第112回(R5) 看護師国家試験 解説【午前41~45】

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問題41 輸血用血液製剤と保存温度の組合せで正しいのはどれか。

1.血小板成分製剤:2~6℃
2.赤血球成分製剤:2~6℃
3.血漿成分製剤:20~24℃
4.全血製剤:20~24℃

解答

解説
1.× 血小板成分製剤は、「2~6℃」ではなく20~24℃(+水平振盪)で保存する。有効期間は採血後4日間である。血小板製剤とは、成分採血装置を用いて血小板成分献血により得られたもので、血小板数が減少したり、血小板産生の低下による減少をみた場合、あるいは血小板の機能に異常がある場合等で、出血していたりあるいは出血の危険性の高い場合に出血予防のために用いられる。
2.〇 正しい。赤血球成分製剤は、2~6℃で保存する。赤血球製剤は、輸血治療に使用される赤血球の冷凍保存製剤である。血液から血漿、白血球および血小板の大部分を取り除いたもので、出血及び赤血球が不足する状態、またはその機能低下による酸素欠乏のある場合に使用される。赤血球製剤は2~6℃の低温で保存することにより、細菌の増殖を抑制し細胞の生存率や形態を保ち21日の長期保管が可能となる。
3.× 血漿成分製剤は、「20~24℃」ではなく-20℃以下で保存する。血漿製剤とは、血液から出血の防止に必要な各種の凝固因子が含まれる血漿を取り出したものである。複数の血液凝固因子の欠乏による出血ないし出血傾向のある場合に使用される。採血後1年間使用できる。使用前に30~37℃で融解し、24時間以内に使用する必要がある。
4.× 全血製剤は、「20~24℃」ではなく2~6℃で保存する。全血製剤とは、血液に保存液を加えたもので、大量出血で赤血球と血漿を同時に補う必要がある場合に使用する。慢性貧血、外科手術前・中・ 後の輸血時などに用いられる。有効期間は、採血後21日間である。

 

 

 

 

 

問題42 真空採血管とホルダーを用いて静脈血採血を実施するときに、駆血を解除するタイミングで適切なのはどれか。

1.採血針を皮膚に穿刺した直後
2.真空採血管内への血液の流入が始まったとき
3.真空採血管内への血液の流入が終わったとき
4.ホルダーから真空採血管を抜去した後

解答

解説

駆血を解除するタイミング

駆血とは、採血などをする際にゴムやベルトを巻き、血管を浮き上がらせる行為のことである。

採血の場合:必要量の採血が終わったら駆血帯を外す。その後、握っていた指の力を抜き、静脈の怒張を解放してから針を静かに抜く。

真空採血管の場合:まず採血管を抜き、握っていた指の力を抜いてもらってから、駆血帯を外す。刺入部をアルコール綿で押さえながら、ホルダーの針を抜く。採血管を装着した状態で駆血帯を外すと、逆流の危険性が高くなる。

1.× 採血針を皮膚に穿刺した直後は、神経損傷を疑うタイミングである。しびれがないか確認する。
2.× 真空採血管内への血液の流入が始まったときは、問題なく流入が終わるのを観察するタイミングである。
3.× 真空採血管内への血液の流入が終わったときは、まだ駆血を解除してはならない。なぜなら、採血管を装着した状態で駆血帯を外すと、逆流の危険性が高くなるため。採血の場合は、必要量の採血が終わったら駆血帯を外してよい。その後、握っていた指の力を抜き、静脈の怒張を解放してから針を静かに抜く。
4.〇 正しい。ホルダーから真空採血管を抜去した後が、駆血を解除するタイミングである。採血管を抜き、握っていた指の力を抜いてもらってから、駆血帯を外す。刺入部をアルコール綿で押さえながら、ホルダーの針を抜く。

 

 

 

 

 

問題43 MRI検査室に持ち込んでよいのはどれか。

1.耳栓
2.携帯電話
3.使い捨てカイロ
4.キャッシュカード

解答

解説
1.〇 正しい。耳栓は、MRI検査室に持ち込んでよい。なぜなら、MRI検査は、検査中に大きな音が出て不快感や不安が強くなるため。耳栓のほかにも、騒音対策用ヘッドホンも勧められている。
2.4.× 携帯電話/キャッシュカードは持ち込めない。なぜなら、MRI装置の強力な磁場を発生させるにより、携帯電話などの電子機器が破損、誤動作を引き起こす可能性があるため。
3.× 使い捨てカイロは持ち込めない。なぜなら、使い捨てカイロには鉄粉が含まれており、MRIの強力な磁力により発熱し、やけどする可能性や中身が飛び散る可能性があるため。また、補聴器もMRIの発生する強力な磁力により、破損する可能性がある。他にも、入れ歯・エレキバン・ベルト・アイライン・マスカラ等は火傷を発症する。したがって、化粧もなるべく指導するよう伝える。

MRI検査とは?

核磁気共鳴画像法(MRI)とは、核磁気共鳴現象を利用して生体内の内部の情報を画像にする方法である。治療前にがんの有無や広がり、他の臓器への転移がないかを調べたり、治療の効果を判定したり、治療後の再発がないかを確認するなど、さまざまな目的で行われる精密検査である。

【MRI検査の禁忌】
①体内の電子電機部品(ペースメーカ、移植蝸牛刺激装置(人工内耳)、植込み型除細動器、神経刺激器、植込み型プログラマブル注入ポンプ):MRI対応型もあるためしっかり確認する。
②素材の確認できない脳動脈クリップ:MRI対応型もあるためしっかり確認する。
③目や脳など特定の重要臓器に迷入した鉄片などの強磁性体の破片
④眼部のインプラントや材料で強磁性金属を使用しているもの
⑤磁場によって活性化するもの(磁力で装着する義眼、磁石部分が脱着不能な義歯など)
⑥目のメークアップ用品、カラーコンタクト
⑦入れ墨
⑧補聴器
⑨いくつかの管腔内デバイス
⑩ニトログリセリン真皮浸透絆創膏

 

 

 

 

 

問題44 ムーア, F.D.(Moore, F.D.)が提唱した外科的侵襲を受けた患者の生体反応で正しいのはどれか。

1.傷害期では尿量が増加する。
2.転換期では循環血液量が増加する。
3.筋力回復期では蛋白の分解が進む。
4.脂肪蓄積期では活動性が低下する。

解答

解説

ムーアの分類とは?

ムーアの分類とは、術後侵襲からの回復過程を4相に分類したものである。手術などの侵襲に対する生体反応として、内分泌系、自律神経系、代謝系などが変動し、さまざまな臨床所見がみられる。ムーアの分類は、周術期看護において患者回復のアセスメントに必要である。

【異化期(体蛋白の崩壊、脂肪の分解)】
第一相(傷害期:術後2~4日)発熱、頻脈、血圧上昇、乏尿、高血糖・耐糖能低下、蛋白異化亢進。
第二相(変換期:1~3日)解熱、血糖安定、尿量増加(利尿期・リフィリング)、尿中窒素排泄の減少。

【同化期(体組織の修復)】
第三相(筋力回復期:数週間~数ヵ月)食欲回復、蛋白合成により骨格筋増加、退院が可能に。
第四相(脂肪蓄積期)ホルモン変動が消失、脂肪増加により体重増加。

1.× 傷害期では尿量が、「増加」ではなく減少する。第一相(傷害期:術後2~4日)発熱、頻脈、血圧上昇、乏尿、高血糖・耐糖能低下、蛋白異化亢進が起こる。
2.〇 正しい。転換期(変換期)では循環血液量が増加する。第二相(変換期:1~3日)解熱、血糖安定、尿量増加(利尿期・リフィリング)、尿中窒素排泄の減少する。これにより、体液バランスが回復される。
3.× 筋力回復期では蛋白の「分解」ではなく合成が進む。第三相(筋力回復期:数週間~数ヵ月)食欲回復、蛋白合成により骨格筋増加、退院が可能になる。
4.× 脂肪蓄積期では活動性が「低下」ではなく向上する。第四相(脂肪蓄積期)ホルモン変動が消失、脂肪増加により体重増加。

 

 

 

 

 

問題45 関節拘縮の予防を目的とした関節可動域 〈 ROM 〉 訓練で正しいのはどれか。

1.関節を速く動かす。
2.運動麻痺がある場合は患側から行う。
3.他動運動は痛みが生じないように行う。
4.徒手筋力テストの結果が1以下の場合は自動運動を促す。

解答

解説

関節拘縮とは?

関節拘縮とは、関節の不動により、線維化することで 関節可動域減少が引き起こされ固定することである。

1.× 関節を「速く」ではなくゆっくり動かす。なぜなら、速い動きは関節や筋肉に負担をかけ、軟部組織の損傷を助長するため。
2.× 運動麻痺がある場合は、「患側」ではなく健側から行う。なぜなら、まず健側を動かすことで、どこまで動くか把握できるだけでなく、これから行うことを患者は把握でき、不安を軽減できるため。また、運動麻痺がある場合、非麻痺側から行うことで、患者が動きを学習しやすくなる。
3.〇 正しい。他動運動は痛みが生じないように行う。なぜなら、痛みが生じた場合、防御性収縮を引き起こし、より関節可動域制限の要因となりえるため。痛みや筋肉の緊張を引き起こさないよう関節を動かす必要がある。
4.× 徒手筋力テストの結果が1以下の場合は、自動運動を「促す」ことはできない。MMT1は、筋の収縮がわずかに確認されるだけで、関節運動は起こらない状態である。関節拘縮の予防にはなりにくい。自動運動とは、自分の力で動かす運動のことをいう。

 

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