状(抑うつ、せん妄)

ステロイドを長期的に内服した場合、体内でステロイドホルモンが分泌されなくなることがある。そのため、急に薬の内服を止めると体内のステロイドホルモンが不足し、倦怠感や血圧低下、吐き気、低血糖などの症状が起こることがある。これをステロイド離脱症候群という。

(※参考:「副腎皮質ステロイド」日本リウマチ学会様HP)

 

 

 

 

 

18 骨盤底筋訓練が最も有効なのはどれか。

1.溢流性尿失禁
2.切迫性尿失禁
3.反射性尿失禁
4.腹圧性尿失禁

解答4

解説

1.× 溢流性尿失禁とは、尿道が狭くなったり、膀胱から尿を出す力が弱くなったりすることで、尿意はあるが自分では尿を出せず、膀胱に大量の尿が溜まったときに少しずつ溢れるように出てしまうことである。前立腺肥大症の男性に多い。神経因性膀胱や重症の前立腺肥大症で、尿の排出がうまくできず、残尿が貯留し溢れることにより起こる。尿道留置カテーテルを挿入し、その後は自己導尿などの残尿を減らす治療が有効である。
2.× 切迫性尿失禁とは、膀胱が自身の意思に反して収縮することで、急に排尿したくなりトイレに行くまでに我慢できずに漏れてしまう失禁である。原因として膀胱にうまく尿がためられなくなる過活動膀胱が多く、脳血管障害など排尿にかかわる神経の障害で起きることもある。過活動性膀胱に対して、電気刺激療法や磁気刺激療法が有効とされる。薬物療法も用いられる。
3.× 反射性尿失禁とは、脊髄損傷により排尿をつかさどる神経が障害されており(神経因性膀胱)、膀胱に尿が充満した状態で反射的に尿が漏れてしまうものである。原因として、膀胱尿管逆流症や水腎症などの合併症が起こり得るため、治療法として間欠的な自己導尿も選択される。治療としては、自己導尿排尿訓練などを行う。
4.〇 正しい。腹圧性尿失禁は、骨盤底筋訓練が最も有効である。腹圧性尿失禁とは、腹圧をかけるような運動時(重い荷物を持ち上げたときなど)に尿が漏れる状態で、男性よりも女性に多くみられる。尿道括約筋を含む骨盤底の筋肉が弱くなることが原因で、加齢、出産、喫煙、肥満などと関連している。

過活動膀胱とは?

過活動膀胱とは、膀胱の蓄尿期において尿意切迫感があり、頻尿や尿失禁をきたす疾患である(切迫性尿失禁)。明らかな神経学的異常に起因する神経因性過活動膀胱と、原因を特定できない非神経因性過活動膀胱に分けられる。原因として、①加齢、②骨盤底筋の低下、③生活習慣病、④肥満などと関連するといわれている。有病率は高齢になるほど高くなる。過活動膀胱では、膀胱訓練や骨盤底筋訓練など機能訓練を行い、薬物療法で治療を行う。

骨盤底筋は子宮、膀胱、直腸を含む骨盤臓器を支える筋肉で、骨盤底筋を強化することで尿漏れ対策となる。仰臥位が基本的な姿勢であるが、伏臥位や座位など日常生活の中でどんな姿勢で行ってもよい。座位や膝立て背臥位などで、上体の力を抜いてお尻の穴を引き上げて「きゅっ」とすぼめ、5秒キープする動作を10~20回ほど繰り返す方法と、すぼめたりを繰り返す方法の2種類ある。

膀胱訓練とは、排尿の間隔を徐々に延長し、膀胱にためることができる尿量を徐々に増やしていくものである。最初は30秒程度からスタートし、徐々に我慢する時間を延ばしていく。

 

 

 

 

 

19 口腔ケアで適切なのはどれか。

1.歯肉出血がある場合は実施しない。
2.含嗽ができない患者には禁忌である。
3.経口摂取の有無に関係なく実施する。
4.総義歯の場合は義歯を入れた状態で実施する。

解答3

解説

口腔ケアの目的

口腔ケアの目的は、口の中を清潔にするだけでなく、歯や口の疾患を予防し、口腔の機能を維持することにあります。 また、口腔ケアはQOLの向上のみならず誤嚥性肺炎(ごえん:異物を誤って飲み込むこと)などの全身疾患の予防、全身の健康状態の維持・向上にもつながります(※引用:「口腔ケアの必要性」健康長寿ネット様HPより)。

1.× 歯肉出血がある場合でも実施する。なぜなら、出血がある場合でも口腔ケアを行わないと、口腔衛生不良が悪化に伴い、むしろ歯肉出血(歯肉の炎症)が悪化するため。歯肉出血の原因は、主に口腔衛生不良によるプラークの付着である。これにより歯肉に炎症が生じ、出血が起こりやすくなるメカニズムである。含嗽などで歯肉へ刺激を与えないよう工夫しながら口腔ケアを実施することが大事である。
2.× 含嗽ができない患者でも口腔ケアを行う(禁忌ではない)。なぜなら、口腔ケアは、感染予防や唾液の分泌を促進する目的もあるため。粘膜を清潔に保つ必要がある。
3.〇 正しい。経口摂取の有無に関係なく実施する。なぜなら、経口摂取ができない場合でも、口腔内の細菌感染は生じるため。口の中は常に37度前後に保たれ、唾液という水分があり、定期的に食物が通過するので、細菌が増えやすい環境になっている。
4.× 総義歯の場合は、「義歯を入れた状態」ではなく義歯は外して実施する。なぜなら、義歯を入れた状態だと、清潔な口腔状態に整えることが困難であるため。特に、義歯のクラスプという金属のバネの部分が歯の清掃の障害になる。

 

 

 

 

 

20 医療法施行規則に定められている療養病床に係る多床室の床面積は、患者1人につき[ ]m2以上である。
 [ ]に入るのはどれか。(※解答なし:採点対象外)

1.2.3
2.3.3
3.4.3
4.5.3

解答(※解答なし:採点対象外)
理由:選択肢に正解がないため

解説

療養病床は、長期にわたり療養を必要とする患者が入院する病床である。療養病床の床面積は、患者1人につき6.4m2以上である。

これは、「医療法施行規則」の第16条3項イに「病院の病室及び診療所の療養病床に係る病室の床面積は、内法による測定で、患者一人につき六・四平方メートル以上とすること」と記載されている。

第三章 病院、診療所及び助産所の構造設備

第十六条 法第二十三条第一項の規定による病院又は診療所の構造設備の基準は、次のとおりとする。ただし、第九号及び第十一号の規定は、患者を入院させるための施設を有しない診療所又は九人以下の患者を入院させるための施設を有する診療所(療養病床を有する診療所を除く。)には適用しない。
一 診療の用に供する電気、光線、熱、蒸気又はガスに関する構造設備については、危害防止上必要な方法を講ずることとし、放射線に関する構造設備については、第四章に定めるところによること。
二 病室は、地階又は第三階以上の階には設けないこと。ただし、第三十条の十二第一項に規定する放射線治療病室にあつては、地階に、主要構造部(建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条第五号に規定する主要構造部をいう。以下同じ。)を耐火構造(建築基準法第二条第七号に規定する耐火構造をいう。以下同じ。)とする場合は、第三階以上に設けることができる。
二の二 療養病床に係る一の病室の病床数は、四床以下とすること。
三 病室の床面積は、次のとおりとすること。
イ 病院の病室及び診療所の療養病床に係る病室の床面積は、内法による測定で、患者一人につき六・四平方メートル以上とすること
ロ イ以外の病室の床面積は、内法による測定で、患者一人を入院させるものにあつては六・三平方メートル以上、患者二人以上を入院させるものにあつては患者一人につき四・三平方メートル以上とすること。
四 小児だけを入院させる病室の床面積は、前号に規定する病室の床面積の三分の二以上とすることができること。ただし、一の病室の床面積は、六・三平方メートル以下であつてはならない。
五 機械換気設備については、感染症病室、結核病室又は病理細菌検査室の空気が風道を通じて病院又は診療所の他の部分へ流入しないようにすること。
六 精神病室の設備については、精神疾患の特性を踏まえた適切な医療の提供及び患者の保護のために必要な方法を講ずること。
七 感染症病室及び結核病室には、病院又は診療所の他の部分及び外部に対して感染予防のためにしや断その他必要な方法を講ずること。
八 第二階以上の階に病室を有するものにあつては、患者の使用する屋内の直通階段を二以上設けること。ただし、患者の使用するエレベーターが設置されているもの又は第二階以上の各階における病室の床面積の合計がそれぞれ五十平方メートル(主要構造部が耐火構造であるか、又は不燃材料(建築基準法第二条第九号に規定する不燃材料をいう。以下同じ。)で造られている建築物にあつては百平方メートル)以下のものについては、患者の使用する屋内の直通階段を一とすることができる。
九 前号に規定する直通階段の構造は、次のとおりとすること。
イ 階段及び踊場の幅は、内法を一・二メートル以上とすること。
ロ けあげは〇・二メートル以下、踏面は〇・二四メートル以上とすること。
ハ 適当な手すりを設けること。
十 第三階以上の階に病室を有するものにあつては、避難に支障がないように避難階段を二以上設けること。ただし、第八号に規定する直通階段のうちの一又は二を建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第百二十三条第一項に規定する避難階段としての構造とする場合は、その直通階段の数を避難階段の数に算入することができる。
十一 患者が使用する廊下の幅は、次のとおりとすること。
イ 精神病床及び療養病床に係る病室に隣接する廊下の幅は、内法による測定で、一・八メートル以上とすること。ただし、両側に居室がある廊下の幅は、内法による測定で、二・七メートル以上としなければならない。
ロ イ以外の廊下(病院に係るものに限る。)の幅は、内法による測定で、一・八メートル以上とすること。ただし、両側に居室がある廊下(病院に係るものに限る。)の幅は、内法による測定で、二・一メートル以上としなければならない。
ハ イ以外の廊下(診療所に係るものに限る。)の幅は、内法による測定で、一・二メートル以上とすること。ただし、両側に居室がある廊下(診療所に係るものに限る。)の幅は、内法による測定で、一・六メートル以上としなければならない。
十二 感染症病室又は結核病室を有する病院又は診療所には、必要な消毒設備を設けること。
十三 歯科技工室には、防塵じん設備その他の必要な設備を設けること。
十四 調剤所の構造設備は次に従うこと。
イ 採光及び換気を十分にし、かつ、清潔を保つこと。
ロ 冷暗所を設けること。
ハ 感量十ミリグラムのてんびん及び五百ミリグラムの上皿てんびんその他調剤に必要な器具を備えること。
十五 火気を使用する場所には、防火上必要な設備を設けること。
十六 消火用の機械又は器具を備えること。
2 前項に定めるもののほか、病院又は診療所の構造設備の基準については、建築基準法の規定に基づく政令の定めるところによる。

(※引用:「医療法施行規則」e-GOV法令検索様HPより)

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)