第112回(R5) 看護師国家試験 解説【午前51~55】

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問題51 成人のばね指で正しいのはどれか。

1.男性に多い。
2.原因は腱の炎症である。
3.好発部位は示指である。
4.積極的にストレッチを行う。

解答

解説

ばね指とは?

弾発指(ばね指)とは、指を曲げて伸ばそうとしたときに、弾くようなバネに似た動きをする状態のことである。ばね指は、指を曲げるのに必要な腱や腱鞘に炎症が起こり、腱鞘炎が悪化することで発症する。特に手指を使いすぎていたり、スポーツをしたりしているとかかりやすいといわれている。

1.× 「男性」ではなく女性に多い。男女比は、1:2~6と言われている。これは、男性ホルモン・テストステロンには、筋肉や腱を強くする働きがあるため、男性は腱鞘炎になりにくいと考えられている。
2.〇 正しい。原因は腱の炎症である。ばね指は、指を曲げるのに必要な腱や腱鞘に炎症が起こり、腱鞘炎が悪化することで発症する。特に手指を使いすぎていたり、スポーツをしたりしているとかかりやすいといわれている。
3.× 好発部位は、「示指」ではなく親指である。ばね指は、好発部位として親指、中指、薬指が多いとされている。示指は示指伸筋という筋肉が個別に存在するため、ばね指はなりにくい。
4.× 積極的にストレッチを行う必要はない。なぜなら、ストレッチは炎症している腱や腱鞘にさらにストレスや負担を強いることになるため。ばね指の治療法には、安静や固定、抗炎症薬の投与、ステロイドの局所注射、場合によっては手術が行われる。

 

 

 

 

 

問題52 広汎子宮全摘出術を受けた患者への退院後の生活に関する説明で正しいのはどれか。

1.「術後2週から性交は可能です」
2.「定期的に排尿を試みてください」
3.「調理のときは手袋をしてください」
4.「退院当日から浴槽の湯に浸かることができます」

解答

解説

広汎子宮全摘出術とは?

広汎子宮全摘出術とは、卵管、卵巣、腟および子宮周囲の組織を含めた広い範囲で、子宮を摘出する手術である。この手術方法は、手術前の診断で、がんが子宮の頸部に及んでいる場合(Ⅱ期およびⅢ期の一部)に行うことが多い。合併症として、膀胱機能障害(尿意鈍磨、排尿困難)や便秘、下肢の浮腫が起こりやすい。また、卵巣を摘出した場合は、卵巣欠落症状がみられることがある。これはエストロゲンの減少により生じる。

1.× 性交が可能となるのは、「術後2週から」ではなく術後4週間からである。なぜなら、手術直後は性行為により出血しやすくなったり、感染症にかかりやすくなったりすることが懸念されるため。このときは、パートナーにも気を付ける点(女性の身体や心の問題)などを指導するとよい。
2.〇 正しい。「定期的に排尿を試みてください」と、広汎子宮全摘出術を受けた患者への退院後の生活に関する説明する。なぜなら、広汎子宮全摘出術の合併症として、膀胱機能障害(尿意鈍磨、排尿困難)が起こりやすいため。排尿は、尿路感染の予防にも寄与する。
3.× 調理のときは、手袋する必要はない。手のケアより、足のケアのほうが重要視されることが多い。なぜなら、広汎子宮全摘出術の合併症として、下肢の浮腫が起こりやすいため。蜂窩織炎が起こる可能性があるため、乾燥や肌荒れなどに注意する必要がある。
4.× 浴槽の湯に浸かることができるのは、「退院当日から」ではなく、「2週間から」である。なぜなら、手術直後は、創部から感染症にかかりやすくなるため。シャワー浴でも手術から4日過ぎたころに、医師の許可があれば可能となる(※参考:「広汎子宮全摘術を受けられる方へ」高知大学HPより)。

 

 

 

 

 

問題53 老化に伴う血液造血器系の変化で適切なのはどれか。

1.エリスロポエチンが増加する。
2.黄色骨髄が減少する。
3.顆粒球数が増加する。
4.赤血球数が減少する。

解答

解説
1.× エリスロポエチンは、「増加」ではなく減少する。エリスロポエチンとは、赤血球の産生を促進する造血因子の一つである。加齢に伴い、腎臓の機能が低下してエリスロポエチンの分泌が少なくなる。すると赤血球も減少するため、貧血症状があらわれやすくなる。
2.× 黄色骨髄は、「減少」ではなく増加する。幼児期の全骨髄が造血作用をもつ赤色骨髄であるが、骨格発育が進み必要な造血領域を越えるようになると脂肪髄である黄色骨髄に置き換わっていく。したがって、老化に伴って、骨髄の赤色骨髄(造血組織)が減少し、黄色骨髄(脂肪組織)が増加する。
3.× 顆粒球数は、「増加」ではなく減少する。なぜなら、加齢に伴い、免疫力が低下するため。顆粒球とは、好中球、好酸球、好塩基球、および肥満細胞で構成される不均一な白血球である。自然免疫細胞であり、活性化されると、免疫促進分子を放出してウイルスや寄生虫の感染を撃退する。
4.〇 正しい。赤血球数が減少する。なぜなら、老化に伴って、骨髄の赤色骨髄が減少し、造血能力が低下するため。赤血球数、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値は加齢とともに減少し、平均赤血球容積、平均赤血球血色素量は増加する。

 

 

 

 

 

問題54 高齢者の身体拘束に関する説明で適切なのはどれか。

1.身体拘束の実施は担当看護師が決定する。
2.ミトン型の手袋の使用は身体拘束ではない。
3.本人が身体拘束に同意していれば家族への説明は不要である。
4.切迫性、非代替性および一時性の全てを満たしている場合に検討される。

解答

解説

精神保健指定医とは?

精神保健指定医とは、「精神保健福祉法」に基づいて、精神障害者の措置入院・医療保護入院・行動制限の要否判断などの職務を行う精神科医のことである。原則として、精神科病院では,常勤の指定医を置かなければならない。臨床経験・研修などの要件を満たす医師の申請に基づいて厚生労働大臣が指定する。

1.× 身体拘束の実施は、「担当看護師」ではなく主に医師が決定する。ただし、看護師や理学療法士、作業療法士などのチームのさまざまな意見から決定することが多い。
2.× ミトン型の手袋の使用は身体拘束「である」。身体拘束の定義は、衣類綿入り帯等を使って、一時的に「介護を受ける高齢者等」の身体を拘束したり、運動することを抑制する等、行動を制限することである。したがって、ミトン型の手袋は、自由な手の動きを制限するため、身体拘束の一形態と見なされる。
3.× 本人が身体拘束に同意していなくとも家族への説明は「必要である」。なぜなら、身体拘束するにあたって、さまざまな身体への弊害(関節拘縮、筋力低下、深部静脈血栓症など)が起こりえるため。インフォームドコンセントの観点からも家族への説明は重要である。ちなみに、インフォームドコンセントとは、患者・家族が病状や治療について十分に理解し、また、医療職も患者・家族の意向や様々な状況や説明内容をどのように受け止めたか、どのような医療を選択するか、患者・家族、医療職、ソーシャルワーカーやケアマネジャーなど関係者と互いに情報共有し、皆で合意するプロセスである。
4.〇 正しい。切迫性、非代替性および一時性の全てを満たしている場合に検討される。身体抑制は、道具や薬剤を用いて、一時的に当該患者の身体を拘束し、その運動を抑制することを言い、内容としては身体拘束とほぼ同義である。身体拘束が認められるためには、①切迫性(緊急性)、②非代替性(他の方法が利用できない場合)、③一時性(限られた期間のみ使用)の3つの要件がすべて満たされていなければならない。また、身体拘束の使用は最小限に抑えられるべきであり、その目的、適切な方法、持続期間などについて慎重に評価される必要がある。

 

 

 

 

 

問題55 65歳以上の高齢者が要介護認定の有無に関わらず利用できるのはどれか。

1.介護予防教室
2.介護老人保健施設
3.夜間対応型訪問介護
4.通所介護〈デイサービス〉

解答

解説
1.〇 正しい。介護予防教室は、65歳以上の高齢者が要介護認定の有無に関わらず利用できる。介護予防教室とは、介護保険の介護予防・日常生活支援総合事業という仕組みの「一般介護予防事業」で行われるサービスである。運動教室や健康講座、趣味活動を行うためのサロンが該当する。対象者は、地域に住む65歳以上のすべての高齢者である。
2.× 介護老人保健施設とは、要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、看護・医学的管理のもと、介護および機能訓練その他必要な医療ならびに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設である。
3.× 夜間対応型訪問介護とは、要介護の認定を受け、利用する事業者と同一の市町村に住んでいる方が、可能な限り自宅で自立した日常生活を、24時間安心して送ることができるよう、夜間帯に訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者の自宅を訪問します。 「定期巡回」と「随時対応」の2種類のサービスがあります。
4.× 通所介護〈デイサービス〉とは、主に高齢者などの要介護者や障害者、児童に対し、施設に入所せず、昼間に日帰りで利用できる通所介護サービスのことである。ゲームなどのレクリエーションや食事、入浴などの中で機能訓練を行う場所である。

 

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