第112回(R5) 看護師国家試験 解説【午前81~85】

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問題81 変形性膝関節症について正しいのはどれか。

1.男性に多い。
2.第一選択は手術療法である。
3.変形性関節症の中で2番目に多い。
4.二次性のものが一次性のものより多い。
5.経時的に進行して10年で半数が悪化する。

解答

解説

変形性膝関節症とは?

変形性膝関節症は、①疼痛、②可動域制限、③腫脹、④関節変形などがみられる。進行度にかかわらず、保存療法が第一選択となる。減量や膝に負荷のかかる動作を回避するような日常生活動作指導、筋力トレーニングやストレッチなどの運動療法、装具や足底板などの装具療法、鎮痛薬や関節内注射などの薬物療法が行われる。

1.× 「男性」ではなく女性に多い。男女比は1:4で中高年の女性に多くみられる。
2.× 第一選択は、「手術療法」ではなく保存療法である。変形性膝関節症の治療は、手術をせずに運動や薬で症状を緩和させる保存療法と手術療法の2種類がある。第一選択は、非薬物療法や薬物療法(鎮痛薬、非ステロイド性抗炎症薬など)であり、手術療法はそれらが無効かつ日常生活に支障をきたしている場合(変形や痛みが著明な場合)に適応となる。
3.× 変形性関節症の中で「2番目」ではなく1番目に多い。ちなみに、2番目に多いのが股関節である。ただし、足、肩、肘、指、手など、その他体中のほとんどの関節にもおこりえる。
4.× である。「一次性」のものが「二次性」のものより多い。一次性は、明らかな原因の無い場合である。二次性は、代謝性疾患・外傷・先天異常など明確な原因のある場合である。
5.〇 正しい。経時的に進行して10年で半数が悪化する。経時的とは、時間経過に沿った、時系列的な、という意味である。変形性膝関節症は、進行性の疾患であり、時間の経過とともに関節の機能や症状が悪化する。

 

 

 

 

 

問題82 学校保健安全法で出席停止となる学校感染症のうち、第二種に分類されているのはどれか。

1.インフルエンザ
2.細菌性赤痢
3.ジフテリア
4.腸チフス
5.流行性角結膜炎

解答

解説

学校保健安全法

第三章 感染症の予防(感染症の種類)
第十八条 学校において予防すべき感染症の種類は、次のとおりとする。
一 第一種 エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、痘そう、南米出血熱、ペスト、マールブルグ病、ラッサ熱、急性灰白髄炎、ジフテリア、重症急性呼吸器症候群(病原体がベータコロナウイルス属SARSコロナウイルスであるものに限る。)、中東呼吸器症候群(病原体がベータコロナウイルス属MERSコロナウイルスであるものに限る。)及び特定鳥インフルエンザ(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)第六条第三項第六号に規定する特定鳥インフルエンザをいう。次号及び第十九条第二号イにおいて同じ。)
二 第二種 インフルエンザ(特定鳥インフルエンザを除く。)、百日咳せき、麻しん、流行性耳下腺炎、風しん、水痘、咽頭結膜熱、結核及び髄膜炎菌性髄膜炎
三 第三種 コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、腸チフス、パラチフス、流行性角結膜炎、急性出血性結膜炎その他の感染症
2 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第六条第七項から第九項までに規定する新型インフルエンザ等感染症、指定感染症及び新感染症は、前項の規定にかかわらず、第一種の感染症とみなす。(※引用:「学校保健安全法」e-GOV法令検索様HPより)

1.〇 正しい。インフルエンザは、第二種に分類されている。第二種は、インフルエンザ(特定鳥インフルエンザを除く。)、百日咳せき、麻しん、流行性耳下腺炎、風しん、水痘、咽頭結膜熱、結核及び髄膜炎菌性髄膜炎が該当する。
2.4~5.× 細菌性赤痢/腸チフス/流行性角結膜炎は、第三種に分類されている。第三種は、コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、腸チフス、パラチフス、流行性角結膜炎、急性出血性結膜炎その他の感染症が該当する。
3.× ジフテリアは、第一種に分類されている。第一種は、エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、痘そう、南米出血熱、ペスト、マールブルグ病、ラッサ熱、急性灰白髄炎、ジフテリア、重症急性呼吸器症候群、中東呼吸器症候群及び特定鳥インフルエンザが該当する。

学校保健安全法とは?

学校保健安全法は、主に①学校保健、②学校安全の体制、③健康診断などを定めている。

 

 

 

 

 

問題83 成人におけるバイタルサインで緊急に対応が必要なのはどれか。

1.脈拍70/分
2.体温34.4℃
3.呼吸数14/分
4.血圧130/80mmHg
5.グラスゴーコーマスケール〈GCS〉15点

解答

解説
1.× 脈拍70/分は正常範囲内である。通常の成人の脈拍は60~100/分である。
2.〇 正しい。体温34.4℃は、成人におけるバイタルサインで緊急に対応が必要である。通常の成人の体温は36.0~37.0℃である。34.4℃は低体温であるため、緊急対応が必要である。ちなみに、低体温症とは、深部体温が35℃未満となることで、症状は、シバリングおよび嗜眠から錯乱、昏睡および死亡へと進行する。
3.× 呼吸数14/分は正常範囲内である。通常の成人の呼吸数は12~20回/分である。多呼吸とは、呼吸数60/分以上が目安とされる。一方、無呼吸は20秒間以上の呼吸停止か、あるいは20秒間未満でも徐脈を伴うものである。
4.× 血圧130/80mmHgは正常範囲内である。通常の成人の血圧は、収縮期が90~139mmHg、拡張期が60~89mmHgである。高血圧症とは、くり返して測っても血圧が正常より高い場合をいう。くり返しの測定で診察室血圧で最高血圧が140mmHg以上、あるいは、最低血圧が90mmHg以上であれば、高血圧と診断される。
5.× グラスゴーコーマスケール〈GCS〉15点は正常範囲内である。グラスゴー・コーマ・スケール(GCS:Glasgow Coma Scale)は、意識レベルを評価するスケールである。開眼機能(E)、言語機能(V)、運動機能(M)の3つの要素を用いて3~15点で評価し、点数が低いほど意識レベルの状態が悪いことを示す。ちなみに、他にも意識レベルを評価するスケールで、JCS(Japan coma Scale)があげられる。

 

 

 

 

 

問題84 老化による尿の生成と排尿機能の変化はどれか。

1.排尿回数の減少
2.膀胱容量の増加
3.夜間尿量の減少
4.残尿量の増加
5.尿比重の上昇

解答

解説
1.× 排尿回数は、「減少」ではなく増加する。なぜなら、加齢により、排尿をコントロールする自律神経の機能は低下するため。その影響で膀胱が過敏になり、十分な量の尿が溜まっていないのに膀胱が収縮し、急に強い尿意を感じるという症状が現れる。
2.× 膀胱容量は、「増加」ではなく減少する。なぜなら、加齢により、膀胱の筋肉成分が減り、固い線維組織成分が増えることによって、膀胱自体が固くなって膀胱内に尿をためられなくなるため。
3.× 夜間尿量は、「減少」ではなく増加する。なぜなら、水分過剰摂取や薬剤の副反応やアルコール・カフェイン摂取、高血圧等様々なことがあるため。血圧の高い人は夜間に腎臓の血流が増加するため、夜間の尿量が増加し排尿回数が増える。
4.〇 正しい。残尿量の増加は、老化による尿の生成と排尿機能の変化である。なぜなら、膀胱が縮む力が弱くなるため。
5.× 尿比重は、「上昇」ではなく低下する。なぜなら、加齢により、腎機能(尿の濃縮機能)が低下するため。尿比重とは、尿中のナトリウム、尿素、糖、タンパク質などの溶質成分の含まれる量を示す、尿の検査項目の一つである。 尿試験紙を用いて行う。尿比重の基準値は、1.002~1.030である。尿比重高値で、ネフローゼ症候群、糖尿病、脱水などが疑われる。

 

 

 

 

 

問題85 定期予防接種について正しいのはどれか。

1.BCG接種前にツベルクリン反応を実施する。
2.ロタウイルスワクチンは不活化ワクチンである。
3.ポリオウイルスワクチンの定期接種は廃止された。
4.麻疹ウイルスワクチンは就学までに4回接種する。
5.ヒトパピローマウイルス〈HPV〉ワクチンは筋肉内注射する。

解答

解説

(※図引用:「生ワクチンと不活化ワクチン」田辺三菱製薬様HPより)

予防接種法とは?

予防接種法とは、公衆衛生の観点から伝染のおそれがある疾病の発生・まん延を予防するためにワクチンの予防接種を行うとともに、予防接種による健康被害の迅速な救済を図ることを目的として制定された日本の法律である。予防接種法に基づく予防接種には、①定期予防接種と②臨時予防接種があり、定期予防接種の対象疾患には、①A類疾病と②B類疾病がある。さらに同法に基づかない任意接種もある。

A類疾病:主に集団予防、重篤な疾患の予防に重点を置き、国の積極的な勧奨があり、本人(保護者)に努力義務がある。
疾患:結核、ジフテリア、破傷風、百日咳、ポリオ、麻疹、風疹、日本脳炎、ヒブ(インフルエンザ菌b型)感染症、小児の肺炎球菌感染症、水痘、ヒトパピローマウイルス感染症、B型肝炎

B類疾病:主に個人予防に重点を置き、国の積極的な勧奨なく、本人(保護者)に努力義務はない。
疾患:季節性インフルエンザと高齢者の肺炎球菌感染症

(参考:「予防接種とは?」東京都医師会HPより)

1.× BCG接種前にツベルクリン反応を実施する必要はない。BCG接種前にツベルクリン反応を実施するのは、平成15年までである。ちなみに、BCGワクチン(BCG接種)とは、ウシ型結核菌の実験室培養を繰り返して作製された細菌、および、それを利用した結核に対する生ワクチンである。1歳まで(標準として生後5か月から8か月まで)に1回接種する。主に小児の結核の発症・重症化予防に効果があるとされている。
2.× ロタウイルスワクチンは、「不活化ワクチン」ではなく生ワクチンである。ロタウイルスとは、乳幼児における下痢症の主要な病原体である。レオウイルス科に属する二本鎖RNAウイルスの属である。離島国などを除き世界中でほとんどの乳幼児が5 ~6歳までに一度はロタウイルスの感染を経験する。感染のたびに免疫が誘導されるため、回を追うごとに軽症化し、大人は発症しないか、極めて軽微となる。
3.× 現在もポリオウイルスワクチンの定期接種は、廃止されていない。定期予防接種の対象疾患のA類疾病に該当する。ちなみに、ポリオワクチンとは、ポリオウイルスの感染によって発症する、主として片側性の急性弛緩性麻痺や、急性灰白髄炎を疾患した人、およびポリオウイルスによる感染を予防するためのワクチン。 ポリオワクチンには不活性化ワクチンと経口生ポリオワクチンの2種類がある。
4.× 麻疹ウイルスワクチンは就学までに、「4回」ではなく2回接種することが推奨される。1回目は、生後1歳から2歳まで、2回目は5歳から7歳までである。
5.〇 正しい。ヒトパピローマウイルス〈HPV〉ワクチンは筋肉内注射する。ヒトパピローマウイルスワクチンは、産婦人科や小児科や内科などで接種をおこなえ、肩に近い腕または大腿部の筋肉に注射する。十分な抗体を作るため最初の接種から半年の間に3回の接種が必要である。ちなみに、ヒトパピローマウイルス(HPV)は、性的接触のある女性であれば50%以上が生涯で一度は感染するとされている一般的なウイルスである。 子宮頸がんを始め、肛門がん、腟がんなどのがんや尖圭コンジローマ等多くの病気の発生に関わっている。特に、近年若い女性の子宮頸がん罹患が増えている。

(※表引用:「予防接種スケジュール」日本小児学会より)

 

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