第108回(H31) 看護師国家試験 解説【午後51~55】

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

 

51 介護保険制度における地域密着型サービスはどれか。

1.介護老人保健施設
2.介護老人福祉施設
3.通所リハビリテーション
4.認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)

解答4

解説

地域密着型サービスとは?

地域密着型サービスとは、高齢者が住み慣れた地域でサービスを受けられるようにするものである。原則として、その市町村の被保険者しか利用できない。今後増加が見込まれる認知症高齢者や中重度の要介護高齢者等が、出来る限り住み慣れた地域で生活が継続できるように、市町村指定の事業者が地域住民に提供するサービスである。

【地域密着型サービス9種類】
①定期巡回・随時対応型訪問介護看護
②夜間対応型訪問介護
③認知症対応型通所介護
④小規模多機能居宅介護
⑤看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
⑦地域密着型特定施設入居者生活介護
⑧地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
⑨地域密着型通所介護

1.× 介護老人保健施設は、施設サービスである。介護老人保健施設とは、要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、看護・医学的管理のもと、介護および機能訓練その他必要な医療ならびに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設である。
2.× 介護老人福祉施設は、施設サービスである。特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)とは、常時介護を必要とし、在宅での生活が困難な高齢者に対して、生活全般の介護を提供する施設である。入浴、排泄、食事などの介護、その他の日常生活の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行う。原則として要介護3以上の認定を受けた高齢者が対象である。ただし、要介護1・2の特例的な入所が認められる要件があり、「認知症で日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られ、在宅生活が困難な状態にあること」である。
3.× 通所リハビリテーションは、居宅サービスである。通所リハビリテーション(デイケア)とは、利用者が老人保健施設・病院・診療所などに通い、日常生活上の支援や、生活機能訓練を受け、可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるようにするものである。理学療法士、作業療法士などによる機能訓練などが行われている。ちなみに、居宅サービスとは、自宅に居ながら利用できる介護サービスのことである。
4.〇 正しい。認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)は、地域密着型サービスである。認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)とは、介護保険制度における地域密着型サービスである。認知症である者に対し、共同生活をする住居で、入浴・排泄・食事等の介護その他の日常生活上の世話及び機能訓練を行うものである。1つの共同生活住居に5~9人の少人数の利用者が、介護スタッフとともに共同生活を送る。24時間の専門的援助体制のもと、料理や買い物などの家事に参加する。

 

 

 

 

 

52 平成27年(2015年)の人口動態調査で、5〜9歳の死因における不慮の事故の原因で最も多いのはどれか。

1.窒息
2.交通事故
3.転倒・転落
4.溺死および溺水

解答2

解説

(図引用:「子供の不慮の事故」厚生労働省HPより)

1.× 窒息は、5~9歳の不慮の事故死の約8.3%を占めている。
2.〇 正しい。交通事故は、5~9歳の不慮の事故死の約51.7%を占め、最も多い原因となっている。
3.× 転倒・転落は、5~9歳の不慮の事故死の約5%を占めている。
4.× 溺死および溺水は、5~9歳の不慮の事故死の約25%を占めている。10〜14歳では最も多くなっている。(※引用:「平成29(2017年)の人口動態調査」厚生労働省HPより」

 

 

 

 

53 小児慢性特定疾病対策における医療費助成で正しいのはどれか。

1.対象は5疾患群である。
2.対象年齢は20歳未満である。
3.医療費の自己負担分の一部を助成する。
4.難病の患者に対する医療等に関する法律に定められている。

解答3

解説

(※図引用:「小児慢性特定疾病の医療費助成の概要」厚生労働省HPより)

小児慢性特定疾病対策とは?

小児慢性特定疾病対策とは、児童福祉法第21条の5規定に基づき、小児慢性特定疾病その他の疾病にかかっていることにより長期にわたり療養を必要とする児童等の健全な育成に係る施策の推進を図るための基本的な方針を定めたものである。医療費助成の対象となる「小児慢性特定疾病」は、以下の要件の全てを満たすもののうちから、厚生労働大臣が定めるものである。①慢性に経過する疾病であること、
②生命を長期に脅かす疾病であること、③症状や治療が長期にわたって生活の質を低下させる疾病であること、④長期にわたって高額な医療費の負担が続く疾病であること。ちなみに、小児慢性特定疾病医療支援は、公費での医療費助成を柱とする制度である。

1.× 対象は、「5疾患群」ではなく、14疾患(722疾病)である。
2.× 対象年齢は、「20歳未満」ではなく、18歳未満ある。ただし、18歳到達時点において本制度の対象になっており、かつ、18歳到達後も引き続き治療が必要と認められる場合には、20歳未満の者を含む。
3.〇 正しい。医療費の自己負担分の一部を助成する。申請者の所得に応じて、治療に要した費用について一部自己負担がある。医療保険の給付が優先して適用され、残りの自己負担分(3割)の一部(原則1割)が公費で助成される。対象患者の自己負担は、原則2割となる。
4.× 小児慢性特定疾病の医療費助成は、「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」ではなく、『児童福祉法』に定められている。難病の患者に対する医療等に関する法律<難病法>とは、難病の患者に対する医療などに関する施策を定め、良質・適切な医療の確保、療養生活の質の維持向上を図ることを目的としている。ちなみに、児童福祉法とは、児童の福祉を担当する公的機関の組織や、各種施設及び事業に関する基本原則を定める日本の法律である。児童が良好な環境において生まれ、且つ、心身ともに健やかに育成されるよう、保育、母子保護、児童虐待防止対策を含むすべての児童の福祉を支援する法律である。

 

 

 

 

 

54 乳幼児の正常な言語発達で正しいのはどれか。

1.生後1か月で喃語が出始める。
2.生後6か月で意味のある1語が言える。
3.1歳2か月で2語文を話す。
4.4歳で4つの色を正しく言える。

解答4

解説

(※図:「日本版デンバー式発達スクリーニング検査」)

1.× 喃語が出始めるのは、「生後1か月」ではなく、生後6か月頃である。6か月以前の「アー」という母音だけの状態から、一音一音明確に発音できるまでになった音を「喃語」という。つまり、「アーウー」や、「バ・バ・バ」というような音のことである。
2.× 意味のある1語が言えるのは、「生後6か月」ではなく1歳頃である。
3.× 2語文を話すのは、「1歳2か月」ではなく2歳頃である。
4.〇 正しい。4つの色を正しく言える(色の区別ができるようになる)のは、3~4歳である。

 

 

 

 

55 離乳の開始で正しいのはどれか。

1.離乳食は1日2回から開始する。
2.人工乳はフォローアップミルクにする。
3.哺乳反射の減弱が開始時の目安のひとつである。
4.離乳食は歯ぐきでつぶせる硬さのものから始める。

解答3

解説

離乳とは?

離乳の開始とは、なめらかにすりつぶした状態の食物を初めて与えた時をいう。その時期は生後5,6か月頃が適当である。発達の目安としては、首のすわりがしっかりしている支えてやるとすわれる食物に興味を示すスプーンなどを口に入れても舌で押し出すことが少なくなる(哺乳反射の減弱)などがあげられる。なお、離乳の開始前の乳児にとって、最適な栄養源は乳汁(母乳又は育児用ミルク)である。離乳の開始前に果汁を与えることについては、果汁の摂取によって、乳汁の摂取量が減少すること、たんばく質、脂質、ピタミン類や鉄カルシウム、亜鉛などのミネラル類の摂取量低下が危惧されること、また乳児期以降における果汁の過剰摂取傾向と低栄養や発育障害との関連が報告されており、栄養学的な意義は認められていない。また、咀嚼機能の発達の観点からも、通常生後5~7か月頃にかけて哺乳反射が減弱・消失していく過程でスプーンが口に入ることも受け入れられていくので、スプーン等の使用は離乳の開始以降でよい。

離乳の進行
①離乳の開始後ほぼ1か月間は、離乳食は1日目1回与える。母乳または育児用ミルクは子どもの欲するままに与える。この時期は、離乳食を飲み込むこと、その舌ざわりや味に慣れることが主目的である。
②離乳を開始して1か月を過ぎた頃から、離乳食は1日2回にしていく。母乳または育児用ミルクは離乳食の後にそれぞれ与え,離乳食とは別に母乳は子どもの欲するままに、育児用ミルクは1日に3回程度与える。生後7,8か月頃からは舌でつぶせる固さのものを与える。
③生後9か月頃から、離乳食は1日3回にし、歯ぐきでつぶせる固さのものを与える。食欲に応じて、離乳食の量を増やし、離乳食の後に母乳または育児用ミルクを与える。離乳食とは別に、母乳は子どもの欲するままに、育児用ミルクは1日2回程度与える。鉄の不足には十分配慮する。(※引用:「離乳編」厚生労働省HPより)

1.× 離乳食は、「1日2回」ではなく、1日1回1さじずつから開始する。離乳の開始後ほぼ1か月間は、離乳食は1日目1回与える。母乳または育児用ミルクは子どもの欲するままに与える。この時期は、離乳食を飲み込むこと、その舌ざわりや味に慣れることが主目的である。1か月を過ぎた頃から1日2回にする。
2.× 人工乳は、フォローアップミルクにする必要はない。フォローアップミルクとは、食事が1日3回となった生後9か月以降、離乳食が頂調に進まない場合などに必要に応じて使用するものである。フォローアップミルクには、離乳時に不足しがちで牛乳にほとんど含まれない鉄、ビタミンC、DHAが配合され、さらにカルシウムやその吸収を促進する乳糖やビタミンDなどバランスよく配合されていることから、お子さんの成長に必要な栄養を補うのに適している。
3.〇 正しい。哺乳反射の減弱が、開始時の目安のひとつである。他にも、発達の目安としては、首のすわりがしっかりしている、支えてやるとすわれる、食物に興味を示すなどがあげられる。ちなみに、哺乳反射とは、乳首を探す探索反射、口に入ったものを吸う吸啜反射、飲み込もうとする嚥下反射を一連のものとして含めたものである。哺乳反射は、生後4~5か月頃から少しずつ消え始め、生後6~7か月頃には乳汁摂取も乳児の意思による動きによってなされる。
4.× 離乳食は、「歯ぐきでつぶせる硬さのもの」ではなく、なめらかにすりつぶした状態のものから始める。歯ぐきでつぶせる固さのものは、9か月~11か月頃で食べられるようになる。ちなみに、生後7,8か月頃からは舌でつぶせる固さのものを与える。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)