第107回(R6) 助産師国家試験 解説【午前11~15】

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11 正常経過である妊婦のリスクとその影響の組合せで正しいのはどれか。

1.歯周病:低出生体重児
2.30分の水泳:切迫早産
3.過度の日焼け:児のビタミンD欠乏症
4.カフェインの摂取:巨大児

解答

解説

(※図引用:「産婦人科診療ガイドライン産科編P100」)

1.〇 正しい。歯周病は、低出生体重児のリスクを増大させる可能性が高い。歯周病とは、歯と歯ぐき(歯肉)のすきま(歯周ポケット)から侵入した細菌が、歯肉に炎症を引き起こし、さらには歯を支える骨(歯槽骨)を溶かしてグラグラにさせてしまう病気である。「歯周病合併妊娠では,早産胎児発育不全,妊娠高血圧腎症のリスクが有意に高いとされるが,う歯については早産の有意なリスクファクターとはいえないという報告もある。いずれにせよ妊娠中は良好な口腔内環境を保つべきであり,上記疾患に罹患しないために妊婦に対し適切な口腔ケアを勧める必要がある」と記載されている(※引用:「産婦人科診療ガイドライン産科編P288」)。

2.× 30分の水泳は、切迫早産のリスクを増加は認められていない。「水泳やエアロビクスについての個々の運動種目の報告と同様に有酸素運動についての多くのシスマティックレビューにおける適切な妊娠中の運動は早産や低出生体重児などの母児罹病は増加しないとする報告の蓄積を受けて,禁忌のない妊婦には,米国ガイドラインでは1日あたり30分ないしそれ以上の中等度の運動をほぼ毎日,英国ガイドラインでは少なくとも日に30分の中等度の運動を奨めている.但し,妊婦が定期的な運動を新たに開始する前に医学的・産科的に問題がないことを確認する」と記載されている(※引用:「産婦人科診療ガイドライン産科編P100」)。ちなみに、一般的に、切迫早産のリスクとして、主な原因としては、子宮内感染、多胎妊娠、高齢出産(35歳以上)、子宮頸管無力症、子宮筋腫など子宮の病気や異常、ライフスタイルの乱れなどである。

3.× 過度の日焼けは、児のビタミンD欠乏症のリスクを増加は認められていない。むしろ、過度な日焼け対策は、ビタミンDの生成が減ってしまい、生まれてくる赤ちゃんにビタミンD欠乏症の症状が出てしまうことがある。ビタミンDはカルシウム吸収の働きがあるため、不足するとカルシウム不足となり、骨に悪い影響が出てしまうことがある。

4.× カフェインの摂取は、巨大児のリスクを増加は認められていない。むしろ、過度なカフェインの摂取は、胎児の成長に影響を及ぼし低体重を呈しかねない。妊婦のカフェイン摂取は、1日300㎎までが望ましい。ちなみに、コーヒー1杯で60㎎のカフェインが入っているといわれている。コーヒー、紅茶、日本茶にはリラックス効果があるため、妊娠しているからといって禁止する必要はないが、カフェインと代謝物質は、胎盤を通過しやすく、羊水と胎児の血中に移行する。胎児は肝臓機能が未熟であり、カフェインを代謝するのに時間がかかり、長時間高濃度のカフェインにさらされ、胎盤の血管収縮や胎児心拍数の増加をきたす可能性がある。したがって、妊娠中にカフェインを摂りすぎると、流産したり、胎児の成長に影響を及ぼし低体重になったりするおそれがある。また、胎児の成長に必要な鉄分の吸収を阻害する可能性がある。

 

 

 

 

 

12 Aさん(43歳、初産婦、未婚)は産科外来を初めて受診し、妊娠16週0日と診断された。妊婦健康診査の結果に異常はない。「会社を経営していて忙しいです。自宅では75歳の母親の介護もしています。これからどうしたらよいのでしょうか」と話している。
 このときの助産師の対応で優先度が高いのはどれか。

1.受診が遅れた理由を確認する。
2.妊婦健康診査の頻度を説明する。
3.在胎16週の胎児の発育を説明する。
4.妊娠をどのように受け止めているか確認する。

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(43歳、初産婦、未婚、妊娠16週0日
・妊婦健康診査:異常はない。
・会社を経営し忙しい。
・自宅では75歳の母親の介護中。
・「これからどうしたらよいのでしょうか」と。
→本症例は、「これからどうすればよいか?」と聞いているが、具体的に何を相談し、どうしたいのか不明である。寄り添って話を聞きながら、具体的な支援と助言を行っていこう。

1.× 受診が遅れた理由を確認する優先度は低い。なぜなら、すでに本症例が受診に遅れる理由は、「多忙だった」と予想できるため。過去の追及は、自責やストレスを与えかねない。また、産む/産まないも中絶の期間内である。

2.× 妊婦健康診査の頻度を説明する優先度は低い。なぜなら、本症例は「産むか産まないか」と悩んでいる段階かもしれないため。本症例は、43歳、初産婦、未婚であることから、産む決心をしていたとしても、体に負担がかかることがいえる。また、仕事に介護に忙しい状態であるため、まずは寄り添って話を聞くことが重要である。ちなみに、妊婦健康診査とは、妊婦さんや赤ちゃんの健康状態を定期的に確認するために行うものである。 そして、医師や助産師などに、妊娠・出産・育児に関する相談をして、妊娠期間中を安心して過ごしていただくことが大切である。病気の有無を調べることだけが妊婦健診ではない。妊娠期間中を心身ともに健康に過ごし、無事に出産を迎えるためには、日常生活や環境、栄養など、いろいろなことに気を配る必要がある。より健やかに過ごすために、妊娠検診を活用する必要がある。検診費用には、公費による補助制度がある。日本では、「母子保健法」により、14回程度の健康診査の回数が勧められており、健康診査の間隔や実施する検査内容について、国が基準を示している。【妊婦健康診査の望ましい基準】①妊娠23週まで:4週間に1回、②24週~35週:2週間に1回、③36週~出産まで:1週間に1回である。

3.× 在胎16週の胎児の発育を説明する優先度は低い。なぜなら、本症例は「産むか産まないか」と悩んでいる段階かもしれないため。本症例は、43歳、初産婦、未婚であることから、産む決心をしていたとしても、体に負担がかかることがいえる。また、仕事に介護に忙しい状態であるため、まずは寄り添って話を聞くことが重要である。

4.〇 正しい。妊娠をどのように受け止めているか確認する。Aさんが妊娠をどのように受け止めているかを確認することで、彼女の心理的な状態を理解し、適切なサポートやアドバイスを提供することができる。多忙な生活状況にあるため、ストレスや不安を抱えている可能性が高く、その感情を理解することが重要である。

人工妊娠中絶とは?

①妊娠初期(12週未満)と②妊娠12 週〜22 週未満の場合では中絶手術の方法やその後の手続きが異なる。人工妊娠中絶手術は母体保護法が適応される場合で、今回の妊娠を中断しなければならないときに行う手術である。

①妊娠初期(12週未満):子宮内容除去術として掻爬法(そうは法、内容をかきだす方法)または吸引法(器械で吸い出す方法)が行われる。子宮口をあらかじめ拡張した上で、ほとんどの場合は静脈麻酔をして、器械的に子宮の内容物を除去する方法である。通常は10 〜15分程度の手術で済み、痛みや出血も少ないため、体調などに問題がなければその日のうちに帰宅できる。

②妊娠12週〜22週未満:あらかじめ子宮口を開く処置を行なった後、子宮収縮剤で人工的に陣痛を起こし流産させる方法をとる。個人差はあるが、体に負担がかかるため通常は数日間の入院が必要になる。妊娠12週以後の中絶手術を受けた場合は役所に死産届を提出し、胎児の埋葬許可証をもらう必要がある。

中絶手術はほとんどの場合、健康保険の適応にはならない。妊娠12週以後の中絶手術の場合は手術料だけでなく入院費用もかかるため経済的な負担も大きくなる。したがって、中絶を選択せざるをえない場合は、できるだけ早く決断した方がいろいろな負担が少なくて済む。

 

 

 

 

 

13 分娩介助における臍帯の処置を図に示す。
 順調な分娩経過で出生し、速やかに第一啼泣を開始した正期産児の臍帯の切断で適切なのはどれか。
 ただし、切断箇所を点線で示す。

解答

解説


1.× 臍帯の切断が、クリップで止めた部分より「児側」となっている。クリップで止めた部分より1cm母体よりに臍帯剪刀を当て圧挫するように(数回にわけて)切断する。

2.× 児側のコッヘル鉗子の位置が、「臍帯の中間部」となっている。臍輪から4㎝が正しい。

3.× 2本のコッヘル鉗子の位置が、「臍帯の中間部」となっている。

4.〇 正しい。正期産児の臍帯の切断部位である。生まれた直後に臍帯の2カ所をクランプで留めて、そのクランプの間で臍帯を切断する。臍帯の根元付近に留めたクランプは生後24時間以内に外す。残った臍帯は清潔で乾いた状態にしておく必要がある。

 

 

 

 

 

14 Aさん(28歳、初産婦)は、Bちゃん(生後4か月、女児)と一緒に子育て世代包括支援センターの助産師に相談に来た。Aさんは「まだBの歯磨きはしていません。赤ちゃんの歯とケアについて知りたいです」と話した。
 このときの助産師の説明で適切なのはどれか。

1.「生後6か月で乳歯は生えそろいます」
2.「乳歯は虫歯になることはありません」
3.「今日から歯ブラシを使って歯磨きを始めましょう」
4.「生え始めはガーゼで拭き取ることから始めましょう」

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(28歳、初産婦)、Bちゃん(生後4か月、女児)
・子育て世代包括支援センターの助産師に相談。
・Aさん「まだBの歯磨きはしていません。赤ちゃんの歯とケアについて知りたいです」と。
生後4か月の歯のケアに関して、一般的な知識を抑えておこう。

1.× 乳歯が生え揃うのは、「生後6か月」ではなく2歳半~3歳頃である。生後6か月頃から乳歯が生え始める。

2.× 乳歯も虫歯になる。むしろ、乳歯が虫歯になると、永久歯にも影響を及ぼす可能性があるため、適切なケアが必要である。ちなみに、乳歯は、永久歯に比べて、酸に弱く、またエナメル質がうすく、やわらかいという特徴がある。したがって、むし歯になると進行がはやく、5~6か月で神経まで達することがある。

3.× 歯ブラシを使って歯磨きを始めるのは、一般的に「生後4か月」ではなく生後6か月からが多い。なぜなら、生後6ヶ月くらいが下の前歯が生えてくる時期であるため。

4.〇 正しい。「生え始めはガーゼで拭き取ることから始めましょう」と説明する。本症例のように、歯が生え始めた時期(生後4か月頃)は、ガーゼや綿棒、歯拭きシートなどで歯を拭いてあげたり、お茶や白湯を飲ませたりして清潔に保つケアをする。

子育て世代包括支援センターとは

子育て世代包括支援センターとは、母子保健法に基づき市町村が設置するもので、保健師等の専門スタッフが妊娠・出産・育児に関する様々な相談に対応し、必要に応じて支援プランの策定や地域の保健医療福祉の関係機関との連絡調整を行うなど、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援を一体的に提供している。

【主な5つの事業】
①母性・乳幼児の健康の保持増進に関する実情の把握
②母子保健に関する相談への対応
③母性・乳幼児に対する保健指導
④母子保健に関する機関との連絡調整等、健康の保持・増進に関する支援
⑤健康診査、助産その他の母子保健に関する事業

(※参考:「子育て世代包括支援センター業務ガイドライン 」厚生労働省HPより)

 

 

 

 

 

15 Aさん(38歳、初産婦)は40週0日、3,000gの児を正常分娩で出産した。母乳育児を希望しており、母乳栄養のみで退院した。産褥14日、母乳外来を訪れ「おっぱいが足りていない気がして、ミルクを足した方がいいのか迷っています」と心配そうに話す。本日の児の体重は3,100g、直近24時間の授乳回数は10回で、排便は6、7回ある。
 助産師の対応で適切なのはどれか。

1.「ミルクを足しましょう」
2.「小児科を受診しましょう」
3.「どうして母乳が足りていないと感じるか教えてください」
4.「毎回授乳の前後に赤ちゃんの体重を測って母乳量を計算しましょう」

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(38歳、初産婦、40週0日)
・正常分娩:3,000gの児。
・希望:母乳育児(退院:母乳栄養のみ)。
産褥14日おっぱいが足りていない気がして、ミルクを足した方がいいのか迷っています」と心配そうに話す。
・体重:3,100g、直近24時間の授乳回数:10回、排便:6、7回
→Aさんの発言の意図を医療的にも精神的にもくみ取れるようにしよう。まずは一般的な基準をしっかり把握し、医療的に異常がなくとも、母親の心配に傾聴・共感する態度が大切である。

1.× ミルクを足すと判断するのは時期尚早である。なぜなら、Aさんの希望は、母乳育児であるため。また、授乳回数・排便回数は一般的な回数を示している。授乳のタイミングは、児が「泣く前(自律授乳)」が基本となる。自律授乳とは、児が欲しがるときに欲しがるだけ飲ませる授乳方法のことである。児に吸われる刺激によって母乳分泌が促されて母乳育児がスムーズになることから、とくに生後1~2か月ぐらいまでの間は自律授乳が推奨されている。

2.× 小児科への受診は時期尚早である。なぜなら、小児科への受診(病気が疑われる所見)の根拠が乏しいため。授乳回数・排便回数は一般的な回数を示している。

3.〇 正しい。「どうして母乳が足りていないと感じるか教えてください」と対応する。なぜなら、Aさんは「おっぱいが足りていない気がする」となんとなく不安や心配をしている様子が見られるため。その根源を理解することが重要で、母乳が足りていないと感じる理由を聞くことで、適切なアドバイスやサポートを提供できる。ちなみに、一般的な体重の変化と照らし合わせると、産褥14日で体重の増加100g(1日当たり7g)は体重増加が乏しいと考えられる。ただし、Aさんの希望は母乳育児で、直近24時間の授乳回数:10回、排便:6、7回であることからも、緊急になにか対処しなければならないといったことはなく、母親の心配に傾聴・共感する態度が大切である。

4.× あえて毎回、授乳の前後に赤ちゃんの体重を測って母乳量を計算する必要はない。なぜなら、頻繁に体重を測定することは保護者の不安をさらに引き起こすことになるため。体重の推移は1日1回でも十分である。

体重の変化

【新生児の生理的体重の変化】
正期産により出生した正常な新生児の生理的体重減少率は、出生体重の3~10%の範囲であり、生後3~5日がそのピークである。減少率とは、出生時体重からの減少の割合で、「(出生時の体重-現在の体重)÷ 出生時の体重 × 100」で算出される。

【正常乳児の一日体重増加量の目安】
・0~3か月:25~30g
・3~6か月:20~25g
・6~9か月:15~20g
・9~12か月:7~10g

 

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