第107回(H30) 看護師国家試験 解説【午前21~25】

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21 経腸栄養剤の副作用(有害事象)はどれか。

1.咳嗽
2.脱毛
3.下痢
4.血尿

解答3

解説

経腸栄養剤とは?

経腸栄養とは、高エネルギーの投与する生理的な補給方法である。欠点として、消化器症状(悪心・嘔吐、下痢など)の発生頻度が高く、経鼻ルートでの咽頭部不快感や、細かな組成調整が出来ないなどの欠点がある。消化器症状(下痢)の原因として、①栄養剤の浸透圧が体液より高い、②投与速度が速い、③温度が低い、④栄養剤容器内の細菌増殖などが挙げられる。

1.× 咳嗽より優先度が高いものが他にある。経腸栄養剤を服用することで、喉や気管が刺激されて咳嗽が引き起こされることがある。ただし頻度は低い。
2.× 脱毛が副作用として有名なのは、抗がん剤などである。EC療法の「EC」とは、①エピルビシンと②シクロホスファミドの2種類の抗がん剤の頭文字をとった療法のことである。①エピルビシンの副作用としては、吐き気・嘔吐、口内炎、脱毛の発生頻度が高い。そのほか、頭痛や発熱、寒気、発疹、筋肉痛、肝機能や腎機能の低下がみられることがある。②シクロホスファミドの副作用として、骨髄抑制や吐き気・嘔吐、発熱、脱毛、出血性膀胱炎などが生じる。脱毛は治療が終わり薬の使用をやめれば自然に回復する。女性は無月経、男性では精子生産の停止が起こることもある。大量投与や長期投与によりめまいや動悸・息切れが生じ、骨髄抑制も増強することがある。
3.〇 正しい。下痢が経腸栄養剤の副作用(有害事象)である。経腸栄養とは、高エネルギーの投与する生理的な補給方法である。欠点として、消化器症状(悪心・嘔吐、下痢など)の発生頻度が高く、経鼻ルートでの咽頭部不快感や、細かな組成調整が出来ないなどの欠点がある。消化器症状(下痢)の原因として、①栄養剤の浸透圧が体液より高い、②投与速度が速い、③温度が低い、④栄養剤容器内の細菌増殖などが挙げられる。
4.× 血尿より優先度が高いものが他にある。血尿の原因は、悪性腫瘍や結石、膀胱炎などの炎症、腎臓の内科的な病気などである。薬剤性の膀胱炎の原因として、抗がん剤や免疫抑制剤などの使用で起こりやすい。

 

 

 

 

 

22 静脈内注射を行う際に、必ず希釈して用いる注射液はどれか。

1.5%ブドウ糖
2.15%塩化カリウム
3.0.9%塩化ナトリウム
4.7%炭酸水素ナトリウム

解答2

解説

静脈内注射とは?

静脈内注射とは、静脈に薬物を注入する注射する手技である。すばやくからだ全体をめぐるため、注射の中ではもっともはやく効果があらわれやすく、命にかかわる緊急事態などで用いられている。一方、高濃度の電解質溶液は重篤な合併症を起こすため、使用する注射液は電解質濃度などに注意する必要がある。

1.× 5%ブドウ糖は静脈内注射できる。なぜなら、身体とほぼ同じ浸透圧の注射液であるため。ブドウ糖液の用途として、細胞外液に水分と電解質を補給したい場合や、出血、ショック、熱傷、手術などのときに細胞外液を補給するために選択される。また、大量嘔吐や糖尿病性昏睡の脱水補正を目的に投与されることもある。
2.〇 正しい。15%塩化カリウムは、静脈内注射の際、必ず希釈して用いる。なぜなら、塩化カリウム製剤を希釈しないで用いた場合、心停止の危険があるため。機序として、投与後、血清カリウム値が上昇、高カリウム血症が生じる。したがって、静脈内投与する際に40mEq/L以下に希釈する(※参考:「注射用カリウム製剤の投与方法について」愛媛大学医学部附属病院様HPより)。
3.× 0.9%塩化ナトリウム(生理食塩水)は、静脈内注射できる。なぜなら、身体とほぼ同じ浸透圧の注射液であるため。適応として、細胞外液欠乏時、ナトリウム欠乏時、クロール欠乏時、注射剤の溶解希釈剤があげられる。生理食塩液は水又は電解質が欠乏している脱水症のときに、有効細胞外液量の維持と循環機能の安定化を目的として使用される。また、一時的に血漿量を維持する目的でも使用される。細胞外液とはほぼ等張で細胞障害性がないため、医薬品の溶剤や皮膚・粘膜の洗浄剤としても使用される(※引用:「生食液バッグ100mL」株式会社ケミックス様HPより)。
4.× 7%炭酸水素ナトリウムは静脈内注射できる。なぜなら、身体とほぼ同じ浸透圧の注射液であるため。アシドーシスの補正、めまいの治療などに使用される。薬物中毒の際の排泄促進、動揺病等に伴う悪心・嘔吐及びめまい並びに急性蕁麻疹には、炭酸水素ナトリウムとして通常成人1回12〜60mEq(1〜5g)を静脈内注射する。アシドーシスには、一般に通常用量を次式により算出し、静脈内注射する。必要量(mEq)=不足塩基量(mEq/L)×0.2×体重(kg)なお、いずれの場合も、年齢、症状により適宜増減する。(※参考:「炭酸水素ナトリウム」コーアイセイ株式会社様HPより)

 

 

 

 

23 充塡された酸素ボンベの保管方法で正しいのはどれか。

1.横に倒して保管する。
2.保管場所は火気厳禁とする。
3.バルブを開放して保管する。
4.日当たりの良い場所で保管する。

解答2

解説

医療ガス安全管理について

保管方法
①充填されたボンベと空ボンベを区別して、ボンベ保管場所に保管すること。また、種別が異なる医療ガスのボンベは、区別して保管すること。
②ボンベ保管場所には、計量器等作業に必要な物以外の物を置かないことまた、酸素、亜酸化窒素等支燃性ガスのボンべの保管場所の周囲2m以内においては、火気を使用せず、引火性又は発火性の物を置かないこと
③ボンベは、直射日光の当たらない場所で、常に温度を40℃以下に保つこと。
④ボンベには、転落転倒等による衝撃及び容器弁(ボンベバルブ)の損傷を防止する措置を講じ、粗暴な取扱いをしないこと。
⑤エチレンオキシドガス等の可燃性又は毒性ガスのボンベは、風通しの良い場所に保管すること。

(※引用:「医療ガスボンベの安全管理に関する注意点」大阪府HPより)

1.× あえて、横に倒して保管する必要はない。なぜなら、地震などの災害があった際に、転がってしまう危険性があるため。また、「④ボンベには、転落転倒等による衝撃及び容器弁(ボンベバルブ)の損傷を防止する措置を講じ、粗暴な取扱いをしないこと」としている。
2.〇 正しい。保管場所は火気厳禁とする。なぜなら、ボンベ内の圧縮酸素が急に火気にふれると、爆発発火のおそれがあるため。これは、「②ボンベ保管場所には、計量器等作業に必要な物以外の物を置かないことまた、酸素、亜酸化窒素等支燃性ガスのボンベの保管場所の周囲2m以内においては、火気を使用せず、引火性又は発火性の物を置かないこと」としている。
3.× バルブは、「開放」ではなく閉鎖して保管する。なぜなら、バルブを解放した状態は、酸素が漏れる可能性があり危険であるため。安全管理として、衝撃等でバルブに損傷を与えないこと、使用後はバルブを閉めることを徹底する。
4.× 保管場所は、「日当たりの良い場所」ではなく、直射日光の当たらない場所である。温度が40℃以下の場所で保管する。なぜなら、高温になるとボンベの内圧が上昇して爆発の危険があるため。

 

 

 

 

 

24 褥瘡発生の予測に用いるのはどれか。

1.ブリストルスケール
2.Borg(ボルグ)スケール
3.Braden(ブレーデン)スケール
4.グラスゴー・コーマ・スケール

解答3

解説

(※図引用:「ブリストルスケールによる便の性状分類」排泄ケアナビ様より)

1.× ブリストルスケール(Bristol Stool Form Scale)は、便の形状を客観的に7段階で評価する指標である。
2.× ボルグスケール(Borg Scale)は、主観的運動強度のスケールである。運動を行う本人がどの程度「つらさ」を感じているかを数値化して測定する指標である。運動中の自覚症状をもとにした指標で、0~20に分けられ、0が最も軽く、20が最もきつい運動である。
3.〇 正しい。ブレーデンスケール(Braden Scale)は、褥瘡発生の予測に用いる。日本でよく使用される褥瘡のリスクアセスメントツールで、6項目(知覚の認知、湿潤、活動性、可動性、栄養状態、摩擦とずれ)で褥瘡の発生リスクを予測する。それぞれの項目を「1点:最も悪い」から「4点:最も良い」で評価し、合計点を出し、(「摩擦とずれ」だけは1~3点)合計点は6~23点である。合計点が低いほどリスクが高くなり、国内でのカットオフ値は14点、国外では16~18点である。
4.× グラスゴー・コーマ・スケール(Glasgow Coma Scale)は、意識レベルを評価するスケールである。開眼機能(E)、言語機能(V)、運動機能(M)の3つの要素を用いて3~15点で評価し、点数が低いほど意識レベルの状態が悪いことを示す。ちなみに、他にも意識レベルを評価するスケールで、JCS(Japan coma Scale)があげられる。

(※図引用:「意識レベル(JCS:Japan Coma Scale)」堺市HPより)

 

 

 

 

25 平成26年(2014年)の国民健康・栄養調査において、運動習慣のある女性の割合が最も高い年齢階級はどれか。

1.30〜39 歳
2.40〜49 歳
3.50〜59 歳
4.60〜69 歳
5.70歳以上

解答5

解説

(※図引用:「令和元年国民健康・栄養調査結果の概要」厚生労働省HPより)

運動習慣のある者とは?

運動習慣は頻度、時間、強度、期間の4要素から定義されるものであるが、国民栄養調査では運動習慣者を「週2回以上、1回30分以上、1年以上、運動をしている者」と定義している。

1.× 30〜39 歳は9.4%である。(※令和元年)
2.× 40〜49 歳は12.9%である。(※令和元年)
3.× 50〜59 歳は24.4%である。(※令和元年)
4.× 60〜69 歳は25.3%である。(※令和元年)
5.〇 正しい。70歳以上は35.9%で最も高い年齢階級である。(※令和元年)

 

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