第109回(R2) 看護師国家試験 解説【午前21~25】

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

 

21 胃がんのVirchow(ウィルヒョウ)転移が生じる部位はどれか。

1.腋窩
2.鼠径部
3.右季肋部
4.左鎖骨上窩

解答4

解説

Virchow(ウィルヒョウ)転移とは?

ウィルヒョウ転移とは、消化器癌などが、左鎖骨上窩リンパ節に転移することである。胃癌が代表である。左鎖骨上窩リンパ節は、リンパ管が大静脈に合流する静脈角の近くのリンパ節であり、そこに転移があることは、癌がかなり進行した状態である。

1~3.× 腋窩/鼠径部/右季肋部は、ウィルヒョウ転移と関連性が薄い。ちなみに、腋窩はわきのした、鼠径部は足の付け根、季肋部は肋骨のすぐ下の位置をいう。
4.〇 正しい。左鎖骨上窩は、胃がんのVirchow転移が生じる部位である。ウィルヒョウ転移とは、消化器癌などが、左鎖骨上窩リンパ節に転移することである。胃癌が代表である。左鎖骨上窩リンパ節は、リンパ管が大静脈に合流する静脈角の近くのリンパ節であり、そこに転移があることは、癌がかなり進行した状態である。ちなみに、リンパ行性転移で卵巣への転移は、グルーケンベルグ腫瘍という。

 

 

 

 

 

22 包帯の巻き方を下図に示す。
 環行帯の巻き方で正しいのはどれか。

1.A
2.B
3.C
4.D

解答1

解説

包帯法の6つの目的

被覆:皮膚の創傷、病変などを保護する。
支持(保持):局所の安静、保持により痛みや病変の進行を防ぐ。
圧迫:患部への圧迫圧にて止血、浮腫を軽減させる。
固定:局所的に体動を制限し安静とする。
牽引:組織の位置異常があった場合に正常な位置に戻す。
矯正:骨、筋組織の変形を矯正する。

1.〇 正しい。Aは、環行帯(かんこうたい)の巻き方である。同じ位置に重ねて巻く方法である。
2.× Bは、亀甲帯(きっこうたい)の巻き方である。関節部位を屈側で交差させながら交互に巻く方法である。
3.× Cは、麦穂帯(ばくすいたい)の巻き方である。手関節、足関節、股関節、肩といった屈曲する部位、下腿などの太さが一定でない部位に対して行われる方法である。8の字を描くように交差させながら巻く。関節部分をきれいに覆うことができるだけでなく、各関節の良肢位を保ったまま固定できる。
4.× Dは、螺旋帯(らせんたい)の巻き方である。包帯を1/2~1/3程度重ねながら、らせん状に巻く方法で、広範囲の保護・固定をする場合や、ガーゼの保護や副え木を固定する場合などに用いられる。

 

 

 

 

23 皮下注射で適切なのはどれか。

1.注射部位を伸展する。
2.注射針は18〜20Gを使用する。
3.針の刺入角度は45〜90度にする。
4.皮下脂肪が5mm以上の部位を選択する。

解答4

解説

注射部位の深さ

深さ:表皮→真皮→皮下組織→静脈→筋肉の順に深くなる。
角度:皮内(ほぼ水平)→皮下注射(10~30度)→筋肉内注射(45~90度)である。

注射部位が浅ければ刺入角度を小さくし、注射部位が深ければ刺入角度を大きくする。

1.× 注射部位を伸展するのは、静脈内注射である。血管を固定するために行う。皮下注射では、皮下組織と筋肉組織の区別をつけやすくするために、注射部位の皮膚をつまむ。ちなみに、皮下注射は、インスリン注射やワクチン接種などで用いられる注射法である。
2.× 18〜20Gの注射針を使用するのは、輸血投与時である。皮下注射では、23~25Gの細い針を使用する。
3.× 針の刺入角度は45〜90度であるのは、筋肉内注射である。皮下注射の針の刺入角度は、10~30度である。ちなみに、筋肉内注射とは、血管が豊富に分布する筋肉内に注射することで、薬剤の吸収を早める目的で行われる。薬剤が容易に確実に末梢血管に吸収されるため、皮下注射の約2倍の速さで効果が現れる。
4.〇 正しい。皮下脂肪が、5mm以上の部位を選択する。なぜなら、皮下注射は真皮と筋肉の間にある皮下組織へ注入するため。主に、上腕伸側、腹部、大腿前面が用いられ、ここは神経や血管の分布が少ない。

 

 

 

 

 

24 細菌感染による急性炎症で最初に反応する白血球はどれか。

1.単球
2.好酸球
3.好中球
4.好塩基球
5.リンパ球

解答3

解説

1.× 単球とは、白血球の一種で、最も大きなタイプの白血球である。マクロファージなどへ分化し、貧食・消化・殺菌などの機能を発揮する。単球は、末梢血白血球の2~9%を占める。ちなみに、マクロファージとは、単球から分化し、貧食能を有する。異物を貪食して抗原提示細胞になり、抗原情報がリンパ球に伝えられる。直径15~20μmの比較的大きな細胞で、全身の組織に広く分布しており、自然免疫(生まれつき持っている防御機構)において重要な役割を担っている。
2.× 好酸球とは、主に寄生虫に対する免疫反応が役割である。ほかにも、アトピー性皮膚炎や薬剤アレルギー、気管支喘息などでも増加する。末梢血白血球の1~6%を占め、呼吸器や腸管などに存在する。
3.〇 正しい。好中球は、細菌感染による急性炎症で最初に反応する。好中球とは、白血球の中で一番多く、細菌免疫の主役である。マクロファージが好中球に指令し、好中球は活性化・増殖する。末梢血白血球の40~70%を占め、生体内に細菌・真菌が侵入すると、まず好中球が感染部位に遊走し、菌を貧食する。
4.× 好塩基球とは、Ⅰ型アレルギー(即時型アレルギー)を引き起こす。末梢血白血球の0~2%を占める。ほかにも、好酸球や好中球の移動を助ける役割も担う。
5.× リンパ球とは、主に獲得免疫を担う細胞集団である。ウイルスに対する免疫反応に関与する。リンパ球とは、脊椎動物の免疫系における白血球のサブタイプの一つである。リンパ球には①ナチュラルキラー細胞、②T細胞、③B細胞がある。B細胞は体液性免疫を担当し、B細胞から活性化して形質細胞となり抗体を産生する。

細胞性免疫とは?

アレルギー反応の分類法としては、免疫反応による組織傷害の機序から分類したGellとCoombsの分類が使われることが多い。本分類はその反応に関与する抗体や細胞の違いにより分類されるが、現象的には皮膚反応出現にかかる時間と反応の性状により分けられる。Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ型は血清抗体が関与する体液性免疫(humoral immunity)、Ⅳ型は感作リンバ球による細胞性免疫(cellularimmunity)と大別される。

(※引用:「アレルギー総論」厚生労働省HPより)

 

 

 

 

25 平成28年(2016年)の国民生活基礎調査で、男性の有訴者の症状が最も多いのはどれか。

1.腰痛
2.もの忘れ
3.体がだるい
4.目のかすみ
5.手足の関節が痛む

解答1

解説

(※図引用:「平成28年(2016年)の国民生活基礎調査」厚生労働省HPより)

国民生活基礎調査とは?

国民生活基礎調査とは、保健、医療、福祉、年金、所得など国民生活の基礎的事項を調査し、厚生労働行政の企画及び運営に必要な基礎資料を得るとともに、各種調査の調査客体を抽出するための親標本を設定することを目的とした厚生労働省が行う基幹統計調査である。

1.〇 正しい。腰痛は、91.8で最も高い。ちなみに、有訴者とは、病気やけが等で自覚症状のある者をいう。
2.× もの忘れは、27.6である。
3.× 体がだるいは、38.0である。
4.× 目のかすみは、35.3である。
5.× 手足の関節が痛むは、40.7である。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)