第110回(R3) 看護師国家試験 解説【午後96~100】

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次の文を読み94~96の問いに答えよ。
 Aさん(47歳、女性、会社員)は、夫(54歳)と2人暮らし。6か月前から月経不順になり、閉経前の症状と思い様子をみていた。しかし、徐々に普段の月経時の出血量よりも多くなり、下腹部痛が出現してきたため、病院の婦人科外来を受診した。診察後、経膣超音波検査の指示が出され、看護師はAさんに検査について説明することになった。

96 Aさんはその後、順調に経過し退院した。退院後、初回の外来受診時に看護師がAさんに心配なことを尋ねると「退院のときも性生活の説明を聞きましたが、子宮がなくなって自分の身体がどう変化しているかわからないし、やっぱり性生活のことが気がかりです。夫も私の身体を気遣ってくれて、今日も一緒に病院に来てくれました」と語った。
 Aさんへの性生活の説明で適切なのはどれか。

1.術後1年までは性行為を控える。
2.夫と別々に説明することを提案する。
3.性行為再開後は避妊を続けてもらう。
4.膣の乾燥に対して潤滑ゼリーを用いるとよい。

解答4

解説

本症例のポイント

・Aさん:順調に経過、退院。
・退院後「退院のときも性生活の説明を聞きましたが、子宮がなくなって自分の身体がどう変化しているかわからないし、やっぱり性生活のことが気がかりです。夫も私の身体を気遣ってくれて、今日も一緒に病院に来てくれました」と。
→性交渉には、生殖行為だけでなくコミュニケーション(夫婦関係の構築)の役割を持つ。医療的な観点だけでなく、精神的な支援も必要となる。

1.× 性行為を控えるのは、「術後1年まで」ではなく、術後1~2ヶ月程度(膣断端の創部治癒が治まるまでの期間)で良い。ただし、手術直後は性行為により出血しやすくなったり、感染症にかかりやすくなったりすることが懸念されるため、いつ頃から性行為をしてよいか主治医に確認する必要がある。
2.× 夫と別々に説明することを提案する必要はない。むしろ、性交渉には、生殖行為だけでなくコミュニケーション(夫婦関係の構築)の役割を持つため、夫婦一緒に説明を受けられた方が良い。本症例の夫もAさんの身体のことを気遣っており、病院にも一緒に来てくれており、別々に説明する理由がない。
3.× 性行為再開後は避妊を続けてもらう必要はない。なぜなら、卵巣を切除しており妊娠の可能性はないため。ただし、ただし、手術直後は性行為により出血しやすくなったり、感染症にかかりやすくなったりすることが懸念されるため、性感染症予防などの目的で性行為の際にコンドームなどの避妊具を用いるという選択はあり得る。
4.〇 正しい。膣の乾燥に対して潤滑ゼリーを用いるとよい。なぜなら、卵巣摘出によりエストロゲン(女性ホルモン)が減少し、膣内が易乾燥状態となるため。摩擦による痛みが生じると、性行為に対し消極的になる可能性も考えられるため、膣の乾燥に対して潤滑ゼリーを用いるようアドバイスする。

 

 

 

 

次の文を読み97~99の問いに答えよ。
 Aさん(75歳、女性)は、1人暮らし。高血圧症の内服治療をしているが、その他に既往歴はない。認知機能は問題ない。軽度の円背があるが、日常生活動作〈ADL〉は自立している。簡単な家事は自分で行っており、家の中で過ごすことが多かった。近所に住む長女が時々、Aさんの様子を見に来ていた。
 ある日、Aさんは自宅の階段を踏み外して転落し、横向きになったまま動けなくなったところを訪問してきた長女に発見され、救急車で病院に運ばれ、右大腿骨頚部骨折と診断された。そのまま入院し、緊急手術を行うことになった。

97 手術前オリエンテーションの際の看護師の説明内容で適切なのはどれか。

1.「手術はすぐに終わります」
2.「手術後はすぐに水を飲めます」
3.「手術後は両足とも動かしてはいけません」
4.「手術後は背中にクッションを当てます」

解答4

解説

本症例のポイント

・Aさん(75歳、女性、1人暮らし、高血圧症)
・既往歴なし、認知機能は問題ない。
軽度の円背、ADL:自立。
・簡単な家事:自立(家の中で過ごすことが多い)
・近所に住む長女:時々、Aさんの様子を見に来る。
・ある日:Aさんは自宅の階段を踏み外して転落し、横向きになったまま動けなくなったところを訪問してきた長女に発見され、救急車で病院に運ばれ、右大腿骨頚部骨折と診断された。
・そのまま入院し、緊急手術を行うことになった。
→Aさんは既往歴がないとはいえ、高齢女性で骨粗鬆症になりやすい。骨粗鬆症とは、骨量が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気である。原因として、閉経による女性ホルモンの低下や運動不足・喫煙・飲酒・栄養不足・加齢などである。骨粗鬆症の患者は、わずかな外力でも容易に圧迫骨折(特に胸腰椎)、大腿骨頚部骨折、橈骨遠位端骨折を起こしやすい。

1.× 「手術はすぐに終わります」の「すぐ」は曖昧な伝え方であり人によってとらえ方が異なる。また、手術は1時間以上かかることが多い。骨折が不安定であったり整復が困難であったりする場合はさらに時間を要する。術前で不安を抱えていると考えられる患者に不確実な情報を与えてはならない。
2.× 「手術後はすぐに水を飲めます」:選択肢1と同様に、「すぐ」ということは曖昧な伝え方であり人によってとらえ方が異なる。また、手術後は①麻酔による嘔気や腸が動きの有無、手術後の誤嚥性肺炎の予防を確認してからのため、飲水の許可が出るまで時間がかかる。
3.× 手術後の左下肢は制限がかかるが、手術していない足は動かすことができる。術後の合併症として深部静脈血栓症がある。この予防のために足関節の底背屈を推奨する。また両手と手術していない足は積極的に動かすことで、廃用症候群・褥瘡の予防に有効である。
4.〇 正しい。「手術後は背中にクッションを当てます」とつたえることは、手術前オリエンテーションの際の看護師の説明内容で適切である。なぜなら、Aさんは軽度の円背があるため。手術後は、背中にクッションを当ててベッドと背中の隙間を減らし、褥瘡予防につなげると良い。

 

 

 

 

 

 

 

次の文を読み97~99の問いに答えよ。
 Aさん(75歳、女性)は、1人暮らし。高血圧症の内服治療をしているが、その他に既往歴はない。認知機能は問題ない。軽度の円背があるが、日常生活動作〈ADL〉は自立している。簡単な家事は自分で行っており、家の中で過ごすことが多かった。近所に住む長女が時々、Aさんの様子を見に来ていた。
 ある日、Aさんは自宅の階段を踏み外して転落し、横向きになったまま動けなくなったところを訪問してきた長女に発見され、救急車で病院に運ばれ、右大腿骨頚部骨折と診断された。そのまま入院し、緊急手術を行うことになった。

98 手術後14日。Aさんは、回復期リハビリテーション病棟のトイレ付きの個室に移動した。Aさんは歩行訓練を行っているが、立ち上がるときにバランスを崩しやすく「夜トイレに行こうとしてベッドから立ち上がるときに、ふらふらする。また転んでしまうのが怖い」と言っている。
 このときの看護師の対応で最も適切なのはどれか。

1.ポータブルトイレを置く。
2.ベッドに移動介助バーを付ける。
3.ベッドの頭部側を45度挙上する。
4.夜間はヒッププロテクターを装着する。

解答2

解説

本症例のポイント

・Aさん(75歳、女性、1人暮らし、高血圧症)
・認知機能は問題ない、ADL・簡単な家事:自立。

・手術後14日。
・トイレ付きの個室に移動。
立ち上がるときにバランスを崩しやすい
・「夜トイレに行こうとしてベッドから立ち上がるときに、ふらふらする。また転んでしまうのが怖い」と。
→Aさんの現在の問題点として、「立ち上がるときにバランスを崩しやすい」ことがあげられる。その問題点に対し、物的環境を用いて対応する。

1.× ポータブルトイレを置く必要はない。なぜなら、ADL拡大を妨げることにつながりかねないため。Aさんは認知機能正常、骨折前の生活もADL・簡単な家事とも自立していた。退院後も以前の生活を獲得したい。また、ポータブルトイレを設置したからといって、この患者の問題点である立ち上がりの際の不安定性の改善にはつながらず根本的な解決にならない。ちなみに、ポータブルトイレは、夜間頻尿の場合やトイレまでの移動が難しい場合に適応となる。
2.〇 正しい。ベッドに移動介助バーを付けることは、看護師の対応で最も適切である。なぜなら、ベッドに移動介助バーを付けることで、立ち上がる際のふらつきを予防できるため。Aさんの現在の問題点として、「立ち上がるときにバランスを崩しやすい」ことがあげられる。その問題点に対し、物的環境を用いて対応する。
3.× ベッドの頭部側を45度挙上する必要はない。なぜなら、ベッドの頭部側を45度挙上しても、起き上がりやすくはなるが、立ち上がりとは関係ないため。
4.× 夜間はヒッププロテクターを装着する必要はない。なぜなら、立ち上がりのふらつきの予防にはなっていないため。ヒッププロテクターを装着することは、大腿骨頚部骨折を防ぐことにつながるが、転倒自体を予防するものではない。ヒッププロテクターとは、転倒時に股関節を外力から守って大腿骨頚部骨折を予防する方法である。この骨折の発生率が非常に高くなった状態、たとえば、転倒リスクが上昇した後期高齢者に使用すると有効とされている。

 

 

 

 

 

 

次の文を読み97~99の問いに答えよ。
 Aさん(75歳、女性)は、1人暮らし。高血圧症の内服治療をしているが、その他に既往歴はない。認知機能は問題ない。軽度の円背があるが、日常生活動作〈ADL〉は自立している。簡単な家事は自分で行っており、家の中で過ごすことが多かった。近所に住む長女が時々、Aさんの様子を見に来ていた。
 ある日、Aさんは自宅の階段を踏み外して転落し、横向きになったまま動けなくなったところを訪問してきた長女に発見され、救急車で病院に運ばれ、右大腿骨頚部骨折と診断された。そのまま入院し、緊急手術を行うことになった。

99 Aさんの退院日が決定した。看護師は、Aさんの退院前の指導を行うことになった。Aさんから「医師から骨がもろくなっていると言われました。これ以上悪くならないように何をすればよいでしょうか」と質問があった。
 Aさんへの看護師の説明で適切なのはどれか。

1.「体操は控えましょう」
2.「炭酸飲料を飲みましょう」
3.「果物を積極的に摂りましょう」
4.「日光を浴びるようにしましょう」

解答4

解説

本症例のポイント

・退院日が決定。
・退院前の指導を行う。
・Aさん「医師から骨がもろくなっていると言われました。これ以上悪くならないように何をすればよいでしょうか」と質問があった。
→高齢女性で骨粗鬆症になりやすい。骨粗鬆症とは、骨量が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気である。原因として、閉経による女性ホルモンの低下や運動不足・喫煙・飲酒・栄養不足・加齢などである。骨粗鬆症の患者は、わずかな外力でも容易に圧迫骨折(特に胸腰椎)、大腿骨頚部骨折、橈骨遠位端骨折を起こしやすい。

1.× 体操は控える必要はない。むしろ、運動により骨密度は増加するため体操を勧める。なぜなら、骨粗鬆症の原因として、閉経による女性ホルモンの低下や運動不足・喫煙・飲酒・栄養不足・加齢などであるため。また、骨は力学的な荷重(運動)に応じて、骨吸収と骨形成を繰り返し、自らを再構築(リモデリング)する。つまり、運動が骨を強くする。
2.× あえて炭酸飲料を積極的に飲む必要はない。なぜなら、炭酸飲料と骨密度の増減の因果関係は証明されていないため。
3.× あえて果物を積極的に摂る必要はない。骨粗鬆症の食事指導の中心は、カルシウムビタミンDビタミンKを多く含む食品の摂取の推奨である。果物や野菜、蛋白質などもバランスよく積極的に摂取する必要はあるが、乳製品や魚類、きのこ類、納豆などに比較して重要性は低い
4.〇 正しい。「日光を浴びるようにしましょう」と伝えることは、Aさんへの看護師の説明で適切である。なぜなら、日光の紫外線を浴びることによって、骨を丈夫にするビタミンDが体内で作られるため。ビタミンDの働きは、腸管からのカルシウムの吸収や骨・筋の同化作用などである。ちなみに、窓越しの日光浴では紫外線の一部が遮断されるため、屋外で肌を一部露出したうえでの日光浴のほうが良い。

 

 

 

 

次の文を読み100~102の問いに答えよ。
 Aちゃん(生後3週)は、在胎40週、3.070gで出生した。生後5日で退院し、退院時の体重は3.080gであった。完全母乳栄養である。
 現病歴:5日前から嘔吐があり、次第に哺乳のたびに噴水状に嘔吐するようになった。今朝も嘔吐があり、吐物は白色である。排尿もないため家族に連れられ来院した。Aちゃんは肥厚性幽門狭窄症が疑われ入院した。
 身体所見:体重3.380g、体温36.7℃。脈拍120/分、整。血圧74/52mmHg。大泉門は陥凹、皮膚のツルゴールは低下、上腹部は軽度膨隆。
 検査所見:白血球9.600/μL、Na131mEq/L、K3.4mEq/L、Cl86mEq/L、CRP0.1mg/dL。

100 Aちゃんの状態のアセスメントで正しいのはどれか。

1.脱水症は軽度である。
2.非胆汁性嘔吐である。
3.炎症反応の上昇がある。
4.出生後の体重増加は良好である。

解答2

解説

本症例のポイント

・Aちゃん(生後3週
・出生:在胎40週、3.070g。
・生後5日:3.080g、完全母乳栄養。
【現病歴】
・5日前:嘔吐あり、哺乳のたびに噴水状に嘔吐
・今朝:嘔吐、吐物は白色。排尿もない。肥厚性幽門狭窄症が疑われた。
【身体所見】
・体重3.380g、体温36.7℃、脈拍120/分、整、血圧74/52mmHg。
・大泉門:陥凹、皮膚のツルゴール:低下、上腹部:軽度膨隆。
【検査所見】
白血球9.600/μL、Na131mEq/L、K3.4mEq/L、Cl86mEq/L、CRP0.1mg/dL
→肥厚性幽門狭窄症とは、生後約2~3週の頃から幽門(胃の出口)部分の筋層が徐々に厚くなり、下の図のように胃の出口が狭くなる疾患である。このため徐々にミルクの通過が悪くなり、飲んでも吐いてしまうようになる。生後約3~4週頃に、ミルクを噴水状に勢い良く吐くのが特徴的な症状である。

大泉門は普段は平らである。①大泉門膨隆した場合(脳圧の上昇):頭の中に細菌やウイルスが侵入して髄膜炎、突発性発疹を起こしている。②大泉門陥凹した場合(脳圧の降下):頻回の嘔吐と下痢で体の水分が失われて脱水を起こしている。

ツルゴールの評価方法は、一般的に皮膚の張りをさし、皮膚をつまみ、皮膚の戻る時間を計る触診を行うことで、脱水の評価ができる。皮膚が元の状態に戻るまでに2秒以上かかる場合は、ツルゴールの低下と判断し、脱水の可能性を疑う。

1.× 脱水症は、「軽度」ではなく中等度以上である。なぜなら、本症例は、哺乳のたびに嘔吐を繰り返し、排尿が見られていないため。また、①大泉門:陥凹、②皮膚のツルゴール:低下の評価からも脱水の可能性が高い。
2.〇 正しい。非胆汁性嘔吐である。なぜなら、吐物が白色であるため。吐物が緑色(黄色)なら胆汁を疑い、胆汁嘔吐は何らかの原因で腸閉塞が起こっていること示唆され、緊急で手術が必要である。生後間もない子どもの場合は、先天性の腸の閉鎖や狭窄が疑われる。
3.× 炎症反応の上昇はみられない。なぜなら、Aちゃんは発熱なく、白血球9.600/μL、CRP0.1mg/dLでいずれも正常範囲内であるため。ちなみに、新生児の白血球の基準値は9,000~25,000/µLで、CRPの基準値は0.3mg/dl以下である。
4.× 出生後の体重増加は良好ではなく明らかな体重増加不良である。なぜなら、Aちゃん(生後3週)にもかかわらず、体重が退院時より300gしか増えていないため。新生児の体重増加は1ヶ月頃に体重4000g(1日30gほど)が理想的である。本症例は、退院から16日が経過しているため、300g ÷ 16日=18.75g/日である。本症例は1日平均約18gしか増えていない。

体重の変化

【新生児の生理的体重の変化】
正期産により出生した正常な新生児の生理的体重減少率は、出生体重の3~10%の範囲であり、生後3~5日がそのピークである。減少率とは、出生時体重からの減少の割合で、「(出生時の体重-現在の体重)÷ 出生時の体重 × 100」で算出される。

【正常乳児の一日体重増加量の目安】
・0~3か月:25~30g
・3~6か月:20~25g
・6~9か月:15~20g
・9~12か月:7~10g

肥厚性幽門狭窄症とは?

病態:胃幽門部輪状筋の肥大・増殖により、胃から十二指腸への通過障害が起こる。
症状・特徴:生後2~3週の男児に好発。哺乳力は良好だが、飲むとすぐに無胆汁性の噴水状嘔吐を繰り返す。嘔吐による低クロール性代謝性アルカローシス、脱水が生じる。
診断:触診で右上腹部に指頭大のオリーブ様腫瘤を触知する。
治療:輸液療法による電解質異常・脱水の補正後、粘膜外幽門筋切開術(ラムステッド手術)を行う。

 

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