第106回(R5)助産師国家試験 解説【午後1~5】

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1 セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツの考え方で適切なのはどれか。

1.居住する地域の宗教的価値観によって決められる。
2.思春期から成熟期までが対象となる。
3.身体的生殖機能に重点が置かれる。
4.人間としての権利である。

解答

解説

セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツとは?

セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(Sexual and Reproductive Health and Rights:SRHR)とは、日本語訳で「性と生殖に関する健康と権利」とされ、すべての人の「性」と「生き方」に関わる重要なことである。例えば、人々が政治的・社会的に左右されず、「子どもを持つ」「持たない」を決める自由を持ち、自分たちの子どもの数、出産間隔、出産する時期を自由に決定でき、そのための健康を享受できること、またそれに関する情報と手段を得ることができる権利である。

1.× 居住する地域の宗教的価値観によって決められるわけではない。地域はもちろん、政治的・社会的に左右されず、「子どもを持つ」「持たない」を決める自由を持ち、自分たちの子どもの数、出産間隔、出産する時期を自由に決定でき、そのための健康を享受できること、またそれに関する情報と手段を得ることができる権利である。
2.× 「思春期から成熟期まで」ではなく全般のライフステージが対象となる。思春期とは、こころの発達の面からは小学校高学年から高校生年代の時期に当たり、中学生前半までを思春期前期、それ以後を思春期後期と呼ぶ。 一方、成熟期とは、だいたい18才から40才代前半の、女性が性的にもっとも成熟する時期である。
3.× 「身体的生殖機能」だけに重点が置かれるわけではない。すべての人の「性」と「生き方」に関わる重要なことである。したがって、身体的にも精神的にも社会的にも様々な観点を含む。例えば、性の健康、生殖に関連する教育、情報へのアクセス、性に関連する疾病からの保護などである。
4.〇 正しい。人間としての権利である。差別、強制、暴力を受けることなく、生殖に関する決定を行える権利に加え、それを可能にする情報と手段を得て、その方法を利用することができる権利も含まれている。つまり、非差別、自己決定権など、人間としての基本的な権利を強調している。

 

 

 

 

 

2 骨粗鬆症について正しいのはどれか。

1.閉経後に起こるのは原発性骨粗鬆症である。
2.原発性骨粗鬆症より続発性骨粗鬆症の者が多い。
3.食事療法ではカルシウムに加えカリウムを摂取する。
4.プロゲステロンの低下によって骨粗鬆症になりやすい。

解答

解説

骨粗鬆症について

①原発性骨粗鬆症とは、閉経後や高齢者にみられる骨粗鬆症のことである。

②続発性骨粗鬆症とは、結果として二次的な骨量喪失が起こる骨粗鬆症のことをいう。例えば、骨代謝に影響を及ぼすホルモンやサイトカイン異常、不動など骨への力学的負荷の減少、骨構成細胞や物質の異常、全身的および血管障害などの局所的栄養障害などによって起こる。これら骨粗鬆症は原疾患に基づいて発症する続発性骨粗鬆症であるため、原疾患の適切な治療により正常化することが期待しうるが、骨代謝の正常化を期待するには不十分であることが多く、また先天性異常では改善は望めず、多くの症例で骨量喪失に対する治療を要することが多い。

1.〇 正しい。閉経後に起こるのは原発性骨粗鬆症である。なぜなら、骨粗鬆症の原因として、女性ホルモン(エストロゲン)の低下がひとつであるため。骨粗鬆症とは、骨量が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気である。原因として、閉経による女性ホルモンの低下や運動不足・喫煙・飲酒・栄養不足・加齢などである。骨粗鬆症の患者は、わずかな外力でも容易に圧迫骨折(特に胸腰椎)、大腿骨頚部骨折、橈骨遠位端骨折を起こしやすい。
2.× 逆である。「続発性骨粗鬆症」より「原発性骨粗鬆症」の者が多い。骨粗鬆症の約9割が原発性骨粗鬆症である(※参考データ:「骨粗しょう症とは」とみた整形外科クリニック様HPより)。 その中でも最も多いのが閉経後骨粗鬆症である。機序として、女性ホルモン(エストロゲン)が著しく減少することにより、骨吸収が加速して骨形成が追いつかなくなり、骨折しやすくなる過程をとる。
3.× 食事療法ではカルシウムに加え、「カリウム」ではなく「ビタミンDやK」を摂取する。ビタミンDは、カルシウムとリンの吸収を促進する働きがある。ビタミンDの欠乏によりくる病をきたす。一方、ビタミンKには、血液凝固のほかに骨形成(骨をつくる骨芽細胞の働き)を促進する作用と骨吸収(骨を壊す破骨細胞の働き)を抑制する作用がある。この2つの働きにより、骨粗鬆症における骨量(骨の材料であるカルシウムとリンの量)の減少を抑えたり痛みを和らげる効果がある。
4.× 「プロゲステロン(黄体ホルモン)」ではなくエストロゲン(卵胞ホルモン)の低下によって骨粗鬆症になりやすい。エストロゲンは、骨の新陳代謝に際して骨吸収をゆるやかにして骨からカルシウムが溶けだすのを抑制する働きがある。一方、プロゲステロン(黄体ホルモン)は、妊娠初期は妊娠黄体から、妊娠8週以降は胎盤から分泌される。作用は、妊娠の維持(子宮筋の収縮抑制)、体温の上昇、乳腺の発育、妊娠中の乳汁分泌抑制である。厚くなった子宮内膜を、さらに受精卵が着床しやすい状態にする。

カリウムとは?

カリウムとは、ナトリウムとともに、細胞の浸透圧を維持しているほか、酸・塩基平衡の維持、神経刺激の伝達、心臓機能や筋肉機能の調節、細胞内の酵素反応の調節などの働きをしている。高カリウム血症とは、血清カリウム濃度が5.5mEq/Lを上回ることである。通常は腎臓からのカリウム排泄の低下またはカリウムの細胞外への異常な移動によって発生する。原因としては、①カリウム摂取の増加、②腎臓からのカリウム排泄を障害する薬剤、③急性腎障害または慢性腎臓病などで起こりえる。症状として、悪心、嘔吐などの胃腸症状、しびれ感、知覚過敏、脱力感などの筋肉・神経症状、不整脈などが現れる。

 

 

 

 

 

3 子宮内膜症について正しいのはどれか。

1.卵巣癌のリスク因子である。
2.エストロゲン貼付薬を治療に用いる。
3.自覚症状を認めることはまれである。
4.プロゲステロンに依存する疾患である。

解答

解説

子宮内膜症とは?

子宮内膜症とは、子宮の内側の壁を覆っている子宮内膜が、子宮の内側以外の部位に発生する病気である。腰痛や下腹痛、性交痛、排便痛などが出現する。経口避妊薬を内服することによりエストロゲンの総量が低く抑えられ、排卵を抑制し、子宮内膜症の症状を軽減し、子宮内膜症予防にもなる。なお、乳癌や子宮内膜癌などのエストロゲン依存性悪性腫瘍や子宮頸癌及びその疑いのある場合は腫瘍の悪化あるいは顕性化を促すことがあるため禁忌となっている。

1.〇 正しい。卵巣癌のリスク因子である。「子宮内膜症は月経周期を有する女性の約10%にみられるありふれた疾患である。20~30歳代では月経困難症、不妊症を主訴とするが、40~50歳代になると一部の患者は癌化することが知られている。本邦の疫学調査により、臨床的卵巣子宮内膜症性囊胞(チョコレート囊胞)から0.72%の頻度で癌化すること、特に45歳以上で、サイズの大きい囊胞(6㎝以上)が癌化しやすいことなどが報告された(※引用:「卵巣チョコレート囊胞の癌化」日本産婦人科医会より)」
2.× エストロゲン貼付薬を治療に用いるのは、性腺摘出や原発性卵巣不全による低エストロゲン症である。子宮内膜症は、エストロゲンが増加し、子宮内膜の増殖している状態であるため、治療法は、子宮内膜の増殖を抑制するため低用量ピル黄体ホルモンが用いられる。
3.× 自覚症状を認めることは、「まれ」ではなく多い。子宮内膜症の代表的な症状として、痛みと不妊を自覚することが多い。痛みの中でも月経痛は、子宮内膜症の患者さんの約90%にみられる。この他、月経時以外にも腰痛や下腹痛、排便痛、性交痛などがみられる。
4.× 「プロゲステロン」ではなくエストロゲンに依存する疾患である。エストロゲン依存性疾患の代表格として、乳がん、子宮体がん、子宮筋腫、子宮内膜症があげられる。エストロゲン依存性とは、『エストロゲン だけが高い状態だと進行してしまう病気』ということである。プロゲステロン(黄体ホルモン)は、妊娠初期は妊娠黄体から、妊娠8週以降は胎盤から分泌される。作用は、妊娠の維持(子宮筋の収縮抑制)、体温の上昇、乳腺の発育、妊娠中の乳汁分泌抑制である。厚くなった子宮内膜を、さらに受精卵が着床しやすい状態にする。

卵巣癌とは?

卵巣癌とは、卵巣に発生する悪性腫瘍(がん)のことである。卵巣がんは複数の要因が関与して発生するといわれている。遺伝的関与は10%程度と考えられているが、母や姉妹などの近親者に卵巣がんを発症した人間がいる場合は、発症した人間がいない場合と比較して発症の確率が高くなる傾向にある。子宮内膜症・骨盤内炎症性疾患・多のう胞性卵巣症候群などの疾患も卵巣がんの原因となり得る。その他にも長年にわたるホルモン補充療法、肥満・食事などの生活習慣、排卵誘発剤の使用なども要因と考えられている。また排卵の回数が多いほど卵巣がんを発症しやすいといわれているため、妊娠や出産の経験が少ない人、閉経が遅い人は発症の確率が高くなる可能性がある。

 

 

 

 

 

4 細菌性腟症について正しいのはどれか。

1.原因菌はカンジダである。
2.腟内pHが4.0以下に低下する。
3.腟内の乳酸桿菌量の減少を認める。
4.帯下の肉眼的所見で確定診断できる。

解答

解説

細菌性腟症とは?

細菌性腟症は、腟内細菌(ガルドネレラ・ヴァギナリスやペプトストレプトコッカスといった常在菌)のバランスが崩れたときに起こる腟感染症である。精液がアルカリ性であるため腟内の状態が変化すること、自分自身の外陰部にある雑菌が性行為によって腟に侵入することが主な理由として考えられている。複数のパートナー、新しいパートナー、コンドームを使わない性行為、女性の外陰部へのオーラルセックスは発症のリスクになる。おりものは灰色・漿液性・均質性であることがほとんどである。細菌性腟症の約半数は無症状であるが、3大症状として、おりもの増加、下腹痛、不正出血があげられる。 

1.× 原因菌が、カンジダである病気はカンジダ症である。細菌性腟症は、腟内細菌(ガルドネレラ・ヴァギナリスやペプトストレプトコッカスといった常在菌)のバランスが崩れたときに起こる腟感染症である。ちなみに、カンジダ症とは、カンジダ属の真菌による感染症である。接触感染の感染経路をとり、個室隔離の必要はない。症状として、発疹、鱗屑、かゆみ、腫れなどがみられる。湿潤部位の皮膚で発生しやすい傾向がある。境界のあまりはっきりしない、ジクジクした紅斑で、その中や周囲に小さい水ぶくれや膿が多数見られる。
2.× 腟内pHが4.0「以下に低下」ではなく以上に上昇する。なぜなら、細菌性腟症では、有害な細菌の増加と善玉菌の減少が起こるため。また、WHOの細菌性腟症の診断基準においても、④分泌物のpHが4.5以上であることが明記されている。ちなみに、正常の女性の膣内は、pH:3.8~4.5で酸性に保たれている。膣内が酸性だと、一般細菌の侵入や繁殖を防ぎ、正常な状態に保てる。
3.〇 正しい。腟内の乳酸桿菌量の減少を認める。乳酸桿菌であるデーデルライン桿菌は腟内を酸性に保つ働きがあり、異常細菌の増殖を防ぐ腟の自浄作用を行う。妊娠中は乳酸桿菌が増加し強酸性となる。細菌性腟症の主な特徴は、善玉菌(乳酸桿菌)の数量の減少と有害な細菌の増加が起こる。
4.× 帯下の肉眼的所見のみでは、確定診断することはできない。帯下とは、おりもののことで、腟外に流出した性器分泌物や滲出液(しみ出して来た液)である(※読み:たいげ)。細菌性腟症の診断は、一般的に複数の臨床的所見や検査結果を組み合わせて行われる(※参照:WHOの細菌性腟症の診断基準)。

WHOの細菌性腟症の診断基準

以下に述べる4項目のうち少なくとも3つの項目が満たされた場合に 、 細住性蘰症と診断する 。
①膣分泌物の性状は、薄く、均一である。
②膣分泌物の生食標本で、顆粒状細胞質を有するclue cellsが存在する 。
③膣分泌物に、10%KOHを1滴加えた時に、アミン臭がある。
④分泌物のpHが4.5以上である。

 

 

 

 

 

5 男性不妊について正しいのはどれか。

1.造精機能障害は男性不妊の約40%である。
2.造精機能障害ではテストステロンが上昇する。
3.Huhner〈フーナー〉試験は精子の受精能をみる。
4.思春期以降の流行性耳下腺炎の罹患は男性不妊の原因となる。

解答

解説
1.× 造精機能障害は、男性不妊の「50%」ではなく「約80%」を占める。一般男性の約20人に1人は男性不妊症といわれ、原因のうち約80%が造精機能障害である。造精機能障害とは、精子を作る機能に障害があり、精子濃度や運動率といった精子の機能が弱まってしまう状態のことを指す。造精機能障害には、①先天性(Klinefelter<クラインフェルター>症候群など)、②医原性のもの(化学療法・放射線療法など)、③精索静脈瘤によるもの、④突発性がある。このなかでは④突発性機能障害が最も多い。精子の機能が弱まる(=精液所見が悪くなる)ことで、自然妊娠が難しくなり、人工授精や体外受精、顕微授精をすることになる。①造精機能障害の原因として、約半分は原因不明なのに対し、精索静脈瘤が36.6%で、ホルモン低下によるものは1.2%である。いずれも治療可能な疾患である。
2.× 造精機能障害ではテストステロンが「上昇」ではなく低下する。造精機能障害の先天性(Klinefelter<クラインフェルター>症候群など)は、性染色体異常の一種で男性は精巣が発達せず、男性ホルモン(テストステロン)の分泌も少ないため、多くは無精子症となる。ちなみに、テストステロン(アンドロゲン、男性ホルモン)は、副腎皮質から分泌される。
3.× Huhner〈フーナー〉試験は、「精子の受精能」ではなく頸管粘液中の精子の数と動きをみる。Huhner〈フーナー〉試験(性交後検査)とは、頸管粘液中の精子の数と動きを調べることで、子宮内に十分な精子が侵入しているかどうかを推測する検査である。排卵期の静甲後に、子宮頚管粘液を採取し運動精子を観察する。粘液中に精子が確認できなければ無精子症や抗精子抗体、子宮頸管炎などが疑われる。ちなみに、精子の受精能の検査として、精子受精能検査(アクロビーズテスト)があげられる。受精時に精子が頭の形を変え、様々な酵素を出し(先体反応)、透明帯へ潜りこんでいく能力を検査する。
4.〇 正しい。思春期以降の流行性耳下腺炎の罹患は、男性不妊の原因となる。流行性耳下腺炎とは、2~3週間の潜伏期(平均18日前後)を経て発症し、片側あるいは両側の唾液腺の腫脹を特徴とするウイルス感染症である。通常1~2 週間で軽快する。最も多い合併症は髄膜炎であり、その他髄膜脳炎、睾丸炎(精巣炎)、卵巣炎、難聴、膵炎などを認める場合がある。流行性耳下腺炎の約20%に精巣炎を合併すると言われており、思春期以降に精巣炎を起こすと、男性不妊の原因となる。

造精機能障害とは?

不妊症の男性因子は、①造精機能障害、②精路通過障害、③射精障害に分類される。①造精機能障害とは、精子を作る機能に障害があり、精子濃度や運動率といった精子の機能が弱まってしまう状態のことを指す。造精機能障害には、①先天性(Klinefelter<クラインフェルター>症候群など)、②医原性のもの(化学療法・放射線療法など)、③精索静脈瘤によるもの、④突発性がある。このなかでは④突発性機能障害が最も多い。精子の機能が弱まる(=精液所見が悪くなる)ことで、自然妊娠が難しくなり、人工授精や体外受精、顕微授精をすることになる。①造精機能障害の原因として、約半分は原因不明なのに対し、精索静脈瘤が36.6%で、ホルモン低下によるものは1.2%である。いずれも治療可能な疾患である。

【精液検査の基準値】
①精液量:1.4ml以上
②精液濃度:1600万/ml以上
③運動率:42%以上
④総運動精子数(精液量×精子濃度×運動率):1638万以上
⑤正常形態率:4%以上(奇形率96%未満)

 

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