第109回(R2) 看護師国家試験 解説【午前46~50】

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46 細菌性髄膜炎の症状はどれか。

1.羞明
2.羽ばたき振戦
3.Raynaud(レイノー)現象
4.Blumberg(ブルンベルグ)徴候

解答1

解説

細菌性髄膜炎とは?

細菌性髄膜炎の主な病原体は、髄膜炎菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌である。症状は、髄膜炎の3大症状でもある発熱、頭痛、項部硬直で、75%以上の意識障害(傾眠~昏睡と程度は様々)である。他にも、嘔吐や羞明もよくみられる。けいれんは初期症状にみられ、髄膜炎の全経過を通して20~40%に起きる。ちなみに、細菌性髄膜炎では、病原体に合わせた抗菌薬療法や、症状に応じた対症療法が行われる。

1.〇 正しい。羞明(しゅうめい)は、細菌性髄膜炎の症状である。羞明とは、強い光を受けた際に、不快感や眼の痛みなどを生じることをいう。そのため、髄膜炎患者の病室を暗めに設定する必要がある。
2.× 羽ばたき振戦とは、手関節を背屈させたまま手指と上肢を伸展させ、その姿勢を保持するように指示すると、「手関節及び中指関節が急激に掌屈し、同時に、元の位置に戻そうとして背屈する運動」が認められる。手関節や手指が速くゆれ、羽ばたいているようにみえるので、このように呼ばれる。肝性脳症ウィルソン病、呼吸不全(CO2ナルコーシス)など代謝性神経疾患で出現する。
3.× Raynaud現象とは(レイノー現象とは)、四肢(特に手指)が蒼白化、チアノーゼを起こす現象である。手指の皮膚が寒冷刺激や精神的ストレスにより蒼白になり、それから紫色を経て赤色になり、元の色調に戻る一連の現象をいう。寒冷療法は禁忌である。強皮症全身性エリテマトーデス(SLE)、膠原病(特に強皮症や混合性結合組織病)などにみられる。
4.× Blumberg徴候とは(ブルンベルグ徴候とは)、圧痛のある部位をできるだけ深く圧迫し、急に手を離すと鋭い痛みを感じる反跳痛のことである。炎症が波及した腹膜が急速に元の場所へ戻ると痛覚がより刺激されるために生じるもので、炎症が虫垂壁を超えて壁側腹膜に及んでいるサインである。腹膜に炎症があることを示し、腹膜炎を呈する疾患(消化管穿孔急性虫垂炎など)で出現する。

強皮症とは、全身性の結合組織病変で、手指より始まる皮膚の硬化病変に加え、肺線維症などの諸臓器の病変を伴う。病因は不明であり、中年女性に多い。症状は、仮面様顔貌、色素沈着、ソーセージ様手指、Raynaud現象(レイノー現象)、嚥下障害、間質性肺炎、関節炎、腎クリーゼなどがある。

 

 

 

 

 

47 貧血を伴う患者の爪の写真を下図に示す。
 欠乏している栄養素はどれか。

1.ビタミンB12
2.ビタミンC
3.葉酸
4.鉄

解答4

解説

 写真の爪は、爪甲がくぼんだ「さじ状爪(スプーンネイル)」である。原因は、鉄分の不足(鉄欠乏性貧血)である。貧血によって薄くなった爪が、外から加わった圧力に耐え切れずに反り返ってしまう。 爪が弱くなっていることから、爪の先端が薄くはがれる「二枚爪」の症状も現れる。

1.3.× ビタミンB12/葉酸が欠乏すると、大球性貧血を起こす。大球性貧血とは、平均赤血球容積が100以上の貧血のことで、赤血球一つ当たりの体積が大きくなるタイプの貧血である。他にも、原因として、骨髄異形成症候群などがあげられる。貧血症状に加えて、舌炎(舌のザラザラがなくなる)、味覚障害、食欲不振、神経症状、慢性胃炎などが伴うことがある。
2.× ビタミンCが欠乏すると、壊血病がみられる。壊血病とは、結合組織の異常から毛細血管が脆弱化して出血しやすくなる病気である。
4.〇 正しい。が欠乏している栄養素である。鉄が欠乏すると、写真のような爪甲がくぼんだ「さじ状爪(スプーンネイル)」が生じる。鉄欠乏性貧血とは、体内に流れている赤血球に多く含まれるヘモグロビンと鉄分が欠乏する事により、酸素の運搬能力が低下し全身に十分な酸素が供給されず倦怠感や動悸、息切れなどの症状がみられる貧血の種類の中でも最も多く特に女性に多い疾患である。原因としては、栄養の偏りなどによる鉄分の摂取不足、消化性潰瘍やがん、痔などの慢性出血による鉄の喪失、腸管からの鉄吸収阻害などがあげられる。

 

 

 

 

48 手術後に無排卵になるのはどれか。

1.脳下垂体全摘出術
2.単純子宮摘出術
3.低位前方切除術
4.片側卵巣切除術

解答1

解説

月経周期

・卵胞期:1回の月経周期が始まると脳の底の方にある下垂体というところから、卵を包んでいる卵胞を刺激する卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌されはじめ、卵胞は大きくなると同時に女性ホルモン(エストロゲン)を分泌する時期。
・増殖期:女性ホルモン(エストロゲン)が新しい子宮内膜を成長させていく時期。卵胞期と増殖期とはだいたい同じ時期。
・黄体期:排卵した後の卵胞(黄体)から黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されるようになる時期。
・分泌期:子宮内膜が成長を止めて受精卵が着床できるよう準備をする時期。

約1ヵ月に1回卵巣から卵管へ卵子が放出されることを「排卵」という。 月経周期が一般的な28日周期の女性の場合、次の月経開始予定日から約14日前に起こる。 (※月経周期によって異なる。)排卵期は、黄体形成ホルモンと卵胞刺激ホルモンの血中濃度が急激に上昇して始まる。黄体形成ホルモンは卵子の放出(排卵)を促すが、排卵は通常、両ホルモンの急激な増加が始まってから16~32時間後に起こる。この時期にはエストロゲンの血中濃度は低下し、プロゲステロンの血中濃度が上昇し始める。したがって、排卵に関係する性腺ホルモン指示系統は、「①視床下部ー②脳下垂体ー③性腺(卵巣)」である。①視床下部:性腺刺激ホルモン放出ホルモン→②脳下垂体:卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン→③性腺(卵巣):エストロゲン、プロゲステロンである。

1.〇 正しい。脳下垂体全摘出術すると、無排卵となる。排卵に関係する性腺ホルモン指示系統は、「①視床下部ー②脳下垂体ー③性腺(卵巣)」である。①視床下部:性腺刺激ホルモン放出ホルモン→②脳下垂体:卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン→③性腺(卵巣):エストロゲン、プロゲステロンである。
2.× 単純子宮摘出術は、排卵には影響しない。単純子宮摘出術とは、腹腔内の子宮を支える靭帯を切り、基靭帯は子宮頸部の付着部ぎりぎりで切断し、腟から切り離して子宮を摘出する。したがって、無月経となるが、特に生活に障る後遺症ない。
3.× 低位前方切除術は、排卵には影響しない。低位前方切除術とは、直腸がんを直腸ごと切除して、残った直腸と結腸をつなぎ合わせる手術のことである。メリットは肛門を温存できることであるが、デメリットとして術後合併症(イレウスと感染、排尿障害、性機能障害、排便障害、縫合不全など)があげられる。
4.× 片側卵巣切除術は、排卵には影響しない。なぜなら、片側の卵巣を切除した場合でも、対側卵巣が残っていれば排卵は成立するため。ただし、卵巣を2つとも摘出してしまった場合は、卵巣から分泌されていた女性ホルモンがストップしてしまうため、ホルモンバランスがくずれることになり、更年期障害のような症状があらわれることがある。

更年期障害とは?

更年期障害とは、更年期に出現する器質的な変化に起因しない多彩な症状によって、日常生活に支障をきたす病態と定義される。更年期症状は大きく、①自律神経失調症状、②精神神経症状、③その他に分けられるが、各症状は重複して生じることが多い。治療の一つに、ホルモン補充療法(HRT)があげられる。ホルモン補充療法とは、エストロゲン(卵胞ホルモン)を補うことで、更年期障害を改善する治療法である。ほてり、のぼせ、発汗などといった代表的な症状に高い効果を示す。禁忌として、エストロゲン依存性悪性腫瘍(子宮内膜癌、乳癌)またその疑いのあるもの、重症肝機能障害、血栓性疾患などがあげられる。

 

 

 

 

 

49 被験者が図形を描き写す内容が含まれる認知機能の評価はどれか。

1.認知症高齢者の日常生活自立度判定基準
2.Mini-Mental State Examination(MMSE)
3.高齢者の総合機能評価CGA簡易版(CGA7)
4.改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)

解答2

解説

(※図:認知症高齢者の日常生活自立度判定基準のランク)

1.× 認知症高齢者の日常生活自立度判定基準とは、障害や認知症の程度をランクで判定し表すものであり、要介護度を正しく判定するための指標となる。
2.〇 正しい。Mini-Mental State Examination(ミニメンタルステート検査:MMSE)に被験者が図形を描き写す内容が含まれる認知機能の評価(図形模写)は含まれる。Mini-Mental State Examination(ミニメンタルステート検査:MMSE)とは、認知障害(認知症・せん妄・健忘性障害)のスクリーニングとして国際的によく用いられている検査である。内容は、見当識・記銘力・注意と計算・想起・言語・組み立ての各項目があり、30点満点で評価する。26点以下で軽度認知障害の疑いを示し、23点以下では認知障害の可能性が高いことを示す。
3.× 高齢者の総合機能評価CGA簡易版(CGA7)とは、生活機能、精神・心理、社会環境の3つの観点から高齢者の障害度を評価する。
4.× 改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)とは、認知機能をみる質問紙法による簡易精神機能検査である。9項目の質問に答え、30点満点で20点以下を認知症の疑いとする。

(※図引用:「高齢者総合機能評価簡易版」公益社団法人京都保健会様HPより)

 

 

 

 

50 老化による免疫機能の変化はどれか。

1.胸腺の肥大
2.T細胞の増加
3.獲得免疫の反応の低下
4.炎症性サイトカインの産生の減少

解答3

解説

1.× 胸腺は、「肥大」ではなく萎縮する。ちなみに、胸腺とは、胸骨裏面の前縦隔に位置する免疫担当臓器で、Tリンパ球が成熟する場所である。10~12歳頃に最も大きくなり、その後は加齢とともに小さくなる。高齢者では著しく萎縮し、CT画像で存在が判然としない場合もある。大人では摘出しても特に問題ない。
2.× T細胞は、「増加」ではなく減少する。T細胞とは、血液中を流れている白血球のうち、リンパ球と呼ばれる細胞の一種である。胸腺(thymus)でつくられるため、頭文字を取ってT細胞と名付けられた。T細胞は膠原特異的な免疫応答である獲得免疫に関与する。免疫応答を促進するヘルパーT細胞、逆に免疫反応を抑制するサプレッサーT細胞、病原体に感染した細胞や癌細胞を直接殺すキラーT細胞などに分類される。
3.〇 正しい。獲得免疫の反応は低下する。獲得免疫とは、自然免疫の目を盗んで体内で増殖を始めたウイルスや細菌、がん細胞のような病原体が現れた時に活躍する免疫である。 敵(抗原)の目印を認識し、敵に合った闘い方ができる高度な免疫反応を指す。この免疫反応の際には、T細胞やB細胞といったリンパ球が活躍する。ちなみに、免疫には、①自然免疫(生まれつきもっている免疫系:好中球やマクロフアージ、NK細胞、補体などによる抗原非特異的防御反応)と②獲得免疫(生後、新たに獲得される免疫)があり、獲得免疫のほうが著しく低下する。
4.× 炎症性サイトカインの産生は、「減少」ではなく増加する。炎症性サイトカインとは、炎症反応を促進する働きを持つサイトカインのことである。免疫に関与し、細菌やウイルスが体に侵入した際に、それらを撃退して体を守る重要な働きをする。老化による免疫機能は、個体・細胞レベルで低下し、血中レベルでは炎症性サイトカインが増加する。なぜなら、加齢に伴い、動脈硬化・肥満・糖尿病などの生活習慣病やがんなどの疾患の背景に慢性炎症が存在するためである。

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