第106回(H29) 看護師国家試験 解説【午後1~5】

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※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究・自己研鑽のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。またコメントにて解き方等教えてくださると幸いです。

問題引用:第103回保健師国家試験、第100回助産師国家試験、第106回看護師国家試験の問題および正答について

 

 

1 日本の平成26年(2014年)の死亡数はどれか。

1.約47万人
2.約87万人
3.約127万人
4.約167万人

解答3

解説

死亡数は、126万9000人、死亡率(人口千対)は10.1と推計される。なお、主な死因の死亡数は、第1位悪性新生物37万人、第2位心疾患 19万6000人、第3位肺炎11万8000 人、第4位脳血管疾患11万3000人と推計される。また、死産数は2万3000胎、死産率(出産千対)は 22.5と推計される(※引用:「平成27年の人口動態統計」厚生労働省様HPより)。

よって、選択肢3.約127万人が正しい。

 

 

 

 

 

2 平成25年(2013年)の国民健康・栄養調査による40歳代男性の肥満者の割合に最も近いのはどれか。

1.15%
2.35%
3.55%
4.75%

解答2

解説

MEMO

肥満とは、BMI<Body Mass Index>=体重(kg)/身長(m)2によって判定され、BMI:25以上を「肥満」、BMI:18.5未満を「やせ」としている。

(図引用:「平成25年(2013年)の国民健康・栄養調査」厚生労働省HPより)

平成25年(2013年)の国民健康・栄養調査によれば、40~49歳男性の肥満者の割合は、34.9%である。ちなみに、女性は70歳以上が27.1と最も高くなっている。したがって、選択肢2.35%が40歳代男性の肥満者の割合に最も近い。

国民健康・栄養調査の調査項目

1)身体状況調査票
ア.身長、体重(満1歳以上)
イ.腹囲(満6歳以上)
ウ.血圧測定(満20歳以上)
エ.血液検査(満20歳以上)
オ.問診<服薬状況、糖尿病の治療の有無、運動>(満20歳以上)

2)栄養摂取状況調査票
満1歳以上の世帯員の食品摂取量、栄養素等摂取量、食事状況(欠食・外食等)、1日の身体活動量(歩数:満20歳以上)

3)生活習慣調査票
満20歳以上が対象。食生活、身体活動・運動、休養(睡眠)、飲酒、喫煙、歯の健康等に関する生活習慣全般を把握。

 

 

 

 

 

3 光化学オキシダントの原因物質はどれか。

1.ヒ素
2.フロン
3.窒素酸化物
4.ホルムアルデヒド

解答3

解説

1.× ヒ素は、ヒ素中毒症の原因物質である。ヒ素は有害性が高く、微量であっても長期間摂取すると、角化症などの皮膚疾患や発がん、および代謝疾患、神経疾患、免疫抑制など、慢性ヒ素中毒による健康被害をもたらすことが知られている。
2.× フロンとは、大気中での分解によって臭素酸化物が生成され、オゾン層を破壊する作用があるため、1987年に締結された「モントリオール議定書」により使用が制限された物質である。
3.〇 正しい。窒素酸化物は、光化学オキシダントの原因物質である。窒素酸化物とは、物が高い温度で燃えたときに、空気中の窒素(N)と酸素(O2)が結びついて発生する、一酸化窒素(NO)と二酸化窒素(NO2)などのことをいう。ちなみに、光化学オキシダントとは、大気汚染物質である窒素酸化物と炭化水素類が太陽光(紫外線)エネルギーに反応して発生するもので、光化学スモッグを引き起こす。
4.× ホルムアルデヒドとは、木質建材に多く使用されている接着剤や塗料の原料である。鼻水、咳などの症状を引き起こすシックハウス症候群の原因物質である。シックハウス症候群とは、近年、住宅の高気密化などが進むに従って、建材等から発生する化学物質などによる健康影響のことを指す。症状は、目がチカチカする、鼻水、のどの乾燥、吐き気、頭痛、湿疹など人によってさまざまである。原因として、住宅の高気密化・高断熱化などが進み、①化学物質による空気汚染、②湿度の高さによる細菌、カビ、ダニが繁殖、一般的な石油ストーブからの汚染物質(一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物など)の放出である。他にも、たばこの煙にも有害な化学物質である。(※参考:「シックハウス対策のページ」厚生労働省HPより)

大気汚染とは?

【大気汚染の定義】大気中に排出された物質が自然の物理的な拡散・沈着機能や化学的な除去機能、及び生物的な浄化機能を上回って大気中に存在し、その量が自然の状態より増加し、これらが人を含む生態系や物などに直接的、間接的に影響を及ぼすこと。自然一般にある空気組成を変化させる物質は総て広い意味での大気汚染物質である。
【発生源と種類】発生源は①自然起源と②人為起源に分けられる。①自然起源:火山排出物、森林火災、花粉の飛散、砂座・黄砂などの風による地面からの巻き上げ、海塩粒子などの風による海面からの巻き上げ、成層圏から対流闘に沈降するオゾンなどが上げられる。②人為起源:工場や火力発電所、自動車などの化石燃料の燃焼による排出物、生産活動により生成するガスや粒子状物質、廃楽物の処理に伴う粒子状物質や化学物質などが上げられる。
【一次汚染物質】発生源から直接発生する(一酸化炭素、二酸化硫黄、炭化水素、粉塵など)。
【二次汚染物質】環境大気中において化学変化により生成する(二酸化窒素、光化学オゾン、エアロゾルなど)
【ガス状大気汚染物質】①二酸化硫黄、②二酸化窒素、③浮遊粒子状物質、④一酸化炭素、(その他:一酸化窒素、ガス状硝酸、PAN、ガス状フッ素、塩化水素、アンモニア、メチルメルカブタン、硫化水素、硫化メチル、トリメチルアミン、二硫化メチル、アルデヒド、スチレンなど)

(※参考:「大気汚染の定義と汚染物質」環境省HPより)

 

 

 

 

 

4 後期高齢者医療制度が定められているのはどれか。

1.医療法
2.健康保険法
3.高齢社会対策基本法
4.高齢者の医療の確保に関する法律

解答4

解説

MEMO

後期高齢者医療制度とは、2008年施行の「高齢者の医療の確保に関する法律」を根拠法とする日本の医療保険制度である。①75歳以上または②65~74歳で一定の障害があると認定された人である。

1.× 医療法とは、病院、診療所、助産院の開設、管理、整備の方法などを定める日本の法律である。①医療を受けるものの利益と保護、②良好かつ適切な医療を効率的に提供する体制確保を主目的としている。
2.× 健康保険法とは、労働者及びその被扶養者の業務災害以外の疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関する医療保険給付等について定めた日本の法律である。
3.× 高齢社会対策基本法とは、高齢化対策に関する基本理念を定めることなどを目的とする法律である。高齢社会対策を総合的に推進し、経済社会の健全な発展と国民生活の安定向上を図ることを目的とし、高齢社会対策の基本理念として、公正で活力ある、地域社会が自立と連帯の精神に立脚して形成される、豊かな社会の構築を掲げている。
4.〇 正しい。高齢者の医療の確保に関する法律は、後期高齢者医療制度が定められている。高齢者の医療の確保に関する法律とは、国民の高齢期における適切な医療の確保を図るため、医療費の適正化を推進するための計画の作成および保険者による健康診査等の実施に関する措置を講ずるとともに、高齢者の医療について、国民の共同連帯の理念等に基づき、前期高齢者に係る保険者間の費用負担の調整、後期高齢者に対する適切な医療の給付等を行うために必要な制度を設け、もって国民保健の向上および高齢者の福祉の増進を図ることを目的とした法律である。

 

 

 

 

 

5 国際看護師協会<ICN>による看護師の倫理綱領における看護師の基本的責任はどれか。

1.疾病の回復
2.医師の補助
3.苦痛の緩和
4.薬剤の投与

解答3

解説

国際看護師協会とは?

国際看護師協会(ICN:International Council of Nurses)とは、1899年に設立された保健医療専門職団体である。専門看護実践、看護規制、社会経済福祉の各領域に関する様々な活動を行う組織である。2017年1月時点、133協会が加盟している。本部はスイスのジュネーブにあり、日本は日本看護協会の名称で加入している。「看護者の倫理綱領」(平成15年)の前文に「看護は、あらゆる年代の個人、家族、集団、地域社会を対象とし、健康の保持増進、疾病の予防、健康の回復、苦痛の緩和を行い、生涯を通してその最期まで、その人らしく生を全うできるように援助を行うことを目的としている。」と述べられている。

1.× 疾病の「回復」ではなく、疾病の予防である。
2.4.× 医師の補助/薬剤の投与は、看護師の基本的責任に含まれていない
3.〇 正しい。苦痛の緩和は、国際看護師協会<ICN>による看護師の倫理綱領における看護師の基本的責任である。国際看護師協会 (ICN)による看護師の倫理綱領の中に、看護師の4つの基本的責任(健康の増進、疾病の予防、健康の回復、苦痛の緩和)が示されている。

 

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