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46 介護保険制度のケアマネジメントで適切なのはどれか。
1.地域の課題を抽出する。
2.地域ケア会議を開催する。
3.要介護状態区分を判定する。
4.対象者のモニタリングを行う。
解答4
解説
ケアマネジメントとは、支援を必要な人やそのニーズと、それを満たすことができる社会資源とを結び付ける支援方法をいう。療養者のQOLを向上させるための多様なサービスを、個人個人に合わせてコーディネートすることで、介護保険は、利用者の意思・希望を尊重することが必要である。また、単にケアプランを立案し、サービスを提供するだけでなく、総合的・効率的・継続的に生活課題(ニーズ)の解決を図るという概念である。
1.× 地域の課題を抽出するのは、地域包括ケアシステムや地域支援事業の役割である。ケアマネジメントは、個別支援を中心とした活動である。
・地域包括ケアシステムとは、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で生活を継続することができるよう、包括的な支援・サービス提供体制の構築を目指すものである。この地域包括ケアシステムが効果的に機能するために、「4つの助(自助・互助・共助・公助)」の考え方が連携し、課題解決に向け取り組んでいく必要がある。
2.× 地域ケア会議を開催するのは、地域包括支援センターまたは市町村が行う。
・地域ケア会議とは、介護保険法第115条の48で定義され、地域包括支援センターまたは市町村が主催し、設置・運営する「行政職員をはじめ、地域の関係者から構成される会議」のことである。多職種の専門職の協働の下で、①高齢者個人に対する支援の充実と、②それを支える社会基盤の整備を同時に進めていく、地域包括ケアシステムの実現に向けた手法として市町村や地域包括支援センターが開催する会議体である。
3.× 要介護状態区分を判定するのは、「コンピュータによる一次判定の後、介護認定審査会による二次判定」により決まる。つまり、要介護状態区分を審査・判定するのは、介護認定審査会である。この結果に基づき、市町村が要介護認定を行う。
4.〇 正しい。対象者のモニタリングを行う。なぜなら、ケアマネージャーによって、ケアプランが適切に実施され、対象者の状態に応じてサービスが提供されているかを定期的に確認するため。計画(Plan)、実施(Do)、評価(Check)、改善(Act)のPDCAサイクルの一部であり、利用者のニーズの変化やサービスの利用状況に応じてケアプランを見直す。
(※画像引用:「要介護認定の仕組みと手順」厚生労働省HPより)
47 急性期の患者に起きる生体反応で正しいのはどれか。
1.エネルギー代謝が低下する。
2.蛋白質の同化が異化を上回る。
3.カテコールアミンの分泌が亢進する。
4.抗利尿ホルモン〈ADH〉の分泌が低下する。
解答3
解説
急性期とは、症状が急に現れる時期、病気になり始めの時期である。急性期は、全身の生体反応と機能低下が起こり、合併症が発現するおそれがある。このため、回復過程における経過を予測して系統的な観察を行い、正常範囲に経過しているのか、それとも逸脱して悪化していくおそれがあるのかを判断し、異常を察知すれば早期に対処する必要がある。
1.× エネルギー代謝が、「低下」ではなく増加する。なぜなら、急性期は、侵襲やストレスに対し交感神経が優位になりやすく、呼吸や循環、代謝などが亢進しエネルギー消費量が増大しやすいため。
2.× 逆である。蛋白質の「異化」が「同化」を上回る。これを異化亢進という。
・異化とは、外界から取り込んだ物質(糖質や脂質など)もしくは、生体内にある複雑な物質を分解し、簡単な物質(水や二酸化炭素)に変えるとともにエネルギー(ATP)を取り出す過程を指す。つまり、体内のタンパク質、脂質、グリコーゲンなどを分解し、エネルギーを産生することとイメージすると良い。身体への侵襲により損傷した組織を修復するために異化が亢進する。
・蛋白質の同化とは、食べた肉や魚などの蛋白質が体内でアミノ酸に分解された後、それらを材料にして、筋肉や臓器など、私たちの体に必要な新しい蛋白質を合成する働きのことである。これにより、体の成長や傷ついた部分の修復が行われる。
3.〇 正しい。カテコールアミンの分泌が亢進する。なぜなら、カテコールアミンは副腎髄質や交感神経終末から分泌され、心拍数や血圧の上昇、血糖値の上昇、末梢血管の収縮など、身体のストレス応答や緊急事態への適応を促す作用があるため。これにより、生命維持に必要な臓器への血流を維持し、代謝を促進してエネルギーを供給する。
・カテコールアミンとは、アドレナリンやノルアドレナリンなどのことで、血管を収縮させ、心拍数を増加させる。ちなみに、副腎髄質から分泌される。
4.× 抗利尿ホルモン〈ADH〉の分泌は、「低下」ではなく亢進する。なぜなら、急性期による出血、脱水、炎症など、身体は水分を最大限に保持しようとするため。したがって、急性期のストレス下では、身体は循環血液量を維持しようとする。
・抗利尿ホルモンとは、下垂体後葉から分泌される水溶性ホルモンである。抗利尿作用がある。
48 セルフヘルプグループについて正しいのはどれか。
1.医療従事者が運営する。
2.営利を目的にした団体である。
3.当事者同士の交流による心理的効果がある。
4.在籍年数の長いメンバーの意見が重視される。
解答3
解説
自助グループ(セルフヘルプグループ、当事者グループ)に、同じ問題や悩みを抱える者同士が集まり、自分の苦しみを訴えたり、仲間の体験談を聞いたりすることで問題を乗り越える力を養っていくものである。同じ悩みをかかえる人々がコミュニティをつくって交流するもので、例えば、青年期のひきこもり状態にある者の支援として、同じような健康課題への対処能力を高めるために活動するグループをつくることが有効である。
1.× 「医療従事者」ではなく当事者が運営する。なぜなら、専門家による介入や指導を主な目的とせず、メンバー間の相互支援を重視するため。
2.× 営利を目的にした団体「とはいえない」。参加費が無料であったり、少額の会費制であったりする場合がほとんどである。
・営利目的とは、お金を儲けること(利益を出すこと)を主な目的として、事業や活動を行うことである。会社が商品やサービスを売って売上を上げ、そこから費用を引いた「儲け」を追求するような場合に「営利目的の活動」という。
3.〇 正しい。当事者同士の交流による心理的効果がある。なぜなら、互いに共感し、支え合うことで、精神的な安定や回復、自己肯定感の向上といった心理的な効果が期待できるため。同じ悩みを共有する人々が集まることで、「自分だけではない」という孤独感の解消や、「この問題は解決できるかもしれない」という希望などが生まれる。
4.× 在籍年数の長いメンバーの意見が重視される「といったことはない」。一般的に、メンバー間の対等な関係性と相互支援を重視する。全てのメンバーの意見が尊重され、誰もが安心して発言できる場であることが理想である。
49 終末期癌患者にみられる悪液質の徴候はどれか。
1.体重減少
2.がん性痛
3.リンパ浮腫
4.末梢神経障害
解答1
解説
1.〇 正しい。体重減少は、終末期癌患者にみられる悪液質の徴候である。
・悪液とは、がんなどの慢性消耗性疾患によって生じる複合的な代謝異常の症候群である。がん悪液質とは、従来の栄養サポートで改善することは困難で、進行性の機能障害をもたらし、(脂肪組織の減少の有無にかかわらず)著しい筋組織の減少を特徴とする複合的な代謝障害症候群である。病態生理学的には、経口摂取の減少と代謝異常による負の蛋白、エネルギーバランスを特徴とする一部の癌、特に膵癌および胃癌では、深刻な悪液質を生じる。 悪液質の患者は、体重が10~20%減少することがある。典型的な症状として、食欲不振、体重減少、全身衰弱などを呈する。飢餓による低栄養とは異なり、単なる栄養補給では改善しない。
2.× がん性痛は、悪液質の直接的な徴候ではない。
・がん性痛とは、がん疼痛ともいい、がんが原因となって引き起こされる疼痛のことを指す。がんが進行することによって、直接的に疼痛を引き起こすこともあれば、関連疾患や治療によって引き起こされることもある。例えば、がんが骨に侵入した場合には、骨が破壊されることで疼痛を引き起こす。また、放射線治療や化学療法などの治療によって、炎症や神経障害を引き起こし、疼痛を引き起こすこともある。
3.× リンパ浮腫は、悪液質の直接的な徴候ではない。
・リンパ浮腫とは、がんの治療部位に近い腕や脚などの皮膚の下に、リンパ管内に回収されなかった、リンパ液がたまってむくんだ状態のことをいう。がんのリンパ節転移やリンパ管内進展、手術などにより、リンパの流れが妨害されることで起こる。
4.× 末梢神経障害は、悪液質の直接的な徴候ではない。
・末梢神経障害とは、末梢神経系(手足などの周辺部位を制御する神経)に障害が発生したことによって、筋肉や感覚などの機能が低下した状態を指す。原因として、糖尿病や多発性硬化症などの疾患、外傷、感染、がん化学療法の副作用として起こることが多い。
50 がん患者の家族における社会的苦痛はどれか。
1.「患者にはどのがん治療が適切なのか」
2.「なぜ自分の家族はがんに罹患したのか」
3.「患者のがん治療を代わることはできないのか」
4.「治療の期間が長くなり、出費が続くと自分の生活はどうなるのか」
解答4
解説
トータルペイン(全人的苦痛)は、身体的・精神的・社会的・霊的(スピリチュアル)の4つの苦痛をいう。スピリチュアルペインとは、死を目前にした癌患者などが、患者自身の人生の否定・価値観の否定・存在自身の否定を受けたと感じることに起因する。抑うつ、不安、 怒り、いらだち、悲観などをいう。
1~3.× 「患者にはどのがん治療が適切なのか」「なぜ自分の家族はがんに罹患したのか」「患者のがん治療を代わることはできないのか」という発言は精神的苦痛である。
・精神的苦痛とは、不安やいらだち・うつ状態・孤独感などが挙げられる。
4.〇 正しい。「治療の期間が長くなり、出費が続くと自分の生活はどうなるのか」という発言は社会的苦痛である。
・社会的苦痛とは、家庭の問題や経済的問題・人間関係、仕事上の問題などが挙げられる。