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6 妊娠初期にみられる生殖器の変化で正しいのはどれか。
1.子宮頸部は茶褐色を示す。
2.子宮体部は非対称性に増大する。
3.卵巣は妊娠8週までに縮小する。
4.子宮内膜に子宮体部の全血流量の90%が分布するようになる。
解答2
解説
(図引用:「女性器の解剖と整理」医学出版様より)
1.× 子宮頸部は、「茶褐色」ではなく暗赤色から青紫色を示す。これをチャドウィック徴候という。
・チャドウィック徴候とは、妊娠初期には、子宮頸部や膣の血流が増加するため、うっ血して色が変化する(暗赤色から青紫色)ことをいう。
2.〇 正しい。子宮体部は、非対称性に増大する。なぜなら、妊娠初期において、受精卵が子宮内膜に着床した部位を中心に子宮体部が部分的に軟化・増大するため。これを、Piskacek徴候〈ピスカチェック徴候〉という。
・Piskacek〈ピスカチェック〉徴候とは、妊娠初期には子宮の増大が均等に進まず、着床部が膨隆し柔らかくなる徴候である。
3.× 卵巣は、妊娠8週まで「縮小」ではなく拡大(肥大)する。なぜなら、妊娠を維持する目的で、「黄体」と呼ばれる構造が、ホルモン(特にプロゲステロン)を分泌するため。その後、胎盤がホルモンを作り始めると、卵巣は元の大きさに戻っていく。
4.× 子宮内膜に、子宮体部の全血流量の「90%」ではなく約30%〜40%程度が分布するようになる。なぜなら、受精卵が着床しやすくし、胎児に十分な栄養や酸素を送る目的の準備として、血流が集中するため。ただし、血流の増加は、子宮全体、特に筋層にも及ぶため、約30%〜40%程度が分布することになる。
・妊娠初期:妊娠1か月~4か月(妊娠0~15週)
・妊娠中期:妊娠5か月~7か月(妊娠16~27週)
・妊娠後期:妊娠8か月~10か月(妊娠28週~)
7 胎児の免疫で正しいのはどれか。
1.先天感染に対してIgMが産生される。
2.T細胞が産生されるのは出生後である。
3.血中の主要な免疫グロブリンはIgAである。
4.B細胞が血中に現れるのは在胎30週ころからである。
解答1
解説
1.〇 正しい。先天感染に対してIgMが産生される。なぜなら、IgMは、分子量が大きいため胎盤を通過できない特徴を持つため。したがって、胎児が子宮内で何らかの感染(先天感染)に遭遇した場合、その感染に対する免疫応答として胎児自身の免疫系がIgMを産生し、胎児の血液中にIgMが検出される。
・IgMとは、新生児由来であり、児に感染が起きたときに産生される免疫グロブリンである。しかし、感染防御力は低い。出生直後の新生児の血中IgMが高値の場合は、胎内または分娩時の感染が示唆される。感染の初期に発現し、生体防御の初段階を担うのはこのIgMに属するいずれかの抗体で、それらは症状が進むと再び発現するようになる。
2.× T細胞が産生されるのは、「出生後」ではなく出生前である。なぜなら、胎児期にはすでに免疫細胞の分化・成熟が始まっているため。つまり、胎児の胸腺は妊娠初期から機能し始め、妊娠中期にはすでに機能的なT細胞が存在し、細胞性免疫応答の一部を担うことができる。これは、胎児が限られたがらも自身の免疫防御能力を持っていることを意味する。
・T細胞とは、血液中を流れている白血球のうち、リンパ球と呼ばれる細胞の一種である。胸腺(thymus)でつくられるため、頭文字を取ってT細胞と名付けられた。T細胞は膠原特異的な免疫応答である獲得免疫に関与する。免疫応答を促進するヘルパーT細胞、逆に免疫反応を抑制するサプレッサーT細胞、病原体に感染した細胞や癌細胞を直接殺すキラーT細胞などに分類される。
3.× 血中の主要な免疫グロブリンは、「IgA」ではなくIgGである。なぜなら、IgGは、母体から胎盤を介して能動的に移行することができるため。
・IgAとは、体内では2番目に多い免疫グロブリンで、鼻汁、涙腺、唾液、消化管、膣など、全身の粘膜に存在している。IgAは、粘膜の表面で病原体やウイルスと結合し、病原体やウイルスが持っている毒素を無効化して感染しないように阻止する働きがある。
・IgGとは、分子量が最も小さい抗体であるため、唯一、胎盤を通過する免疫グロブリンである。IgMが生成された後に生成され始め、血中で最も多く存在する抗体である。一般的に抗体検査というとこのIgGを調べることが多い。比較的長期間持続されるとされており、その期間は数ヶ月〜数年とウイルスによって異なる。
4.× B細胞が血中に現れるのは、「在胎30週ころ」ではなく在胎約6週からである。「B細胞は在胎12週までに胎児の骨髄,血液,肝臓,および脾臓でみられるようになる。20週までには微量のIgMおよびIgGが検出され,30週までには微量のIgAが検出される」と記載されている(「周産期の生理」MSDマニュアルより)。
・B細胞とは、T細胞と同じリンパ球の一種で、免疫機構を担う重要な細胞である。 B細胞は、リンパ球の約20~40%を占め、骨髄で産生され骨髄内で分化、成熟する。
8 胎児が吸啜と嚥下の協調運動ができるようになる在胎週数はどれか。
1.20週~22週
2.24週~26週
3.28週~30週
4.32週~34週
解答4
解説
1~3.× 20週~22週/24週~26週/28週~30週は、胎児が吸啜と嚥下の協調運動ができる時期には未達である。
4.〇 正しい。32週~34週は、胎児が吸啜と嚥下の協調運動ができるようになる在胎週数である。
「哺乳運動には吸啜・嚥下・呼吸の協調運動が必要である。在胎16〜17週から胎児の嚥下運動が、在胎20週ごろより吸啜様運動が見られる。そして在胎32〜34週以降になると、吸啜運動と嚥下運動が協調できるようになり、経口哺乳が進むようになる。それでもなお、成熟が持続して吸啜・嚥下・呼吸の連係が十分に達成するのは在胎37週以降であり、健康な正期産児でも嚥下と呼吸の協調運動は、生後48時間は最善の状態ではない。在胎32週未満の早産児では哺乳行動が未発達で哺乳の意欲が見られないことが多い。」と記載されている(※引用:「(11)哺乳力」ネオネイタルケア様)
9 乳児にみられる反射を下に示す。
正期産で生まれた児が生後3、4か月になったころに、消失する反射はどれか。
1.①
2.②
3.③
4.④
解答2
解説
1.× ①は、自動歩行である。
・自動歩行とは、脊髄の原始反射の一つであり、乳児を垂直に保持し足底を床につけ、その後、体を前に倒すとリズムよく足踏みする反射のこと。1~2か月前後で消失する。
2.〇 正しい。②(Moro反射)は、正期産で生まれた児が生後3、4か月になったころに、消失する反射である。
②は、Moro反射である。Moro反射とは、原始反射の一つであり、頭を落下すると、手指を開き上肢を広げる。その後、上肢屈曲位に戻る反射のこと。
3.× ③は、足趾把握反射(足底把握反射)である。
・足趾把握反射(足底把握反射)は、新生児の母趾球を検者の母指で圧迫すると、全趾が屈曲する。3 ヵ月ごろから弱くなり、9か月ごろには消失する。
4.× ④は、Landau反射である。
・Landau反射とは、乳児の腹部を検者の手掌で支えて水平にすると、頭を上げ体幹をまっすぐにし、さらに下肢を伸展する。3つの頭部の立ち直り反応すべての効果が合わさった反応である。
第1相:頸部,体幹軽度屈曲,四肢軽度屈曲(第1相:0~6週)
第2相:頸部水平,体幹軽度屈曲,四肢軽度屈曲(第2相:7週~3,4 ヵ月)
第3相:頸部伸展挙上,体幹伸展,四肢伸展傾向(3相:6 ヵ月から1~2歳で統合される)
10 Aさん(39歳、初産婦)は、妊娠36週3日に前期破水で入院した。翌日の午前7時から陣痛が発来し、内診所見は、子宮口4cm開大、展退度60%、Station-1、子宮頸管の硬度は中、子宮口の位置は中央であった。午前11時からの胎児心拍数陣痛図を下に示す。
このときのアセスメントで正しいのはどれか。
1.過強陣痛である。
2.臍帯圧迫が起きている。
3.子宮内感染が起きている。
4.胎児がアシドーシスである。
解答2
解説
・Aさん(39歳、初産婦)
・妊娠36週3日:前期破水で入院。
・翌日の午前7時:陣痛発来。
・内診所見:子宮口4cm開大、展退度60%、Station-1、子宮頸管の硬度は中、子宮口の位置は中央。
・胎児心拍数陣痛図:変動一過性徐脈が疑われる。
→変動一過性徐脈とは、15bpm以上の心拍数減少が急速に起こり、開始から回復まで15秒以上2分未満の波形をいう。高度の判断は、①最下点が70 bpm未満で持続時間が30秒以上、②最下点が70 bpm以上80 bpm未満で持続時間が60秒以上で評価する。子宮収縮に伴って発生する場合は、一定の形を取らず、下降度、持続時間は子宮収縮ごとに変動することが多い。
1.× 過強陣痛「とはいえない」。なぜなら、本症例の胎児心拍数陣痛図の陣痛は、おおよそ2〜3分間隔で、持続時間も60秒以内であるため。
・過強陣痛とは、子宮口が十分に開いていないのに分娩直前の陣痛が過剰に強く起きる事をさす。子宮の収縮が非常に強く長く続くのが特徴で、定義として、子宮口7cmの過強陣痛(外側法)は、2分以上の陣痛持続時間の場合をいう。
2.〇 正しい。臍帯圧迫が起きている。臍帯圧迫とは、分娩進行中に臍帯が圧迫されることにより迷走神経反射を起こしもので、心拍数が急速に減少する変動一過性徐脈を起こすことが多い。
3.× 子宮内感染が起きている「とはいえない」。なぜなら、感染があるときは、胎児心拍基線の頻脈(160bpm以上)が持続するのが典型であるため。本症例の基線は110〜140bpm程度である。
・子宮内感染とは、病原菌が腟・ 子宮頸管の病原体が子宮内へと上行(上行感染)、もしくは胎盤を通過(経胎盤感染)し胎児へと感染することである。原因となる細菌は、淋菌、レンサ球菌、ブドウ球菌、大腸菌、結核菌などがある。月経のとき、不潔なタンポンを膣内にあったり、タンポンを膣の中に長い間おいた場合も、子宮内にまで炎症を起こしてしまうことがある。一般的な症状は、下腹部痛、骨盤痛、発熱(分娩後1~3日以内に起こる場合がほとんど)、蒼白、悪寒、全身のけん怠感や不快感などのほか、しばしば頭痛や食欲減退もみられる。
4.× 胎児がアシドーシスである「とはいえない」。なぜなら、アシドーシスの場合、遷延一過性徐脈(深く長い徐脈)や基線細変動の消失がみられることが多いため。遷延一過性徐脈とは、心拍数減少が15bpm以上で、開始から回復まで2分以上10分未満の波形をいう。その心拍数減少は直前の心拍数より算出される。10分以上の心拍数減少の持続は基線の変化とみなす。最下点が80bpm未満のものは高度遷延一過性徐脈と呼ばれる。
胎児心拍数基線は、10分間の区間の平均心拍数で5の倍数で表現する。基線は一過性変動部分や基線細変動増加の部分は除外し、2分間以上持続している部分で判断する。胎児心拍数基線細変動は、胎児心拍数基線が判読可能な部分で判読する。基線細変動は、胎児心拍数基線の細かい変動で、定義上、1分間に2サイクル以上の胎児心拍数の変動で、振幅、周波数とも規則性がないものを指す。
①胎児心拍数基線
・頻脈:160bpm以上
・正常脈:110bpm~160bpm
・徐脈:110bpm未満
②胎児心拍数基線細変動
・細変動消失:肉眼的に認められない
・細変動減少:5bpm以下
・細変動中等度:6~25bpm
・細変動増加:26bpm以上