第109回(R2) 看護師国家試験 解説【午前16~20】

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16 誤嚥しやすい患者の食事の援助で適切なのはどれか。

1.食材は細かく刻む。
2.水分の摂取を促す。
3.粘りの強い食品を選ぶ。
4.頸部を前屈した体位をとる。

解答4

解説

誤嚥しやすい食べ物

①サラサラした液体、②口腔内でバラバラになりまとまりにくい物、③水分が少なく,パサパサした物、④口腔内や咽頭に貼り付きやすい物、⑤粘りの強い物、⑥すべりのよすぎる物、⑦硬い物などである。

1.× 食材は細かく刻んだ食材は誤嚥しやすい。なぜなら、口の中で食塊を形成しにくいため。きざみ食の適応は、咀嚼筋の低下や歯がない人が噛まなくて済むようにするためのものである。きざみ食は口の中でパラパラし、うまくまとまらないだけでなく、口の中に食べ物が残りやすく、歯の間に入りやすい為、食後にきちんと口腔ケアをしないと虫歯になり、細菌が繁殖してしまうこともある。
2.× 水分の摂取を促すと誤嚥しやすい。なぜなら、水分のようにサラサラした液体は咽頭部を急速に流れるため。そのため、増粘剤でとろみをつける必要がある。
3.× 粘りの強い食品は誤嚥しやすい。なぜなら、口の中や咽頭に張り付くため。主に餅やだんごなどを指す。
4.〇 正しい。頸部を前屈した体位をとる。なぜなら、頚部を前屈すると、喉頭蓋が閉まりやすくなるため。

 

 

 

 

 

17 陰部洗浄に使用する湯の温度で最も適切なのはどれか。

1.30〜31℃
2.34〜35℃
3.38〜39℃
4.42〜43℃

解答3

解説

1~2.× 30〜31℃/34〜35℃は、体温より低い温度であるため、冷感刺激による不快感を与える可能性が高い。
3.〇 正しい。38〜39℃は、刺激が少なく最も快適に感じられる。陰部洗浄では、皮膚に比べて刺激に敏感な粘膜も洗浄するため、体温よりやや温かく、全身清拭に比べて低い温度の湯を用いる。ちなみに、清拭に用いる湯温は50℃前後である。
4.× 42〜43℃は、粘膜の熱傷につながるおそれがあるため。

 

 

 

 

18 滅菌物の取り扱いで正しいのはどれか。

1.鉗子の先端は水平より高く保つ。
2.鑷子の先端を閉じた状態で取り出す。
3.滅菌パックはハサミを用いて開封する。
4.滅菌包みは布の内側の端を手でつまんで開く。

解答2

解説

1.× 鉗子(かんし)の先端は、水平より「高く」ではなく低く保つ。なぜなら、薬剤の逆流による汚染を防ぐため。鉗子とは、刃のない鋏(はさみ)のような構造で、用途により止血、胃、子宮、舌、骨など各種多様なものがある。外科手術器械の代表的なもので,組織をはさんだり、固定したり、引っ張ったり、剥離したりするために使う。
2.〇 正しい。鑷子(せっし)の先端を閉じた状態で取り出す。把持部から1/3の部分を手で持ち、外装面に触れないように垂直に取り出す。基本的に鑷子の把持部は不潔な部分として扱う。先端は常に下向きで扱う。鑷子(せっし)とは、ピンセットのことである。
3.× 滅菌パックは、ハサミを「用いて」ではなく用いず、手で開封する。なぜなら、ハサミの切り口が不潔になるため。
4.× 滅菌包みは、布の「内側」ではなく外側の端を手でつまんで開く。なぜなら、滅菌パックの内側は清潔であるため。パックの外側のみに触れ、内側には触れないようにする。

滅菌包みの開け方

①清潔区域をつくるため滅菌包を置く場所を消毒する。
②有効期限や破損の有無を確認する。
③折り返し部分の外側をつまみ、1枚目を開く。
④2枚目からは鑷子を使って開く。

 

 

 

 

 

19 直流除細動器の使用目的はどれか。

1.血圧の上昇
2.呼吸の促進
3.洞調律の回復
4.意識レベルの回復

解答3

解説

直流除細動器とは?

直流除細動器とは、不整脈の治療に使われる医療機器である。心房細動・心室細動・心室頻拍などの致死的な不整脈に対して使用される。心臓に直流電流刺激を与えて電気ショックによって心臓の異常興奮を抑制するためのものである。除細動器とAED(自動体外式除細動器)の違いは、除細動は心臓がけいれん(細動)した状態を「取り除く」ことを指すが、AED(自動体外式除細動器)は心臓に電気ショックを与えることで除細動を行う。

1~2.4.× 血圧の上昇/呼吸の促進/意識レベルの回復は、いずれも直流除細動器の使用目的に該当しない
3.〇 正しい。洞調律の回復は、直流除細動器の使用目的である。洞調律とは、一般的には特に心臓に異常がない場合のことを指す。洞調律は心房と心室が正常に連動して規則正しいリズムで心臓が動いていることを示す結果である。 

自動体外式除細動器とは?

AED(自動体外式除細動器)とは、心臓がけいれんし血液を流すポンプ機能を失った状態(心室細動)になった心臓に対して、電気ショックを与え、正常なリズムに戻すための医療機器である。

 

 

 

 

20 経鼻経管栄養法を受ける成人患者の体位で適切なのはどれか。

1.砕石位
2.半坐位
3.腹臥位
4.Sims(シムス)位

解答2

解説

経鼻経管栄養法とは?

経鼻経管栄養は、鼻の穴からチューブを挿入して胃や腸まで通し、栄養剤を注入する方法である。特別な手術が不要で、必要な栄養素を比較的容易に摂取することが可能である。胃食道逆流や誤嚥性肺炎などの合併症を引き起こすリスクがあるため、短期間で口から栄養を摂れるまで回復すると見込まれる場合など、一時的な処置として行われる。

1.× 砕石位とは、仰臥位で膝を曲げて大腿部を持ち上げ、開脚する体位である。泌尿器科産婦人科の診察などで用いられる体位である。デメリットして、①膝外側の腓骨頭の下を腓骨神経が走行しており、この部分を圧迫すると腓骨神経麻痺が生じること、②横隔膜の運動が制限されるため肺活量を低下させること。(読み:さいせきい)
2.〇 正しい。半坐位(ファウラー位)は、経鼻経管栄養法を受ける成人患者の体位である。なぜなら、比較的安定しており、胃食道からの逆流を防止できるため。半坐位(ファウラー位)とは、上体を45~60度起こし、膝をやや屈曲した体位である。これは、呼吸困難や胸の苦しさを軽減する目的で行うこともある。
3.× 腹臥位(うつ伏せ)は、肺痰促進などの目的で用いられる体位である。基底面が広いため、緊張感が少なく、舌根沈下による気道閉塞を防ぐことができる。デメリットとして、より足尖位として拘縮しやすいこと、関節痛や腰痛を引き起こしやすいことがあげられる。
4.× Sims(シムス)位は、腹臥位に近い側臥位である。お腹を押しつぶすことなく敷布団に預けることができるため、重苦しさを感じにくい寝姿勢である。直腸の診察に用いる体位で、妊婦特有の違和感をやわらげる効果も期待できる。

 

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