第106回(H29) 看護師国家試験 解説【午前41~45】

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41 ヨード制限食が提供されるのはどれか。

1.甲状腺シンチグラフィ
2.慢性腎不全の治療
3.肝臓の庇護
4.貧血の治療

解答1

解説

ヨード制限食の必要性

 甲状腺機能の検査や、バセドウ病などの治療で、放射性ヨウ素を用いる場合(①アイソトープ検査、②アイソトープ治療)は、ヨウ素を制限する必要がある。
①アイソトープ検査(甲状腺の大きさや形の変化などを知りたいときに、必要に応じて行われる検査。):甲状腺の検査や治療に放射性ヨウ素を使用した治療や検査がある。
②アイソトープ治療:バセドウ病など甲状腺ホルモンが必要以上に作られてしまう場合、放射線ヨウ素をとりこみ、その放射線が甲状腺の細胞を攻撃し、増えすぎた細胞を減らし、甲状腺ホルモンを過剰につくらせないようにする治療である。

1.〇 正しい。甲状腺シンチグラフィが、ヨード制限食が提供される。ヨードとは、ヨウ素ともいい、甲状腺ホルモンの主原料である。新陳代謝を促す働きがあり、体になくてはならないミネラルであるが、甲状腺に集積する性質がある。放射性ヨードを使用する甲状腺シンチグラフィの際には、投与した放射性ヨードの取り込みと競合しないためにヨードの摂取を制限する必要がある。ちなみに、甲状腺シンチグラフィとは、ヨードを服用すると甲状腺に集まる特性を利用して、ヨード服用後、甲状腺にどのくらい放射能が集まったかを調べると、甲状腺の機能がわかるものとなっている。
2.× 慢性腎不全の治療では、主に蛋白質・塩分・リン制限が行われる。ちなみに、慢性腎不全とは、腎臓の濾過機能が数ヶ月〜数年をかけて徐々に低下していく病気である。その結果血液の酸性度が高くなり、貧血が起き、神経が傷つき、骨の組織が劣化し、動脈硬化のリスクが高くなる。その原因として最も多いのは糖尿病で、次に多いのは高血圧である。尿や血液、腹部超音波検査やCTなどの検査で腎臓機能に異常が見られ、その状態が3カ月以上続いている場合に診断される。慢性腎不全(CKD)に対する治療は、①生活習慣の改善、②食事療法が重要である。①生活習慣の改善:禁煙・大量飲酒の回避・定期的な運動・ワクチン接種による感染症の予防・癌スクリーニングなど。②食事療法:十分なエネルギー摂取量を確保しつつ、蛋白質・塩分・リンの制限。
3.× 肝臓の庇護(ひご:守ること)は、適正なエネルギーと栄養バランスのとれた食事が原則である。肝庇護療法とは、肝臓が破壊されるのを防ぎ、肝機能を改善させることを目的とした治療法である。B型肝炎ウイルスの長期的な治療として続ける必要がある。
4.× 貧血の治療は、鉄分の摂取が行われる。なぜなら、鉄分は、ヘモグロビンの構成成分となるため。ちなみに、鉄欠乏性貧血とは、体内に流れている赤血球に多く含まれるヘモグロビンと鉄分が欠乏する事により、酸素の運搬能力が低下し全身に十分な酸素が供給されず倦怠感や動悸、息切れなどの症状がみられる貧血の種類の中でも最も多く特に女性に多い疾患である。原因としては、栄養の偏りなどによる鉄分の摂取不足、消化性潰瘍やがん、痔などの慢性出血による鉄の喪失、腸管からの鉄吸収阻害などがあげられる。

甲状腺機能亢進症とは?

甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の症状として、発汗や食欲亢進、体重減少、下痢、振戦、メルセブルグ3徴(眼球突出、甲状腺腫、頻脈)がみられる。放射線性ヨウ素内用療法は、バセドウ病(甲状腺機能亢進症)や甲状腺がんに対して行われる治療のひとつである。甲状腺機能亢進症では、放射性ヨウ素から放出されるベーター線で正常な甲状腺細胞を破壊し、甲状腺機能亢進症を改善させる。

【治療後1週間の注意事項】
・不要な放射性ヨウ素を早く体外に出すため十分に水分を摂る。
・排泄後、2度水を流す。尿の飛散による汚染を軽減させるため便座に座る。
・汗に少量の放射性ヨウ素が出るから入浴は最後に入る。
・可能ならば1人で寝る。
・唾液や体液にごく少量の放射性ヨウ素が出るからキスやセックスを避ける。
・子供との親密に接触(距離1m以内)すること、近くで長時間過ごすこと(添い寝など)などは避ける。

 

 

 

 

 

42 体位が身体に与える影響について正しいのはどれか。

1.座位から仰臥位になると楽に呼吸ができる。
2.立位と比較して座位の方が収縮期血圧は低い。
3.仰臥位から急に立位になると脈拍が速くなる。
4.立位からTrendelenburg<トレンデレンブルグ>位になると収縮期血圧が下降する。

解答3

解説

1.× 逆である。「座位から仰臥位」ではなく「仰臥位から座位」になると楽に呼吸ができる。なぜなら、起座呼吸をすることで、①肺血流量が減少、②横隔膜が下降するため。
2.× 逆である。「立位と比較して座位」ではなく「座位と比較して立位」の方が収縮期血圧は低い。なぜなら、座位により末梢の静脈還流量が減少するため。一般的に収縮期血圧は、「仰臥位→坐位→立位」の順で低くなる。
3.〇 正しい。仰臥位から急に立位になると脈拍が速くなる。なぜなら、末梢の静脈還流量が減少し、これを代償するために、心拍を上げ、血流を全身に行きわたらせる働きが作用するため。
4.× 立位からTrendelenburg<トレンデレンブルグ>位になると収縮期血圧が、「下降」ではなく上昇する。なぜなら、骨盤高位(トレンデレンブルグ位)では静脈還流が増加するため。ちなみに、トレンデレンブルグ位とは、骨盤高位とも呼ばれ、仰向けで頭部より下半身を高く保つ体位のことである。

 

 

 

 

 

43 洗髪を行うときに、患者のエネルギー消費が最も少ない体位はどれか。

1.仰臥位
2.端座位
3.起座位
4.Fowler<ファウラー>位

解答1

解説

安定した姿勢の条件

支持基底面が広い。
重心線が支持基底面を通る。
重心が低い。
作業対象が小さくまとまっている。
接触面の摩擦抵抗が大きい。
自分の重心と対象の重心が近い。

1.〇 正しい。仰臥位は、洗髪を行うときに、患者のエネルギー消費が最も少ない体位である。なぜなら、選択肢の中で最も安定・安楽な体位であるため。
2~4.× 端座位(ベッド端などに座った状態)/起座位(上半身をほぽ90度に起こした状態)/Fowler<ファウラー>位(ベッドを45~60度起こした状態である半坐位)は、仰臥位に比べてエネルギー消費が大きい。なぜなら、基底面が小さく重心も高いため安定せず筋活動を要すため。ちなみに、起座位は、呼吸困難を軽減する目的で用いる体位である。

 

 

 

 

 

44 前腕部からの動脈性の外出血に対する用手間接圧迫法で血流を遮断するのはどれか。

1.鎖骨下動脈
2.腋窩動脈
3.上腕動脈
4.橈骨動脈

解答3

解説

(※画像引用:岡山第一病院様より)

用手間接圧迫法とは?

間接圧迫止血法とは、動脈性の出血が激しく続いている ときに、ガーゼや包帯を準備する間に行う方法である。傷口から心臓に近い動脈を圧迫する。

1.× 鎖骨下動脈より優先度が高いものが他にある。鎖骨下動脈は、腋窩に近い部位からの出血に対して行われる。
2.× 腋窩動脈より優先度が高いものが他にある。腋窩動脈は、上腕に近い部位からの出血に対して行われる。
3.〇 正しい。上腕動脈を前腕部からの動脈性の外出血に対する用手間接圧迫法で血流を遮断する。なぜなら、上腕動脈は、前腕部より遠位、かつ最も前腕に近い動脈であるため。
4.× 橈骨動脈は、前腕部より遠位にあるため止血の効果ない。橈骨動脈は、手首よりも末梢の出血に対して行われる。

 

 

 

 

 

45 看護師が医療事故を起こした場合の法的責任について正しいのはどれか。

1.罰金以上の刑に処せられた者は行政処分の対象となる。
2.事故の程度にかかわらず業務停止の処分を受ける。
3.民事責任として業務上過失致死傷罪に問われる。
4.刑法に基づき所属施設が使用者責任を問われる。

解答1

解説

医療過誤とは?

医療過誤とは、医療事故のうち医療機関側の人為的ミスによって起こった事例をいう。医療提供者(医師や看護師など)による過失によって引き起こされ、医療提供者が適切な診断や治療を行わなかったり、適切な情報提供や同意取得がなされていない場合に発生することが多い。医療過誤が発生した時、病院側は①刑事責任、②行政責任、③民事責任という3つの責任を負うことになる。①刑事責任とは、医療過誤によって患者が怪我・後遺症を負ったり死亡したりした場合、医療従事者に対して刑事罰を科すこと、②行政責任とは、医療過誤によって患者が怪我・後遺症を負ったり死亡したりした場合、病院側に対して行政処分が下されること、③民事責任とは、医療過誤によって患者が怪我・後遺症を負ったり死亡したりした場合、病院側に損害賠償責任を果たしてもらうことである。

1.〇 正しい。罰金以上の刑に処せられた者は、行政処分の対象となる。『保健師助産師看護師法』によって行政処分の対象が明記されている。行政処分とは、行政機関が法律に基づいて一方的に国民に権利を与えたり義務を負わせることである。行政処分には、営業許可、公企業の特許、租税の賦課、免許の拒否、保留、取消し、自動車等の運転の禁止などがある。

2.× 事故の程度に「かかわらず」ではなく、事故の程度を考慮し、業務停止の処分を受ける。行政処分の一つである業務停止は、医療事故の原因や状況などにより処分の対象となるか検討する。具体的には、患者への身体的・精神的に対する影響、看護師としての知識・技術の適切性、専門職としての道徳・品格など検討されたうえで、事故の相当に対して処分される。

3.× 「民事責任」ではなく、刑事責任として業務上過失致死傷罪に問われる。刑事責任とは、医療過誤によって患者が怪我・後遺症を負ったり死亡したりした場合、医療従事者に対して刑事罰を科すこと。民事責任とは、医療過誤によって患者が怪我・後遺症を負ったり死亡したりした場合、病院側に損害賠償責任を果たしてもらうことである。

4.× 「刑法」ではなく、民法に基づき所属施設が使用者責任を問われる。刑法とは、犯罪とそれに対する刑罰の関係を規定する法である。ちなみに、民法とは、私人間の権利や義務の関係性をまとめた基本的な法律で、私法の基本法であり、私法の一般法とも呼ばれる。市民生活における市民相互の関係、つまり財産関係(売買・賃貸借・不法行為など)と家族関係(夫婦・親子・相続など)を規律する法律である。

 

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